出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
令和初の投稿となる第32話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。

なお、26話から31話までのタイトルを一部変更し、31話の内容をごく僅かに改訂しております。

19時21分追加:アンケートを追加してみました。


第32話:雄英体育祭! 最終種目!!ー準々決勝その2ー

雷鳥side

 

『レディィィィィイッ! スタート!!』

 

 実況(プレゼント・マイク先生)の声と共に始まった準々決勝第3試合、八百万と飯田の戦い。

 先手を取ったのは八百万。2回戦(柳との戦い)のように煙球を次々と作り出し、それを破裂させる事で、自身の周囲を黒煙で包んでいく。

 接近しようとする飯田の動きを止め、その隙に新たなアイテムを創造するつもりなのだろう。

 

「迂闊に飛び込むのは危険…ならば、こちらも自らを高める為に使うのみ!」

 

 一方の飯田も無理に飛び込む事はせず、八百万から距離を取って自らの加速を行い始めた。

 そして黒煙が晴れた時、八百万の両手には回転弾倉式のグレネードランチャーと短機関銃(サブマシンガン)が握られ―

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 飯田も最高速度への加速を終え、八百万への突撃を開始した!

 

「飯田さん、参ります!」

 

 向かって来る飯田を迎撃する為、グレネードランチャーを連射する八百万。次々と放たれる弾丸に仕込まれていた大量のトリモチとネット、そして1回戦(砂糖との戦い)で用いた摩擦係数を減らすゲル(機動阻止システム)が、頭上から飯田に降り注ぐ。

 

「遅い!」

 

 だが、飯田は類稀なスピードでその全てを回避。そのまま八百万の懐へ飛び込もうとする。

 

「甘いですわ!」

 

 しかし、八百万も負けてはいない。弾切れになったグレネードランチャーを捨て、同時に短機関銃(サブマシンガン)からゴム弾を乱射して、飯田の接近を阻止。更に射撃と並行して創造しておいた撒菱をバラ撒きながら素早く後退する。

 なるほど、八百万は飯田との接近戦を徹頭徹尾回避する構えか。

 

「くっ!」

 

 飯田は八百万の周囲を高速で移動しながら隙を伺うが、八百万は2梃目の短機関銃(サブマシンガン)を創造し、威嚇射撃を続ける事で、飯田の接近を許さない。

 

「これは…八百万ちゃん優勢と見るべきね」

 

 その光景に、八百万有利と判断する梅雨ちゃん。たしかに、そう見るのが妥当だな。しかし、飯田がこのまま終わるとも考えられない。

 

「このままの流れでいけば、八百万の勝ちになるだろう。だが…」

「だが?」

「打つ手が無い訳じゃない。飯田がそれに気づけば…」

 

 そこまで口にしたところで、闘技場で動きがあった。飯田が覚悟を決めたのか、真正面から突進を仕掛けたのだ。

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 気合の叫びと共に八百万へと迫る飯田。八百万は短機関銃(サブマシンガン)を乱射して迎撃を試みるが―

 

「覚悟を決めれば…耐えられる!」

 

 クロスさせた両腕で頭をガードした飯田は、少々の被弾を物ともせずに突き進む。

 短機関銃(サブマシンガン)は弾丸をバラ撒く事に適してはいるが、口径が小さい為に威力の方は決して高くない。今装填されているゴム弾なら、急所にでも当たらない限り、数発程度の命中なら耐えられる。飯田のように覚悟を決めているなら猶更だ。

 それに、八百万が創造したのは、高い連射性能と引き換えに命中精度を犠牲にしたタイプ。高速で移動する物体を狙い撃つのは、非常に難しい。その結果が何を意味するかと言えば…。

 

「弾切れっ!?」 

 

 そう、有効打を与えられないままの弾切れだ。すぐさま3梃目の創造を行う八百万。その隙を突いて一気に間合いを詰める飯田。

 

「それ以上は!」

 

 間一髪、八百万の創造が間に合った。銃口を飯田に向けて、トリガーを引こうとするが―

 

「っ!?」

 

 それよりも早く、()()()()()()。そんな風に八百万には見えているだろう。観客席(ここ)から見れば、横っ飛びで八百万の視界の外に移動した事がわかるがな。

 

「八百万君! 覚悟!」

 

 叫び声と共に八百万へ跳び蹴りを仕掛ける飯田。咄嗟に短機関銃(サブマシンガン)を捨て、盾を創造して防御を固める八百万。

 

「うぉぉぉっ!」

 

 盾に炸裂する飯田の蹴り。色合いから見て、恐らくジュラルミン製の盾が大きく凹み―

 

「せいっ!」

 

 2発目で、盾の上半分が木っ端微塵に砕け散った。

 

「やぁぁぁぁぁっ!」

 

 そして3発目。盾の残った部分で何とか防御した八百万だったが、蹴りの威力に抗いきれず、場外へと吹き飛ばされていった。

 

「八百万さん、場外!! 飯田君、準決勝進出!!」」

 

 最高加速からの見事な三段蹴り。あの威力は、出久のスマッシュにも引けを取らないぞ。

 そして、次の試合は常闇と出久の戦い。 正直な話、どちらが勝つのか非常に予想が難しい。楽しみであり、不安な一戦だな。

 

 

出久side

 

 実況(プレゼント・マイク先生)の声を聞き流し、闘技場に上がった僕は、常闇君の様子を素早く観察する。

 ………うん、気負った様子も無し。互いに全力で戦えそうだ。

 

「緑谷、この試合でお前に勝つ。それを持って、これまでの恩返しとさせてもらう!」

「受けて立つよ! 常闇君!!」

『レディィィィィイッ! スタート!!』

黒影(ダークシャドウ)!」

「アイヨッ!」

「合体! 漆黒双翼(ダークウイング)!!」

 

 試合開始と同時に、常闇君は漆黒の翼に変形させた黒影(ダークシャドウ)を背中に装着して、一気にジャンプ。

 

「必殺! 堕天使の黒槍(ルシファーズランサー)!!」

 

 その最高到達点から落下の勢いを加えた飛び蹴りを放ってきた。今の常闇君が放てるであろう最強クラスの攻撃。正面から受けて立つ!

 

「ダブル44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 常闇君の飛び蹴り(ルシファーズランサー)と、僕が左右同時に放った44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)スマッシュとの激突。その結果は―

 

「くぅぅぅっ!」

「ぬぉぉぉっ!」

 

 互角! 僕達は互いに吹き飛ばされながらも、すぐに体勢を立て直して構えを取る。すると―

 

『コイツはスゲェェェッ! 開始早々大技の激突! これは物凄い激闘の予感だぁっ!!』

 

 実況(プレゼント・マイク先生)の声に、観客席からも歓声が上がる。もっとも、僕達には殆ど聞こえていない訳だけど…。

 常闇君に新たな動きが見えたのは、その時だ。

 

「緑谷、やはりお前に勝つには、()()を使うしかないようだ…黒影(ダークシャドウ)!」

「アイヨッ!」

「合体!」

 

 次の瞬間、黒影(ダークシャドウ)を全身に纏い、一つになる常闇君。

 

「闇を纏いて力と成す! 名付けて深淵闇躯(ブラックアンク)!!」

 

 深淵闇躯(ブラックアンク)か。すごいよ、常闇君。こんな切り札を持っていたなんて!

 

「いくぞ! 緑谷!」

「こい! 常闇君!」

 

 正面から向かって来る常闇君。僕はフィンガースナップを高速で繰り返して、衝撃波の弾幕を放ち、それを迎え撃つ。

 

「この程度!」

 

 だけど、常闇君はそれを物ともせずに突破。間髪入れずに攻撃の体勢に入った。僕との距離は約5m。常闇君自身の間合い(リーチ)ではとても届かない筈だけど、一体どんな攻撃を仕掛けてくる?

 

影の細剣(シャドーレイピア)!」

 

 攻撃の正体、それは文字通り()()()()()()()()()()! 厳密には黒影(ダークシャドウ)を貫手の動きに連動させて伸ばしているのか! 

 

「うぉぉぉぉぉっ!」 

 

 矢継ぎ早に貫手を放ってくる常闇君。この鋭さ、気合と相まって、決して侮れない威力だ。だけど、決して見切れない攻撃じゃない!

 

「そこだぁ!」

 

 僕は、攻撃の途切れる僅かな隙を突いて、一気に常闇君の懐に飛び込み―

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマァァァァァッシュ!!」

 

 必殺の44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)スマッシュを常闇君のボディに叩き込んだ! だけど―

 

「残念だったな。緑谷!」

 

 常闇君は全くダメージを負った気配がなく、反撃の拳を振り下ろしてきた。ギリギリのところでそれを避け、距離を取る。

 

「コノクライジャ、タオセネーゼ!」

 

 そんな僕を見て、誇らしげに声を上げる黒影(ダークシャドウ)。そうか、黒影(ダークシャドウ)が防壁になる事で、常闇君へのダメージを遮断していたのか!

 

「このまま勝負を決めさせてもらう!」

 

 僕の攻撃でダメージを受けなかった事を勝機と捉え、突っ込んで来る常闇君。僕も迎撃に動き出すけど―

 

影の鎖(シャドーチェーン)!」

 

 常闇君の方が一瞬早かった。常闇君の左手から伸びた黒影(ダークシャドウ)が、文字通り鎖となって僕に絡みつき、両腕を封じてしまう。 

 

「しまった!」

「もらったぞ! 緑谷!」

 

 両腕を封じられた僕に跳びかかる常闇君。そのまま空中回転し―

 

「必殺! 堕天使の戦斧(ルシファーズバルディッシュ)!!」

 

 その勢いを加えた踵落としを繰り出してきた。狙いは…僕の頭部!

 

「…まだだぁ!」

 

 僕は咄嗟に、()()()()()()()()()()。常闇君の踵落としを頭突きで迎撃!

 

「ぬぅぁっ!」

 

 前回の激突は互角だったけど、今回は僕の方が勝った! 落下した常闇君は闘技場に叩きつけられ、同時に黒影(ダークシャドウ)の拘束も僅かに緩んでいく!

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 僕は全力で黒影(ダークシャドウ)の拘束を弾き飛ばし、立ち上がろうとする常闇君へ突撃!

 

44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)! スマッシュ! シックスオンワン!!」

 

 その無防備なボディに44MAGNUM(フォーティーフォーマグナム)スマッシュを6連発で打ち込んでいく!

 

「コノクライデ!」

 

 最初の3発は耐えた黒影(ダークシャドウ)だったけど―

 

「チョッ! マテヨ!」

 

 4発目で異変を生じ―

 

「モ、モウムリ!」

 

 5発目で遂に限界を迎え、常闇君の体から弾き飛ばされてしまった。そして―

 

「これで! 最後だぁぁぁぁぁっ!」

 

 最後の1発が常闇君自身に炸裂! 常闇君は場外へと一直線に吹き飛んでいった。

 

「常闇君、場外!! 緑谷君、準決勝進出!!」

『準々決勝最終戦に相応しい激闘となったこの試合、勝ったのは緑谷出久!!』

『これによって、ベスト4が出揃った! そのメンツと組み合わせを改めて紹介するぜ!』

『準決勝第一試合! 吸阪雷鳥(バーサス)轟焦凍!』

『準決勝第二試合! 飯田天哉(バーサス)緑谷出久!』

『現時点での1年生最強が決まるまであと3試合。優勝するのはこの4人の誰なのかぁ!』

 

 

【挿絵表示】

 

 

 実況(プレゼント・マイク先生)の声を聴きながら観客席に目をやると、オールマイトが微かに頷いてくれた。

 優勝まであと2勝。絶対に勝つぞ!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
令和も、拙作をよろしくお願いいたします。

雄英体育祭優勝者大予想!!

  • 吸阪雷鳥(”個性”『雷神』)
  • 緑谷出久(”個性”『OFA』)
  • 轟焦凍(”個性”『半冷半焼』)
  • 飯田天哉(”個性”『エンジン』)

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