出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第47話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
また、キャラクター設定集を第47話終了時点の情報に更新しております。
エンデヴァーside
「職場体験に来ていた学生が、ヒーロー殺しに遭遇しただと!?」
陣形を組み、2体の脳無を含む
「は、はい! それで急いで彼の元へ向かおうとしたのですが…その、この状態で…」
「むぅ…連絡が途絶してどの位経つ?」
「間もなく、4分になります!」
「4分…猶予はないな。すぐにでも救援に向かわねば…」
マニュアルにそう答えながら、こちらの戦力から救援に割ける人数を割り出し、指示を下そうとしたその時-
「ッ!」
「エンデヴァー! 何かヤバイ奴が来ます!」
第六感とでも呼ぶべき俺の感覚が
すぐさま100m程先に黒い
「ナンバー
「お前! USJの時の!」
黒霧と名乗る
「おや、雄英体育祭で活躍されたお三方も、
黒霧は気取った仕草で
「死柄木弔からのメッセージをお伝えします。我ら
高らかにそう宣言した。それと同時に増援の
「アブソリュート! ライコウ! それにグリュンフリート! お前達3人が先行し、ヒーロー殺しの元へ向かえ!」
俺の叫びにすぐさま頷き、動き出す
「心配するな! 3人の実力は、このエンデヴァーが保証する。そして万が一の際には…
この一言で、とりあえずは納得したようだ。頼んだぞ、
雷鳥side
「
「うん!」
「わかった!」
向かって来るヒーロー殺しに対し、俺達は正面に俺、右翼に
「シィィィッ!」
一番最初に間合いに入った俺に対し、ナイフを振るうヒーロー殺し。それに対し、俺は左腕を突き出しながら籠手のギミックを発動。蛇腹状に畳まれていたパーツが展開し、小型の円盾を形作る事でナイフの一撃を受け止める。その間に―
「今だ!」
「チッ…」
ヒーロー殺しは咄嗟に、まだ射程内にいた
「させねぇよ!」
残念。その程度なら俺の電磁バリアで十分に止められる。2人が飯田達を安全圏まで避難させたのを確認し、電磁バリアを展開したまま俺自身も後退。
路地裏から通りへと出た所で、
「飯田とネイティブさんは?」
「とりあえず、俺が作った氷の壁でガードしている。突貫工事だが、それなりの防御力はある筈だ」
「ハァ…
そこへユラリと路地裏から姿を現すヒーロー殺し。一見隙だらけに見えるが…迂闊に飛び込めば返り討ちだな。だが…奴の口ぶりは…。
「お前、
あ、俺より先に轟がツッコミを入れたか。果たして、ヒーロー殺しの返答は…。
「文句…ハァ…大有りだね。ナンバー
「ヒーローとは見返りを求めてはならない! 自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない! そう、オールマイトのように!」
狂気に満ちた赤い瞳を輝かせ、己の持論を捲くし立てるヒーロー殺し。あぁ、こいつは駄目だ…完璧に
「親父は決して完璧じゃない…むしろ欠点だらけな人間だが、人殺しのお前に侮辱されるのは、見逃せねぇな」
「エンデヴァーもインゲニウムも、多くの人を救ってきた立派なヒーローだ! お前に否定する資格なんかない!」
「ハァ…言葉などもはや不要。俺は俺の成すべき事をやるまでだ…」
2本の大型ナイフを右手は順手、左手は逆手で持ち、ジリジリと間合いを詰めてきた。その視線が狙うのは、俺達の先にある氷の壁。どうやら、まだ
「やるぞ。
上等だ。止まる気が無いなら、俺達が止めてやる!
エンデヴァーside
「脳無に対しては、単独での攻撃は控え、3人以上で波状攻撃を仕掛けろ!」
チンピラが振り下ろしてきた金属バットを炎を纏った手で受け止め、熱した飴のように曲げながらサイドキック達に指示を下す。
そんな連中だから、指示は
「ファイヤーストライク!」
「ビートソニック!」
「フルバーストだ!」
事実、翼の生えた脳無には、『火球』の“個性”を持つルージュが、ボレーシュートの要領で蹴り込んだのを皮切りに、『アンプ』の“個性”を持つビートが、ギター型アイテムを掻き鳴らして放つ指向性衝撃波を、更に『誘導弾』の“個性”を持つダブルトリガーが、二挺拳銃から発射するゴム弾を次々に叩き込んで撃墜。
「カトルフィッシュキック!」
一方の黒い脳無には、『烏賊』の“個性”を持つクラーケンが、自身の触腕10本の内6本をその体に巻き付け、その動きを抑制しつつ、残る4本の触腕と両足をフルに使って顔面へ連続蹴りを食らわせ―
「ポイズンスティング!」
『雀蜂』の“個性”を持つレッドワスプが、右腕から生えた毒液の滴る鋭い針を左の脇腹に突き刺し―
「2人とも離れろ! マッスルラリアット!」
更に『ゴリラ』の“個性”を持つナックルコングが、2人が離れるのと同時に強烈なラリアットを首元へ叩き込み、黒い脳無を吹き飛ばす!
「すげぇ! 流石はエンデヴァー事務所のサイドキック!」
その光景を見ていた地元のヒーローが感嘆の声を挙げ、戦いの天秤がこちら側へ傾きかけたが―
「-^p;@&#~!」
「=~*|{*%#!」
2体の脳無は、『再生』の“個性”で受けたダメージを癒しながら立ち上がり、奇声を上げる。
「あの攻撃で仕留めきれんか…タフさ加減は大したものだ」
脳無の性能に内心舌打ちしつつも、サイドキック達と入れ替わるように脳無の前へ出る。すると―
「-^p;@&#~!」
「=~*|{*%#!」
2体の脳無も俺に向かって突進してきた。同時攻撃で俺を仕留めるつもりか…上等だ。
「まとめて相手をしてやろう!」
「赫灼熱拳! ジェットバーン!!」
まず、黒脳無へ向けて拳を振るい、発射した炎の塊をそのボディへ叩き込む! そのまま翼脳無にも攻撃を放とうとするが―
「こいつは任せろ!」
それよりも早く、ロケットのようなスピードで跳び出したグラントリノが、翼脳無の頭上を取り―
「そぉらよっ!!」
がら空きの背中に一撃を叩き込んだ! アスファルトが砕ける程の勢いで道路に叩きつけられた翼脳無は、口から大量の血を吐きながらのたうち回り、遂に力尽きた。
「ちっ、道路割っちまった…久々だと加減が上手くいかんな」
「いや、見事なお手並みを見せていただき、感服しました。グラントリノ」
力加減を間違えたとぼやくグラントリノだが…あれほどのスピードと急所を一撃で打ち抜く正確性の両立は、なかなか出来るものでは無い。
「脳無は無力化した! 残るは有象無象の雑魚のみ! 1分1秒でも早く片付け、ヒーロー殺しの元へ急ぐぞ!」
最高戦力である脳無を2体とも失い、明らかに動揺している
さぁ、油断せずに手早く終わらせるとしよう。
雷鳥side
この期に及んでも尚、ネイティブさんを狙うヒーロー殺しに立ち向かった俺達だが、3対1という数的に有利な状況にも関わらず、苦戦を強いられていた。
理由は大きく分けて3つ。1つ目はヒーロー殺しの“個性”だ。実際に食らった飯田からの情報によると、
だが、かすり傷程度の出血でも
2つ目はヒーロー殺しのスピードだ。正直言って、レシプロバースト発動中の
平然とした顔で垂直の壁を疾走しながら電撃や炎を回避するわ、2段ジャンプをやってのけるわ…まるで忍者だ。
そして3つ目は…USJや職場体験のパトロールで遭遇した
殺気に怯えて動きを鈍らせる。そんな無様な姿を晒す事はないが、それでも余計な消耗を強いられる事は間違いない。
今はそれぞれの死角をカバーしあう事で凌いでいるが…ハッキリ言って長期戦は不利だ。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
「
右手に装着した氷の手甲鉤で攻撃を仕掛けるが―
「手甲鉤…攻撃範囲が広く、威力も申し分ない…だが、その大きさ故に大振りな攻撃しか出来ない」
ヒーロー殺しはその攻撃を回避しながら、右手に持った刀で手甲鉤の刃部分を斬り落とす。
「そして、攻撃範囲の内側に入ってしまえば…無力となる」
更に左手のナイフを振り上げながら、
「マグネ・マグナム!」
間一髪。俺の放ったベアリングボールが牽制となり、その動きを一瞬止める事が出来た。その間に
「ハァ…俺を仕留めたいなら、ライフル弾でも用意するんだな」
ヒーロー殺しは刀とナイフを振るい、発射したベアリングボール全てを叩き落してしまう。一応22口径の拳銃弾と同じくらいの威力と弾速あるんだけど…。
「すまねぇ、
「気にするな。ヒーローは助け合いだよ」
俺達を仕留めきれない事に、
なんとか天秤をこちらに傾ける必要があるが…一か八か試してみるか。
覚悟を決めた俺は、
「いやぁ、流石はヒーロー殺し。ここまで苦戦するとは思わなかった」
「アンタの理想? 信念? それの是非は別にして…思いの強さには色々と考えさせられるよ」
ノーガードのまま、そう問いかけた。さぁ、どう返す? ヒーロー殺し。
「……何が狙いだ?」
「別に…ただ、純粋な疑問が1つあってね。答えてくれるとありがたい」
「…言ってみろ」
「お言葉に甘えて」
想定していた中で
「アンタの理屈だと、オールマイトこそが真のヒーローで、他のヒーローは贋物。そしてアンタはそんな贋物の存在が許せなくて、
「…わからない? 何がだ」
「どうしてアンタは
「………」
「アンタが贋物と蔑んで、命を奪い、再起不能にしたヒーロー達も、誰かを助け、誰かの希望になれる存在だった。アンタのやってる事は結局、誰かの希望を奪っているだけに過ぎない!」
「………ハァ、所詮子供にはわかるまい…これは俺の長きにわたる思考の果てに導きだした結論」
「思考の果て…物は言いようだな。正直に言えよ。自分は
「…貴様の問いに興味を持った俺が浅はかだった」
次の瞬間、問答の間弱まっていたヒーロー殺しの殺気が一気に膨れ上がる。そして―
「我が信念への侮辱…命で償え」
刀を上段に構えたヒーロー殺しが、一気にこちらへ突っ込んできた。そのスピードは今までと同じかそれ以上。だが―
「心の乱れは太刀筋を鈍らせる。よく言ったもんだ!」
俺の煽りで多少なりとも精神に乱れを生じたのか、奴の動きはそれまでより多少解り易くなっていた。そんな状態なら、どうとでも対応できる!
「はぁぁぁぁぁっ!」
「シィィィィィッ!」
直後振り下ろされた刀を、俺流フルカウルを発動する事で反応速度を高めた俺は、紙一重で回避し―
「ライトニングスラッシュ!」
電撃を纏った手刀で、刀身を真っ二つに叩き折る!
「ちぃっ!」
破壊された刀を投げ捨て、新たにナイフを抜こうとするヒーロー殺しだが、そのコンマ数秒の隙が命取りだ。
「はぁぁぁぁぁっ!」
次の瞬間。気合と共に
「ダブル
その無防備なボディに左右同時に放つ
「ゲボォッ!」
吐瀉物を撒き散らしながら10mほど吹き飛び、ビルの壁に叩きつけられるヒーロー殺し。普通なら、これで
「に、贋…物が蔓延る…この、社会も…」
まだ立ち上がるか…所謂、精神が肉体を凌駕しているってやつだが…それも
「これで終わりだ…
直後、
「ふぅ…終わったな」
「あぁ…」
「終わったね…」
気絶したヒーロー殺しを、右腕の籠手から引き出したワイヤーで拘束しながら、
「すまない。プロの俺が何も出来ず、足手まといのままだった…」
そこへ飯田の肩を借りて、ネイティブさんがやって来た。肩と太ももの傷はかなり深いが…とりあえず命に別状はなさそうだ。
「いえ、1対1でヒーロー殺しの“個性”だと、もう仕方ないと思います。正直、強過ぎる」
「あぁ…俺達が勝てたのも、3対1でなかなか仕留めきれずに、奴の中で焦りが生じた事と、
「とりあえずは、皆無事なんだ。今はそれを喜ぶとしようぜ」
頭を下げるネイティブさんに、俺達はそれぞれフォローを入れながら、地べたに座り込む。きっと今頃、エンデヴァーやグラントリノが、脳無や他の
俺達はヒーロー殺しが目を覚ましても対応できるよう、注意しながらも体を休めるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。