出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第23話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
合同特訓終了から2日。遂に雄英体育祭当日がやってきた。
前日を休息と調整に充てた事で、俺も出久も調子は万全。控室で準備を整えている皆も…うん、良い顔をしているな。
………控室の隅で
「皆、準備は出来てるか!? もうじき入場だ!!」
飯田の声から間もなく、入場5分前を告げるアラームが鳴り響いた。いよいよ本番、皆、気合を入れていこうぜ!
「
皆への鼓舞。ちょっと気取ってフランス語で言ってみたが、反応してくれたのは青山と八百万だけだった。やっぱり英語…いや、ドイツ語でやればよかったか?
『群がれマスメディア! 今年もおまえらが大好きな高校生達の青春暴れ馬…雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!?』
『雄英体育祭!! ヒーローの卵達が、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!』
『どうせてめーらアレだろこいつらだろ!?
『ヒーロー科!! 1年!! A組だろぉぉ!?』
プレゼント・マイク先生のアナウンスを聞きながら入場する俺達に、スタジアムへ詰めかけた何万もの観衆、そして多くのプロヒーロー達の拍手と視線が突き刺さる。
この肌にビリビリ来る程の緊張感、蚤の心臓の持ち主だったら、これだけで卒倒するだろう。
「大人数に見られる中で、最大のパフォーマンスを発揮できるか…! これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな」
「めっちゃ持ち上げられてんな…なんか緊張すんな…! なぁ、爆豪」
「しねえよ」
冷静に分析する飯田に、爆豪と何とかコミュニケーションを取ろうと試みて、バッサリ切り捨てられている切島。他の皆も緊張はしていないようだ。まぁ、今のA組にこの程度で緊張する奴はいないか。
『B組に続いて、普通科C・D・E組! サポート科F・G・H組もきたぞー! そして経営科!』
そんな中、他のクラスも次々と入場してくるが…プレゼント・マイク先生も煽ってくるなぁ…。
普通科あたりから『どうせ俺らは引き立て役』『正直たるい』といった声が聞こえてきてるぞ。
だけど…あの心操人使だけは、こっちをまっすぐに見つめてきている。うん、あいつは要チェックだ。
そうこうしている内に全クラスの入場が終わり、今年の主審を務めるミッドナイト先生が壇上に立ったのを合図に、開会式が始まった。
「それじゃあ、選手宣誓! 選手代表! 1-A、吸阪雷鳥!!」
「はい!」
大きく返事をして、壇上へと歩みを進める。
入学試験1位タイという事で、俺と出久の2人が選手宣誓の候補者に選ばれ、
「宣誓! 我々、選手一同は! ヒーロー精神に則り! 日頃の鍛錬の成果を存分に発揮して! 正々堂々戦う事を! ここに誓います!!」
うん、如何にもお手本通りの選手宣誓。背後や観客席から『普通だ』だの『面白味がない』などと聞こえてくるな。
よろしい、ならば
「では、ここからは余談を少々…俺達1-Aはこの日の為に、猛特訓を積んできた! 故に…
「それが嫌なら、かかってこい! 俺達は逃げも隠れもしない! 真正面から受けて立つ! 以上です!」
A組以外の全クラスに宣戦布告する形で、選手宣誓を終えた俺は一礼し、列へと戻る。
「吸阪! よく言った!」
「お前、ほんと熱いぜ!」
「有言実行となるよう、全力を尽くす所存!」
そんな俺を迎えたのはA組の皆の声と拍手。それに引っ張られるようにスタジアムの観客やプロヒーロー達からも拍手が送られた。
「畜生、悔しいが良い度胸じゃねえかよ!」
「俺達だって、負けないからな!」
B組や普通科からもそんな声と共に拍手が聞こえてくる。うん、良い感じに他のクラスも火が点いたな。
「さーて、それじゃあ早速第1種目行きましょう! 所謂予選よ! 毎年ここで多くの者が
「さて、運命の第1種目!! 今年は………コレ!!」
ミッドナイト先生の声と共に、モニターへデカデカと映し出されるのは、
「計11クラスでの総当たりレースよ!」
「コースはこのスタジアムの外周、約4km!」
「我が校は自由さが売り文句! ウフフフ…コースさえ守れば、
「さあさあ、位置につきまくりなさい…」
ミッドナイト先生の説明が終わると共に、スタートであるゲートへ殺到する普通科やサポート科の面々。
うん、気持ちはわかるが…それは悪手なんだよ。俺達は後方から余裕を持ってスタートするとしますか。
「それじゃあ、用意! ………スタート!!」
ミッドナイト先生の合図と共に走り出そうとした普通科やサポート科の面々。だが―
「ってぇー!! 何だ凍った!! 動けん!!」
「寒みー!!」
「んのヤロォォォ!!」
その大部分は突然凍り付いた地面によって、動きを封じられていた。
「悪いな…ここが最初の
あんな狭い所に密集していれば、轟の良いターゲットってわけだよ。まぁ、
だが、轟の行動を予め
A組最後尾の峰田と瀬呂がスタジアムの外に出た所で、B組の先頭…たしか、拳藤だったか…が未だゲートの半ば付近。これだけ距離が空いていれば-
「な、何よ! これ! 足がっ、離れない!」
「見たか! オイラ必殺の『もぎもぎクレイモア』!! これで後ろの心配は無くなったぜ!!」
「ついでに出口もガチガチに固めておいたからな。ちょっとやそっとじゃ突破出来ねぇぜ」
………君達、えげつない事考えるね。まぁ、後顧の憂いが無くなったのはありがたい。スピードを上げていきますか!
プレゼント・マイクside
「おいおいおいおい! 接戦が予想された第1種目! 蓋を開けてみたら、B組以下はスタジアムから出る事も出来ないまま、A組の独走だ!」
「ちなみに、実況はお馴染みプレゼント・マイク。解説はミイラマンだ、アーユーレディ!?」
「無理矢理呼んだんだろうが」
不機嫌な様子のイレイザーだが、長い付き合いの俺にはわかる。自分の教え子が活躍していて、内心喜んでやがる。
まったく
「それにしても、足止めに出口の封鎖と、随分えげつない事をやってくれるぜ! イレイザー、お前の仕込みか?」
「いいや、あいつらが自分で考えて実行しているだけだ。もっとも、合理的な行動なのは認めるがな」
「なるほどねぇ~、さぁてスタートダッシュを決めたA組だが! このままスンナリ行くと思ったら大間違い!」
俺の実況と共にコース上に地響きが鳴り、巨大な影がA組に立ち塞がる。
「いきなり障害物だ! まずは手始め…第一関門! ロボ・インフェルノ!!」
出久side
ゴールを目指す僕達の前に立ちはだかる障害物。それは入学試験の時に戦った仮想
「一般入試用の仮想
「どこからお金出てくるのかしら…」
3桁後半はいそうな仮想
「道が無いなら…作るだけだ!」
次の瞬間、僕は『フルカウル』を全開にしてジャンプ。目の前の巨大
「
今放てる最強の攻撃を叩き込む! 近くにいた数十体の仮想
「最大出力! サンダー! ブレーク!!」
「凍てつけ!」
同じように雷鳥兄ちゃんは電撃で、轟君は凍らせる事で巨大
「クソがぁ!」
下品な叫びにふと視線を送ってみると、爆豪が両手の爆破に時間差をつける事で一気に上昇。巨大
雷鳥side
俺と出久、轟がそれぞれ巨大
「チョロいですわ!」
回転式弾倉を備えたグレネードランチャーを創造し、仮想
「君達には、速さが足りない!」
「ケロッ! 数は多いけど、隙間が無い訳じゃないわね!」
走って、跳んで、蹴り倒す! まるでパルクールのような動きで、仮想
常闇と瀬呂は、爆豪の動きに便乗したのか、それぞれの“個性”を使って、巨大
「昔、こんな事やってる映画あったよな!」
瀬呂は自分の『テープ』を使って
「
「アイヨ!」
常闇は自らのスタ…
「これぞ、特訓で得た新たな力の一つ、
『おいおいおい! 仮想
『まず、立ち止まる時間が限りなく短い』
『上の世界を肌で感じた者、恐怖を植えつけられた者、対処し凌いだ者』
『各々が経験を糧とし、迷いを打ち消している』
相澤先生の言う通り、他の皆も立ち止まったのは、ほんの一瞬。それぞれの出来る手段で、仮想
こいつは轟じゃないが、ウカウカしていたら抜かされるな。更にスピードを上げていくとするか!
轟side
『おいおい、第一関門チョロイってよ! んじゃ、第二はどうさ!?』
『落ちればアウト! それが嫌なら這いずりな! ザ・フォール!!』
第一関門を突破した俺達の前に現れたのは、何十本もの石柱にロープが張り巡らされた大掛かりなアスレチックだ。
もっとも、石柱の高さは軽く50mはある。落下した時の為にネットくらいは張ってあるだろうが…落ちたら短時間での復帰は不可能だな。
「だが、この程度ならどうって事はない」
ロープを氷で補強しながら、推進力として左手から炎を噴射。滑るように前へと進んで行く。
移動の最中、左右に視線を送ると-
「でやぁっ!」
緑谷は
「このくらいの距離なら楽勝!」
吸阪は第一関門で倒した仮想
「まったく、大げさな綱渡りね」
「おそらく兄も見ているのだ…格好悪い様は見せられん!」
蛙吹や飯田も渡り始めたし、その後ろには
「まったく、息つく暇もありゃしない」
雷鳥side
『先頭集団の1-A吸阪、緑谷、轟が第二関門を早くも通過! 4位以下も間もなく突破だ! 第一関門で手古摺ってるB組その他のリスナー達。上位何名が通過するかは公表してねえから、安心せずに突き進め!!』
『そして早くも最終関門!! かくしてその実態は……一面地雷原!! 怒りのアフガンだ!!』
『地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ! 目と耳酷使しろ!!』
『ちなみに地雷! 威力は大したことねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!!』
『人によるだろ』
なるほど、地雷原ね。ここは一気に飛んで行くのが早いが…どうも気になるな。
「試してみるか!」
万が一の可能性を考慮し、サーフボード代わりに使っていた仮想
「ターゲット捕捉! 迎撃!!」
地雷原の外、草むらの中に偽装されていた幾つもの
「…やっぱりな」
『バレちまっちゃぁ仕方ない! 飛行系の“個性”持ち対策として、対空砲とミサイルも用意しているから気をつけな! ミサイルは地雷と同じくらいの威力、対空砲もゴム弾だから痛いくらいで済むけど、当たらないに越した事はないぜ!』
プレゼント・マイク先生の実況に、俺達3人は迂闊に加速出来ないまま、慎重に地雷を避けながら進んでいく。その時-
「そこまでだ! てめぇら!」
狂犬そのものと言わんばかりの表情で、爆豪が突っ込んできた。あぁ、また面倒な奴が!
「俺の前を進むんじゃねぇ!」
「やかましい!」
俺の顔面狙いで放たれた爆破を電磁バリアで逸らし-
「ライトニングボルトォッ!」
がら空きになったボディに電撃を纏った左拳を叩き込む!
「ゲボッ…」
ボディを『く』の字に曲げて悶絶する爆豪。だが、このくらいでこいつが止まるとは思えない。念には念をだ。右の掌打を爆豪の腹にぶち込み-
「吹っ飛べ!」
電磁加速の要領で思いっきり吹っ飛ばす!
「く、そがぁ!」
吹っ飛びながらも何とか体勢を立て直そうとする爆豪だったが、足をついた場所が悪かった。
「ぬぁぁっ!」
そう、地雷を真上から踏んでしまったのだ。爆発で再び爆豪の体は宙に舞い-
「ターゲット捕捉! 迎撃!!」
それが運悪く、センサーに捕捉されてしまう。次の瞬間、発射されたミサイルやゴム弾を叩き込まれ、哀れ爆豪は撃墜されてしまった。
爆豪の相手をしている間に、出久や轟に差をつけられてしまったな。飯田達も迫っているし…仕方ない!
「後続に道を作る事になるが…已むを得ん! ターボユニット!!」
“個性”全開で一気に加速し、2人を追いかける。当然、このままでは地雷に突っ込む事になるが-
『こいつはどうなってるんだ! 吸阪の進行方向に埋まっている地雷が、勝手に動いているぅ!』
『こいつは…磁力を使って地雷を動かしているな…』
『おいおい、イレイザー。磁石にくっつくのは鉄やニッケルにコバルト。あそこに埋めている地雷には、それらの金属は使われちゃぁいない。使われているのは銅やアルミニウムあたりだぜ?』
『磁石にくっつかない金属でも、磁力の干渉を受けない訳じゃない。磁力によって、地雷内の金属に電気が発生し、その電気が磁力によって力に変わる。フレミングの左手の法則って奴だ』
『じゃあ、吸阪はそれで地雷を退かしながら進んでいるのかよ! 後続への道も作って、なんて優しい奴なんだ!』
はい、実況と解説の御二方、ありがとうございました。そんな訳で地雷原を駆け抜け、ギリギリで2人に追いついた!
「雷鳥兄ちゃん!」
「吸阪!」
「負けねえぞ!」
それぞれに抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げ、ゴールまで残り200m!
「勝つのは!」
「1位を取るのは!」
「トップは!」
「「「俺だ!(僕だ!)」」」
残り100m! ここで俺達3人は横一列に並んだ。どちらかを妨害するか? いや、余計な事はせずに、己の加速に専念するのみ!
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」
そして、俺達3人は
『うぉぉぉぉぉっ! なんと3人同時にゴールに飛び込んだ! ここからでは、誰が1位か、判別出来ないゼェェェェット!』
「審判団による、ビデオ判定を行います! 暫くお待ちください!!」
判定か…果たして結果は…。
「判定の結果をお知らせします! 審判団によるビデオ判定を行った結果、3選手のゴールは100分の1秒単位で同時と判断! 3名を同着、1位とします!!」
3人同着。決着がつかなかった事は、少し残念だが…まぁ、これはこれで良しとしよう。
俺は2人の肩に手をやり、それぞれの健闘を讃えあうのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なお、第1種目の最終順位は以下のようになります。
1位タイ :吸阪雷鳥
1位タイ :轟焦凍
1位タイ :緑谷出久
4位 :飯田天哉
5位 :常闇踏陰
6位 :瀬呂範太
7位 :切島鋭児郎
8位 :尾白猿夫
9位 :蛙吹梅雨
10位 :障子目蔵
11位 :砂藤力道
12位 :麗日お茶子
13位 :八百万百
14位 :峰田実
15位 :芦戸三奈
16位 :口田甲司
17位 :耳郎響香
18位 :葉隠透
19位 :青山優雅
20位 :爆豪勝己
21位 :塩崎茨
22位 :骨抜柔造
23位 :鉄哲徹鐵
24位 :泡瀬洋雪
25位 :回原旋
26位 :円場硬成
27位 :凡戸固次郎
28位 :柳レイ子
29位 :心操人使
30位 :拳藤一佳
31位 :宍田獣郎太
32位 :黒色支配
33位 :小大唯
34位 :鱗飛竜
35位 :庄田二連撃
36位 :小森木乃子
37位 :鎌切尖
38位 :物間寧人
39位 :角取ポニー
40位 :取蔭切奈
41位 :吹出漫我
42位 :発目明