出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第71話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
雷鳥side
轟、切島、常闇の3人が
「クッ、こっちも駄目か…」
既に隔壁によって通路は封鎖されており、非常階段へ近づく事すら出来なくなっていた。
「おいおい、どーすんだよ…オイラ達、完全に袋のネズミじゃねーか!」
峰田の泣き言が聞こえる中、俺達はどこかに道がないか探し続け―
「皆! あそこ!」
梅雨ちゃんが
「あれは…日照システムのメンテナンス・ルーム…」
「あの構造ならば、非常用の梯子か何かがあるのでは?」
「確かに手動式の物があるけれど…中からしか開ける事が出来ないわ」
「ここまで来たのに…」
ようやく見えた希望に、あと少しのところで届かない…誰もが歯噛みする中―
「…何とかなるかもしれねえぞ!」
何かに気づいた瀬呂が“個性”を発動。天井へ向けてテープを射出した。それは天井に幾つかある点検用ハッチの1つ。そのハンドル部分に絡みつく。
「皆、手伝ってくれ!」
瀬呂の声に男性陣が力を合わせてテープを引っ張れば、ハンドルは少しずつ動き、遂にハッチが開いた。
「多分あれ、通風孔だろ? あの中通れば、外に出られるんじゃないか?」
「そうか、一旦外に出て、外壁伝いに上の階に侵入。上の階にもあれと同じ物があれば…」
「それを使って、全員が上がれる!」
「そうなると…通風孔を通れる程小柄で、外壁を登れるのは……」
そこまで呟いたところで、出久の視線がある人物に向かい、他の皆の視線もワンテンポ遅れてその人物へと向かう。その人物とは―
「え?」
そう、峰田だ。
「も、もしかしてオイラが!? 」
「お願い! 峰田君!」
「アンタにしか出来ないんだよ!」
「バカバカ! ここ何階だと思ってんだよ!」
「80階…いや、83階だな。このタワーの階高は…4mってところだから、高さは約330mだな」
「まともに答えんなよ! 吸阪ぁ!」
最初は嫌がっていた峰田。
「峰田、皆を救出した功労者になったら…インタビューとかされたりして、女子に人気間違いなしだぞ!」
「さっきのミス、ここで帳消しに出来るチャンスだぞ」
「「「「「「「お願い!」」」」」」」
だが、俺と瀬呂の説得と女性陣からのお願いで―
「わーったよ! 行けばいいんだろ! 行けば!」
最後には承諾してくれた。
結論を言うと、峰田は見事に俺達の期待に応えてくれた。
「さぁさぁさぁ! オイラを褒め称えよ! あ、女子だけで良いぞ。女子だけで」
梯子を登りきったばかりの俺達に、煩悩丸出しのドヤ顔を披露し―
「凄いわ峰田君! 流石ヒーロー候補生ね!」
「あぁ…」
メリッサさんから笑顔で称賛されて、感動に打ち震えているが…まぁ、今くらいは良いだろう。
切島side
3人の
俺の相手は、海老みたいな顔をした異形型の
「いくぜ! 海老野郎!」
全身を硬化させた俺は、海老
「だらららららっ!」
「なっ…」
だけど、俺の
「ガキ…俺に
一瞬で攻守が入れ替わり、海老
「ハァッ!」
弾丸みたいなワンツーから左フックに繋げるコンビネーション。硬化した腕でガードを固めているのに、まるで巨大なハンマーで殴られているみたいだ!
「シィッ!」
そこへ放たれる2発目の左フック。これを何とか避け―
「だぁぁぁっ!」
反撃の一撃を放つ。けど―
「馬鹿が…」
俺のパンチは、そんな呟きと共にあっさりと避けられてしまった。しまった! さっきのパンチは
「シィッ!」
パンチを避けられた事で体勢の崩れた俺に迫る海老
「ぐぅっ!」
さっきと同じ左右のワンツーから左フックに繋げるコンビネーションで、ガードは崩され―
「シィッ!」
右ストレートで顎を、左ボディで鳩尾を打ち抜かれる。強烈な衝撃に俺はたたらを踏み…。
「
駄目押しの右ストレートをまともに食らってしまった。
「ぐはっ!」
軽く10mは吹き飛ばされ、壁にめり込むほど激しく打ち付けられる。とんでもねぇパンチ力だ。
「
めり込んだ壁から何とか抜け出した俺を嘲る蝦蛄
「てめぇのパンチなんて…効かねぇんだよ……もっと凄いパンチ知ってるからなぁ!」
そう、俺は職場体験で
「フォースカインドさんのパンチに比べたら、てめぇのパンチなんて…アマチュア以下だぜ!」
微かに足を震わせながら啖呵を切ると、蝦蛄
「ガキが…後悔させてやるよ!!」
怒りの咆哮と共に突っ込んで来る蝦蛄
「もっと硬く…固めて、決して倒れぬ壁となる!
「虚仮威しがぁ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっ! お、俺の…俺の拳がぁぁぁっ!」
俺の勝ちだ! 両拳が砕け、苦悶の叫び声をあげる蝦蛄
「うぉぉぉぉぉっ!」
俺は奴との間合いを詰め、ボディに
「これで…終わりだぁ!」
「げぼっ…」
血と胃液の混ざった液体を吐きながら倒れる蝦蛄
「轟と常闇はどうなった?」
呼吸を整えながら、俺は2人を探す。もしも苦戦しているなら、助けに行かねぇとな!
常闇side
「スクイラーの馬鹿が…ガキ相手だからって、油断しやがって!」
切島が倒したスクイラーという名の
「切島の戦いぶりを見ても尚、油断と判断するとはな…人を見る目が微塵も無いようだ」
「ヘッ!
「生憎、仲間達に後から追いかけると約束した。貴様のような
「……貴様はここで死ねぇぇぇっ!」
怒りの形相で殴りかかってくるゴリラ
「一気に決めるぞ!
「アイヨッ!」
そのまま
「闇を纏いて力と成す!
「なぁっ!?」
俺は両足に力を込めると、一足飛びで奴との間合いを詰め―
「必殺!
その顔面目掛けて、跳び回し蹴りを叩き込む!
「ぐほっ…」
こめかみの辺りに打撃を受け、よろけるゴリラ
「
左右の貫手を奴のボディに連続で打ち込み―
「
必殺の一撃を顔面に叩き込んだ!
「ぐへぁっ…」
“個性”が解除され、砕けた歯を撒き散らしながら、吹き飛んだゴリラ
「闇に抱かれて…眠れ」
轟side
「お前ら…ただのガキじゃねぇな!?」
仲間が2人続けて倒され、焦ったような声を上げる痩身
「一体…何者だ!」
「名乗るほどの者じゃねぇ…」
奴の問いかけに、俺は素っ気無くそう答えながら氷結を放つ。
「シャァッ!」
奴は水かきのついた手を振るって突風を起こし、迫る氷結を器用に
「残念だが、てめぇの氷は俺には通用しねぇ!」
最初の不意打ちと今回、2度氷結を防いだ事で勝ち誇る痩身
「そうか、だったらこうするだけだ」
「あぁ?」
俺の淡泊な反応に怪訝な顔を見せる痩身
「っ!?」
何かを察して、上を見た瞬間。その表情は驚愕へと変わった。
「降り注げ、
「な、なんだとぉ!?」
直後降り注ぐ無数の火球。奴は“個性”で攻撃を防ぐ事も忘れ、逃げ惑う。その隙に俺は右手に冷気、左手に炎を纏い―
「
必殺の一撃を放つ!
「ぬぁぁぁぁぁっ!」
迫り来る衝撃波に対し、狂ったように腕を振るう痩身
衝撃波に飲み込まれた奴は、風に飛ばされる枯葉のように宙を舞い…そのまま受け身も取れず床へ叩きつけられた。
「あ、がぁ…」
「安心しろ。出力は抑えてある」
手足がそれぞれ明後日の方向を向き、ピクピクと痙攣している痩身
「2人とも無事か?」
「あぁ」
「大丈夫。大した傷じゃねぇ」
「よし、皆を追いかけよう」
先に行った吸阪達を追いかけようとしたその時、あちこちからサイレンを鳴り響き、無数の警備マシンが出現。俺達を取り囲んだ。
「奴ら、本気になった様だな」
『ボス、あいつらはただの子供じゃありません! 雄英高校ヒーロー科…ヒーロー予備軍です! しかも、その中にはオールマイトの弟子2人も含まれています!』
「ほぉ…」
部下からの報告に、思わず声が出る。オールマイトの弟子が動き回っているとは…
『スクイラー達も簡単に倒されました。あいつら、下手なプロ顔負けの実力者です』
「そんな厄介な連中をお前は見逃していた訳か…」
『そ、それは……』
「まぁいい。ガキどもの目的は、恐らく警備システムの復旧だ。80階の警備マシンは稼働させたな?」
『はい』
「なら、100階から130階までの隔壁を全て上げろ」
『え?』
「言う通りにしろ」
『は、はい!』
「それから…135階にC班を向かわせる。準備をしておけ」
『わかりました!』
電話越しに指示を下しながら、俺は傍に控えていた3人を上へと向かわせる。
オールマイトの弟子? 下手なプロ顔負け? それがどうした。こちらの絶対的優位に変わりはない。
雷鳥side
100階を過ぎてから、俺達はスムーズ過ぎる程スムーズに上へと上り続けていた。
「なんか、ラッキーじゃね? 100階越えてから、シャッターが空きっぱなしなんて」
「私達の事、見失ったとか?」
瀬呂や麗日が思わず希望的観測を口にするが―
「恐らく違う」
「私達、誘い込まれてますわね」
「あぁ…」
耳郎や八百万達の意見の方が正解だろう。
「それでも、少しでも上に行く為に…向こうの誘いに乗る!」
「そういう事だ!」
そうしている内に130階へ到着した訳だが…。
「なんて数なん!?」
上層階へと続くルートは、無数の警備マシンで埋め尽くされていた。
「やはり相手は閉じ込めるのではなく、捕らえる事に方針を変えたか…」
「きっと、僕達が雄英生である事を知ったんだと思う」
「でも、そうなる事は…こちらも予想済みですわ!」
声と共に八百万は何挺かの銃火器を創造し、攻撃手段に乏しい葉隠やメリッサさんに渡していく。
「予定通りのプランでいこう…正面突破だ!」
飯田の声と共に俺達は一斉に突入。それを察知した警備マシンも殺到するが―
「皆さん! 先端を捻ってから投げつけてください!」
女性陣が次々と投げつけた八百万特製の発煙筒。そこから噴出される煙を浴びるとその動きが目に見えて鈍くなっていく。
「これで暫くの間、通信を妨害出来ますわ!」
いわゆるECMの類か…いやはや、恐れ入ったよ。動きの鈍った警備マシンは、峰田のもぎもぎや瀬呂のテープで誘導され、1ヶ所に集められていく。そして―
「あとは僕が!」
最後を決めるのは出久だ!
出久side
1ヶ所に集められた警備マシンへ走りながら、僕は上着を脱ぎ捨て、『フルガントレット』を起動。
「うぉぉぉぉぉっ!」
更にフルカウルを発動して、出力を高めていく。
-これを装着すれば、緑谷君本来の力を発揮出来ると思う-
メリッサさんの言葉を信じて―
「まずは、50%の力で!」
「
いつもの全力を上回る出力で放たれた拳は、1ヶ所に集められていた警備マシン全てを纏めて吹き飛ばした。それなのに…痛くない! 腕も平気だ!
「これなら…いける!」
「耳郎君、警備マシンは?」
「左から来る!」
「よし、ならば右に進むぞ!」
新たな警備マシンが集合する前に、僕達はこのフロアを一気に突破していく。
「メリッサさん、ありがとうございます! フルガントレット、バッチリです!」
「持ってきていたのね!」
「あっ、外し方わからなくて…」
「あっ、フフッ」
『ボス、警備マシンのセンサーに障害が! ガキどもを見失いました!』
「狼狽えるな!」
慌てた様子の部下を一喝しながら、俺は現時点でわかっているガキどもの情報を脳内で整理しー
「恐らくガキどもの中に、聴覚の鋭い“個性”持ちがいるな…」
素早く仮説をたて、対応策を練る。
「C班の現在位置は?」
『135階に到着。いつでもいけます』
「よし、ならー」
新たな指示を下した俺は、近くに転がるオールマイトに視線を送る。
直にお前の弟子も、教え子も、捕らえられてここに連れて来られる。
その時が、平和の象徴が地に落ちる時だ。
雷鳥side
「遅かったな! ガキども!」
「待ちくたびれたぜ!」
「遊んでやるから、かかってきな!」
135階で俺達を待ち構えていたのは、3人の
顔といい、口調といい、まさに下衆の一言だな。
「時間がない。出久、飯田、皆を連れて先に行け。ここは俺が」
引き受ける。そう言おうとした俺の肩を掴んだのはー
「吸阪、それは俺の台詞だぜ」
「ここは、俺達に任せろ」
「轟じゃないけど、格好つけさせてもらうよ」
砂藤。そして障子と尾白が続く。
「……すまない。ここは任せた!」
3人が
3人とも、必ず追いかけて来いよ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。