出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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短編を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第36.3話:雄英体育祭終了後…

イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

 表彰式で()()()()()()()は発生したものの、雄英体育祭は無事終了。

 HR(ホームルーム)で、明日と明後日が休校になる事。休み明けにはプロからの指名が集まり、職場体験への準備が始まる事。以上2点を俺から告げられた生徒達は家路に就く…事もなく、吸阪と緑谷に殺到して、矢継ぎ早に質問をぶつけていた。教室で騒ぐ事は不合理だが…流石に今回は止むを得んか。

 必要以上に騒がない事を念押しして、俺は教室を後にする。本来なら、少しばかりの書類仕事を済ませて帰宅なのだが…。

 

「……帰りたい」

 

 思いがけずそんな愚痴が漏れ出てしまったが…誰も責めはしないだろう。胃痛と頭痛を堪えながら、俺は根津校長に指定された時間に間に合う様、校長室へ歩みを進めた。

 

 

「………これは…裁判か何かですか?」 

 

 校長室に入った途端、思わず言葉が漏れる。

 椅子に座った根津校長とリカバリーガールが睨む先には、正座した痩身状態(トゥルーフォーム)のオールマイトがひたすらに恐縮していた。

 そんな光景を目の当たりにして、無意識に胃の辺りを押さえていると…。

 

「やぁ、相澤先生。よく来てくれたね。さぁさぁ、掛けたまえ」

 

 校長から着席を促された…無言で頷き、リカバリーガールの横に着席する。

 こうして、オールマイトへの査問会(お説教)が始まった。

 

「さて、オールマイト。なぜこんな事になったか…その自覚は……勿論あるよね?」

「は、はい…やはり、その…表彰式での、カミングアウト…でしょうか?」

「それ以外に何があると言うのさね! あるなら言ってごらんよ!!」

「は、はいぃぃぃっ! も、申し訳ありません!!」 

 

 怒りを露にするリカバリーガールに平身低頭で謝るオールマイト。正直言って、ナンバー(ワン)ヒーローの威厳も何もあったもんじゃない。

 

「…オールマイト。あのカミングアウトは()()()()()()によって行われたもの。その事はよく解っている。でもね…善意に基づいた行動であっても、相手に不利益を与える事もある…そこは理解していて欲しかったね」

「あんたの短慮で、あの2人はこれから常に『オールマイトの弟子』という肩書きが付いてまわる。一挙手一投足が注目され、期待や羨望、奇異、嫉妬、様々な視線にも晒される事になる。マスコミにだって追い回されるだろうね。プロならそれも当然さ。でも、あの2人はまだ学生、アマチュアなんだよ」

「それに君の弟子となれば、(ヴィラン)にとっても恰好の獲物だ。まぁ、彼らだけでなく、親族に対しても相応の対策を講じなければならないだろうね」

「……私が浅はかでした!!」

 

 根津校長とリカバリーガールから同時に責められ、床に額を擦りつけながら、自分の短慮を悔やむオールマイト。

 はぁ……少しばかり手を差し伸べても、批判はされないか…。

 頭の中で素早く考えを纏め、根津校長に声をかける。

 

「校長、()()()を吸阪と緑谷に適用する事は可能でしょうか?」

「例の件? あぁ…なるほど。それはいいね。ただ…彼ら2人だけに適用するとなると、余計な憶測を招きかねないよ」

「それなら2人だけでなく、轟にも適用させます。USJにおける(ヴィラン)襲撃での活躍と、体育祭の好成績で、実績は十分です。あと、飯田にも適用させたいところですが…」

「彼は体育祭での成績は問題ないね。だけど、それ以前の実績が少し弱い…今回は難しいだろうね」

「では、吸阪、緑谷、轟の3名に適用させるという事で」

「うん、校長として許可するよ」

 

 よし、これで吸阪と緑谷は緊急時の対応が少しは取りやすくなる。あとは…。

 

「オールマイト、助け舟を出してくれた相澤先生に感謝するんだよ」

 

 ………校長、何を言ってるんですか。オールマイトも拾われた子犬みたいな目を向けないでくれ。

 

「………助け舟を出したつもりはありません。ナンバー(ワン)ヒーローの情けない姿をこれ以上見る事が、非合理的だった。それだけです」

 

 根津校長とリカバリーガールからの視線に耐えられなくなった俺は、書類仕事が残っている事を言い訳にして、校長室から退室する。

 ドア1枚隔てた室内から『身辺警護に長けたヒーローと契約』、『費用はオールマイトの給料から天引き』等と聞こえてくるが…まぁ、話が纏まれば情報も入ってくるだろう。

 帰りに頭痛薬と胃薬を買う事を心に決めつつ、俺は書類仕事に精を出す。あと30分で終わらせよう。それ以上の残業は非合理的だ。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あと2話短編を投下した後、職場体験編に突入いたします。
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