出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第70話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
緊急事態を告げる放送に異変を感じた俺達は、様子を伺おうとメリッサさんの案内で非常階段を駆け上がり、上層階からパーティー会場を覗き込んだ訳だが…。
そこは既に
耳郎の助けもあって、何とかオールマイトからのメッセージを受け取ったのだが―
1、
2、パーティーの出席者だけでなく、島内の人間全員が人質となっている。
3、
4、
まったく、絵に描いたような最悪の展開だ。オールマイトは危険である為、一刻も早くここから脱出するよう言っていたが…。
「俺は…雄英校教師であるオールマイトの言葉に従い、ここから脱出する事を提案する」
監視カメラの無い非常階段の踊り場。
沈黙を破るように飯田が脱出を提案し―
「飯田さんの意見に、賛同しますわ。私達はまだ学生…免許も無しに
八百万もそれに賛同する。たしかに、それは
「そ、そうだよ! 何とか脱出して、外のヒーローに助けを求める。これが一番だって!」
ここで峰田が飯田や八百万の意見に賛同するが―
「脱出は…正直困難だと思う。ここは
メリッサさんの言葉に敢え無く撃墜されてしまう。
「じゃ、じゃあ、どこかに立て籠もって、助けを待つのは?」
続いて、恐る恐るという感じで葉隠が意見を述べるが…。
「葉隠さん、脱出がほぼ不可能なら、侵入も同じくらい困難って事だよ…そもそも、情報が遮断されているなら…ここで何が起きているのか、知りようがない。助けに来る来ない以前の問題だよ」
尾白によって否定されてしまう。再び周囲を沈黙が支配しようとしたその時―
「逃げるのも隠れるのも駄目なら…残った選択肢は1つだな」
「そうだね。何よりも僕達はヒーローを目指しているんだから」
轟、そして出久が口を開いた。
「まさか…やめるんだ! 轟君! 緑谷君!」
「そうです! 危険過ぎますわ!」
2人の言葉に、
「たしかに俺達はまだ学生だ。オールマイトも逃げろと言っている。だからって…何もしないで良いのか?」
「そ、それは…」
「助けたい。助けに行きたい。これは僕の偽らざる本心だよ。飯田君も八百万さんも、本当はそう思っているんじゃないの?」
「「………」」
轟と出久の問いかけに言葉を失ってしまう。更に―
「飯田、ヤオモモ。ルールを守る事の大切さはわかるよ。でも、囚われている人達を助けに行きたい、助けに行こうって気持ち、心の中に一欠片もないの?」
「今、自由に動けるのはウチ達だけ…それなのに、自分達だけ逃げたり、何もしないで隠れてるなんて、ウチは嫌だ!」
「私も同感! 少なくとも私達は戦う力を持ってる。だから…やれる事をやらないで逃げるのは間違ってると思う!」
耳郎と麗日も声を上げ、風向きが徐々に変わっていく。
「吸阪ちゃん。何か言いたい事があるんじゃないの?」
「梅雨ちゃん。どうしてそう思うだい?」
「ケロケロ。こういう時、いつもの吸阪ちゃんだったら、自分から進行役をやっているのに、黙ったまま。
「流石は梅雨ちゃん。見事な観察力だ」
梅雨ちゃんの問いに、俺は苦笑いしながらそう答え―
「まぁ、企んでいるというか、皆の自主性に任せただけなんだけどね」
皆にそう告げた。
「1-Aトップ3の内、既に出久と轟が救出に向かいたい。そう表明している状態で、俺まで何かしらの意思を示せば、皆の思考にバイアスが掛かる。全員揃って右向け右な状態は避けたかったからな。暫くの間、沈黙を貫かせてもらった」
「だが、今ならもう大丈夫だろう。さて、諸君。
俺からの問いかけに、皆の返答は
出久side
「それじゃあ、救出の為のプランを説明するね。このプランが上手くいけば、
救出の為のプランを話し始める僕に、全員の視線が集中するのを感じる。大丈夫、焦らず、落ち着いて話す事を心がけろ。
「内容は単純だよ。1つ、警備システムを奪還して、拘束されているオールマイトやプロヒーローを開放する。2つ、捕らわれているシールド博士を見つけ出し、可能であれば奪還する」
「警備システムの奪還って…そんな簡単に出来るのかよ?」
「オールマイトからの情報から判断する限り、十分可能だと思う。メリッサさん、そうですよね?」
「えぇ、Iアイランドの警備システムは、このセントラルタワーの最上階で一括管理されているわ。
メリッサさんからの心強い言葉。うん、おかげでプランの成功率がグンと高まった。
「最上階では確実に、途中でも
「戦闘は仮免持ちの俺、出久、轟がメインで行う。もっとも、Iアイランドは日本じゃない。襲ってきた
八百万さんの問いかけに、物騒極まりない返答を返す雷鳥兄ちゃん。だけど、今はそれがこの上なく心強い。
「警備システムに関してだけど…入場ログが残っている筈なのに、これまで何の探知も行われていないという事は、
「だが、油断は禁物だ。慌てず急いで慎重に進んでいこう」
僕の声に補足するように、雷鳥兄ちゃんが皆の気を引き締めてくれた。
「
「作戦名、
さぁ、作戦スタートだ!
オールマイトside
マッスルフォームの維持を最優先に、状況を打破する為のプランを考えている最中―
「ッ!」
上層階から視線を感じた。気づかれないように視線を動かすと、そこには吸阪少年と緑谷少年の姿。逃げたんじゃなかったのか!?
「「………」」
その無言ながらも力強い瞳に、彼らがやろうとしている事を察する。
君達の行動を教師としては、咎めないといけないのだろう…だが、ヒーローを志す者が逃げろと言われて、素直に逃げる訳がないよな!
雛鳥達よ…信じているぞ! 君達がこの状況を打破してくれる事を!
行動を開始した若者達に、私は声なきエールを送り…来るべきその時まで、何が何でも耐え抜くと決意を新たにするのだった。
サムside
「姉御。連れてきましたぜ」
セントラルタワーの最上階にある管制室へと連れて来られた私が見たもの。それは―
「姉御じゃない。作戦中はコードネームで呼べ」
他の
「失礼しました。ダンタリオン」
「わかればいい…ソキル。ソイツにさっさと保管室のプロテクトを解除させろ。私はこっちの
「わかりました。オイ」
どうやら、この中ではあのダンタリオンという女
私を連れてきたソキルと言う
………正直、何かをされているシールド博士を見て、心が痛まない訳じゃない。だが…
「貴方が悪いんだ。シールド博士…私は、私は悪くない…」
誰にも聞こえない小さな声で呟きながら、プロテクトを順番に解除していく。
あと2時間もすれば、全てが終わり…私は大金を手に入れてIアイランドから消える。
ほとぼりが冷めるまで姿を隠してから、オーストラリア辺りでのんびり暮らすんだ。そうだ、そうしよう…。
雷鳥side
監視カメラの無い非常階段を俺達は駆け上がり続ける。途中、最上階が200階だと知った峰田が、情けない声を上げたりしたが―
「
八百万に一刀両断されからは、それも無くなった。
50階を過ぎた辺りから、メリッサさんが遅れ始め…麗日が“個性”を使ってのサポートを申し出たが―
「ありがとう。でも大丈夫! その力はイザという時の為に…取っておいて!」
メリッサさんは気丈にもその申し出を断ると、履いていた靴を脱ぎ捨て、裸足で階段を駆け上がり始めた。ホント、強い女性だよ。
更に俺達は階段を駆け上がったが、80階に辿り着いたところで―
「シャッターが!」
分厚いシャッターに行く手を阻まれてしまった。
「どうする…壊すか?」
「そんな事をしたら、警備システムが反応して、
轟の提案をメリッサさんが却下した次の瞬間。
「なら、こっちから行けばいいんじゃねぇ?」
息も絶え絶えな峰田が、非常ドアに近づき―
「峰田君!」
「駄目っ!」
出久とメリッサさんの静止も間に合わず、ドアを開けてしまった。直後、センサーが反応し、警告音が鳴り渡る。
「峰田ちゃん…」
「何をやっている…」
「し、仕方ねぇだろ…」
今ので間違いなく
「とりあえず、ここから移動しよう! 狭い非常階段で襲われたら元も子もないよ!」
「あぁ、万事解決したら、峰田は俺がぶん殴っておく」
こんな会話を交わしながらフロアに入り、再び走り出す。
オールマイトside
「80階の隔壁を全て下ろせ。ガキどもを逃がすな」
首魁の男が通信にそう答えながら、部下3人を追撃要員として上層階へと向かわせる。
気を付けるんだ皆…
轟side
「他に上に行く方法は?」
「廊下の先に同じ構造の非常階段があるわ!」
「急ぐぞ!」
その声と共に飯田がスピードを上げた次の瞬間。通路の隔壁が次々と閉まり始めた。
「シャッターが!」
「後ろもですわ!」
背後の隔壁も次々と閉じていく。くそっ、俺達を閉じ込める気か! だが―
「轟君!」
「あぁ!」
幸運にも隔壁の隙間越しに扉を見つける事が出来た。俺は最大出力の氷結で、閉まる隔壁を塞き止める。人が潜るには少々狭いが―
「いくぜ! 障子!」
「あぁ」
“個性”を発動した砂藤と障子が力づくで隔壁を押し上げ―
「はぁぁぁぁぁっ!」
それによって生じたスペースを飯田が突っ切り、その勢いを乗せた蹴りで扉を蹴り破った。
「この中を突っ切ろう!」
飯田の声に従い、俺達は隔壁の隙間を潜り抜けて扉の中へと入っていく。
扉の中は植物園のような空間だった。走りながら緑谷が、メリッサさんに問う。
「ここは?」
「植物プラントよ。“個性”の影響を受けた植物を研究―」
「待って!」
ここで、耳郎が何かを察知して、俺達を静止した。その視線の先にあるのは…エレベーター!
「エレベーターが上がってきてる!」
「
「間違いなくそうだろうな…」
今の表示は57階。このペースだと1分かからずにここに到着するだろう。
「どうする? 隠れてやり過ごすか?」
「いや、ここで時間をかける訳にはいかない。迎え撃とう」
「そうだね。僕と雷鳥兄ちゃん、轟君の3人で一気に―」
「いや」
共同戦線を提案する緑谷の言葉を俺は遮り―
「カッコつけた言い方だが…
皆の足元から巨大な氷柱を生やして、上へと運んでいく。
「轟君!」
「轟さん!」
「まだ先は長いんだ。俺達3人揃って消耗するのは、合理的じゃない」
「馬鹿! 1人で格好つける気かよ!」
「安心しろ。後から必ず追いかける」
心配する皆の声にそう答え、エレベーターに向けて構えを取る。その直後―
「「轟!」」
常闇と切島が、氷柱から俺の背後へ飛び降りた。
「お前ら…」
「余計なお世話かもしれないが…俺達も手伝わせてもらう!」
「1人より2人、2人より3人だぜ!」
…まったく、お節介な奴らだ。だが…ありがたい。
「3人とも! 先に行くけど…必ず追いかけてきて!」
「やられたら、承知しねぇからな!」
そんな声を残し、移動を再開する緑谷達。それと同時にエレベーターが到着。
「凍てつけ!」
ドアが開くタイミングに合わせ、俺は最大出力の氷結を叩き込んだ!
「やったか!?」
「いや、まだだ!」
常闇の声の直後、氷塊に3つの巨大な穴が開き、小太りと痩身、そして海老のような顔をした異形型。合計3人の
「ガキどもが…つけあがってんじゃねぇぞ!」
そんな声と共に、小太りの
同時に、残る2人も構えを取り、俺達と互いに睨み合う。そして―
「いくぜぇ!」
切島の声を合図に俺達は一斉に走り出した!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。