出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

38 / 120
お待たせしました。
第31話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第31話:雄英体育祭! 最終種目!!ー準々決勝その1ー

出久side

 

 セメントス先生による闘技場の点検も終わり、いよいよ準々決勝第1試合、雷鳥兄ちゃんと梅雨ちゃんの試合が始まる。

 僕の近くには試合を控えている轟君、麗日さん、飯田君、八百万さん、それから医務室送りになった爆豪(かれ)を除くA組の皆が集合して、試合開始を今か今かと待ちわびている。

 僕と常闇君もこの試合が終わったら控室へ移動しなくちゃいけないけど…この試合だけでも皆と見られるのはありがたい。

 そして、僕達からそう離れていない座席の一角には、B組の皆が陣取っていた。何故か、担任のブラドキング先生も一緒だ。

 

「今回の戦いを見る限り、A組の実力は………非常に遺憾ではあるが、お前達のはるか上を行っている事は認めざるを得ない!」

「だが! それはあくまでも『()』の話だ! 雄英高校での日々はまだまだ続いていく! 時間は有限なれど、決して少なくはない!」

「お前達の実力を世に示すチャンスは必ずやってくる! その為にも学ぶのだ! A組(やつら)の一挙手一投足を目に焼き付け、己の糧へと変えていけ!」

 

 なんというか、相澤先生とは全く違うタイプだ。でも、B組の皆からは凄く慕われているみたいだし…うん、あれはあれできっと良い先生なんだろうな。

 そうしている内に準備が整ったみたいだ。この戦い、どちらが勝つのか…。

 

 

梅雨side

 

 実況(プレゼント・マイク先生)の声を聞きながら、闘技場に上がった訳だけど…正直、その内容なんて頭に入った傍から消えていく。

 今から吸阪ちゃんと戦うんですもの。コンマ1秒だって集中を切らす訳にはいかないわ。

 そして、そう考えているのは吸阪ちゃんも同じみたいね。こちらをまっすぐ見つめながら、こう言ってきたわ。

 

「梅雨ちゃん…いや、試合が終わるまではこう呼ばせてもらう。蛙吹」

「何かしら? 吸阪…君」

「どっちが勝っても恨みっこなし。全力でやろうぜ」

「もちろんよ。全力で戦うわ」 

 

 今の私の全力を吸阪君にぶつければ…勝てる確率も0では無い筈。

 

『レディィィィィイッ! スタート!!』

 

 勝負よ! 吸阪君!!

 

 

雷鳥side

 

『レディィィィィイッ! スタート!!』

 

 試合開始と同時に、俺へ向かって突っ込んで来る蛙吹。その一手目は―

 

「いくわよ!」

 

 舌による攻撃! 顔面狙いで放たれた槍のような一撃を避けると、そのまま鞭のようにしならせて更なる攻撃を仕掛けてきた。

 決して反応出来ない速さではないが、舌による攻撃は独特の軌道を描く為、なかなか反撃に移れない。

 そして、舌にばかり気を取られていると―

 

「ケロッ!」

 

 接近した蛙吹本人の攻撃を受ける事になる。右の跳び回し蹴りから左の後ろ回し蹴りに繋げるコンビネーション。『蛙』の強靭な脚力をフルに活かしての見事な―

 

「ッ!」

 

 前言撤回! 蛙吹は着地と同時に後方宙返りを行い、頭上から二段爪先蹴りを仕掛けてきた。ここまでがコンビネーションか!

 

「ちぃっ!」

 

 咄嗟に電磁バリアを張り、攻撃を防御。同時にターボユニットを発動して、蛙吹と距離を取る。

 

「…少しは自信のあるコンビネーションだったんだけど、凌がれちゃったわ。流石ね、吸阪君」

「いやいや、結構ギリギリさ。避けられたのは正に紙一重って奴。じゃあ、こっちのターンといきますか!」

 

 敢えて軽い調子で蛙吹にそう告げ、俺は軽くステップを踏みながら構えを取る。

 

Are You Ready(準備はいいか)?」

「出来てるわよ」

 

 次の瞬間、俺は一気に蛙吹との間合いを詰め―

 

「ライトニングプラズマァ!」

 

 両拳に電撃を纏い、手数重視の連打を放つ。蛙吹はそれらを避け、または捌く事でやり過ごし―

 

「ケロッ!」

 

 反撃の前蹴りを放とうとするが、俺はそれを出始めの所で押さえて封じ込める。更に、不安定な片足立ちになった蛙吹に足払いをかけて、体勢を崩すと―

 

「吹っ飛べ!」

 

 がら空きになった蛙吹の腹に右掌を当て、電磁加速の要領で思いっきり吹っ飛ばす! これで蛙吹を場外に送れた筈だが…。

 

「まだよ!」

 

 なんと…蛙吹は咄嗟に自分の舌を闘技場にぶつけ、その摩擦でブレーキをかける事で、ギリギリ場外負けを免れたか。

 

「ふぅ…何とかギリギリ、ブレーキが間に合ったわ」

「無茶な事を…舌が傷だらけだぜ?」

「そうね。正直、舌による攻撃は暫く出来そうにないわ。でも、無理や無茶が必要になる時だって、ヒーローにはあるんじゃないかしら?」

「…違いない。こうなったら…」

 

 場外送りで勝負を決める事は難しい。となれば…()()()()()()()()()()()

 

「この一撃で勝負を決めたいんだが…どうする? 蛙吹」

「ケロケロ、受けて立つわよ。吸阪君」

 

 互いに頷き、それぞれ構えを取った俺と蛙吹は、まったく同じタイミングで動き出した。

 

「ライトニングソニック!!」

 

 俺は『ターボユニット』による加速を加えた強化版電撃キック(ライトニングブラスト)、ライトニングソニック。

 

「ケロッ!」

 

 蛙吹は空中宙返りの後に捻りを加えながら放つ両足キック。

 俺達のキックは正面からぶつかり合い…ほぼ同時に闘技場へ落下した。

 

『おぉーっと! 両者の必殺キックがぶつかり合い、同時に落下! これはダブルノックダウンかぁ!』

『いや、あれを見ろ』

 

 解説(相澤先生)の声に答えるように、まず俺がゆっくりと立ち上がり、それに続くように蛙吹も立ち上がる。だが-

 

「うぅっ…」

 

 そこで限界を迎えたのだろう。蛙吹は呻き声と共に膝を突いてしまった。

 

「ここまでみたいね…吸阪ちゃん、あとは任せたわ」

「…あぁ、任されたよ、梅雨ちゃん」

「蛙吹梅雨…降参よ」

「蛙吹さん、降参!! 吸阪君、準決勝進出!!」」

 

 やれやれ、()()()()()()か…負けられない理由が増えちまったよ。

 

 

轟side

 

 第1試合は吸阪の勝利か。合同特訓で蛙吹の奴も相当強くなっていたが、現時点では吸阪(あいつ)の方が上だったって事だな。

 そして俺の相手は麗日。性格や言動はともかく、戦闘のセンスはA組の中でも上位だった爆豪を、ああも容易く倒したその実力…決して侮れるもんじゃない。

 まさに、吸阪(あいつ)と戦う為にも乗り越えなければならない高い壁だ。そんな事を考えながら闘技場へ向かっていると―

 

「焦凍」

 

 親父が俺に声をかけてきた。たしか今日は、体育祭警備の依頼を受けていた筈だが…。

 

「……親父、警備(しごと)の方はいいのか?」 

「う、うむ。丁度休憩だったからな。気にするな」

「…そうか」

「焦凍…その、なんだ。結果に…拘る事はない。プロからのスカウトなど忘れて、純粋に勝負へ集中しろ。そうすれば、自ずと道は開ける。これは学生の間しか出来ない特権だ」

「……勝負に集中するか。わかった」

 

 親父の言葉に頷くと、俺は闘技場に向けて歩き出した。

 

「親父……ありがとう」

 

 一言そう言い残して。

 

 

お茶子side

 

『レディィィィィイッ! スタート!!』

 

 試合開始と同時に、私は轟君に向かって走り出す。

 遠距離攻撃の手段が無い私が、轟君の広範囲攻撃に晒されたら一溜まりもない。なんとか、接近戦に持ち込まないと!

 

「来い! 麗日!」

 

 当然、轟君だって私の接近を黙って見ている訳がない。左右の手を振るい、氷と炎で私に攻撃を仕掛けてくる。

 地面からは巨大な氷柱が何本も生え、頭上からは無数の火球が降り注ぐ。

 

「ッ!」

 

 それらを私は必死に回避しながら、轟君への接近を試すけど…正直かなりキツイ。

 攻撃の密度が、爆豪君との戦いの時とはまるで違う。回避の一瞬だけ“個性”を発動して、負担を軽減している筈なのに、これじゃあ、“個性”を発動し続けているのと殆ど変わらない。

 

「それでも!」 

 

 諦める訳にはいかない。私は咄嗟に氷柱に触れて浮き上がらせると、それを頭上に掲げて火球を防ぐ盾にしながら、轟君へ近づいていく。そして―

 

「えぇいっ!」

 

 火球を防いで大分小さくなった氷柱を轟君へ投げつけた!

 

「ちぃっ!」

 

 咄嗟に炎を纏わせた左手で氷柱を受け止める轟君。炎で氷柱が溶かされ、かわりに大量の水蒸気が発生する。

 

「やぁぁぁぁぁっ!」

 

 水蒸気で視界が塞がっている今がチャンス! 爆豪君の時みたいに、体操服の上着を囮にしながら、轟君に掴みかかる!

 

「わぶっ!?」

 

 だけどその直後、硬くて透明な何かが私の行く手を阻んだ。これは…氷の壁!?

 

「残念だが、その戦法(やりかた)は見たからな。俺には通じねえよ」

 

 轟君の言葉に、私は思わず歯噛みする。相手は1-Aトップ3の1人。この程度の小細工が通用する相手じゃないって事は、薄々わかっていた筈なのに! でも!

 

「まだ、終わってない!」

 

 そう、まだ終わりじゃない。私は残る力の全てを振り絞り、轟君へ最後の攻撃を仕掛ける。全力で後退しながら、闘技場から生える氷柱を手当たり次第に触り、次々と空中へ浮かせていく。

 

「そうくるか…だったら、こっちも」

 

 轟君も私のやろうとしている事を察したのか、右手に冷気、左手に炎を纏い、迎撃の態勢をとる。そして―

 

「いっけぇぇぇぇぇっ!!」

 

 私は“個性”を解除し、7本の氷柱を一斉に轟君目掛けて落下させた。氷柱7本の質量は相当なもの。その全てを撃墜する事は、轟君でも難しい筈!

 

竜の咆哮(ドラゴンロアー)

 

 だけど、拳藤さんを倒したあの衝撃波の威力は、私の想定をはるかに上回っていた。氷柱は全て木っ端微塵に打ち砕かれ、氷の破片がキラキラと光を反射させながら闘技場に落ちていく。

 

「ま、まだ…」

 

 最後の攻撃も失敗に終わって、もう私に勝ち目なんか無いのかも知れない…“個性”の許容重量(キャパ)も、もう限界…それでも、それでも最後まで前に…。

 

「最後まで、前に……」

「そこまでよ。麗日さん」

 

 足を引き摺るように前へ一歩踏み出した次の瞬間。凄く良い香りがしたかと思うと、私の全身から力が抜け、意識が急激に遠ざかっていく。朦朧とする意識の中、最後に見たのは…ミッドナイト先生?

 

「麗日さん、戦闘不能と判断! 轟君、準決勝進出!!」

 

 

轟side

 

 主審(ミッドナイト先生)の判断で、麗日はTKO負けとなり、俺が準決勝に進む事になった訳だが…正直、麗日(あいつ)の執念には驚かされた。

 例え力が及ばなくても、最後まで前に出続ける。そんな精神的な強さは、俺も大いに学ぶべきだろう。

 

「見事だったぞ。焦凍」

 

 そんな事を考えていると、親父が声をかけてきた。どうやら、ここでずっと観戦していたらしい。休憩というのは意外と長いらしいな。 

 

「麗日くん、だったか? 彼女は良いヒーローになるぞ」

「…だろうな」

「お前が話してくれた緑谷君や吸阪君といい…お前のクラスメイトは金の卵だらけだな。まぁ、ライバルと呼べる存在が多い事は、お前にとっても良い事だが」

「あぁ…だからこそ、俺は…トップを取りたい。エンデヴァーの息子として、そして…母さんの息子として」

 

 次の相手は吸阪、それに勝てば決勝だ。優勝まであと2勝。俺は絶対に勝つ!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。