出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第72話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
砂藤side
「情報を見たが…てめぇ、雄英高校の生徒で、増強型の“個性”持ちだろ? いいぜ、発動するまで待ってやる」
「………」
如何にも余裕綽々な態度を見せる
「うぉぉぉぉぉっ!」
すぐさま“個性”が発動し、全身の力が5倍に高められる。
「いいねいいね! 増幅率は4倍…いや、5倍ってところか」
だけど、
「“個性”が似ているのも、楽しめる」
タクティカルベストのポケットから、
「さぁ、
満面の笑みを浮かべて、俺に掴みかかる
「ぬぅぅぅぅぅっ!」
渾身の力を込める俺に対して―
「ハハハッ! 良いな! お前、期待通りだ!」
「教えてやろう。俺の“個性”は『カカオドープ』! チョコレートを食べる事で発動する増強型だ!」
「そして、その増幅率は7倍! お前のそれを大きく上回る!」
「わかるか? 糖分なら何でもいいお前とは、“個性”の
次の瞬間、力負けした俺は体勢を崩され―
「おらぁ!」
「うぉっ!」
派手に投げ飛ばされた。
「ハハハッ! 相手のパワーを上回り、正面から叩き潰す! この瞬間は何度味わってもたまらねぇ!」
「そして、絶望した相手に止めを刺すのは、もっとたまらねぇ!」
完全に勝利を確信し、高笑いを上げる
「死ぃねぇぇぇっ!」
拳を振り下ろす。その直後―
「なっ……」
「お前がくだらない能書きを垂れてくれて、助かったぜ! 発動までの時間が稼げたからな!」
「な、なんだ、このパワーは!? さっきまでとは、まるで違う!」
「ヒーローなんだ…
そのまま“個性”をコントロールし、
「ぐ、が…ば、馬鹿な…」
さっきとは逆に力負けした
「吹っ飛べ!」
「ぐへぁ!」
顔面への右ストレート1発で、吹っ飛んでいった。
「獲物を前に舌なめずりするのは、3流の証…吸阪の言ったとおりだぜ」
障子side
「そらそらそらそらぁっ!」
両手の甲から生えた鋭い爪を振り回し、攻撃を仕掛けてくる
俺は6本の腕で攻撃を冷静に捌きながら、相手を観察する。鋭い爪に、全身を鎧の用に覆う鱗状の板…アルマジロの“個性”か。
「どうしたどうした! 攻撃を凌ぐので精一杯かぁ!?」
観察に徹する俺を声高に挑発するアルマジロ
「テンタクルラッシュ」
大振りとなった爪の一撃を捌いた事で体勢の崩れたアルマジロ
「チィッ!」
だが、その
「ふぅ、危ない危ない」
「イージスの盾を知っているか?」
球体となり
「………ギリシャ神話に登場する、あらゆる邪悪や災厄を払う盾」
「そう、その通り! 俺の鱗甲板は正にイージスの盾。お前の攻撃でこれを破る事が出来ない以上、お前は俺に勝つ事は出来ない!」
「如何に防御が優れていても、攻撃手段が乏しければお前も俺を倒す事は出来まい」
「そう思うか?」
俺の言葉に不敵な笑みを返すアルマジロ
「最強の盾は最強の武器にもなるんだよ!」
俺へと向けて駆け出したアルマジロ
「ッ!」
咄嗟の判断で、何とか球体を避ける事に成功したが…球体が激突した扉はまるで大型車両が激突したかのように大きく拉げてしまっている。正直な話、食らいたくはないな。
「よく避けたな! だが、いつまで避けられる?」
勝ち誇った声と共に再び球体となって跳ね始めるアルマジロ
「……避ける必要はない」
俺はそう呟くと通路の真ん中に立ち、自身の両腕に複製腕を絡みつかせ、巨大な両腕を形作る。そして―
「
俺を跳ね飛ばそうと跳んできた球体に、必殺の諸手突きを叩き込んだ。無敵の盾と海魔の一撃。激突の勝者は―
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」
俺だったようだ。自慢の鱗甲板が無残に砕けたアルマジロ
尾白side
「オイオイオイ! ガキ相手に何不様晒してやがる! 役立たずどもが!」
俺と睨み合いながら、砂藤と障子に倒された仲間に悪態を吐く異形型の
だけど、何の虫かまではまだわからない…警戒は絶やせないな。
「まぁいい…俺が全員
そんな声と共に、こちらへ向けられた
「燃えろぉ!」
勢い良く放たれる火炎の
「ッ!」
反射的にその場を飛び退いたコンマ数秒後、俺の立っていた場所を攻撃が通過。床や壁を焦がしていく。そして―
「これは…」
物が焼け焦げた臭いに混ざって床や壁から漂う
「ミイデラゴミムシ…」
詳しい原理は忘れたけど、2種類の化学物質を混合させる事で、高温の気体を爆発的に噴射させる…だった筈。それが“個性”として発現すれば、こうなるって事か。
「よく気がついた! だが、それを知ったところでどうなる?」
そう言って、俺に再度掌を向けるゴミムシ
「尻尾が
火炎弾の
「はぁっ!」
俺は咄嗟に床を強く踏み、その反動で床板を立てて攻撃を凌ぐ。この前レンタルした忍者映画…見てて良かった…。
「つまらねぇ小細工しやがって!」
俺が攻撃を凌いだのが気に食わないのか、更に攻撃を続けるゴミムシ
「くっ!」
床板の陰から転がり出た直後、完全に破壊されてしまった。あの火炎弾擬き、相当な威力だ。
「ここまでだ!」
そして、守る物が無くなった俺に、突きつけられるゴミムシ
「うぎゃぁぁぁぁぁっ!」
ゴミムシ
「て、てめぇ…よくも……」
「吸阪だったら、こう言うんだろうな…『床板を砕いてくれて、ありがとう』って!」
柄じゃない物言いに、微かに顔が赤くなるのを感じながら、両足に力を込めて一気に間合いを詰めていく。
「チィィッ!」
最大の攻撃手段を失ったゴミムシ
「尾白流格闘術! 回転参連撃!」
右ハイキック、左バックハンドブロー、尻尾の一撃を連続で叩きこむ!
「ぐはっ…」
白目を剥いて崩れ落ちるゴミムシ
雷鳥side
「下の階から、警備マシンの駆動音多数」
「上から音は?」
「ない、大丈夫」
「よし、行くぞ!」
耳郎の“個性”『イヤホンジャック』で索敵を行いながら、俺達は上り続け、遂に138階にまで辿り着く事が出来た。
「このサーバールームを突っ切って行けば、近道になるわ!」
メリッサさんの提案に従い、最短距離を進んでいくが―
「ッ! 皆、止まれ!」
突然、俺の“個性”が反応を示した。何かが大量に動き始めた感覚…これは、まさか!
「見て! 扉が開いてく!」
芦戸の言葉通り、勝手に開き始める扉。その先では無数の警備マシンが一斉に起動し、こちらを捕捉している。
「くっ、罠か!」
「耳郎に捕捉されないよう、ギリギリまで機能を停止させていたんだ。敵も味な真似をしてくれる」
「時間がないんだ。罠だろうと何だろうと、突破するまでだよ!」
「待って! ここのサーバーに被害が出たら、警備システムにも影響が出るかも」
正面突破を試みようとする出久だったが、メリッサさんに止められてしまい…更に、上の階からも警備マシンの増援が到着し、戦力差はますます開いていく。
「どんだけいんだよー!」
峰田の泣き言が響いたその時―
「吸阪君、緑谷君。ここは俺達に任せてくれ!」
「警備マシンは私達で食い止めますわ!お2人はメリッサさんを連れて、別ルートで上に向かってください!」
「ウチも残るよ!」
八百万と飯田、そして耳郎が足止めに名乗りを上げた。それを皮切りに、芦戸や葉隠、瀬呂もここに残る事を決断し―
「あぁぁぁっ! わかったよ! オイラも残るよ!」
峰田もここに残ると決断する。梅雨ちゃんと麗日、心操もここに残ろうとしたが―
「麗日君と蛙吹君、心操君は吸阪君達と一緒に行ってくれ! ここから先、3人の“個性”がきっと役に立つ筈だ!」
「ここは私達だけで十分です!」
飯田や八百万の説得を受け、俺達と共に上へ進む事を決断した。
「皆…暫く持ち堪えていてくれ!」
「メリッサさん、お願いします!」
飯田達6人を残し、俺達は先へと進む。皆…恩に着る!
飯田side
「はぁぁぁぁぁっ!」
先を目指す吸阪君達を捕えようと動く警備マシンの群れ。俺は一直線に走り、最高速度に到達した所でジャンプ!
「うぉぉぉぉぉっ!」
空中で体を独楽のように回転させながら突撃し、加速と回転の勢いを乗せた回し蹴りを警備マシンに叩き込む!
十数台の警備マシンが纏めて吹き飛び、スクラップとなるが…圧倒的な物量の前では正に焼け石に水。
「それがどうした!」
そう、敵の数が圧倒的に多い事など百も承知! 今の俺に出来るのは、1体でも多くの警備マシンを倒し、1分でも1秒でも長く時間を稼ぐ事だ!
「飯田さん! 援護します!」
八百万君の声に視線を送れば、三脚に備え付けられた
芦戸君や瀬呂君、峰田君は、自前の“個性”で戦うようだ。
「皆! 吸阪君達が必ずやってくれる! それまで持ち堪えるんだ!」
出久side
全速力で上へ、上へと進んでいく中、足元から聞こえてくるのは連続した銃声や警備マシンを蹴り砕く破砕音。
「皆…」
必死に戦っている皆の事を思うと、足が鈍りそうに…。
「止まるな! 出久!」
「そうだよ! 止まっちゃ駄目だ!」
そんな僕の背中を押すのは、雷鳥兄ちゃんや麗日さんの言葉。
「今、うちらまで捕まったりしたら、飯田君達が残った意味がなくなる!」
「う、うん! 皆…どうか、無事で!」
後ろを振り返らず走り続け、僕達は180階に到達した。そこは―
「メリッサさん。ここは?」
「風力発電システムよ」
「どうしてここに…」
「このままタワーの中を登れば、警備マシンが待ち構えている筈よ。だから、ここから一気に上層部へ向かうの」
メリッサさんが指差す先に見えるのは非常口。あんな所まで…もしかして!
「お茶子さんの…触れた物を無重力にする“個性”なら…それが出来る!」
強風が吹き荒れる中、無重力で上昇する事が何を意味するのか…その恐怖を必死に押し殺すメリッサさん。
麗日さんもそれを察したのだろう。
「うん、任せて」
ただ、それだけを答える。一方―
「ケロケロ。私は自力で上がっていくわ。蛙の本領発揮ね」
梅雨ちゃんは吸着能力のある蛙の手足を活かして―
「俺も…自力で何とか出来そうだ」
雷鳥兄ちゃんは手足に磁気を纏う事で、垂直の壁を登り始めた。僕達も遅れる訳にはいかない。
「メリッサさん、緑谷君に掴まって!」
「はい!」
「心操君。かなり危ない事になるけど…」
「大丈夫だ。早めにやってくれ」
「……それじゃあ、いきます!」
麗日さんはまず、メリッサさんを背負った僕を、次に心操君を浮かせ―
「いっけー!」
上へと押し出した! エレベーター程度のスピードで僕達は上昇を開始する。だけど―
「あぁっ!」
僕達の行動を察知したのだろう。警備マシンが次々と押し寄せてきた!
「麗日さん!」
「“個性”を解除して逃げて!」
「できひん! そんな事したら、皆を助けられなくなる!」
「お茶子さん!」
メリッサさんの悲痛な声が背中から響く。その時!
「吸阪ちゃん! 緑谷ちゃん! 心操ちゃん! メリッサさんをお願いね!」
梅雨ちゃんが20m程の高さから飛び降り、麗日さんを守るように警備マシンに立ち塞がった。
「ケロッ!」
そのまま目についた警備マシンを手当たり次第に倒していくけど、警備マシンの数があまりに多くて、1人じゃとても防ぎきれない!
「梅雨ちゃん!」
見かねた雷鳥兄ちゃんも飛び降りようとするけど―
「吸阪ちゃん、来ちゃ駄目! 上を目指して!」
梅雨ちゃんがそれを許さない。あぁ、せめて麗日さんが自由に動けるようになれば…早く! 早く! 早く上に着いてくれ!
「お茶子ちゃん!」
その時、梅雨ちゃんが防ぎ切れなかった警備マシンが麗日さんに迫り―
「
熱線と見紛う程に圧縮された炎で、木っ端微塵に破壊された。今の攻撃は!
「轟君!」
よかった! 無事だったんだね!
「
「うぉりゃぁ!!」
警備マシンを吹き飛ばしながら、常闇君と切島君も駆けつけてくれた!
「吸阪! 緑谷! 心操! 麗日と蛙吹は任せろ!」
「2人を守りながら、警備マシンを足止めする!」
「その代わり、上は任せたぜ!」
「皆…ありがとう!」
皆の助けを借りて、190階まで来る事が出来た。200階までもう少し…もう少しだ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。