出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

74 / 120
新年明けましておめでとうございます。

お年玉代わりにもなりませんが、第61話を投稿します。
今回は雷鳥&出久君vsオールマイトの導入ということで、いつもより短めとなっております。

お楽しみいただければ、幸いです。

なお、掲載に伴い第52話から60話までのタイトルを一部変更しております。


第61話:期末試験ー最終戦その1ー

雷鳥side

 

「第8戦の参加者が戻って来た。吸阪、緑谷。これからオールマイトさんと一緒に、最終戦の会場へ向かってもらう」

 

 青山、芦戸、麗日、13号先生(第8戦の参加者)モニタールーム(ここ)へ戻ってきた途端、俺と出久に指示を送る相澤先生。ホント、合理主義の塊だよ。

 

「よし、行くぜ。出久」

「行こう。雷鳥兄ちゃん」

 

 俺と出久は互いの拳をぶつけ合い、外で待つマイクロバスへと歩き出す。そこへ―

 

「頑張れよ! 吸阪! 緑谷!」

「オールマイト相手でも、お前達なら合格出来るって信じてるからな!」

 

 切島と砂藤からのエールを皮切りに―

 

「吸阪、緑谷……お前達ならきっと、大丈夫だ」

「お2人とも…御武運をお祈りしますわ」

 

 轟と八百万が―

 

「良い流れはキッチリ繋いできたぜ。頑張れよ!」

「ヘッ、オイラ達も合格出来たんだから、バッチリ決めろよ!」

 

 瀬呂と峰田が―

 

「2人の戦いぶり、最後まで見届けさせてもらう」

 

 常闇が―

 

「吸阪君! 緑谷君! 武運を!」

「2人にこんな事言うのは、釈迦に説法かも知れないけど…平常心で」

 

 飯田と尾白が―

 

「2人とも、頑張って」

「ここまできたら、9戦全勝で試験終わらせよう。ウチ等全員、信じてるからね」

 

 口田と耳郎が―

 

「信じているぞ。吸阪、緑谷」

「2人とも頑張ってね!」

 

 障子と葉隠が―

 

Je vous souhaite bonne chance(健闘を祈るよ)!」

「全員で林間合宿行こうね!」

 

 青山と芦戸が―

 

「吸阪ちゃん、緑谷ちゃん。怪我だけは気をつけてね」

「2人が絶対合格出来るって、信じてるから!」 

 

 そして梅雨ちゃんと麗日が、それぞれなりのエールを送ってくれた。

 

「皆…ありがとな。良い感じにパワー貰った!」

「全力を尽くしてくるよ!」

 

 俺達は皆からのエールにそう答え、既にオールマイトが乗り込んでいるマイクロバスへと乗り込んだ。

 

「すみません、オールマイト。お待たせしました」

「いや、それ程待ってはいないさ。それに、良い物を見させてもらったよ」

「恐縮です」

 

 そんな会話を交わしている内に走り出したマイクロバス。試験会場まで5分って所かな。

 

 

出久side

 

「吸阪少年、緑谷少年、私は君達に謝らなくてはならない」

 

 マイクロバスが走り始めて数分経った頃、突然オールマイトがそんな事を言い出した。

 

「正直言って、私は良い師匠とはお世辞にも言えないだろう。教え方は感覚的で擬音語だらけ。USJの時も、ヒーロー殺しの時も、

そばにいてやる事すら出来なかった。本当に…申し訳ない」

「そんな、オールマイトが謝るような事では…」

「自覚が芽生えただけでも成長だと思いますよ」

「グハッ! 相変わらず手厳しいね…吸阪少年…」

 

 雷鳥兄ちゃんの容赦ない一言に、思わず喀血するオールマイト。相変わらず雷鳥兄ちゃんはブレないなぁ…。

 

「と、とにかく! 今回の試験では、少しでも師匠らしい事が出来る様に全力を尽くす! 2人も全力をぶつけてきて欲しい!」

「愚問ですね。オールマイト相手に手加減出来る程、器用じゃありません」

「僕も全力を尽くします!」

 

 僕達の答えを聞き、満足気に頷くオールマイト。ちょうどバスも試験会場に到着した。試験開始はもうすぐだ!

 

 

雷鳥side

 

 試験会場に到着した俺達は、オールマイトが準備を整えるまでの僅かな時間を利用して、事前に練っておいた作戦を確認した訳だが―

 

「ゲートを潜ってのクリアは…無しだな」

「無しだね。そもそもオールマイトから逃げ切れるとは、到底思えないし」

 

 選択するのは、勝負。カフスを掛けての合格(クリア)を目指す。 

 

『それじゃあ、1-A期末テスト、最終戦。吸阪・緑谷ペア対オールマイトの試合を始めるよ! スタート30秒前!』

 

 その時、聞こえてくるリカバリーガールのアナウンス。俺と出久は同時に戦闘体勢へに入り―

 

『スタート5秒前! レディィィィィゴォ!!』

 

 試験開始と同時に走りだそうとした。その時!

 

「ッ!?」

 

 悪寒(・・)。そうとしか表現出来ないものが、全身を走った。俺は咄嗟に出久の前へ出ると―

 

「出力! 全開!!」

 

 最大出力で電磁バリアを展開した。次の瞬間、爆音と共に俺達へ襲いかかる強烈な衝撃波。

 周りのビルの窓ガラスが一斉に割れ、地面のアスファルトは砕け散り、停められていた車は、まるで玩具のように吹き飛ばされていく。

 そんな衝撃波を何とか堪えきり、その発生源と思わしき方向に視線を送れば、そこには―

 

「さぁ、お2人さん。脅威(ワタシ)が行くぞ!」

 

 そう言って、不敵に笑うオールマイトの姿。どうやらさっきの衝撃波は、左ストレートを繰り出す事で放ったものらしい。

 300mは離れているのに、この威力。今の俺達(・・・・)には、どうやっても出来ない芸当だ。そして―

 

「街への被害など、クソくらえだ!」

 

 1歩1歩近づいてくるその全身から発せられる威圧感は、ヒーロー殺しに匹敵…いや、それ以上だ。

 正直な話、さっきから全身に鳥肌が立って、収まらない!

 

「試験だなんだと考えてると、痛い目みるぞ。私は(ヴィラン)だ。ヒーローよ。真心込めてかかってこい!」

 

 そう言うが早いか、一気に最高速度へ加速して、こちらへ突っ込んでくるオールマイト。220cm、255kgの超重量級でこのスピード。出鱈目にも程があるだろ!

 

 

梅雨side

 

「な、な、なんだよ! あの衝撃波! 吸阪がバリア張ってなかったら、あれで終わってたぞ!」

 

 オールマイトの繰り出した衝撃波。その威力の大きさに驚きの声を上げる峰田ちゃん。他の皆も声こそ出さないまでも同じ感想を抱いているみたいね。だけど…

 

「オールマイト、オールマイト! クソッ、インカムがお釈迦になったか…」

「オイオイ、イレイザー。いくらなんでも少しばかりヤバくねぇか?」

「ウム、流石ニ超圧縮重り(ハンデ)ガ少ナ過ギタナ…」

「先輩、今回ばかりは、“Plus Ultra(更に向こうへ)”の精神で何とか…と言うのは無理があったのでは?」

「………その件に関しては後回しだ」

 

 先生達の方が何やら騒がしいのが、気になるわね…。

 

「ねぇ、梅雨ちゃん」

「どうしたの? お茶子ちゃん」

「うん、上手く言えないんだけど…なんだか、凄く嫌な予感がするんだよね…」

「………偶然ね。私もよ」

 

 吸阪ちゃん、緑谷ちゃん。2人がどうか、無事に試験を終える事が出来ますように…。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。

昨日、2020年1月5日で、拙作『出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。』が連載開始から1年を迎える事が出来ました。

これも偏に、読者の皆様のおかげです。
まだまだ未熟ではありますが、これからも執筆活動を頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。

そして、今後の予定ですが…原作10~11巻、神野区の悪夢編を書き終えた辺りで、第1部完とし、仮免試験編以降は第2部として執筆していこうと考えております。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。