出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
第19話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第19話:断絶

雷鳥side

 

 さて、昼休みに俺と出久が体育祭で大暴れする事をオールマイトに誓い、放課後を迎えた訳だが…。

 

「うぉぉぉ…なにごとだあ!?」

 

 麗日の声に視線を送ってみると、他のクラスの連中が大量に1-Aへ押し寄せて来ていた。 

 大部分はB組の連中だな。あとはサポート科に…数人だが普通科や経営科の奴もいるな。何の用かは知らないが、出入り口に屯するなよ…。

 

「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ」

「敵情視察だろ、雑魚」

 

 …峰田。それが爆豪(ばか)のニュートラルだ。犬にでも噛まれたと思って、諦めろ。それにしてもこの馬鹿は…。

 

(ヴィラン)の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてえんだろ…意味ねえからどけ、端役(モブ)共」

 

 無駄に敵増やすなよ…。

 

「知らない人の事、とりあえず端役(モブ)って言うのやめなよ!!」

 

 飯田の注意も焼け石に水だな。外の連中、こっから見ていてもA組(おれたち)への憎悪(ヘイト)を高めているのがよくわかる。体育祭前に余計なトラブルだけは起こして-

 

「どんなもんかと見に来たが…随分と偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「あぁ!?」

 

 …遅かったか。気だるげな声のした方に視線を送れば、人混みを掻き分けて1人の男子が前に出てきた。声だけでなく、顔も気だるげだな。

 

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ…普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。知ってた?」

「それがどうした?」

「だけど、体育祭の結果(リザルト)次第じゃ、ヒーロー科への中途編入も検討してくれるんだって…そして、その逆もまた然り」

「敵情視察? 少なくとも普通科(おれ)は調子のってっと、足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー()()()()しに来たつもり」

 

 普通科の男子の発言に、一部ではあるが外の連中が『編入! 編入!』とシュプレヒコールを起こし始めた。

 ………非常に面倒だが、仕方ない。()()だけはキッチリ解いておくか。

 

「心外だなぁ!」

 

 わざとらしく大きな声を出しながら立ち上がり、周囲の注目をこちらへ集め-

 

「そこの()()だけを見て、A組(おれたち)全体のイメージを決めつけられるのは、非常に心外だ! 勘違いも甚だしい!!」

 

 ややオーバーに身振り手振りを交えながら、誤解を解く為に声を張り上げる。

 

「んだと、てめぇ!」

「事実だろうが! 誰彼構わずキャンキャン吠えて、無駄に憎悪(ヘイト)集めやがって! 敵を作るのは勝手だが、俺達を巻き込むな! 喧嘩がやりたいなら1人でやれ!」 

 

 ()()呼ばわりが気に障ったのか、爆豪(ばか)がこちらを睨みつけるが、こちらも負けずに睨み返す。

 

「ま、待つんだ2人とも! 体育祭前にクラス内で不和を生じるような事は慎むべきだ!」

「そうよ。ここは冷静になるべきだわ」

 

 それを見かねた飯田と梅雨ちゃんが止めに入ってくるが-

 

「うるせぇ! “没個性”の眼鏡と蛙女は黙ってろ!」

 

 爆豪(ばか)は止まるどころか、更に暴言を吐く始末だ。というか、てめぇ…梅雨ちゃん侮辱するとは良い度胸だな。よし、そっちがその気ならそれで結構。分際というものをキッチリ教えて-

 

「いい加減にしろ! 爆豪!!」

 

 やる…って、出久?

 

 

出久side

 

「いい加減にしろ! 爆豪!!」

 

 飯田君と蛙吹さんが侮辱されるのを聞いた瞬間、僕は思わず爆豪(かれ)に怒りを露にしていた。

 

「……おい、デク! てめぇ、今俺の事を呼び捨てにしたよなぁ…デクが生意気なんだよ!」

「僕は緑谷出久だ! お前に木偶の坊のデク呼ばわりされる筋合いは、これっぽっちもない!」

「元“無個性”野郎が…ちょっとばかり強い“個性”が出たからって、調子に乗ってんじゃねぇ! ぶっ殺されてぇのか!」

 

 目が血走った爆豪が、鼻息も荒く僕に喚き散らす。だけど、()()()()()()()。こんな薄っぺらい怒りや口先だけの殺意なんか、そよ風程にも感じない。

 

「ぶっ殺す? 自分が口にした言葉の意味わかってるの? 仮にもヒーローを目指す者が、そんな言葉を口にするなんて…ふざけるなよ!」

 

 何だろう…目の前の爆豪(こいつ)を見ていると、無性にイライラする。なんで()()()()がヒーロー科にいるんだ。いっその事、()()()()()()()()

 

「はいはい、そこまで」

 

 心の底からドス黒い感情が噴き出そうとしたその時、雷鳥兄ちゃんが僕の肩に手を当てながら、爆豪(かれ)との間に割り込んできた。途端にドス黒い感情が消えていくのがわかる。

 ………僕もまだまだ駄目だなぁ…怒りに呑まれそうになっていたなんて…。

 

 

雷鳥side

 

 ふぅ、危ない危ない。俺より先に出久がプッツンする所だったよ。こんな爆豪(ばか)の為に、そんなのアホらしいぜ出久。

 

「おい、爆豪。1つ言っておく。出久は俺と互角に戦えるし、パワーもスピードも、ついでにテクニックもお前より上だ。俺に勝てない奴が、出久に勝とうなんざ、西から登った太陽が東に沈むくらいありえない。それだけは肝に銘じとけ」

 

 不敵に笑いながら、爆豪(ばか)にそう告げると奴は-

 

「認めねぇ…認めねぇぞ! そんな事認めてたまるか! 見てろ…体育祭で…てめぇもデクもぶっ潰してやる!」

 

 喚くようにそう宣言すると-

 

「おら! どけ! 端役(モブ)共が!」

 

 外の連中を無理矢理掻き分けながら、教室を後にしていった。ホント、どうしようもないなアイツは…。

 

「…アイツの言動で不愉快な想いをさせてしまい、申し訳ない。A組の一員として謝罪するよ。この通りだ」

 

 とにかく、これ以上A組(うち)の印象を悪くしないためにも謝罪はしておこう。頭を下げて怒りや憎悪(ヘイト)が治まるなら安いもんだ。

 

「す、吸阪君! それは委員長である僕の役目だ! 諸君、申し訳なかった!」

 

 すると、飯田もそんな事を言いながら頭を下げ、それに続くように出久や梅雨ちゃん、麗日も頭を下げていく。

 

「いや、別にいいよ…あんたらも苦労してるんだな…」

 

 それが功を奏したのだろう。周囲に漂っていた憎悪(ヘイト)の雰囲気は消え失せ、あの気だるげな男子からは同情的な言葉まで貰ってしまった。

 

「理解が早くて助かる」

「まぁ、普通科(おれたち)だってトップを狙っているって事だけは、忘れないでくれよ。入学試験との相性が悪かったってだけで、強力な“個性”を持っている奴はたくさんいる」

「当然だ。油断も慢心もせず、全力で戦わせてもらう」

 

 俺の返答に何か感じる物があったのだろう。彼は微かに微笑むと―

 

「俺は心操人使(しんそうひとし)。体育祭を楽しみにしてる」

 

 そう言い残して、去って行った。心操人使ね…その名前、覚えておこう。

 

「おいおいおい! なんか勝手に終わった空気出してるけどよぉ! A組だけがヒーロー科じゃねぇんだぞ! 俺達B組も忘れてもらっちゃあ困るぜ、おい!」

 

 ん? そうか、B組の奴らもいたんだったな。

 

「もちろん忘れていないさ。同じヒーロー科同士、悔いのない戦いをしようじゃないか!」

「話のわかる奴がいて助かるぜ! 俺はB組の鉄哲徹鐵(てつてつてつてつ)だ! 体育祭では、負けねぇぞ!」

 

 鉄哲の宣言が廊下に響く中、B組や他のクラスの連中も解散して…あぁ、やっと静かになった。

 

 

爆豪side

 

 クソ! クソ! クソ! “没個性”野郎といい、デクといい…俺をイラつかせやがる!

 

 -僕は緑谷出久だ! お前に木偶の坊のデク呼ばわりされる筋合いは、これっぽっちもない!-

 -おい、爆豪。1つ言っておく。出久は俺と互角に戦えるし、パワーもスピードも、ついでにテクニックもお前より上だ。俺に勝てない奴が、出久に勝とうなんざ、西から登った太陽が東に沈むくらいありえない。それだけは肝に銘じとけ-

 

 俺が“没個性”野郎にもデクにも勝てないだと! そんな訳あるか! 戦闘訓練(あのとき)の俺と同じだと思うなよ…。必ずあいつらを地面に這い蹲らせて、見返してやる!

 そうだ、そうすれば…誰もが俺を最強だと認める。そうすれば…

 

「そうすれば…誰もあんな目を俺に向けたりなんかしなくなる…」

 

 脳裏に浮かぶのは、“没個性”野郎やデクとやりあった時に、周りの奴らがしていた『目』。

 まるで、俺が悪いと言わんばかりの…俺を責めるような、呆れたような『目』。

 

 -否定スル事ハナイ。コレガ君ノ本心ナノダロウ? ツイデニ言ッテオコウ。ソチラ側(・・・・)ニイル限リ、君ノ本心ハ抑圧サレタママダ-

 -クダラナイ常識、倫理観、法律、ソノ他諸々…全テガ君ヲ抑圧スルダロウ。イヤ、今現在既ニ抑圧サレテイル筈ダ-

 -断言シヨウ。君ガソチラニイル以上、君ガ真ニ解放サレル事ハナイ-

 

「ッ!?」

 

 何でだ…なんで急に、USJで会ったあの雑魚の言葉を思い出す…。

 

「そんな訳あるかよ…勝てばいいんだ…勝てば…」

 

 

雷鳥side

 

 ちょっとしたトラブルはあったが…なんとか切り抜けられたな。

 それにしても、心操人使…B組だけじゃなく普通科にもあんな熱い男がいたのは、良い意味で予想外だ。

 

「皆、ちょっと思いついた事があるんだが…」

 

 A組(おれたち)だってウカウカとはしていられない。残り2週間で可能な限りの自分達を高めていかないとな。 

 

「体育祭までの2週間。()()しようぜ!」 

「特訓!?」

「また、突然の提案ね。吸阪ちゃん」

 

 俺からのいきなりの提案に驚きの声を上げるクラスメート達。だが、パッと見た限り、反対の意思を示している者はいないみたいだな。

 

「まぁ、突然の提案だという自覚はあるんだがな…だけど、さっきの騒ぎで皆もわかっただろう? ヒーロー科、特にA組(おれたち)は、虎視眈々と狙われている」

「たしかに…」

「まぁ、俺や出久はどれだけ狙われようと構わない。返り討ちにしてやるだけだからな」

「そうだね。挑戦者は大歓迎だよ」

 

 俺と出久の発言に、クラスの一部…具体的には峰田が微かに震えた気がするが…まぁ、置いておこう。

 

「だけど、俺と出久だけじゃ限界がある。だからこそ、皆の力が必要なんだ。A組(おれたち)で体育祭の上位を独占して、雄英に1-Aあり! ってところを世間に見せつけてやろうぜ!」

「世間に…すげぇぜ! 吸阪! そんなドデカい事を考えてたのかよ! よっしゃ! 俺はのったぜ!」

「俺もだ! なんだか燃えてきたぜ!」

「フッ…悪くない提案だな」

「吸阪君…自分の事だけでなく、クラス全体のレベルアップをも考えていたなんて…俺は今、猛烈に感動しているよ!」

 

 切島や砂藤、常闇、そして飯田が賛成の意思を示し、それに影響されるように他の皆も次々に賛成の意思を示してくれる。そして-

 

「それで…特訓はいつからやるんだ?」

 

 最後に轟が、詳細を尋ねてきた。クールに見えて意外に熱い男だよ。

 

「今から、相澤先生に特訓で使えそうな場所がないか聞いてみる。多分大丈夫だとは思うが…もしも駄目だった時は、俺の伝手を使って何とかするよ。だから、明日からって事でどうかな?」

「明日からだな…わかった。今日はこれから用事があるんで…悪いな」

 

 そう言い残して轟が教室を後にすると、それを皮切りにして皆も帰宅の途に就くのだった。

 

 ちなみに、相澤先生に合同特訓の事を相談すると-

 

「体育祭という目標に向かって自分達を高めようとする姿勢…実に合理的だ。俺の名前で体育館γを借りておくから、しっかり鍛えるんだな」

 

 実にあっさりと体育館γを借りてくれた。これで舞台は用意できた。

 特訓参加者は爆豪を除く19名…あの野郎、誘いのメールに対し『寝言は寝て言え』とは御挨拶だな。まぁいいさ、出久との関係は修復不可能になり、他の奴らともまともな関係を築けない奴が、1人でどこまで高みに至れるのか、体育祭本番を楽しみにさせてもらうよ。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回、地獄の猛特訓!
A組はどこまで強くなれるか、お楽しみに!
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