出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第33話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
また、キャラクター設定集を第33話終了時点の情報に更新しております。
雷鳥side
「吸阪…お前の事は嫌いじゃないし、緑谷には恩もある。だが、勝負は別だ」
「あぁ、互いに後悔しないよう、全力で戦おうぜ」
俺も轟へそう返し、互いに構えを取る。ヒリヒリするような緊張感が周囲に漂い―
『レディィィィィイッ! スタート!!』
試合が始まった!
「
先手を取ったのは轟だ。右手を闘技場へ当て、全体を一気に凍結させると同時に、鋭く尖った氷柱を何本も生やしてきた。
何の対策も取っていなければ、両足を凍らされて動きを封じられるか、下手に動いて氷柱に激突し、大ダメージは確定だろう。だが―
「
高い確率で、初手は氷を使ってくると予測していた俺は、ターボユニットを発動。地面から浮き上がる事で凍結を回避し、次々と生えてくる氷柱を回避する。
「初手で氷の大技を使うのが、半ば癖になってるな」
「あぁ、俺もそれは自覚している」
ん?
「降り注げ、
直後、頭上から降り注ぐ幾つもの火球。くそっ、最初の凍結は囮で、俺はまんまとこの場所に誘導されたって訳か!
「ちぃっ!」
咄嗟に電磁バリアを最大出力で展開し、降り注ぐ火球を防ぐが―
「
そこへ轟が突撃を仕掛けてきた。火球はなんとか全弾凌いだが、このタイミングでの回避は不可能。だったら、これだ!
「…このタイミングで、止めるかよっ!」
轟の顔が驚愕と悔しさで彩られるが、それも無理はない。轟が突き出した氷の手甲鉤は、俺まであと数cmの所で、電撃を纏った手刀に止められていたのだから。
「…残念だったな、轟。お前の右手が
そう言いながら手刀で氷の手甲鉤を打ち払い、一旦轟から距離を取る。
「俺の
「名付けてライトニングスラッシュ。格好良いだろう?」
「あぁ、そうだな。だが、俺も負けるつもりはねぇ…切り札を使わせてもらう」
そう言うが早いか、右手に氷、左手に炎を宿し、その力を高めていく轟。直後、氷と炎が轟の体を包み、その姿を変えていく。
「まだ名前も付けてねぇが…これが俺の切り札だ!」
右半身を氷の鎧で覆い、左半身に炎を纏った姿か。氷と炎を自在に操る轟の
「見事だ! 焦凍!!」
………ん? 今の声は…。
「俺と
観客席にいるのは、エンデヴァー!? イメージとかけ離れ過ぎなんですけど!?
「………親父」
あ、轟も頭抑えてる。
「な、なんと言うか…エンデヴァーも親馬鹿な所があるんだな…」
「……あぁ、だが親父も見ているんだ。無様な試合は出来ねぇ…行くぜ! 吸阪!」
気を取り直し、俺に向かって来る轟。その圧力はこれまでの比ではない。
「エレクトロ! ファイヤー!」
俺は右拳を凍結した闘技場に叩きつけ、電撃を一直線に走らせて迎撃を試みるが-
「その程度の電撃!」
今の轟には足止めにさえならない。右半身を包む氷の鎧だけでなく、左半身を包む炎も見た目以上の防御力だな。
「
「
そして攻撃は、炎に包まれた左手から放つ強烈な貫手が追加された。氷の爪と炎の嘴。斬撃と刺突。異なる2つの攻撃が矢継ぎ早に繰り出される。
「ライトニングプラズマァ!」
だが、俺だって無抵抗で攻撃され続ける訳じゃない。攻撃を何とか掻い潜り、反撃の
「硬っ!」
手数重視の打撃では、傷一つ付けられない。そして―
「とったぞ! 吸阪!!」
反撃として放たれた
「…やっぱり、出久みたいにはいかないか……」
出久の様にどんな相手とも正面からぶつかり、勝利する。思う所があって、そんな戦い方を目指してみたが…どうやら自分には無理な芸当らしい。
「ま、俺って喧嘩弱いから、仕方ない」
「そう言う訳で轟…悪いが、
ここからは俺のスタイルで勝利を掴ませてもらう。
轟side
「そう言う訳で轟…悪いが、
吸阪のその言葉を聞いた瞬間、俺の心には『
吸阪雷鳥という男の何が恐ろしいか、この問いの答えは人によって様々だろうが…俺は頭の回転の速さだと思っている。
時に挑発や煽りを用いて相手から冷静さを奪い、戦いを有利に進める。時に様々な策を弄して、相手を自分の掌の上で躍らせる。世が世なら、大軍を率いる軍師として名を馳せていただろう。
そんな吸阪が
「どんな小細工だろうと、正面から叩き潰す!」
その叫びと共に離れた間合いを一気に詰めていく。吸阪の
「はぁっ!」
そして、間合いに入った瞬間、大上段に構えた
「せいっ!」
吸阪なら間違いなくカウンターを合わせてくる。だが、それこそがこっちの狙いだ。
顔面狙いで放たれたカウンターを紙一重で避け、
「っ!?」
次の瞬間、俺は大きく吹っ飛ばされていた。何とか体勢を立て直して前を見れば、そこには掌打を放った体勢からゆっくりと構えを戻す吸阪の姿。
食らった攻撃の種類はわかる。
「混乱しているところ悪いが…俺のターンはまだ続くぜ。
不敵な笑みを浮かべながら、正面から突進してくる吸阪。間合いに入ると同時に、左右の連打を放ってきた。
落ち着け。攻撃力と防御力はこっちが上。この攻撃を凌いでから反撃に移れば良い。俺はそう判断し、吸阪の連打を冷静に捌いていく。そして、反撃の初弾として前蹴りを放つが-
「悪いな。そうはさせねえよ」
その蹴りは、出始めで押さえられていた。馬鹿な。この蹴りを防御するなり、避けるというならわかるが、出始めを押さえるだと…。
そんな事が出来るという事は、まさか…俺が前蹴りを放つ事を
「隙だらけだぜ!」
脳裏に浮かんだ仮説に気を取られた瞬間。俺は吸阪の足払いで体勢を崩され―
「ダブルライトニングスラッシュ!」
電撃を纏った二振りの手刀を叩き込まれた。咄嗟に両腕を交差して受けたが、強烈な衝撃に
「防御が間に合うとは…流石だな。轟」
「吸阪、お前の小細工は先読み…いや、『
どこか感心した様子の吸阪に、自分の仮説を投げかけながら間合いを取ると―
「
吸阪はあっさりと肯定した。恐らく、この程度なら知られても問題が無いと判断したんだろう。事実、『予知』の原理は未だわからないのだから。
「もっとも予知と言える程立派な物じゃない。相手が次にとる…精々コンマ5秒先の行動が解る程度だ」
「それだけ解れば、接近戦では十分すぎるだろ…魔法使いみたいな真似しやがって…」
「魔法使いなんて柄じゃないな。俺には精々
再び間合いを詰めてくる吸阪。
「はぁっ!」
咄嗟に吸阪の進行方向上へ氷柱を生やし、接近を阻むと同時に距離を取る。予知で動きが知られる以上、接近戦は分が悪い。ならばどうするか。
「
答えは1つ。遠距離戦だ。左手の動きに合わせて薙ぎ払う様に火炎を放つ事で、氷柱を砕いたばかりの吸阪を更に足止めし―
「動きが読まれようと関係ない。火力で圧倒する!
突き出した左手、それぞれの指先から熱線と見紛う程に圧縮した炎を放つ。親父の必殺技『赫灼熱拳ヘルスパイダー』を俺なりに再現した技だ。
「やばっ!」
流石にバリアで防ぐとはいかないのか、焦った顔で回避に専念する吸阪。時折氷柱の陰に隠れたりもするが、極度に圧縮した炎が触れた途端、氷柱は熱したナイフを当てられたバターのように切断されていく。
そして炎の放出が止んだ時、闘技場に生えていた氷柱は全て、原形を留めない程バラバラの氷塊に成り果てていた。
「いやはや、とんでもない火力。うん、やっぱり真っ向勝負じゃ勝てないな」
「言ってる事の割には、焦った様に見えないな」
「そりゃあ…真っ向勝負以外の方法で勝つからね」
吸阪の言葉に、僅かだが緩めていた警戒レベルを最大まで引き上げる。戦いの流れはこちらにある筈なのに、嫌な予感が拭えない。そして-
「流れは自分にある。そう思っているだろう? 残念だが…それは間違いだ」
そう呟いた吸阪が指を鳴らした瞬間。闘技場に転がっていた氷塊が次々と勝手に浮き上がり、吸阪の周囲を漂い始めた。
「お前が氷柱を切断してくれて助かったよ。あの大きさだと操作するのが一苦労なんでな!」
そうか、吸阪の奴が氷柱の陰に隠れていたのは、炎から逃れるというよりも、氷に磁気を帯びさせる為だったのか!
「いくぜいくぜいくぜぇ!」
叫び声と共に、吸阪は周囲を漂う氷塊に手当たり次第に掌打を叩き込み、電磁加速で俺へ向けて飛ばしてくる。
大きさはバスケットボール大、重さは…8kg前後ってところか。そんな物が時速150kmでぶつかればどうなるかなんて、考えるまでもない。
「舐めるなよ。吸阪!」
だが、それは無抵抗の相手ならの話だ。俺は次々と飛んで来る氷塊を時に避け、時に火球や火炎放射で撃ち落としていく。
そして、全ての氷塊を凌いだ訳だが…。
「…そういう事か!」
その時には、既に吸阪は新たな行動に移っていた。あれは、USJで脳無の動きを封じた!
「超電磁! タ! ツ! マ! キィッ!!」
雷鳥side
「超電磁! タ! ツ! マ! キィッ!!」
氷塊による攻撃を隠れ蓑にする事で時間を稼いだ俺は、轟へ向けて超電磁タツマキを発射した。あの脳無をも拘束した技。命中すればいくら轟といえど…。
「
前言撤回! 轟の奴、あの短時間で拳藤や麗日との戦いで決め技にした、あの竜巻状の衝撃波を放ちやがった!
互いの中間地点でぶつかりあう超電磁タツマキと
「うぉぉぉぉぉっ!」
「ぬぅぅぅぅぅっ!」
徐々に俺が押し始めた。轟、あの技を咄嗟に放ったのは大したもんだが、その分エネルギーチャージが不完全だったな。恐らく、今の威力は本来の7割にも満たないだろう。それならば!
「出力! 全開!!」
俺の最大出力が上をいく! 直後、衝撃波を突破した超電磁タツマキが轟を飲み込み、空中で磔状態にしてその動きを封じる。そこへ-
「トールハンマー! ブレイカー!!」
両手を組む事で出力を増大させた強化版サンダーブレーク、トールハンマーブレイカーを叩き込む!
「…俺の、勝ちだ!」
白煙を上げながら闘技場に落下した轟を見て、右手を掲げる俺。それを見て、一時場外に避難していた
「轟君、戦闘不能!! 吸阪君、決勝進出!!」
決着を宣言した。
これで残るは1試合。出久、先に決勝の舞台で待ってるぜ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。