出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1 作:SS_TAKERU
第81話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
出久side
エンデヴァー事務所のサイドキック、そのトップ7を特別講師に招いて行われる実戦的な訓練。
僕は切島君、砂藤君と一緒に、ナックルコングの指導を受ける事に!
「それでは改めて、俺の名前は
「「「よろしくお願いします!!」」」
爽やかな笑顔と共に挨拶をしてくるナックルコングに、僕達も挨拶を返す。
「知っていると思うけど、俺の“個性”は『ゴリラ』! タフネスとパワーには、相応の自信がある!」
そう言って、高らかに笑うナックルコング。だけど、エンデヴァー事務所のサイドキック、そのナンバー
科学的理論に基づく知性溢れる戦い方から、ナックルコングに付けられた渾名は『
「一応、君達の事は頭に叩き込んでいるけど、実際に拳を交えてみないと解らない事もあるからね。最初は…模擬戦といこうか」
そんな人から指導を受けるんだ。何一つ取りこぼしの無いように頑張らないと!
障子side
「カトルフィッシュキック!」
「テンタクルラッシュ」
クラーケンが自身の触腕と両足を使って放つ連続蹴りを、俺は6本の腕を総動員した
「くぅっ!」
「ぬぉっ!」
互角。互いに同じ距離を後退した俺とクラーケンが、体勢を立て直すと同時にブザーが鳴る。事前に設定した3分が経過したのだ。
どちらからとも無く力を抜き、相手に対して頭を下げる。
「拙者の蹴撃と互角とは…見事な連打でござる」
「…どうも」
クラーケンからの賛辞にそう答えた俺は、先に手合わせを済ませた尾白、蛙吹と合流しながら、手合わせの内容を思い返す。
俺は間違いなく全力だったが、クラーケンの方はまだまだ余裕があった。おそらく7割程度の力だったのだろう。
「御三方の実力、しかと把握致した。こちらの予想を遥かに上回っており…いやはや、感服したでござる」
「仮に、今すぐプロの現場に出たとしても、並のサイドキックを上回る活躍が出来るのは確実。されど、真の意味で
更に一歩踏み出す。クラーケンの言葉に、俺達は息を呑む。それは一体…。
「大切な事は、
8分の仕上がりで2分のゆとりか…逆を言えば、8分の力で大抵の事を解決出来るようになれ。という事。俺達が目指す道のりはまだまだ遠いらしい。
峰田side
「うぉぉぉぉぉっ!」
オイラや瀬呂、葉隠の担当になったダブルトリガーとの模擬戦。オイラは森の中を走りながら、もぎもぎを投げつける。
それもただ投げるんじゃない。雄英体育祭の頃から鍛えて習得した変化球…カーブやスライダーなんかも交えた豪華版だ。
「やるな! GRAPE JUICE!」
だけどダブルトリガーは、その悉くを避けるか、手にしたエアガンから発射したゴム弾で撃ち落として無力化。結局設定された3分の間じゃ、1個も当てる事は出来なかったぜ。
「ちっくしょー、結局1個も当てられなかったぜ…」
「いやいや、正直ここまでやるとは思ってなかった。GRAPE JUICE、お前すげぇな!」
感心したような声を出しながら、近づいてきたダブルトリガーは、そのままオイラの耳元で―
「合宿中、俺の出した課題を全てクリア出来たら、褒美として…お前の好きな物をやろう」
そう囁いてきた。
「す、好きな物?」
「あぁ、
「大好きです!」
「正直で結構。極上の奴を進呈するぞ。だから…」
「死ぬ気で頑張ります!」
瀬呂達に見えない角度でガッシリと握手を交わし、オイラとダブルトリガーは離れる。
さぁ、せっかくご褒美をくれるって言うんだ! 頑張らないと失礼ってもんだぜ!
麗日side
「ドラァッ!」
レッドワスプさんが繰り出した右腕の針による一撃。私はそれを
「セイッ!」
左手でレッドワスプさんの胸に触れ、問答無用で浮き上がらせると―
「はぁぁぁぁぁっ!」
そのまま重量挙げのように頭上に持ち上げて、棒術の要領で何度も回転!
「き! り! も! み! シュート!!」
そして、その回転が頂点に達した所で、思いっきり投げ飛ばした!
「決まった!」
「アレなら、如何にレッドワスプさんといえど!」
竹トンボのようにクルクルと回りながら飛んでいくレッドワスプさん。その姿に、常闇君と飯田君、そして私は勝利を確信したけど―
「なんの!」
レッドワスプさんは、背中から生えた4枚の羽を羽ばたかせて体勢を立て直し、何事も無かったかのように着地。それと同時に時間を告げるブザーが鳴り響いた。
「なかなか見事な技だったぜ。投げる前に俺をプロペラの様に回して、平衡感覚を奪いにきたのも上出来。だが、俺の平衡感覚を奪うには、回転数が足りなかったな」
そう言って笑うレッドワスプさん。やっぱり、プロは凄い!
「今の組み手で、お前達3人の実力はよくわかった。バシバシ鍛えていくから、覚悟しとけよ?」
「「「はい! お願いします!!」」」
芦戸side
「ファイヤーストライク! 乱れ打ちだぁ!!」
そんなルージュさんの声と共に、私目掛けてハンドボール大の火球が、次々と蹴り込まれる。その数は…全部で8個!
「アシッドブラスト!」
私は素早く両手を火球に向け、指先から水滴状の酸をマシンガンのように連射! 向かってくる火球を次々と撃墜して―
「アシッドベール!」
最後に、背後から飛んできた
「9個目の火球にも気づいてたか…Pinky、やるね!」
そう言って、輝く笑顔を見せてくれるルージュさん。弾幕で注意を引き付け、死角から本命の攻撃を叩き込むってやり方は、吸阪達に散々やられたから、慣れたもんだよ!
「いやぁ、後輩にここまで実力者が揃ってると、お姉さん嬉しくなるね! よし! この合宿中、本気出しちゃうから、最後までついて来てね!」
私と青山、轟にそう宣言して気合を入れるルージュさん。なんだか、親戚のお姉さんみたいな気安さだね!
心操side
訓練の合間に10分だけ設けられた休憩時間。必死に呼吸を整えていると―
「はい、お疲れ様」
俺、口田、耳郎の担当であるビートさんがミネラルウォーターの入ったペットボトルを手渡してくれた。
「あ、ありがとうございます」
お礼を言って受け取るとキャップを外し、中身をがぶ飲みする。火照った体が一気に冷えていくのが心地良い。
「イレイザー…相澤先生から聞いたよ。普通科からヒーロー科への編入を成し遂げた逸材だって?」
「………編入出来たってだけで、まだまだです。今のA組じゃ、俺が一番…弱い」
「自分が弱い…ね。その自覚が出来ている奴の方が、自分は誰よりも強いと自惚れている奴より、何倍も強いと思うけど?」
「そういうもの…でしょうか?」
「少なくとも、私はそう思うよ。アニマ! イヤホン=ジャック! 2人はどう思う?」
「心操君は、強い人だと思います」
「私も
ビートさんからの問いかけに対し、何の躊躇いもなくそう答えてくれる2人に目頭が熱くなる。
「仲間に恵まれたね。ここまで良い子達は、然う然ういないよ」
「はい。俺は…幸せ者です」
ビートさんの声に答えながら、そっと涙を拭ったところで、休憩時間の終わりを告げるブザーが響く。
「合宿が終わる頃には、あんたは今の何倍も強くなってる。最後まで付いて来なよ?」
「はい!」
さぁ、訓練再開だ。
八百万side
「それでは、今日の訓練はここまでにします。お疲れさまでした」
「「おつかれさまでした!」」
時刻は17時半。今日の訓練は終わりを迎え、私と吸阪さんは担当であるブロッサムさんに一礼。
「ふぅ…」
ハードな訓練から解放され、ようやく一息つく事が出来ました。次の瞬間、何の前触れも無く鳴り響くお腹の音。
「………申し訳ありません。体内の脂質を殆ど使いきってしまい…」
何も言わず、温かい眼差しを向けてくるブロッサムさんと吸阪さんに、却って羞恥心が湧きあがります。あぁ、どうしてこのタイミングで!
「フフッ、お腹が空くのは健康な証拠。訓練を頑張った証です。そんなクリエティとライコウに、ご褒美をあげましょう」
そう言うとブロッサムさんは、近くに生えている1本の樹へ近づき―
「少しだけ実を分けてくださいね」
そう言いながら幹に手を当て、“個性”を発動しました。すると、なんという事でしょう! 枝に実っていた青く未熟な実が、次々と真っ赤に熟していくではありませんか!
「ありがとうございます。頑張ってくれましたね」
ブロッサムさんは樹を労わりながら、赤い実を幾つかもぎ取り―
「はい、どうぞ」
私と吸阪さんへ差し出してきました。これは…初めて見る果実です。
「ありがとうございます」
「いただきます」
初めての果実。99%の好奇心と1%の恐怖心を抱きながら口にすると―
「こ、これは!」
シャリシャリとした食感の果皮で包まれた果肉は柔らかく、その味はマンゴーにも似た甘さで…この上なく美味ですわ!
「これ…美味いですね」
吸阪さんもその味わいに驚いている様子。この実は一体何なのでしょう?
「フフッ、これはヤマボウシ…別名ヤマグワの実です」
ブロッサムさんの口から出た『ヤマボウシ』という名前に、私は以前図鑑で読んだ内容を思い出しました。
たしかに図鑑にも、ヤマボウシの果実は食用になる。と書かれていましたが…迂闊にも忘れていたようです。
やはり何事も実際に体験してこそ…という事ですね。
「本来、果実が熟すのは9月以降なのですが…私の“個性”で、早めに熟してもらいました」
ブロッサムさんの“個性”は『植物』。身近にある植物を活性化させたり、強化する事が出来るというものです。
彼女にかかれば、1本の蔦が強靭なロープに、1枚の笹の葉が切れ味鋭いナイフへと早変わり。このような山の中では、文字通り無敵といっても良いでしょう。
そのような方から教えを受けるのです。一挙手一投足を見逃さず、全てを自らの力へと変えなくてはなりません。
「頑張りますわ!」
「はい、頑張ってくださいね。それはそれとして…もう1ついかがです?」
「…いただきます」
雷鳥side
さて、訓練を終え、宿泊施設へと戻ってきた訳だが―
「さァ昨日言ったね。『世話焼くのは今日だけ』って!!」
「己で食う飯くらい己でつくれ!! カレー!!」
ピクシーボブとラグドールの声と共に俺達に提供されるカレーの材料。そう、これからは楽しい野外調理の時間だ。
「「「「「イエッサ…」」」」」
ふむ。まだ幾らか余裕のある
「さぁ、皆! 気合を入れて! A組より美味いカレーを作るよ!」
……どうやら心配はいらないようだな。拳藤の檄で、B組の奴らの目に光が戻っていく。鉄哲と同じように彼女もまたB組の柱…か。だが…
「ほぅ、
そんな事を言われちゃ、俺も黙っていられない。
「最初に言っておく。美味いカレーを作るのは
「雷鳥兄ちゃんが…燃えてる!」
おいおい出久、何を言ってるんだ。俺は平常運転さ。ただ…少しばかり
「さぁ、飯田! 委員長として、皆に檄を飛ばせ!」
「うむ! さぁ、皆! 世界一美味いカレーを作るぞ!」
さぁ、
最後までお読みいただき、ありがとうございました。