出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
今回はその導入として短編を投稿します。
第65.7話:Iアイランドへの招待
雷鳥side
「えぇーっ! 吸阪と緑君、Iエキスポのプレオープンに招待されたの!?」
昼休み、いつものように大食堂で重箱弁当*1を振る舞っていたところに響く芦戸の声。
「芦戸、声が大きい。周りに迷惑だ」
「あっ、ごめん…」
芦戸に注意しながら、何事かとこちらに視線を送ってくる周囲に、軽く頭を下げて謝罪の意を示しておく。
「それで、なんで2人は招待されたの?」
「雄英体育祭優勝者は、毎年招待されてるそうだ」
「だから厳密に言うと、招待されたのは雷鳥兄ちゃんで、僕はその同伴者って事になるね」
「なるほどー! 」
俺と出久の説明に納得する芦戸。周りの皆も声にこそ出さないが、納得と言わんばかりの表情を浮かべている。
「あっ、吸阪、質問!」
そこへ手を上げてきた葉隠。何故だかわからないがシュバッ! という擬音が浮かんでいるような気がする。閑話休題。
「ストレートに聞いちゃうけど…梅雨ちゃんを誘おうとは思わなかったの?」
葉隠の言葉に、その場にいた出久と梅雨ちゃんを除く全員*2の目の色が変わる。
そして、梅雨ちゃんはいつものポーカーフェイスだが…うん、正直に話さないと
「そうだな…正直な話。その事を考えなかったと言えば、嘘になる」
俺の言葉に、周囲からおぉっ!とどよめく声が聞こえるが、俺は敢えてそれを無視して言葉を紡いでいく。
「だが、俺達はまだ高校生だ。未成年の男女が2人っきりで泊りがけの旅行に行くなんて、あまり
俺なりに考えて出した結論。果たして皆の、そして梅雨ちゃんの反応は…。
「吸阪…真面目か!」
「でも、吸阪らしくはあるよね! 梅雨ちゃんとしてはどう思う?」
「そうね…そういう理由なら納得だわ」
「悪いね。梅雨ちゃん。この埋め合わせは近い内に必ず」
「それじゃあ、夏休み中に…お買い物と映画にでも付き合って貰おうかしら」
「
「楽しみにしてるわね。ケロケロ」
ふぅ、なんとか無事に収まったな。極力表情に出さないよう気を付けながら、内心安堵していると―
「おぉ、ここにいたのか! 吸阪少年、緑谷少年」
HAHAHA!と笑いながら、オールマイトが大食堂にやって来た。
「オールマイト、何か御用ですか?」
「あぁ、実は2人に渡したい物があってね」
「渡したい物?」
このタイミングで渡したい物…それって、
「実は、知人からIエキスポのプレオープンに招待されてね。その知人から、吸阪少年と緑谷少年も是非連れて来て欲しいと頼まれたのだよ」
「それって…」
「うむ、送られてきた招待状は3枚! 2人の都合が合うならば、是非とも一緒に来てほしい!」
うん、予想通りだ。それにしてもオールマイト…。
「オールマイト…非常に申し上げにくいのですが……俺にも送られてきてます。招待状」
「え………HAHAHA! 私とした事が
この反応…素で忘れていたな。
「そうなると、この2枚の招待状は無駄になってしまったな。さて、どうしたものか…おっ! そうだ! 吸阪少年! 緑谷少年! 私にいい考えがある!」
そう言うとオールマイトは、3枚の招待状の内2枚を俺と出久に1枚ずつ渡し―
「2人とも1人ずつ同伴者を連れてきたまえ! そう、
満面の笑みでそう言うと、大食堂を出て行った。
「………雷鳥兄ちゃん」
「あぁ、まあ…
出久の声にそう答え、俺は深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。そして―
「梅雨ちゃん。こんな形になったけど、Iエキスポ…一緒に来てくれるか?」
「麗日さんが良かったら…一緒に」
俺と出久は同時に招待状を差し出した。果たして、結果は…
「吸阪ちゃん…」
「緑谷君…」
「「喜んで」」
こうして、夏休み。オールマイト、俺、出久、梅雨ちゃん、麗日の5人で、Iアイランドに行く事が決定したのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。