出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第18話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
第18話:新たなる戦い!?
雷鳥side
雄英高校が襲撃されたという情報が何処かから外部に漏れ、放課後にはマスゴミが詰めかけた上に、普通科や経営科の生徒の親御さんからの問い合わせが殺到したのだ。
事態を重く見た学校側は翌日の臨時休校を決定。俺達は自宅待機を厳命されてしまった。
恐らく情報を流したのは信楽焼達だろう。叩きのめされた意趣返しのつもりだろうが…ふざけた真似をしてくれる。今度会った時はキッチリお返ししてやるよ。
…出久や梅雨ちゃん、麗日と相澤先生や13号先生の見舞いに行く計画もオジャンになったからな。最低でもアバラは全滅させるから覚悟しておけ。
そして
「皆ー!! 朝の
またいつもの日常が始まった。委員長モードフルスロットルの飯田が、皆に着席を促していたが…。
「ついてるよ。ついてねーのお前だけだ」
あ、俺より先に瀬呂がツッコミを入れたか。
「ねぇねぇ、梅雨ちゃん。ホームルーム、誰が来るのかな?」
「そうね。相澤先生は怪我で入院中だし…このクラスの副担任って誰だったかしら? 吸阪ちゃん、知ってる?」
芦戸と話していた梅雨ちゃんが俺に質問してきたが…あれ? 副担任、誰だっけ?
「悪い、俺も知らない」
「吸阪ちゃんも知らないとなると…元からいないのかしら?」
「かもしれないな…あ、誰か近づいてきた」
その時、俺の“個性”が反応した。はたして、誰がやって来るのか…。
「お早う」
まさかの相澤先生かよ! 教室のあちこちから『相澤先生復帰早ぇ!』とか『プロすぎる!』という声が上がっているが、俺もそう思うよ。
…顔以外の全身包帯グルグル巻きなヴィジュアルは、正直怖いけどね。
「先生! もう退院して大丈夫なんですか?」
「俺の安否はどうでもいい。何より、まだ戦いは終わってねぇ」
飯田の質問にそう答え、俺達を見回す相澤先生。まだ、戦いが終わっていない? どういう意味だ?
「戦い?」
「まさか…」
「まだ
爆豪、出久、峰田の声が良い感じに繋がり、全員の視線が相澤先生に注目し-
「雄英体育祭が迫ってる!」
クソ学校っぽいのきたー! そんな声が周囲から一斉に飛び出した。うん、入学式すっぽかして個性把握テストやったりしていたからね。学校行事に皆飢えているんだよ。まぁ、俺もだけど。
「待って待って!
「逆だ。例年通り開催する事で雄英の危機管理体制が盤石である事を世間に示すって考えらしい。もちろん、警備は強化する。例年の5倍にな」
「なにより
クラスで唯一峰田だけが、体育祭開催に疑問の声を上げるが、相澤先生の声にあえなくかき消される。
「
「かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し、形骸化した……」
「そして日本に於いて今『かつてのオリンピック』に代わるのが雄英体育祭だ!!」
「当然、全国のトップヒーローも見ますのよ。スカウト目的でね!」
相澤先生の言葉に続いて八百万も発言し、峰田の反論を封じてしまう。うん、峰田…残念だが諦めろ。
「
「まぁ、独立しそびれて万年
「爆豪ちゃんあたりは一歩間違えばそうなりそうね…主に性格面で」
「んだとコラ! 最速で独立するわ!!」
「ホラ」
梅雨ちゃん、皆が思っている事をよく言ってくれた。ナイス!
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が、経験値も話題性も高くなる」
「時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ」
「年に1回…計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ!」
相澤先生の言葉に俺達はそれぞれ闘志を燃やし、
オールマイトside
「死柄木弔という名前で、20代~30代の個性登録を洗ってみましたが、該当なしです。『ワープ』の“個性”を持つ黒霧という者も同様です。無戸籍かつ偽名…個性届を出していない、所謂裏の人間」
警察代表として、私の友人でもある塚内直正君を招いての緊急職員会議。その席上で塚内君達警察の調査結果が発表された訳だが…。
「何もわかってねえって事だな…早くしねえと、死柄木とかいう主犯の怪我が治ったら面倒だぞ」
スナイプ先生の言葉通り、内容は芳しくないものだった。
「怪我を負わせた吸阪君の話だと『両肩、上腕骨近位端と両膝、膝蓋骨は間違いなく砕いた。肋骨も3~4本は折っている』との事だよ。リカバリーガール、これだけの怪我…治癒するのにどのくらいかかるのかな?」
「そうだねぇ…相手方に『治癒』系の“個性”の持ち主がいないという前提なら…最低でも1ヶ月は安静が必要だね。その後のリハビリも加味すれば……まぁ、最短3ヶ月ってところだね」
「もし、『治癒』系の“個性”の持ち主がいたら?」
「…“個性”があたしと同等なら…1週間ってところだね」
「………『治癒』系の“個性”の持ち主がいない事を祈るばかりだね」
校長先生の溜息が会議室に響く。つくづく、あの場に私が不在だった事が悔やまれる。
私がいれば、万事解決していた等と傲慢な事を言うつもりはない。だが、あの場に私がいたならば、
校長先生のお言葉通り、街の平和は他のヒーローに任せ、私はまず
「
「何だい、オールマイト?」
「いえ、死柄木弔についてです。彼が敵集団、
「そうだね。それは僕も気になっていたところさ。直接対峙した吸阪君達の印象を総合すると…死柄木弔の人物像は…幼児的万能感の抜け切らない“子ども大人”だ」
「“力”を持った子どもってわけか!!」
「小学校の時に『一斉“個性”カウンセリング』受けてないのかしら…」
「それで校長。それが何か気になるんですか?」
校長の分析にブラドキング先生やミッドナイト先生から声が上がり-
「先日のUSJで検挙した
それに答えるように塚内君が再び口を開いた。
「どれも路地裏に潜んでいるような小物ばかりでしたが、問題はそういう人間がその“子ども大人”に賛同し、付いて来たという事です」
「ヒーローが飽和した現在、抑圧されてきた悪意達はそういう無邪気な邪悪に惹かれるのかもしれません」
「………悪のカリスマという事か」
まるでアイツのような…。いや、いくら何でも考えすぎか…だが…。
「まぁ、ヒーローのおかげで我々も地道な捜査に専念できる。捜査網を拡大し、引き続き犯人逮捕に尽力して参ります」
そう言って一礼する塚内君。それから会議は滞りなく終了した訳だが…。
「“子ども大人”。逆に考えれば、生徒と同じだ。成長する余地がある…もし優秀な
「……考えたくないですね」
校長の呟きに、私は不安を感じずにはいられなかった。
出久side
昼休み、体育祭への意気込みを語る麗日さんの様子がいつもと違ったのが気になったから、大食堂へ移動しながらそれとなく聞いてみると…。
「お金…!? お金欲しいからヒーローに!?」
「究極的に言えば…なんかごめんね、不純で…飯田君とか立派な動機なのに、私恥ずかしい」
返ってきたのは少し意外な…でも、麗日さんらしい理由だった。
麗日さんの実家は、関西で小さな建設会社を営んでいるんだけど、大手に押されてなかなか仕事が入らず、経営が苦しいらしい。
だから、麗日さんは子どもの時から、大きくなったら実家の手伝いをすると決めていたそうだ。
たしかに麗日さんの“個性”『
でも、麗日さんのご両親は『親としてはお茶子が夢叶えてくれる方が何倍も嬉しい』と、逆に麗日さんの背中を押してくれたそうだ。
「だから、私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃんと母ちゃんに楽させたげるんだ!」
「麗日君! ブラーボー!!」
麗日さんの決意表明に、飯田君は声をあげながら、僕と雷鳥兄ちゃんも笑顔で拍手を送る。『憧れ』だけじゃなく『現実』を加味した上で…なんて言うか、凄く麗日さんが眩しく見える。
「おお! 緑谷少年と吸阪少年がいた!!」
HAHAHA! とオールマイトがやって来たのはその時だ。タイミングが良いのか悪いのか…でも、僕と雷鳥兄ちゃんに何か用なのかな?
「ごはん…一緒に食べよ?」
「乙女や!!」
「乙女か!!」
あ、麗日さんと雷鳥兄ちゃんのツッコミが被った。でも、オールマイトからのお誘いだ。断る理由なんてどこにもない。お付き合いさせていただきます。
雷鳥side
飯田達と別れ、仮眠室に移動した俺達は、オールマイトが淹れてくれたお茶を受け取りつつ、それぞれの弁当を広げていたのだが…。
「オールマイト…豆腐だけですか?」
オールマイトの弁当箱に入っていたのは、1丁の絹ごし豆腐…というか冷奴だ。
「あぁ、胃を全摘出した関係でね。固形物は食べるのがキツイんだよ」
HAHAHAといつもより力なく笑いながら、冷奴にネギと鰹節、醤油をかけるオールマイト。こう言っちゃなんだが…そんなんで体を維持できるのか?
「はぁ、まさかこれが役に立つとはな」
苦笑しながら鞄から取り出したのは魔法瓶。昼食の汁物代わりに作ってきたが…オールマイトにもお裾分けだ。
「吸阪少年、それは?」
「以前食べたベジポタ系ラーメンをヒントに作ってみました。鶏ガラと豚骨を煮込んで作った
使い捨て容器にポタージュを入れ、胡椒とオリーブオイルの小瓶と一緒にオールマイトへ差し出す。
「雷鳥兄ちゃんの料理、美味しいですよ。オールマイトもきっと気に入ると思います!」
「これはこれは…ありがとう。吸阪少年、女子力高かったんだね」
「誉め言葉として受け取っておきます。ささ、冷めないうちに」
「あぁ、それでは…」
湯気を立てるポタージュに口をつけるオールマイト。口に合えばいいんだが…。
「………これ、美味いね」
「お口に合って、何よりです」
オールマイトにも気に入ってもらえたようだ。さぁ、俺達も昼飯を食べるとしますか。
「食べながらで良いから、聞いてほしい。君達をここへ呼んだのは。体育祭についてだ」
「やっぱり、それについてですか」
「正直、その事かこの前の
うん、出久も俺と同じことを考えていたようだな。
「雄英の入試前にも話したと思うけど…ぶっちゃけ私が平和の象徴として立っていられる時間って、実はそんなに長くない」
「…はい」
「そうでしたね…」
「そして、悪意を蓄えている者達の中に、それに気づき始めている者がいる」
「…信楽焼、じゃない死柄木弔…もしくはその背後にいる者…って事ですか」
「もしかして、オールマイトに重傷を負わせたのって…」
「あぁ、確証がない以上、詳しい事は話せないけどね。ソイツである可能性も決して捨てきれない」
「緑谷少年、君に“
「雄英体育祭…全国が注目しているビッグイベント!」
「次世代のオールマイトとオールマイトの精神を継ぐ者…象徴の卵達…君達が来た! という事を世の中に知らしめてほしい!!」
これはオールマイトからの試験と考えるべきだな。そう思いながら、出久の方を見れば、出久はわかっている。と言わんばかりに、拳を突き出してきた。
「わかりました。オールマイト」
互いの拳をぶつけあいながら、俺達は宣言する。
「雄英体育祭、俺達は全力で暴れまわります!」
「僕達が来た! と世間に知らしめる為に!」
俺達の宣言に大きく頷くオールマイト。期待に応える為、全力を尽くすとしますか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これよりしばらくの間、雄英体育祭編をお送りいたします。