出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第67話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
?side
関係者や特別な招待客のみを対象としたプレオープン中のIエキスポ。その会場ロビーの一角では―
「会場内に問題なく入れた。で、
お世辞にも品が良いとは言い難い集団を率いた男が、誰かと電話で連絡を取り合っていた。
『15時に66ゲートで受け取ってくれ』
「了解した」
変声機で声を変えた相手と情報のやり取りを済ませ、スマートフォンを上着のポケットに収めた男は―
「いくぞ。仕事の用意だ」
後ろに控えている部下達を引き連れ、会場の奥へと消えていった。
出久side
僕達がやって来たのは、Iアイランドのセントラルタワー。その上層階にあるメリッサさんのお父さんが利用している研究フロア。
「私がぁぁぁっ! 再会の感動に震えながら来たぁっ!」
その入り口でポーズを決めるオールマイト。
「トシ…オールマイト!」
「ほ、本物?」
突然の事に、情報の整理が追い付かない
「HAHAHA! わざわざ会いに来てやったぜ。デイヴ!」
素早くハグをしたかと思うと、クルクルと回り始めた。その時に見えたメリッサさんのお父さんの顔。あの人ってまさか!
「どう? 驚いた?」
「あ、あぁ…驚いたとも…」
「お互い、メリッサに感謝だな。しかし、何年ぶりだ?」
「やめてくれ。お互い考えたくないだろう? 年の事は」
「HAHAHA! 同感だ!」
「会えて嬉しいよ。デイヴ」
「私もだ。オールマイト」
親友同士の感動的な再会。そこに立ち会う事が出来た喜びよりも驚愕が勝る。オールマイトの親友とは即ち―
「4人に紹介しよう。私の親友。デヴィット・シールド…」
「知ってます! デヴィット・シールド博士! ノーベル個性賞を受賞した“個性”研究のトップランナー! オールマイトのアメリカ時代の相棒で、オールマイトのヒーローコスチューム…ヤングエイジ! ブロンズエイジ! シルバーエイジ! そしてゴールデンエイジ! それら全てを制作した天才発明家! まさか本物に会えるだなんて…か、感激です!」
「…フフッ」
「紹介の必要はないようだね」
「ッ!?」
シールド博士の声とメリッサさんの笑い声で我に返る。秘かに背後を伺えば、苦笑いしている雷鳥兄ちゃん達の姿…またやってしまった…。
「す、すみません! なんか興奮してしまって!」
「いや、構わないよ」
笑いながら謝罪を受け入れてくれたシールド博士に平身低頭しながら、後ろに下がり、入れ替わるように雷鳥兄ちゃん達が前に出て自己紹介をしていく。
この癖、直さなくちゃいけないと、解ってはいるんだけどなぁ…。
「さて、オールマイトとシールド博士は久しぶりの再会で、積もる話もあるでしょう。俺達はここらでお暇しますよ」
秘かに反省していると、雷鳥兄ちゃんがそんな事を言い出した。
「それは…いや、気を使ってもらって申し訳ない。そうだ、メリッサ。吸阪君達をIエキスポに案内してくれないか?」
「わかったわ。パパ」
「メリッサさん、良いんですか?」
「こちらこそ、オールマイトのお弟子さんや未来のヒーロー候補とご一緒出来て光栄よ」
「それじゃあ、よろしくお願いします」
瞬く間に話は纏まり、僕達はメリッサさんの案内でIエキスポの見学に出発するのだった。
オールマイトside
「雄英体育祭の表彰式で、トシが弟子の事を
「あぁ、2人とも私の自慢だよ」
デイヴの差し出したコーヒーを受け取りながら、
吸阪少年達が退室してすぐ、デイヴは助手のサムさんにも休憩してくるよう告げたので、この部屋には私達だけだ。
「それにしても…アメリカ時代のトシは、これ以上無い程の感覚派で、とても弟子を指導出来るようには思えなかったけど…日本に戻ってから変わったんだね。私も年を取る訳だ」
「HA、HAHAHA。ま、まあ、色々とあったからね」
私は背中に冷たい物が流れるのを感じながら、デイヴにそれを感じ取られないよう必死で誤魔化す。
「色々か…まぁ、私の方も色々あったよ…」
それが功を奏したのだろう。デイヴはどこか遠い目をしながら、別の話題を振ってきた。
「トシ…変な事を聞くが許してくれ」
「なんだい? デイヴ」
「最近何か変わった事はなかったかい? 例えば…
「ッ!?」
その言葉に思わず息を飲む。そしてそれはデイヴに悟られてしまい―
「やっぱり…何かあったんだね。今なら診察室もすぐに使えるだろう。トシ、私に調べさせてくれ!」
私の手を取り、診察室へ向かおうとするデイヴ。その姿に、私は機内で吸阪少年に言われた言葉を思い出していた。
雷鳥side
「皆の事は何て呼べば良い?」
「俺は雷鳥で」
「僕も出久でお願いします」
「私もお茶子で構いません!」
「私は梅雨ちゃんと呼んでほしいわ」
「それじゃあ、下の名前に君かちゃんを付けて呼ばせてもらうわね。私はメリッサで良いから」
そんな事を話しながらセントラルタワーを出た俺達は、Iエキスポで賑わう島内を散策する。
「凄いなぁ。こうしていると、ここが人工の島だなんて思えないや」
「大都市にある施設は、一通り揃ってるわ。出来ないのは、旅行くらいね」
「そうなんですか?」
「ここにいる家族とその家族は、情報漏洩を防ぐ守秘義務があるから」
「だからこそ、島内で一通りの事が出来るように、あらゆる施設が揃っているという訳ね。よく考えられているわ」
「ホントに何でもあるんやね」
メリッサさんの説明に感心しきりの出久、梅雨ちゃん、そして麗日。
その後、Iアイランドのスポンサー企業から招待された世界中のヒーロー達が、ファン対応する姿を見物したりしながら、俺達は―
「このパビリオンもお勧めよ」
メリッサさんお勧めのパビリオンへとやって来た。そこは無数のヒーローアイテムが展示された施設で―
「最新のヒーローアイテムがこんなに!」
出久は鼻息が荒くなるほど興奮していた。そんな出久を見て、メリッサさんも
「凄い!」
「深すぎる!」
「見えすぎる!」
と、面白いくらいに反応を返していた。途中でそんな2人に嫉妬したのか、麗日が
「実は、殆どの物はパパが発明した特許を基に作られてるの!」
「殆ど全て…そりゃ凄い」
「ここにあるアイテム1つ1つが、世界中のヒーロー達の活躍を手助けするの」
「ケロケロ。メリッサさんはお父さんの事、尊敬してるのね」
「パパのような科学者になるのが、夢だから」
「そういえば、メリッサさんって、ここのアカデミーの…」
「うん、今3年生」
「たしか、Iアイランドのアカデミーは世界中の科学者志望憧れの的。難関中の難関だ。噂で聞いたが、入学から卒業までの難易度は雄英以上だとか…」
「滅茶苦茶難関校やん!」
「凄いわ、メリッサさん」
「私なんかまだまだよ。もっともっと勉強しないと」
麗日や梅雨ちゃんからの称賛に謙遜するメリッサさんだが…その頭脳が半端じゃなく優れている事は間違いないだろう。
「4人とも楽しそうだね!」
その時、聞こえてきた聞き覚えのある声。俺達が同時に声の方へ振り向けば、そこにいたのは―
「芦戸! 八百万! 耳郎! それに葉隠!」
なんと…1-A女子が勢揃いか。
「お知り合い?」
「えぇ、クラスメートです」
「じゃあ、皆さんも未来のヒーロー候補なのね! よかったら、外のカフェでお茶にしませんか?」
外のカフェに移動した俺達は、男女でテーブルを分け、お茶の時間を楽しんだ。と言っても、女性陣はお喋りに夢中だがな。
俺と出久は小腹が空いたので、軽食を頼んだ訳だが…。
「お前達も来てたのか」
「まぁな。こちら、クロックマダムとBLTサンドになります」
「ドリンクのレモンスカッシュとコーラになります」
注文した軽食とドリンクを持ってきたのは、ウェイター姿の瀬呂と峰田。そして―
「お待たせしました。こちらケーキセットになります」
「ドリンクをお配りします」
「砂藤君! 常闇君! 2人も来てたの!?」
同じくウェイター姿の砂藤と常闇が、女子達にケーキとドリンクを運んでいた。
話を聞くと、4人は高い時給と休憩時間中にIエキスポを自由に見学出来るという好条件に惹かれ、アルバイトの臨時募集に応募したらしい。
もっとも、峰田の奴は可愛い女の子との
「峰田君! 何を油を売っているんだ!」
そこへ聞こえてくるのは、これまた聞き覚えのある声。
「バイトを引き受けた以上、労働に励みたまえ!」
最高速で駆け付け、委員長モードフルスロットルで峰田に説教する飯田。
聞けば、ヒーロー一家である飯田の家にも、お父さんと
だが、ご両親はどうしても外せない予定があった上に、
そこで飯田は同伴者を3人連れてIアイランドへやって来たらしい。その同伴者とは…。
「委員長。いきなり走るなよ。俺達、委員長の最高速には、とてもついていけないんだから」
「俺……帰国したら、移動補助用のアイテム作ってもらうよ」
「同感だ」
「尾白君! 障子君! それに心操君!」
息も絶え絶えに飯田を追いかけてきた、尾白と障子、そして心操。なんというか、尾白と心操が行動を共にしているのは…うん、新鮮だ。
「ちょうどチケットが3枚余っていたので、予定が空いていた3人に同伴者として来てもらう事になったんだ」
「まぁ、飯田さんもですの? 私も父がIエキスポのスポンサー企業、その何社かの筆頭株主を務めているものですから、招待状を頂きましたの」
「で、ヤオモモの招待状が3枚余ったから、ウチらA組女子お供させてもらったって訳」
なるほどね。これでA組20人中16人がIアイランドに来ている訳だが…あと4人にも直に会えるだろう。
確信めいた物を感じながら、俺は目の前の
クロックマダム。大雑把に言えば、クロックムッシュ*1のバリエーションで、クロックムッシュに目玉焼きを乗せた物だ。
「うん、美味い」
流石は、Iアイランドの科学者やその家族が愛用しているカフェのメニュー。一見シンプルに見えるメニューも極上の味に仕上げている。
「ごちそうさまでした」
クロックマダムを奇麗に食べ終えた直後―
「今の音は!?」
カフェから少し離れた場所で強烈な音が響いた。出久達は何事かと立ち上がっているが…。
「まぁ、
音の主、その正体に見当がついている俺は、残っていたコーラを一気に飲み干すのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。