出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第27話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
『1回戦第3試合!』
『中学からちょっとした有名人! 堅気の顔じゃねえ! ヒーロー科、爆豪勝己!!』
『
「なんとか間に合ったわね」
そんな事を考えていると、梅雨ちゃんが観客席へ戻ってきた。試合を終えてすぐだ。控室のモニターで観戦する事も出来た筈だが…。
「皆と一緒に観戦したかったのよ。何より…緑谷ちゃんや吸阪ちゃんの解説がついてくるのがありがたいわ」
「…そりゃどうも」
「ちなみに吸阪ちゃん、麗日ちゃんの勝つ確率は?」
「…そうだな。2週間前だったら、希望的観測込みで2%ってところだけど…今なら」
「今なら?」
「…99%、麗日が勝つ」
お茶子side
「お前、浮かす奴だな。丸顔。退くなら今退けよ。『痛ぇ』じゃすまねぇぞ」
闘技場に上がると同時に、爆豪君が殺気を漂わせながら私を睨み、そんな事を言ってきた。
うん、
「爆豪君、私だってヒーロー科。退くなんて選択肢、最初からないよ」
「チッ…後悔しても知らねぇぞ」
忌々し気に舌打ちして、開始位置まで下がる爆豪君。その後ろ姿からは、余裕が全然感じられない。いや、私が落ち着き過ぎなのかな?
『レディィィィィイッ!』
いけないいけない、試合に集中しないと!
『スタート!!』
試合開始の合図と共に私は、爆豪君へ一直線に突っ込んだ。
「真正面からかよ…糞が!」
爆豪君はそんな私に悪態をつきながら右腕を振るい、爆破を放つ。だけど-
「なっ!?」
私は爆破が放たれる直前、地面を蹴って真横に平行移動。爆破の影響が及ばない地点に避難していた。
「ちぃっ!」
それに苛立った爆豪君は、両手を使って矢継ぎ早に爆破を放つけど、私はその全てを回避していく。
『おぉーっと! 麗日、まるでドローンのような縦横無尽の動きで、爆豪の攻撃を避けて避けて避けまくる! だけど、あんな無茶な動きをしていて、体は大丈夫なのかぁ?』
『おそらく、回避の瞬間にだけ“個性”を発動して、自分自身の重さを0にしているんだろう。自分へ“個性”を使う事は負担が大きい筈だが、ホンの一瞬だけなら無視出来る…合理的な判断だな』
「糞がぁ!!」
とうとう苛立ちが頂点に達した爆豪君は、両手を合わせて今までで最大級の爆破を放ってきた。
今までの3倍、いや5倍近い爆発が私のいる闘技場の一角を襲い、大量の粉塵と煙が周囲を白く染め上げた。
爆豪side
「はぁっ、はぁっ…手古摺らせやがって」
“没個性”の丸顔にここまで手古摺らされた事に苛立ちながらも、俺は警戒を解かずに煙と粉塵で悪くなった視界の先を睨みつける。
今ので倒せているならそれで良し。だが、万が一仕留め損なっていたなら…丸顔はこの視界の悪さを利用してくる筈だ。
「来い…返り討ちにしてやる」
次の瞬間、煙を突き破るように何かが飛び出してきた。
「舐めんなぁ!」
すぐに爆破で迎撃するが、手応えがない! これは…体操服の上着か!
『上着を浮かせて地面を這わせたのか! ナイスアイデアだ!』
「残念だったな。てめぇの動きなんて」
『読めてるんだよ!』その言葉は最後まで紡ぐ事が出来なかった。何故なら、地面に倒れている筈の丸顔の姿はどこにもなく、かわりに片方だけのスニーカーが落ちていたから。
まさか、俺が背後からの攻撃に反応する事を予測していた? だから、上着とスニーカーで二重の罠を!?
「ッ!」
疑問の答えを出す間もなく、背筋を走る悪寒。慌てて振り返ろうとした次の瞬間―
「でぇぇぇいっ!」
背後から放たれた丸顔の蹴りが俺の
「………」
物凄い激痛が爪先から頭の天辺まで電気のように走り…俺はその場に崩れ落ちた。
お茶子side
『う、うわぁ…麗日の金的が完璧に炸裂…爆豪、その場に崩れ落ちた…あぁ、見てるこっちも痛くなりそう』
『だが、相手の弱点を突くのは、実に合理的な手段だ』
-麗日、金的は大概の奴を戦闘不能に出来るけど、何事にも例外は存在するって事は覚えておけよ-
爆豪君がその例外に当てはまるかは解らない。でも、私の中の何かが警戒を解く事を許してはくれない以上、最悪を想定しておくべきなんだと思う。
「爆豪君、戦と」
「待ち、やがれぇっ!」
そして、その最悪の想定は的中した。ミッドナイト先生の声を遮り、爆豪君が立ち上がったのだ。
「俺は…まだやれる! やらせろぉ!」
「………少しでも無理だと判断したら、そこで止めるわよ。良いわね?」
「…あぁ」
「…試合続行!」
『主審のミッドナイトが試合続行を判断! 爆豪凄いガッツだぁ!』
『いや、あれは…』
「殺してやる! 丸顔ぉっ!!」
ヒーローが使うには甚だ相応しくない言葉を口にしながら、連続で爆破を繰り出す爆豪君。だけど、それはさっきまでと同じ流れ。私には掠りもしない。
「糞がぁ! なんで、なんで当たらねぇ!」
「当然だよ! 2週間の合同特訓で、私達はもっと凄い物を見てきたから!」
そう、あの特訓で私達は嫌になるほど見てきた。3人のコーチが放つ様々な攻撃を。
「轟君の攻撃は、もっと変幻自在だった!」
「吸阪君の攻撃は、もっと早かった!」
「そして…緑谷君の攻撃は、もっと怖かった!」
それに比べたら、爆豪君の攻撃はそれほど早くもなく、単調で、何より恐怖を感じない。
「ふざけるなよ……俺が…半分野郎や“没個性”野郎やデクより下…だと? そんな訳…そんな訳あるかぁぁぁぁぁっ!!」
絶叫しながら私に向かって来る爆豪君。私は、怒りのあまり冷静な判断が出来なくなっている彼の右腕を掴み、背負い投げ!
「ガハッ…!」
コンクリートの地面に背中を叩きつけられ、悶絶する爆豪君。だけどこれで終わりじゃない!
「やぁぁぁぁぁっ!」
“個性”を発動して、爆豪君の重さを0にした上で、背負い投げを何度も繰り返す!
投げられる度に何とか抵抗しようとする爆豪君だけど、何度も地面に叩きつけられる内にその抵抗はだんだん弱々しくなって―
「く、そがぁ…」
背負い投げが15回を数えた時には、すっかり抵抗する力を無くしていた。
「麗日さん! チャンスだよ!」
「そろそろ『アレ』で決めちまえ!」
そこへ観客席から飛んでくる緑谷君と吸阪君の声。そうだね。吸阪君から伝授されたあの技で勝負を決めるよ!
私は、爆豪君の体を重量挙げのように頭上に持ち上げ、棒術の要領で何度も回転させていき―
「吸阪君直伝! 必殺! き! り! も! み! シュート!!」
その回転が頂点に達した所で、その勢いのまま投げ飛ばした! 爆豪君は竹トンボのようにクルクルと回りながら場外へ向かって飛んでいき、そのまま落下していった。
雷鳥side
「爆豪君、場外!! 麗日さん、2回戦進出!!」」
『2回戦進出!! 麗日お茶子ー!!』
『爆豪有利の下馬評もある事はあったが、終わってみれば麗日の完全勝利! 強くて可愛い麗日お茶子に、エビバディクラップユアハンズ!!』
『おい、私情入り過ぎだ』
「あれぇ? おっかしいなぁ!
「そこまで豪語するならどれだけ強いのかと思ったら、第1種目も第2種目もイマイチパッとしないし、最終種目はこの体たらく! 正直言って口だけ野郎だよねぇ!!」
すぐ近くでは物間が満面の笑みを浮かべながら、医務室へ運ばれていく爆豪を思いっきりディスっているし、それに影響された他のクラスの奴らも爆豪を口だけ野郎扱いしているが…まぁ、仕方ないな。
これも全て
それと物間。人をディスるのも程々にしておけよ。
「せいっ!」
「ぐふっ!」
…手刀の一撃で物間を気絶させるとは、なかなかの腕前。たしか拳藤だったな。
「あー…ごめんね。こいつ、心が少しアレなもんで」
「いや、今回の件に関しては、全面的にあの馬鹿が悪いからな。気にしちゃいないさ」
謝罪してきた拳藤にそう答え、再び闘技場に視線を送る。第四試合の準備が整ったのだ。
『1回戦第4試合!』
『優秀なんだけどどうも地味! 優秀なんだけど運にもイマイチ恵まれない! ヒーロー科、瀬呂範太!!』
『
『レディィィィィイッ! スタート!!』
轟有利の下馬評だったが、大方の予想を裏切り、瀬呂は奮闘した。
轟が様子見で放った拳大の氷塊を自身のテープで絡め取り、即席の鎖分銅にして攻撃を仕掛けたり、射出したテープを地面に貼り付け、それを巻き取る事で高速移動するなど、自身の“個性”をフルに使って、戦いの天秤を一度は自分の方へ傾けかけた。だが-
「轟! 悪いが勝利は俺が貰ったぜ!」
勝ち急いだ事が瀬呂の敗因となった。とどめの一撃として放たれた氷の鎖分銅は―
「悪いな。それは俺の台詞だ」
轟が炎を纏わせた左手で掴んだ事で一瞬で溶けてしまい―
「
逆に、右の前腕を丸ごと覆う氷の手甲に5つの鋭い刃を付けた、所謂手甲鉤を装備した轟の反撃を許してしまう。
「くそぉっ!」
一旦体勢を立て直そうと、テープを使っての高速移動を試みる瀬呂だったが―
「させねえよ」
「なっ…」
それを予測していた轟は氷壁を張り巡らせる事で、闘技場の一角を隔離。瀬呂の高速移動を封じてしまう。こうなってしまえば、瀬呂の勝ち目は失われ…。
「…まいった」
奮闘空しく、轟の逆転勝ちを許してしまった。
「瀬呂君、降参!! 轟君、二回戦進出!!」
「ど…どんまい…」
「どーんまい……」
「どーんまい」
「どーんまい」
自然に湧き起こったどんまいコールに見送られて退場していく瀬呂。うん、ドンマイ。
とりあえず、ここまでの試合結果はこんな感じか。
ここまでで2回戦に勝ち進む事が出来たのは俺、梅雨ちゃん、麗日、轟。
次は、砂藤と八百万…どっちが勝ち残るかな?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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皆様の期待に少しでも応えられるよう、これからも頑張ってまいります。