出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
第29話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。



第29話:雄英体育祭! 最終種目!!ー2回戦その1ー

出久side

 

『2回戦第1試合!』

『1回戦を危なげなく突破! 1-Aの黒き雷神! ヒーロー科、吸阪雷鳥!!』

(バーサス)! 1-B推薦入学者の1人! 噂によるとかなりいやらしい! ヒーロー科、取蔭切奈!!』

『戦い方がいやらしいという意味だ。誤解しないように』

 

 そんな実況(プレゼント・マイク先生)解説(相澤先生)の声が響く中、闘技場で対峙する雷鳥兄ちゃんと取蔭さん。

 たしか、彼女の“個性”は…。

 

『レディィィィィイッ! スタート!!』

「先手必勝。倒しましょっと!」

 

 試合開始と同時に、取蔭さんは自身の体を無数に分割して宙に浮かせると、一定の距離を保ちながら雷鳥兄ちゃんを取り囲んだ。

 取蔭さんの“個性”『トカゲのしっぽ切り』。全身を細かく分割して自在に動かす事が出来る。応用次第で様々な運用が出来る強力な“個性”だ。

 

「吸阪、正直言ってアンタに1対1で勝てるとは思えない。だけど、昔の偉い人は言っていた『戦いは数だ!』ってね!」

 

 そう言うと取蔭さんは、分割した体を総動員して雷鳥兄ちゃんに全方位攻撃を仕掛けてきた。

 それもただ数を頼りにしたゴリ押しじゃない。常に一定数の部位(パーツ)で攻撃をしかけ、攻撃を終えた部位(パーツ)は直ちに本体に戻し、インターバルを置いて再び分割。

 これを繰り返す事で、文字通り無尽蔵(エンドレス)な攻撃を実現している。

 1発の威力はそう高くはないけど、圧倒的な物量で雷鳥兄ちゃんの体力を確実に削る戦術。うん、たしかにいやらしい戦い方だ。

 雷鳥兄ちゃんも戦いにくいのか、攻撃を仕掛けてきた部位(パーツ)を電磁バリアで防いだり、パンチや手刀で弾く等、迎撃に専念している。それを見て―

 

「いやぁ、流石は取蔭! あの吸阪雷鳥が手も足も出ないよ! A組の快進撃もここまでかなぁ!」

 

 下衆一歩手前の顔で高笑いの物間君。嬉しいのはわかるけど、そのくらいにしておかないと…。

 

「せいっ!」

「ぐふっ!」

 

 …拳藤さんも大変だなぁ。

 

「あー…ホントごめんね。こいつ、心が少しアレなもんで」

「大丈夫だよ。それに戦いはここからだから」

 

 僕には…1-A(僕達)にはわかる。雷鳥兄ちゃんが何の理由もなく、迎撃に専念している訳じゃない事を。

 

 

雷鳥side

 

 試合開始から約5分。四方八方から向かって来る取蔭の部位(パーツ)を迎撃し続けていたが…大体準備は整った。

 

「取蔭、悪いが…ここからは俺のターンだ」

()()()()()? 冗談にしちゃ、笑えないね!」

「いいや、俺は大真面目だ」

 

 取蔭にそう宣言し、最大出力で磁気を放つ。すると―

 

「な、か、体が…言う、事を……」

 

 俺の周りで飛び回っていた取蔭の部位(パーツ)が動きを止めた。よし、()()()()

 

「お前の部位(パーツ)を迎撃しながら、こっそり磁気を流し込ませてもらった。その結果、お前の部位(パーツ)は今、殆ど全てが一時的に磁気を帯びている。だから、()()()()も出来る」

 

 腕を振るって磁気を操作すれば、あっという間に一ヶ所に集結する取蔭の部位(パーツ)

 

「う、動けない…」

 

 ただ一ヶ所に集めただけじゃなく、ボールみたいに丸めているからな。動けなくて当然だ。

 

「取蔭、自慢して良いぜ。俺と1対1(タイマン)やって、5分以上持ちこたえたのは、出久を除けばお前が初めてだ」

「………嫌味か!」

「いや、本心。じゃあ、これで終わりだ。ライトニングブラスト!」

 

 取蔭の叫びにそう答え、電撃を纏った上段回し蹴りで、場外へと吹っ飛ばす。 

 

「取蔭さん、場外!! 吸阪君、準々決勝進出!!」」

『準々決勝進出!! 吸阪雷鳥ー!!』

『取蔭の“個性”に翻弄されたかと思われたが、終わってみれば全てが想定内! まるで詰将棋だ!』

『“個性”のコントロールに関して、吸阪が頭一つ抜けているのは疑いようのない事実だ。おそらくまだ手札を隠しているだろうな』

『なるほどぉ! まだまだ底が見えない黒き雷神に、エヴィバディクラップユアハンズ!!』

 

 さて、次の試合は梅雨ちゃんと芦戸か…。梅雨ちゃんに頑張ってほしいが…そうなると次の相手は…悩ましいな。

 

 

八百万side

 

 2回戦第2試合は蛙吹さんと芦戸さんの対決。どちらも私の大切な友人。共に全力を尽くして欲しいと、私も声の限り応援をさせていただきました。

 先手を取ったのは芦戸さん。合同特訓で鍛えた“個性”の応用力をフル活用し、多種多様な技を披露してきました。

 溶解液を水滴状に形成し、指先から高速かつ連続で射出する『アシッドブラスト』。溶解液をソフトボール大の球状に形成して投げつける『アシッドボール』。そして、霧状にした溶解液を広範囲に散布する『アシッドミスト』。 

 どの技も溶解液の濃度調整と生成量が共に高くなければ、実現不可能な物ばかり。 

 今は相応に手加減している筈ですが、実戦モードかつ相手が並の(ヴィラン)であれば、文字通りの秒殺も十分可能です。

 一方の蛙吹さんも負けてはいません。優れた身体能力を活かして、芦戸さんの攻撃を避け続けます。しかし、自前の舌以外に中距離攻撃の手段を持たない蛙吹さんでは、芦戸さんにダメージを与える事が出来ません。

 共に相手へダメージを与える事が出来ないまま、千日手に陥ろうとしたその時、蛙吹さんが動きました。

 

「勝負させてもらうわよ。三奈ちゃん」

 

 そう言うと同時に一直線に芦戸さんへ向かって行く蛙吹さん。

 

「近づかせないよ! アシッドベール!」

 

 当然、芦戸さんは粘度を高めた溶解液で防壁を築き、接近を阻みますが-

 

「ケロッ!」

 

 蛙吹さんは何の躊躇いもなく防壁に飛び込んで行ったのです! 自殺行為とも取れる行動に、観客席の一部からは悲鳴が上がりますが―

 

「お生憎様。私は溶けてないわよ。ケロケロ」

 

 なんと、蛙吹さんは全くの無傷で溶解液の防壁を突破したではありませんか! そして、その事に驚き、一瞬棒立ちになってしまった芦戸さんの足に舌を巻き付け―

 

「ケロォッ!」

 

 勢い良く振り回した後、場外へと投げ飛ばして勝利を手にしました。

 

「芦戸さん、場外!! 蛙吹さん、準々決勝進出!!」」

 

 ミッドナイト先生の声が高らかに響き、激闘を繰り広げた2人に惜しみの無い拍手が送られますが、蛙吹さんはどうやって芦戸さんの防壁を突破したのでしょうか?

 自分なりに様々な仮説を立て、理由を考えていると―

 

「そういえば…USJで(ヴィラン)の襲撃を受けた時、梅雨ちゃんが“個性”を説明してくれたけど、その時に()()()()()()()()()()()()って言ってたな。となると、その粘液で()()()()()()()()()()()、溶解液の防壁を防御した? だとすると……」

 

 緑谷さんの呟きが聞こえてきました。その、緑谷さん…早口で呟きながら分析する姿は…その、少し怖いですよ?

 

 

雷鳥side

 

 2回戦第3試合は、麗日とB組の小大の戦いだったが…残念ながら特に見所はなかった。

 小大の“個性”『サイズ』は触れた物の大きさを自由に変える事が出来るというものだが、生物には効果が適応されない。

 即ちヒーローコスチュームを纏っていない今の状況では、“個性”を活かす事が出来ず…その結果、麗日の機動力に翻弄され、あっけなく場外へ投げ飛ばされてしまった。

 

 

 あっさり終わってしまった第3試合だったが、次の第4試合は実に見ごたえのあるものだった。

 轟の相手はB組の拳藤。その“個性”は両手を巨大化させる『大拳』という実にシンプルな物だが―

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

 

 拳籐の相応に鍛えられた武術の腕前と合わされば、まさに驚異の一言。

 轟の繰り出した氷柱をパンチ一発で粉砕し、手を団扇の様に使う事で強風を起こし、火炎放射を相殺するなど、攻防ともに隙がない。

 しかし、あのパワー…出久や障子、砂糖といったA組のパワー自慢にも引けを取らないぞ。だが…今の轟を倒すには、少々()()()だな。

 

「悪いが…勝つのは俺だ」

 

 次の瞬間、轟は拳籐へ小さな火球を連続で放ちながら距離を取り―

 

「この技で、勝負を決める」

 

 右手に冷気、左手に炎を纏っていく。

 

「何をやる気か知らないけど!」

 

 もちろん、拳藤も黙って見ている訳じゃない。すぐさま妨害に走りだすがー

 

「悪いな、邪魔はさせねえ」

 

 轟が蹴りの動きと共に飛ばしてくるサッカーボール大の火球や、鋭く尖った氷塊に阻まれ、なかなか近づけない。そして―

 

竜の咆哮(ドラゴンロアー)

 

 冷気と炎によってそれぞれ冷却、加熱された空気は対流を生み、それはやがて衝撃波となって、拳藤に襲いかかった!

 

「くぅっ!」

 

 防御を固め、必死に踏ん張る拳藤。だが、強烈無比な衝撃波の前に、その努力はあまりに無意味だった。

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

 

 あっという間に場外へ吹っ飛ばされる拳藤。轟の勝利だ。

 これで2回戦の半分が終了か。 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 1ーAが上位を独占するためには、この2回戦必ず勝たなくてはならない。

 俺は、試合を控えている皆の勝利を静かに祈りながら、次の試合を待つのだった。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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