出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
第52話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。

なお、掲載に伴い、キャラクター設定集を更新しました。


第52話:期末試験ー組み合わせ発表ー

雷鳥side

 

 八百万の家で行われた合同勉強会から時は流れ…遂に期末試験が始まった。

 まずは、3日間に分けて実施された普通科目。こちらは合同勉強会の成果もあり、全員がそれぞれなりの手応えを感じられたようだ。

 そして、翌日。演習試験本番。

 

「それじゃあ、演習試験を始めていく」

「この試験でも、もちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃ、みっともねぇヘマはするなよ」

 

 戦闘服(コスチューム)を纏った俺達を前に、いつも通りの淡々とした口調で説明を開始する相澤先生。だが、いつもと違う点がある。

 それは、相澤先生の背後に雄英高校が誇る強力な講師陣(プロヒーロー達)が控えている事。まぁ、前世の記憶通りだな。そして―

  

「まぁ、諸君なら事前に情報仕入れて、何するか薄々わかっているとは思うが…」

「でも残念! 諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」 

 

 校長先生が相澤先生のマフラーの中から出てくるのも、想定の範囲内だ。さて、組み合わせはどうなる事やら…。

 

 

イレイザーヘッド(相澤消太)side

 

 根津校長が生徒達に試験内容の変更を説明する中、俺は先日行われた職員会議の内容を思い出していた。

 (ヴィラン)活性化のおそれと、それに伴う対(ヴィラン)戦闘の激化。

 それを考えた場合、現状のロボットを相手にした戦闘訓練は実戦的とは言えず、これからは対人戦闘・活動を見据えた…より実戦に近い教育が必要となる。

 会議で決定したその方針に従い、今回の演習試験から内容が変更となった訳だが…。

 

「というわけで…諸君らにはこれから、2人1組もしくは3人1組(チームアップ)で、ここにいる教師1人と戦闘を行ってもらう!」

 

 校長からの説明を聞く生徒達からは、動揺の類は一切見られず、むしろ()()()()とでも言いたげな雰囲気すら漂っている。

 さりげなく全員の顔を見回してみれば…俺と視線が合った瞬間、不敵な笑みを浮かべた者が1名。吸阪…なるほど、そういう事か。

 教え子達が教師陣(こちら)の動向を読み、体育祭と同じように相応の準備をしてきた。その事に内心賛辞を送りながら、表情には出さないよう細心の注意を払い、俺は校長から説明のバトンを受け取る。

 

「なお、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度…その他諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ」

「まず、轟と八百万がチームで、相手は…俺とだ」

 

 首に巻いた捕縛武器を解きながら、ニヤリと笑みを浮かべる俺に怯む事無く頷く轟と八百万。そうだ、それで良い…教師陣(俺達)の想定を超えてみせろ。

 

「次に、蛙吹と常闇がチームで、相手は」

「我ダ」

「エクトプラズム先生が相手とは…全力を持って戦うのみ!」 

「そうね、一緒に頑張りましょう。常闇ちゃん」

 

 前に立つエクトプラズムさんに怯む事無く、声を出す常闇と蛙吹。頼もしい限りだ。   

 

「口田と耳郎がチーム。相手は」

「Hey! Boy&Girl! いっちょ揉んでやるから覚悟しな!」

「やっぱり、プレゼント・マイク先生か…正直、格上のイメージないけど…全力でやるよ。口田」

「………」

 

 こんな時も平常運転なプレゼント・マイク(山田)に、呆れ気味な耳郎。気持ちはわかるが、そいつを甘く見ていると痛い目を見るぞ…。 

 

「瀬呂と峰田がチーム。相手は」

「私よ。坊や達」

「うっひょー! やったぜ、瀬呂! 俺達、大当たりだ!」

「…この状況で喜べるお前の図太さが羨ましいぜ…」

「ウフフッ、たっぷり可愛がってあげるわ…そう、()()()()ね」

 

 峰田…ミッドナイトさんを甘く見ているなら、それは大きな間違いだ。そして、瀬呂。ペアの相手に関しては………ま、運が悪かったな。

 

「切島と砂藤がチーム」

「相手は俺だよ」

 

 そう言って、切島と砂藤の前に立ち塞がるセメントス。2人とも、セメントス(そいつ)は難易度高いから、負けずに頑張るように。

 

「障子と葉隠がチーム、相手は」

「俺だ。悪いが狙い撃たせてもらう」

「…そう簡単に当たるつもりは」

「ないのです!」 

 

 早速スナイプと火花を散らす障子と葉隠。闘争心を表に出す事は悪い事じゃない。どんどん出していけ。

 

「飯田と尾白がチーム。相手はパワーローダーさん」

「全力でやるから覚悟しな!」

 

 声を上げるパワーローダーさんに対し、無言の飯田と尾白。静かに燃える。それも悪くない。 

 

「青山、芦戸、麗日がチーム」

「相手は僕が務めさせてもらいます」

 

 そう言って、前に出てくる13号。1人だけ3人相手だが、こいつなら大丈夫だろう。

 

「このチームは3人なので、制限時間などに一部変更点がある。詳細は試験開始前に伝える」

「そして、最後。吸阪と緑谷がチーム。相手は」

「私がする! 勝ちに来いよ。お2人さん!!」

「当然、最初からそのつもりですよ!」

「今の僕達の全力をぶつけます! オールマイト!」

 

 3人のやり取りが終わったところで、俺は残った説明を済ませる為、再度口を開く。

 

「なお、名前の呼ばれなかった心操に関してだが…編入して1ヶ月にも満たない状態で、実戦に近い演習試験を行うのは、流石に危険すぎると校長が判断した。よって後日特別試験を行い、それを演習試験の代替とする」

「特別試験…」

「言っておくが、難易度そのものは演習試験と変わらない。甘く見ない事だ」

「はい!」

 

 よし、これで俺の説明は終わりだ。再び校長にバトンを渡すとしよう。

 

 

雷鳥side

 

「試験の制限時間は30分! 君達の目的は、このハンドカフスを教師に掛ける。もしくはチームの1人がステージから脱出する事さ!」

 

 試験のルールを説明する校長の声が高らかに響く。

 

「先生を捕らえるか脱出する…か。戦闘訓練と似てるな」

「本当に逃げても良いんですか?」

「うん!」

「とはいえ、戦闘訓練とはワケが違うからな! 相手は! ちょぉぉぉぉぉぉぉぉう! 格上!」

「格……上…やっぱりイメージ湧かない」

Dummy(馬鹿たれ)! Hey girl, (そこの女子、)watch your mouth(口が過ぎるよ)! You hear(おわかり)?」

 

 そんな中行われた耳郎とプレゼント・マイク先生のやり取りは…ある種の癒しだな。

 

「今回は極めて実践に近い状況での試験! 僕らを(ヴィラン)そのものだと考えてください!」

「会敵したと仮定し、そこで戦い、勝てるならそれで良し。だが!」

「実力差が大きすぎる場合、逃げて応援を呼んだ方が賢明な場合もある…」

「そう! 君らの判断力が試される!」

 

 13号先生、スナイプ先生、相澤先生、そしてオールマイトの言葉が綺麗に繋がり、1つの文章となる。そして―

 

「でも、こんなルール。逃げの一択じゃねぇ? と思っちゃいますよねぇ?」

「そこで私達、サポート科にこんな物作ってもらいました!」

 

 なぜか、下手な通販番組の進行みたいなノリで、何かを取り出すオールマイト。あれは…。

 

「ちょぉう、圧縮おーもーりー!」

 

 ………オールマイト、その喋り方は危険です。何故か解らないけど! すごく危険です!

 俺の心の声は伝わらないまま、オールマイトはその超圧縮おもりを装着し、説明していく。

 

「体重の約半分を装着する。ハンデってやつさ。古典だが、動き辛いし、体力は削られる」

 

 なるほど、そういうハンデがあったわけか。ルール説明の部分は前世の記憶から抜け落ちていたからな。こういう説明はありがたい。しかし、体重の半分ね…。

 

「先生! 質問があります!」

「なんだ、吸阪」

「いや、その超圧縮おもりですけど……他の先生方はともかく…オールマイトにたかだか、体重半分程度の重りって、正直ハンデになってないと思いますが」

 

 ふと思った事を真正面からぶつけてみる。オールマイトが思ったより重とか呟いていた気がするが…速攻で無視だ!

 

「………」

「………」

「………」

 

 俺の質問に黙り込む教師陣。いや、まさか、誰もこの事想定していなかったのか!?

 

「………あー、2人には少々厳しい事になるが、これも“Plus Ultra(更に向こうへ)”の精神で乗り越えてほしい」

 

 くっ、相澤先生の一言で、この疑問は流されてしまったか…まぁ、仕方ない。全力を尽くすだけだ。

 

「よし、チームごとに用意したステージで1戦目から順番に演習試験を始める。1戦目は切島と砂藤のチームだ。準備しろ」

「「はい!」」

「出番がまだの者は、試験を見学するなり、チームで作戦を練るなり好きにしろ。以上だ」

 

 そう言って相澤先生達は試験準備に入る。俺達も早速動くべきだが、その前に―

 

「先生方! すみませんが1分だけ時間をください!」

「なんだ吸阪。時間は有限だぞ」

「すみません! すぐに終わりますから!」

 

 相澤先生の睨むような視線に頭を下げ、俺はクラスメートを集め―

 

「古典的だが…皆手を出してくれ」

 

 円陣を組み、それぞれが出した手を重ねていく。 

 

「俺達全員! 演習試験、そして特別試験を突破するぞ! 今の俺達ならそれが出来る筈だ!」

「全員合格! 1-A! ファイト!」

 

 俺の声に答え、出久達19人が声を上げる。さぁ、演習試験の始まりだ! 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回より、演習試験本番に入ります。
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