出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season1   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
第83話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。


第83話:林間合宿ーその7ー

取蔭side

 

「お邪魔~」

 

浴場でのやり取りから30分後、私達B組女子は飲み物やお菓子(お土産)を手に、A組女子の部屋へとお邪魔した。

 

「お待ちしておりましたわ。さぁ、どうぞ」

 

 A組女子を代表して、八百万が私達を出迎え、飲み物やお菓子の置かれた部屋の中央へ誘導してくれる。

 

「せっかくだから、輪になって座ろうか!」

 

 葉隠の提案で、私達はA組B組関係なく車座になり―

 

「一佳、音頭お願い」

「それでは! 第1回ヒーロー科女子会、開始します! 乾杯!!」

「「「「「乾ぱーい!!」」」」」

 

 賑やかに女子会が始まった。

 

 

拳藤side

 

「ヤオモモ、これ美味しいから食べてみて!」

「ありがとうございます、芦戸さん。このお菓子は…初めてですね。かっ〇えびせん…ですか?」

 

 芦戸に勧められたかっ〇えびせんを、興味深げな顔で口にする八百万。

 

「え、ちょっと待って…八百万、かっ〇えびせん食べた事無いの!?」

「申し訳ありません。家ではこういった庶民的な(・・・・)菓子を口にする機会がないもので…」

 

 私の問いに対する八百万の返答は、あまりに予想外なものだった。これが…ブルジョワってやつなの!?

 私が衝撃を受けているなど夢にも思わず、かっ〇えびせんやぽ〇ぽた焼きを興味深そうに食べていく八百万。

 

「このように皆でお菓子を食べながら、お喋りをするのが女子会なのですね。初めての体験ですが、とても楽しいです」

 

 やがて、そんな事を口にしたんだけど―

 

「八百万、わかってないね~」

「わかってないよ、ヤオモモ~」

 

 その言葉に、切奈と芦戸の目の色が変わった。

 

「女子会の神髄…それ即ち、恋バナ!」

「女子会(イコール)恋バナだよ!」

 

 直後放たれた2人の言葉に、A組B組関係なく皆がどよめいた。

 

「こ、恋!? 私達はまだ未成年で…そんな話は早過ぎますわ!」

「その通りです。男女の出会いは、全て神の御心のままにあるもの」

「ん……」

 

 お嬢様らしい生真面目さを見せる八百万、修道女(シスター)のような言動の茨、色恋沙汰に無頓着な唯と反応は様々だけど、明確な反対意見はなし。

 こうして、恋バナが始まったんだけど…。

 

「それでは! 彼氏がいる人は…手ぇ上げ!」

 

 切奈の問いかけに応えて手を挙げたのは―

 

「麗日と蛙吹…A組だけ!? B組はいないの!?」

 

 まさか、こんな形でもA組とB組の差を見せつけられるなんて!

 

「ま、まぁ…雄英に入学してから、い、色々…忙しかったから、ね…」

 

 必死に言葉を紡ぐ切奈だけど、その視線は泳ぎ、動揺している事が丸解りだ。

 

「Qustionデス! 2人の彼氏って、どんな人デスか?」

 

 そんな切奈を庇うように、ポニーが声を上げるけど―

 

「吸阪ちゃんよ」

「私の彼氏は…緑谷君です」

 

 その告白にB組一同(私達)は沈黙した。雄英1年トップ2が彼氏だなんて…凄すぎる。

 

「あ、そういえばさ…私達も麗日や梅雨ちゃんの馴れ初め(・・・・)を聞いた事は…無かったよね?」

「うん! 無かった! 良い機会だから、教えて欲しいと思います!」

 

 そんな私達を尻目に、芦戸と葉隠は話を進めていく。でも、蛙吹と吸阪、麗日と緑谷の馴れ初めを知る事は、私達にもきっとプラスになる筈だ………多分。

 

「馴れ初めだなんて…そんなロマンティックな物じゃないわよ」

「梅雨ちゃんに同じく…聞いても面白くないと思うけど…」

 

 2人はそう前置きした上で、それぞれの馴れ初めを話してくれたけど―

 

「滅茶苦茶ロマンティックだノコ!」

「女子の窮地を救い、名乗る事もせずに去っていく。まるで歴史小説に出てくる騎士のような振る舞いです」

「絶体絶命の危機をパンチ一発でひっくり返す……そりゃ惚れるわ」

 

 その内容は羨ましいの一言だった…。

 

 

葉隠side

 

 2人が話してくれた馴れ初めで、良い感じに盛り上がる女子会。この空気を逃す手はないよね!

 

「馴れ初めを聞かせてもらったところで、2人に次の質問! 彼氏(吸阪と緑谷)の魅力を教えてください!」

 

 私の問いかけに、女子達全員の視線が梅雨ちゃんと麗日に集中する。

 

「それじゃあ……私から話すわね」

 

 最初に話し始めたのは梅雨ちゃん! どんな事を聞かせてくれるのかな?

 

「吸阪ちゃんの魅力は…紳士なところね。余裕を保ちながらも厭味じゃない。品格があるけど堅苦しくない。一緒にいて、安心できる存在だわ」

「たしかに、吸阪は凄いよね。なんて言うか…同年代とは思えない時あるもん。大学生(・・・)とか社会人(・・・)って言われた方が納得出来るかも」

「たしかに! 私服の趣味も大人びているというか、高校生らしくなかったよね」

「似合っているのが、猶更凄いというか…」

 

 梅雨ちゃんの言葉に納得するA組一同(私達)。B組の子達も、吸阪の私服に関してはともかく、立ち居振る舞いについては同感の声を上げている。そして―

 

「それから…吸阪ちゃんの作るご飯は、とても美味しいわ」 

「「「「「同感」」」」」

 

 次の一言は、全員の一致した思いだった。というか…私達全員、吸阪に胃袋握られてるね!

 

 

芦戸side

 

「それじゃあ、次は麗日の番だね! 緑谷の魅力、いってみよー!」

「う、うん。緑谷君の魅力は…どんな事にも一生懸命なところかな」

「あー、それわかる。緑谷って、努力家だよね。努力する事を全然苦にしてないというか、努力する才能があるというか…」

「才能で言うなら分析の才能も凄いよね! 私以上に私の“個性”を理解していたの、緑谷が初めてだったよ」

「たしかに。体育祭前や期末試験前の特訓では、緑谷さんの分析ノートにどれだけ助けられた事か…」

 

 麗日の言葉に響香ちゃん、三奈ちゃん、ヤオモモが同意の声を上げる。けど―

 

「え? 分析ノートって…何?」

 

 B組の子達には、寝耳に水だったみたい。皆、唖然とした顔をしている。

 

「ご説明しますわ」

  

 そこで、ヤオモモが詳しく説明すると―

 

「じゃ、じゃあ…A組が急激に強くなったのって…緑谷のおかげって…事?」

「緑谷ちゃんの分析と、それを基にした吸阪ちゃんの指導…あとは、A組全体で高めあっていったおかげ…と言った方が的確ね。ケロケロ」

「そ、そうだったんだ…」

 

 なんだか酷くショックを受けていた。

 

「えっと…大丈夫?」

「え? あ、うん…ごめんね。ちょっとショックが大きすぎて…」 

 

 心配する私達の声に、B組の子達はそう答え…結局、女子会はそのまま終了する事になった。

 

 

耳郎side

 

「拳藤さん達…大丈夫でしょうか?」

 

 しょげた様子で部屋へと戻って行ったB組女子を心配するヤオモモ。たしかに、あの様子は心配だ。

 

「ケロ…推測だけど、私達が強くなった理由が、あまりに予想外なものだったから、驚いたんだと思うわ」

 

 梅雨ちゃんの冷静な考察に、その場の誰もが納得する。たしかに、先生の手助け無しでここまで強くなったなんて、第三者から見れば、信じられないの一言だ。

 

「でも、最後はあんな感じだったけどさ。女子会、楽しかったよね!」

「そうですね。貴重な体験が出来ましたわ」

「麗日や梅雨ちゃんの馴れ初めも聞けたしね!」

 

 葉隠の声に顔を赤くする麗日と梅雨ちゃん。それを見ていると、微かに胸が痛くなる…。

 

 -それはそうなんだがな…だが、気持ちを伝えちゃいけない。なんて決まりもない。結果に関して保証は出来ないが、無理に心の奥に押し込めておくより、さらけ出した方が良い…かもしれない-

 

 それと同時に、吸阪から言われた言葉が浮かんできた。そう、逃げちゃ…駄目だ。私は覚悟を決め―

 

「皆…ちょっと、いいかな」

 

 口を開いた。

 

「耳郎ちゃん、どうしたの?」

「うん、実はね……ウチ…好きな人がいるんだ」

 

 私の告白にヤオモモ達から驚きの声が上がる中―

 

「耳郎ちゃん…本当にいいのね?」

 

 私をまっすぐに見ながら、問いかけてくる梅雨ちゃん。梅雨ちゃんもお見通しだったんだ…。 

 

「大丈夫。どんな結果でも後悔しないから」

「そう…それなら、何も言わないわ」

 

 そう言って静かに微笑む梅雨ちゃんに、心の中でお礼を言いながら…ウチは言葉を紡いでいく。

 

「ウチが好きな人は、皆もよく知ってる人…この合宿が終わったら……告白しようと思う。その事で、皆に迷惑をかけるかもしれない。でも、ウチは自分の心にこれ以上嘘を吐きたくないから…言いたい事はそれだけ。ごめんね、時間取らせて」

 

 自分の気持ちを皆に宣言し、頭を下げる。芦戸や葉隠は、告白する相手が誰なのか聞いてくるけど、笑顔で胡麻化す。さぁ、逃げ道は塞いだ…あとは、伸るか反るかだ。

 

 

雷鳥side

 

「ふむ……」

 

 就寝時間まで残り30分。俺は合宿前スマホに記録してきたレシピ帳を見ながら―

 

「なぁ、お前ら…明日の昼飯、何喰いたい?」

 

 思い思いの時間を過ごしていたA組男性陣に問いかけた。

 

「なぁ…それ答えたら、これ解いてくれる(・・・・・・)か?」 

 

 頭にデカい瘤を作り、テープでグルグル巻きにされた蓑虫状態の峰田が、真っ先に口を開くが―

 

「解く訳無いだろうが…虎さんが来るまで、そのままでいろ」

 

 容赦無く切り捨てる。峰田の奴、昨日あれだけ痛い目にあったにも関わらず、女子会会場に侵入(スニーキング)を試みるとは…ある意味大した奴だ。

 もっとも、その報いとして、今晩から虎さんの部屋で寝る羽目になったがな!

 

「邪魔をする」

 

 噂をすれば、虎さんの登場だ。

 

「お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします!」

 

 俺達を代表して、飯田が委員長モードフルスロットルで峰田を引き渡す。

 

「任せておけ。我の名に懸けて、夜明けまで部屋から一歩も出さん」

 

 頼もしい言葉と共に峰田を自室へ運んでいく虎さん。峰田の泣き叫ぶ声が廊下に響くが…全力で無視だ!

 

 

死柄木side

 

「突然の申し出にも関わらず、素晴らしい人材を連れてきてくれて感謝するよ。ミスター義爛」

「いえいえ、死柄木弔のお眼鏡に叶って、何よりです」

「黒霧、ミスター義爛に支払いを」

「こちらになります」

 

 俺の指示を受け、義爛に札束の入ったアタッシュケースを差し出す黒霧。義爛はそれを受け取ると―

 

「それでは、私はこれで。今後もご贔屓にお願いしますよ」

 

 そう言って、アジトを後にした。

 

「これで12人。開闢行動隊の戦力は完璧となった」

 

 義爛の紹介で、新たに追加された2人を見ながら、俺は静かに呟き―

 

「早速だが、2人には(ヴィラン)連合開闢行動隊の一員として活動してもらう。初仕事はとある施設の襲撃。詳細は…先行して現地入りしている行動隊長、荼毘に聞いてくれ。質問は?」

 

 指示を下した。特に質問も出なかったので―

 

「黒霧。頼む」

 

 黒霧のゲートで現地へ飛ばす。作戦開始は明日の20時…あと、23時間。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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