出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第35話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
出久side
『さぁ、いよいよラスト!!』
『雄英1年の頂点を決めるこの舞台に勝ち進んだのは、この2名!!』
『その
『
でも、雷鳥兄ちゃんの雷神は良いとして…僕がジークフリートだなんて、プレゼントマイク先生も大袈裟だなぁ…。僕は不死身でもないし、竜殺しみたいな逸話だって持ってないのに…。
そんな事を考えている内に、主審のミッドナイト先生も闘技場に上がり…僕達を見つめながら、静かに口を開く。
「今年は長い雄英の歴史の中でも、5本の指に入る程の当たり年。そんな年に主審を務められる事を光栄に思うわ。さぁ、今日最後の一戦! 残った力の全てを出しまくりなさい!!」
「「はい!!」」
ミッドナイト先生の激励に答えると同時に、観客席のボルテージも最高潮まで高まっていく。そして僕達も静かに構えを取り―
『レディィィィィイッ! スタート!!』
吸阪雷鳥。母さんと26歳離れた僕と同い年の叔父さん。僕にとっては師匠であり、オールマイトと同じくらい最高のヒーロー。
今まで1000回以上やってきた組手では、一度も勝った事はない。でも、1000回以上負けたという事は、それだけの回数
「はぁっ!」
踏み込みと共に左の一撃を放つ。雷鳥兄ちゃんは、相手が格闘戦を仕掛けてきた際、その初弾を―
「させるかよ!」
「予想通りっ!」
左の一撃を捌こうとした雷鳥兄ちゃんの右手を掴み、一気にこちらへ引っ張りこむ!
「っ!?」
引っ張りこまれた事で僕の策に嵌った事を察する雷鳥兄ちゃん。だけど、対応させる暇は与えない。
「
体勢が崩れ、無防備になったそのボディに右の一撃を叩き込む!
「ぐはっ!」
声と共に吹き飛んでいく雷鳥兄ちゃんを見て、追撃をかけようとした瞬間。言いようのない不安が脳裏を過ぎる。
冷静に考えてみると、
考え過ぎと否定するには大きすぎる不安。追撃せずに警戒を続けていると―
「………あらら、引っかからないか」
不安は的中。軽い口調で跳ね起きる雷鳥兄ちゃんからダメージは殆ど感じられない。
「防御は間に合いそうに無かったからな。殴られる瞬間だけターボユニットを発動して、
雷鳥兄ちゃんの言葉に、吹き飛び方が綺麗過ぎた理由を理解する。
打撃の瞬間に体を浮かせる事でスマッシュの威力、その殆ど全てを受け流したのだ。綺麗に吹き飛んだように見えたのは、威力を受け流した事の副産物のようなもの。
見た目に騙されて追撃を仕掛けていたら、きっと手痛い
「それにしても…俺がどう動くか、よくわかったな」
「当然だよ。この時の為に、雷鳥兄ちゃんの戦い方は徹底的に調べてきたんだ! 今日こそ、僕が勝つ!」
「言った筈だぜ、出久。まだまだお前の壁になるってな!」
そんな会話を交わしながら、僕達は互いに間合いを詰めていく。そして、間合いに踏み込んだ瞬間―
「
「ライトニングプラズマァ!」
互いの
「はぁぁぁぁぁっ!」
「ちぃっ!」
だから、そのコンビネーションの規則性さえわかれば-
「はぁっ!」
カウンターを叩き込む事も容易い! ダウンこそ奪えなかったけど、膝をつきかけた雷鳥兄ちゃんは、僕から距離を取っていく。
先程とは違い、手応え十分。相応のダメージを与えた筈だ!
「大したもんだよ。出久」
だけど、雷鳥兄ちゃんは余裕の態度を崩さない。それどころか、『かかってこい』のジェスチャーで、僕を挑発してくる。
そう、そうでないと、壁を超える意味がない!
「はぁぁぁぁぁっ!」
こちらから間合いを詰め、雷鳥兄ちゃんの攻撃を掻い潜ってカウンターの一撃を放つ! だけど―
「がはっ…」
いきなりの衝撃。それほど強くはないけど顎を正確に打ち貫かれ、思わず崩れ落ちそうになる。
「くぅっ!」
咄嗟に両手を滅茶苦茶に振り回して、雷鳥兄ちゃんを牽制。なんとか距離を取る。
正直、訳が分からない。カウンターとして放った自分の拳が、何故かカウンターされた。そう、準決勝の時の轟君の様に。
「出久。お前の予測、正に見事の一言だ。類稀な観察力と分析によって、相手の動きを極めて高い確率で予測している。格闘戦じゃ敵無しと言っても過言じゃない」
いつもと同じ軽い口調で近づいてくる雷鳥兄ちゃん。だけど、何故だろう。頭の中で警戒警報が鳴りやまない!
「だけど、それはあくまでも『
「くっ!」
雷鳥兄ちゃんの言う『
「
一気に間合いを詰め、必殺の一撃を繰り出す。普通に考えれば、ここで大技を繰り出すのは得策じゃない。でも、雷鳥兄ちゃんの予知がどんな物か探る為にも、ここは敢えて大技を選択する!
「フッ…」
当然大振りの
「はぁっ!」
スマッシュを避けられた勢いを利用してのフライングニールキック! 今まで一度も使った事のない大胆なコンビネーション。普通なら反応に一瞬の遅れが出る筈!
「甘いな!」
だけど、雷鳥兄ちゃんはこのコンビネーションを苦も無く捌いてしまった。攻撃が全く通用しない事に歯噛みしながらも距離を取り、わかった事を整理する。
初めて見せたコンビネーションを苦も無く捌いた事から、僕が使う分析と統計によって導き出される予測とは全く違う事が確定。
そうすると、本当に未来を予知している? だとすると、その原理は? “個性”によって齎されている事は間違いない筈…。
「雷鳥兄ちゃんの“個性”は『雷神』。電気と磁気を操る…電気…探知…まさか!」
そこまで呟いた時点で、1つの可能性が脳裏に浮かんだ。確証はない。だけど、可能性としては一番高い。だから!
「…生体電流……雷鳥兄ちゃんは、相手の生体電流を読み取って、行動を把握していたんだ!」
僕は仮説を雷鳥兄ちゃんにぶつけた。すると―
「
雷鳥兄ちゃんはあっさりと正解を認めてくれた。だけど、それは事態の好転にはならない。生体電流を読み取るという事は、こちらが行動しようと思考した時点で、どう動くか知られているという事。
少なくとも何の対策も無しに近接格闘を行えば、返り討ちに合う事は必定。だとすれば!
「これだぁ!」
雷鳥兄ちゃんから離れると同時に、フィンガースナップを高速で繰り返して、衝撃波の弾幕を放つ! 生体電流を感知出来る範囲外からの攻撃なら、雷鳥兄ちゃんも予知出来ない!
雷鳥side
「…と、出久は考えているんだろうが、それは悪手だぜ」
出久の放つ衝撃波の弾幕を電磁バリアで防ぎながら、静かに呟く。
たしかにこれだけ離れてしまえば、生体電流の感知は出来ず、予知は不可能になる。そういう意味では遠距離戦を挑むのは正解だ。だが―
「この状況なら、撃ち合いは俺の方が有利!」
「サンダー! ブレーク!」
薙ぎ払うように放った電撃で、衝撃波の弾幕を一気に吹き飛ばし―
「エレクトロ! ファイヤー!」
右拳を闘技場に叩きつけて、電撃を出久へ向けて一直線に走らせる。出久は何とか電撃を回避したが、その顔からは焦りの色が感じられる。
得意の格闘戦は予知で完封され、遠距離戦では力負け。正に八方塞がりだが…。
「お前なら、俺の『予知』程度簡単に突破できる筈だぜ。さぁ、勝利の法則を掴んでみな」
聞こえる筈もない呟きと共に不敵に笑ってみれば、出久の目の色が変わった。そう、それでこそ緑谷出久だ。
ここからが本番。気合を入れ直していこうか!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、決勝戦が遂に決着!
そして表彰式では何かが…!?