出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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2週間近くお待たせして、申し訳ありません。
第33話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。

また、キャラクター設定集を第33話終了時点の情報に更新しております。


第33話:雄英体育祭! 最終種目!!ー準決勝その1ー

雷鳥side

 

「吸阪…お前の事は嫌いじゃないし、緑谷には恩もある。だが、勝負は別だ」

 

 実況(プレゼント・マイク先生)の声を聞きながら闘技場に上がると同時に、轟がそんな事を言ってきた。

 勝負は別(・・・・)か。そうだな、そうでないと面白くない。

 

「あぁ、互いに後悔しないよう、全力で戦おうぜ」

 

 俺も轟へそう返し、互いに構えを取る。ヒリヒリするような緊張感が周囲に漂い―

 

『レディィィィィイッ! スタート!!』

 

 試合が始まった! 

 

王狼の領域(フェンリルテリトリー)、凍てつけ!」

 

 先手を取ったのは轟だ。右手を闘技場へ当て、全体を一気に凍結させると同時に、鋭く尖った氷柱を何本も生やしてきた。

 何の対策も取っていなければ、両足を凍らされて動きを封じられるか、下手に動いて氷柱に激突し、大ダメージは確定だろう。だが―

 

()()()()()()()()()!」

 

 高い確率で、初手は氷を使ってくると予測していた俺は、ターボユニットを発動。地面から浮き上がる事で凍結を回避し、次々と生えてくる氷柱を回避する。

 

「初手で氷の大技を使うのが、半ば癖になってるな」

「あぁ、俺もそれは自覚している」 

 

 ん? ()()()()()()だと…まさか! 

 

「降り注げ、不死鳥の羽根(フェニックスフェザー)

 

 直後、頭上から降り注ぐ幾つもの火球。くそっ、最初の凍結は囮で、俺はまんまとこの場所に誘導されたって訳か! 

 

「ちぃっ!」

 

 咄嗟に電磁バリアを最大出力で展開し、降り注ぐ火球を防ぐが―

 

王狼の爪(フェンリルクロウ)…吸阪、とったぞ!」

 

 そこへ轟が突撃を仕掛けてきた。火球はなんとか全弾凌いだが、このタイミングでの回避は不可能。だったら、これだ!

 

「…このタイミングで、止めるかよっ!」

 

 轟の顔が驚愕と悔しさで彩られるが、それも無理はない。轟が突き出した氷の手甲鉤は、俺まであと数cmの所で、電撃を纏った手刀に止められていたのだから。

 

「…残念だったな、轟。お前の右手が王狼(フェンリル)の爪なら、俺の手刀は()()()()!」

 

 そう言いながら手刀で氷の手甲鉤を打ち払い、一旦轟から距離を取る。

 

「俺の王狼の爪(フェンリルクロウ)と五分に渡り合うとは…大した手刀だな」

「名付けてライトニングスラッシュ。格好良いだろう?」

「あぁ、そうだな。だが、俺も負けるつもりはねぇ…切り札を使わせてもらう」 

 

 そう言うが早いか、右手に氷、左手に炎を宿し、その力を高めていく轟。直後、氷と炎が轟の体を包み、その姿を変えていく。

 

「まだ名前も付けてねぇが…これが俺の切り札だ!」

 

 右半身を氷の鎧で覆い、左半身に炎を纏った姿か。氷と炎を自在に操る轟の最強形態(切り札)と呼ぶに相応しいな。

 

「見事だ! 焦凍!!」

 

 ………ん? 今の声は…。

 

「俺と(母さん)の力、その2つを十全に発揮すれば、お前に敵う者など、そうはいない! 存分に戦え! 焦凍!!」

 

 観客席にいるのは、エンデヴァー!? イメージとかけ離れ過ぎなんですけど!?

 

「………親父」

 

 あ、轟も頭抑えてる。

 

「な、なんと言うか…エンデヴァーも親馬鹿な所があるんだな…」

「……あぁ、だが親父も見ているんだ。無様な試合は出来ねぇ…行くぜ! 吸阪!」

 

 気を取り直し、俺に向かって来る轟。その圧力はこれまでの比ではない。

 

「エレクトロ! ファイヤー!」

 

 俺は右拳を凍結した闘技場に叩きつけ、電撃を一直線に走らせて迎撃を試みるが-

 

「その程度の電撃!」

 

 今の轟には足止めにさえならない。右半身を包む氷の鎧だけでなく、左半身を包む炎も見た目以上の防御力だな。

 

王狼の爪(フェンリルクロウ)!」

不死鳥の嘴(フェニックスビーク)!」

 

 そして攻撃は、炎に包まれた左手から放つ強烈な貫手が追加された。氷の爪と炎の嘴。斬撃と刺突。異なる2つの攻撃が矢継ぎ早に繰り出される。

 

「ライトニングプラズマァ!」

 

 だが、俺だって無抵抗で攻撃され続ける訳じゃない。攻撃を何とか掻い潜り、反撃の連打(ライトニングプラズマ)を放つが―

 

「硬っ!」

 

 手数重視の打撃では、傷一つ付けられない。そして―

 

「とったぞ! 吸阪!!」

 

 反撃として放たれた炎の貫手(フェニックスビーク)をくらい、俺は吹っ飛ばされた。咄嗟にバリアを張った事で、ダメージは最小限に抑えられたが…これでハッキリした。

 

「…やっぱり、出久みたいにはいかないか……」

 

 出久の様にどんな相手とも正面からぶつかり、勝利する。思う所があって、そんな戦い方を目指してみたが…どうやら自分には無理な芸当らしい。

 

「ま、俺って喧嘩弱いから、仕方ない」

「そう言う訳で轟…悪いが、()()()()()()()()使()()()()()()()

 

 ここからは俺のスタイルで勝利を掴ませてもらう。

 

 

轟side

 

「そう言う訳で轟…悪いが、()()()()()()()()使()()()()()()()

 

 吸阪のその言葉を聞いた瞬間、俺の心には『()()()()()()()()()()()()()()』という思いと『()()()()()』という思いが同時に沸き上がった。

 吸阪雷鳥という男の何が恐ろしいか、この問いの答えは人によって様々だろうが…俺は頭の回転の速さだと思っている。

 時に挑発や煽りを用いて相手から冷静さを奪い、戦いを有利に進める。時に様々な策を弄して、相手を自分の掌の上で躍らせる。世が世なら、大軍を率いる軍師として名を馳せていただろう。

 そんな吸阪が()()()を使うという事は…()()で来るという事。だが、勝つのは俺だ!

 

「どんな小細工だろうと、正面から叩き潰す!」

 

 その叫びと共に離れた間合いを一気に詰めていく。吸阪の()()()が何であれ、戦いの流れは今こちら側にある。このまま攻め続ければ、押し切れる筈だ!

 

「はぁっ!」

 

 そして、間合いに入った瞬間、大上段に構えた王狼の爪(フェンリルクロウ)を一気に振り下ろす! 当然、こんな見え見えの攻撃は容易く避けられる上に-

 

「せいっ!」

 

 吸阪なら間違いなくカウンターを合わせてくる。だが、それこそがこっちの狙いだ。

 顔面狙いで放たれたカウンターを紙一重で避け、()()()()()()()()()()()不死鳥の嘴(フェニックスビーク)を放つ!

 

「っ!?」

 

 次の瞬間、俺は大きく吹っ飛ばされていた。何とか体勢を立て直して前を見れば、そこには掌打を放った体勢からゆっくりと構えを戻す吸阪の姿。

 食らった攻撃の種類はわかる。第一種目(障害物競走)の終盤や準々決勝で放った、相手を吹っ飛ばす掌打。それはいい。だが、何故攻撃を食らった? カウンターのカウンターを放った自分が、逆にカウンターを食らったのか?

 

「混乱しているところ悪いが…俺のターンはまだ続くぜ。Are You Ready(準備はいいか)?」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、正面から突進してくる吸阪。間合いに入ると同時に、左右の連打を放ってきた。

 落ち着け。攻撃力と防御力はこっちが上。この攻撃を凌いでから反撃に移れば良い。俺はそう判断し、吸阪の連打を冷静に捌いていく。そして、反撃の初弾として前蹴りを放つが-

 

「悪いな。そうはさせねえよ」

 

 その蹴りは、出始めで押さえられていた。馬鹿な。この蹴りを防御するなり、避けるというならわかるが、出始めを押さえるだと…。

 そんな事が出来るという事は、まさか…俺が前蹴りを放つ事を()()()()()()()

 

「隙だらけだぜ!」

 

 脳裏に浮かんだ仮説に気を取られた瞬間。俺は吸阪の足払いで体勢を崩され―

 

「ダブルライトニングスラッシュ!」

 

 電撃を纏った二振りの手刀を叩き込まれた。咄嗟に両腕を交差して受けたが、強烈な衝撃に王狼の爪(フェンリルクロウ)が粉々に打ち砕かれる。

 

「防御が間に合うとは…流石だな。轟」 

「吸阪、お前の小細工は先読み…いや、『()()』の類だな」

 

 どこか感心した様子の吸阪に、自分の仮説を投げかけながら間合いを取ると―

 

Exactly(そのとおり)

 

 吸阪はあっさりと肯定した。恐らく、この程度なら知られても問題が無いと判断したんだろう。事実、『予知』の原理は未だわからないのだから。

 

「もっとも予知と言える程立派な物じゃない。相手が次にとる…精々コンマ5秒先の行動が解る程度だ」

「それだけ解れば、接近戦では十分すぎるだろ…魔法使いみたいな真似しやがって…」

「魔法使いなんて柄じゃないな。俺には精々手品師(マジシャン)辺りがお似合いさ…だが、手品(マジック)を舐めんなよ? さあ、ショータイムだ」

 

 再び間合いを詰めてくる吸阪。

 

「はぁっ!」

 

 咄嗟に吸阪の進行方向上へ氷柱を生やし、接近を阻むと同時に距離を取る。予知で動きが知られる以上、接近戦は分が悪い。ならばどうするか。

 

不死鳥の羽ばたき(フェニックスフラップ)!」

 

 答えは1つ。遠距離戦だ。左手の動きに合わせて薙ぎ払う様に火炎を放つ事で、氷柱を砕いたばかりの吸阪を更に足止めし―

 

「動きが読まれようと関係ない。火力で圧倒する! 不死鳥の眼光(フェニックスグレア)!」

 

 突き出した左手、それぞれの指先から熱線と見紛う程に圧縮した炎を放つ。親父の必殺技『赫灼熱拳ヘルスパイダー』を俺なりに再現した技だ。

 

「やばっ!」

 

 流石にバリアで防ぐとはいかないのか、焦った顔で回避に専念する吸阪。時折氷柱の陰に隠れたりもするが、極度に圧縮した炎が触れた途端、氷柱は熱したナイフを当てられたバターのように切断されていく。

 そして炎の放出が止んだ時、闘技場に生えていた氷柱は全て、原形を留めない程バラバラの氷塊に成り果てていた。

 

「いやはや、とんでもない火力。うん、やっぱり真っ向勝負じゃ勝てないな」 

「言ってる事の割には、焦った様に見えないな」

「そりゃあ…真っ向勝負以外の方法で勝つからね」 

 

 吸阪の言葉に、僅かだが緩めていた警戒レベルを最大まで引き上げる。戦いの流れはこちらにある筈なのに、嫌な予感が拭えない。そして-

 

「流れは自分にある。そう思っているだろう? 残念だが…それは間違いだ」

 

 そう呟いた吸阪が指を鳴らした瞬間。闘技場に転がっていた氷塊が次々と勝手に浮き上がり、吸阪の周囲を漂い始めた。

 

「お前が氷柱を切断してくれて助かったよ。あの大きさだと操作するのが一苦労なんでな!」

 

 そうか、吸阪の奴が氷柱の陰に隠れていたのは、炎から逃れるというよりも、氷に磁気を帯びさせる為だったのか!

 

「いくぜいくぜいくぜぇ!」

 

 叫び声と共に、吸阪は周囲を漂う氷塊に手当たり次第に掌打を叩き込み、電磁加速で俺へ向けて飛ばしてくる。

 大きさはバスケットボール大、重さは…8kg前後ってところか。そんな物が時速150kmでぶつかればどうなるかなんて、考えるまでもない。

 

「舐めるなよ。吸阪!」

 

 だが、それは無抵抗の相手ならの話だ。俺は次々と飛んで来る氷塊を時に避け、時に火球や火炎放射で撃ち落としていく。

 そして、全ての氷塊を凌いだ訳だが…。

 

「…そういう事か!」 

 

 その時には、既に吸阪は新たな行動に移っていた。あれは、USJで脳無の動きを封じた!

 

「超電磁! タ! ツ! マ! キィッ!!」

 

 

雷鳥side

 

「超電磁! タ! ツ! マ! キィッ!!」

 

 氷塊による攻撃を隠れ蓑にする事で時間を稼いだ俺は、轟へ向けて超電磁タツマキを発射した。あの脳無をも拘束した技。命中すればいくら轟といえど…。

 

竜の咆哮(ドラゴンロアー)!」

 

 前言撤回! 轟の奴、あの短時間で拳藤や麗日との戦いで決め技にした、あの竜巻状の衝撃波を放ちやがった!

 互いの中間地点でぶつかりあう超電磁タツマキと衝撃波(ドラゴンロアー)。2つの力は一旦は拮抗するが…。

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

「ぬぅぅぅぅぅっ!」

 

 徐々に俺が押し始めた。轟、あの技を咄嗟に放ったのは大したもんだが、その分エネルギーチャージが不完全だったな。恐らく、今の威力は本来の7割にも満たないだろう。それならば!

 

「出力! 全開!!」

 

 俺の最大出力が上をいく! 直後、衝撃波を突破した超電磁タツマキが轟を飲み込み、空中で磔状態にしてその動きを封じる。そこへ-

 

「トールハンマー! ブレイカー!!」

 

 両手を組む事で出力を増大させた強化版サンダーブレーク、トールハンマーブレイカーを叩き込む!

 

「…俺の、勝ちだ!」

 

 白煙を上げながら闘技場に落下した轟を見て、右手を掲げる俺。それを見て、一時場外に避難していた主審(ミッドナイト先生)が轟に駆け寄り-

 

「轟君、戦闘不能!! 吸阪君、決勝進出!!」

 

 決着を宣言した。

 これで残るは1試合。出久、先に決勝の舞台で待ってるぜ。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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