出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第30話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
また、キャラクター設定集を第29話終了時点の情報に更新しております。
雷鳥side
2回戦第5試合、八百万とB組の柳との戦い。
柳の“個性”は、身近にある物を自在に操る事が出来る『ポルターガイスト』。これは物体を創造する事が出来る八百万にとって、ある意味相性が最悪な相手だ。
相性の悪さを八百万がどう攻略するか…楽しみだな。
『レディィィィィイッ! スタート!!』
試合開始と同時に、八百万はピンポン玉程の大きさの球体を複数創造すると、間髪容れずにそれを次々と地面に叩きつけた。
その衝撃で球体はあっさりと破裂し、黒煙を噴き出して周囲の視界を悪化させていく。なるほど、創造したのは煙玉か。
八百万に向かって走り出そうとした柳も、視界不良の中で戦う事を嫌がったのか、一旦後退し、八百万の次の行動を警戒する。
だが、煙が晴れた時、柳はその選択を
「距離を取っていただき、感謝しますわ。
八百万が創造したのは、三脚に備え付けられた
「貴女の『ポルターガイスト』をどう攻略するか。その答えは…これです!」
そう言うが早いか、
当然、柳も自分の“個性”で飛んでくるゴム弾を操っていくが、飛んでくるゴム弾はあまりに大量。すぐに操作出来る限界を超え、全身をゴム弾で打ちのめされてしまう。
「柳さん、戦闘不能!! 八百万さん、準々決勝進出!!」」
たしかに飽和攻撃は、柳の攻略法として最適解の一つだ。だが…まさか
それと…
梅雨side
2回戦第6試合は、飯田ちゃんとB組の骨抜ちゃんとの戦い。
飯田ちゃんが、己の強みである機動力を潰す事が出来る骨抜ちゃんの“個性”『柔化』をどう攻略するか? この戦いの注目ポイントはそこね。ケロケロ。
『レディィィィィイッ! スタート!!』
「先手必勝ってやつだ」
試合開始と同時に、骨抜ちゃんは“個性”を発動。自分を起点に周囲の地面をどんどん柔らかくしていくわ。
「くっ!」
咄嗟に後退して柔らかくなった地面から逃れる飯田ちゃん。だけど柔らかくなった地面はどんどん広がり、最終的には闘技場の5割程を底無し沼のような状態にしてしまったわ。
「ご自慢のスピードも、こうなったら活かせないよな?」
「たしかに、君の“個性”の有効範囲の広さがここまでとは思わなかった。だが、これだけ距離が開いていれば、君も俺には攻撃出来まい!」
「けっ、そう思うか?」
飯田ちゃんの声に不敵な笑みを見せる骨抜ちゃん。その笑みの理由はすぐにわかったわ。
「っ! そういう事か!」
そう、骨抜ちゃんが飯田ちゃんへ一歩近づけば、底無し沼も一歩分前へ移動する。そしてこのまま骨抜ちゃんが移動していけば…。
「さぁ、どうする? 底無し沼に飲み込まれるか、場外に追いやられるか、お前の結末は2つに1つだ!」
勝ち誇る骨抜ちゃん。この状況、遠距離攻撃の手段を持たない飯田ちゃんにとって、最悪と言っていいかもしれないわね。
でも、何故かしら? 飯田ちゃんの表情からは焦りや不安を一切感じないわ。
「たしかに…」
「ん?」
「たしかに、2週間前の俺なら、この状況でどうする事も出来なかっただろう! だが、今の俺には合同特訓で強くなったという自負がある! いくぞ! 骨抜君! トルクオーバー! レシプロバースト!」
次の瞬間、第2種目でも披露した
「とぅっ!」
柔らかくなった地面のギリギリ半歩手前でジャンプすると―
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
空中で体を独楽のように回転させながら、骨抜ちゃんへ突撃したわ! 危険を察知し、急いで地下に潜ろうとした骨抜ちゃんだけど―
「コンマ3秒遅い!」
僅かに間に合わなかったわ。回転の勢いをプラスした飯田ちゃんの蹴りを受けて、場外へ一直線に吹き飛ばされていく骨抜ちゃん。うん、すごい威力ね。ケロケロ。
「骨抜君、場外!! 飯田君、準々決勝進出!!」」
轟side
2回戦第7試合は、常闇と切島との戦い。
吸阪が言うには、元々の地力や合同訓練での伸び具合はほぼ互角。接近戦なら切島、中距離戦なら常闇に分があるが…正直、どちらが勝ってもおかしくない。か…。
『レディィィィィイッ! スタート!!』
「いくぜ! 常闇ィッ!」
「この気迫、まさに赤き鬼神! 全身全霊をもって迎え撃つのみ!」
試合開始と同時に、2人は一直線に互いへ突撃。
「でやぁっ!」
「
「アイヨッ!」
硬化した切島の一撃と、常闇の
「だらららららっ!」
「イクゼイクゼイクゼェ!」
そのまま
「シャーンナロォ!」
一瞬の隙を突いて
「もらったぞ!」
常闇の声と共に、ガラ空きになった切島のボディへ
「こんくらいじゃ…倒れねえぞ!」
数m後退こそしたものの、切島は持ち堪えた。連続で攻撃を受けたボディの硬化部分は罅割れ、剥がれ落ちているが、それでも二本の足でしっかりと立ち、構えを崩さない。
「やるな…ならば、これはどうだ!
「アイヨッ!」
「合体!
それを見た常闇は、第一種目の時のように、漆黒の翼に変形させた
「必殺!
その最高到達点から落下の勢いを加えた飛び蹴りを切島へ放った。
「俺は絶対に倒れねぇ! 体も! 心も! もっと硬く!」
一方、切島は全身を限界まで硬化させ、それを迎え撃つ。吸阪や緑谷の指導で、避けるなり、捌くなりする事も出来ただろうに…一直線な奴だ。
「うぉぉぉぉぉっ!」
「うぁぁぁぁぁっ!」
激しくぶつかり合う2人。前回の激突は常闇に軍配が上がったが―
「うぉりゃぁっ!」
今回は切島に軍配が上がった。渾身の力で常闇を弾き飛ばし、そのまま追撃をかける。
「もらったぜ、常闇ィッ!」
体勢の崩れたままで闘技場に叩きつけられた常闇に、止めの一撃を叩き込んで切島の勝利。おそらく観客の殆どがそう考えただろう。だが、数秒後の未来は違っていた。
「ぐ…あ、が…ぁ…」
「…まさに紙一重。コンマ数秒、こちらが早かったな」
あと拳一つ分。僅かそれだけの距離を残し、切島の動きは止まっていた。その背後に浮かぶのは
地面に叩きつけられながらも、常闇は
「切島、未だ未熟な俺では、お前を倒す事は出来ないだろう。故に…お前を
頸動脈を極められた切島は必死に逃れようともがいたが、遂に脱出する事は出来ず―
「ち…く、しょう…」
最後まで立ったまま意識を失った。
「切島君、戦闘不能!! 常闇君、準々決勝進出!!」
出久side
『2回戦第8試合!』
『その実力、もはや説明不要! ヒーロー科、緑谷出久!!』
『
「申し立て失礼いたします。刺客とはどういう事でしょう? 私はただ勝利を目指し、ここまで来ただけであり、対戦相手を殺めるような事は…」
『ご、ごめん! では、気を取り直して!』
『レディィィィィイッ! スタート!!』
「緑谷さん、私はこの一撃に全力を込めます。どうか、お覚悟を!」
試合開始と同時にそう宣言した塩崎さんは、伸ばした蔦の髪、その全てを一つに纏めて、巨大な蔓の塊を作り出した。
後の事を一切考えない全力勝負。潔いね、塩崎さん。
「わかった、受けて立つよ! 塩崎さん!!」
その思いに応え、僕も『フルカウル』の出力を限界まで上げ、構えを取る。
「戦いに敗れたB組の
「全力全開! 一撃必倒!」
B組最後の生き残りとなった塩崎さん。きっと敗退した全員の思いを背負って僕に戦いを挑んでいる。
だけど、思いの強さなら僕だって負けてない。勝つのは、僕だ!!
「いざ勝負!」
「
そして、塩崎さんの蔦の塊と僕の最強攻撃がぶつかり合った。
「はぁぁぁぁぁっ!」
「ま、まさか、これほど-」
その言葉を最後まで紡がせる事もなく、僕の拳は蔦の塊を木っ端微塵に打ち砕き、塩崎さんはその余波で場外へ追いやられた。
「塩崎さん、場外!!緑谷君、準々決勝進出!!」
『互いに最強の攻撃をぶつけ合ったこの試合、勝ったのは緑谷出久!!』
『これによって、ベスト8が出揃った訳だが…なんとなんと、全員がA組! 即ち、開会式で吸阪雷鳥が宣言した上位独占が実現しちまったぜ!!』
これで雷鳥兄ちゃんの宣言は実現し、
でも、本番はここから。優勝まではあと3勝。絶対に勝つぞ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。