ニンジャストーリーズ・ハイデン・イン・ハーメルン   作:ローグ5

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今回は大正ニンジャスレイヤーのオリジナル組織「帝都の暗雷」の解説及びミニストーリー、さらにおまけでカムド・ニンジャなるオリジナルニンジャの解説が内容となっております。


NSHIH・PLUS
シャード・オブ・NSHIH:(1)帝都の暗雷について及び(2)カムド・ニンジャ備忘録


大正エラを迎えた日本の中心地東京。華やかな街では洋風のビルヂングが立ち並び、着飾ったモボ、モガ(モダンボーイ、モダンガールの略称。大変奥ゆかしい)が歩き、紳士淑女が最先端の洗練された洋食を愉しむ。

 

他方路地裏では近年の東京の目覚ましい進歩から取り残された貧しい人々が繁栄に羨望の目を向け、薄汚れた地面をうつむいて歩く。万人が幸せとなれる理想郷の実現はまだ遠く遥か彼方。人間や社会の光と闇を体現したかのような都市、それが大正エラの帝都東京であった。

 

そんな帝都のとある夜、銀座なる実際高い部類に入るビルヂングの屋上。それぞれ異なる店舗や施設のある世にも珍しい双子のビルヂング「有閑の双子」の左側の屋上。本来なら粋な持ち主の手によって築かれた奥ゆかしい枯山水を楽しむことができるこの屋上は今この時はただならぬアトモスフィアに満ちていた。

 

その原因は明白だ。道路に面した点で胡坐する死体めいた白い色の装束に身を包んだニンジャである。ニンジャの名前はヒドウアロー。

 

「ハァーッ……」

 

ヒドウアローは低くキアイを入れると共に背中に背負っていた大弓を左手で構え、右腕で矢筈から引き抜いた矢をつがえる。その目は決断的殺意と愉悦に満ちていた。

 

ヒドウアローは帝都の裏で暗躍する暗黒ニンジャ組織『帝都の暗雷』の構成員だ。彼もまたゲニンであるとはいえリアルニンジャの一端であり、構成員としてしかるべき福利厚生を得ている。特に彼は大弓の扱いを得意とするヘキ・ニンジャクランの出身であり、無音で放たれる矢により恐るべき暗殺者として組織内でも地位を保っていた。

 

彼は現在の帝都の暗雷という組織を気に入っている。修行の末ニンジャになったにもかかわらず得られなかったあるべき扱いをようやく得られたという事もあるが、帝都の暗雷は非常にニンジャ的な組織であり組織の邪魔にならない限りは邪悪な行為は許される。それは殺戮だろうと何だろうとだ。

 

ヒドウアローはモータルの家族連れや恋人同士を撃つのが好きだ。片方がヘキ・ニンジャクラン特有の長い矢じりにより首を飛ばされ血しぶきを上げた後に一泊遅れてあげるあの悲鳴!あれを聞いていると長く厳しい修行に耐えた甲斐があったものだと毎度ながら心温まる。

 

しかも実際嬉しい事に今回の任務は軍の邪魔な高官一家の抹殺。胡乱アナーキスト弓道家の仕業に見せかけ一家全員を殺戮するという聞くだけでエクスタシーを感じる物だ。ああ、素晴らしきかなニンジャ生。

 

故にヒドウアローは組織の大幹部の一角たる『三銃士』のトランプルダウナーを、そして首領たるチルハ・ニンジャにソンケイを抱く。「おお……見てくだされ各々方……下賤なモータルの無価値な命を、帝都を彩る美しい紅い花火にして進ぜましょう……」

 

内通者からの報告によるとそろそろのはずだ。およそ後五分後、彼ら一家を乗せた車が通りかかる。そこへまずタイヤを撃つ!そして車が動きを止めて出てきたところを―――――「ウヒッウヒヒヒヒッ!!」彼は不気味に笑う。チーン!愉悦の中にあるヒドウアローに間抜けな金属音が響いた。「ナンダ?」

 

ニンジャ聴力の捕らえたそれは双子ビルヂングのもう片方、右側のビルヂングの中央にあるエレベーターなる最新の昇降機からだ。モータルの作った惰弱なおもちゃではあるが動くのを見ているのはなかなか楽しい。屋上に到着したエレベーターのバンブー製扉が開く。「ナンデ?」ヒドウアローは眉根を寄せた。誰も乗っていない。

 

本来このビルに作られたエレベーターは自動式であるとはいえ、そもそも操作者が必要であり職業婦人どころかボーイも全て帰ったこの時刻では動くはずがない。実に不可解であった。ヒドウアローはニンジャ視力を十数メートル先のエレベーターと周辺に集中する。やはり何もない。「オバケかよ」彼が独り言ちた瞬間、今度は彼の背後でエレベーターの到着を告げる音が鳴った。チーン!

 

ヒドウアローは振り向く。彼のいる左側のビルにもエレベーターはある。彼の背後にもそれはある。だが今度は先程と違い無人ではなかった。エレベーターのバンブー製扉の向こう側、其処には赤黒装束の恐るべきアトモスフィアのニンジャが乗っていた。

 

「ドーモニンジャスレイヤーです」バンブー扉が開くと同時に一歩進み出たニンジャスレイヤーはアイサツした。その目にはヒドウアローが比較にならない程の決断的殺意が宿っている。

 

「ド、ドーモニンジャスレイヤー=サン。ヒドウアローです。貴様は我々に仇名す凶人……!?ナンデここが、いやっここに来たんだ!!?」ヒドウアローは動揺した。その赤黒の死神は組織に仇名し既に何人ものニンジャを殺した恐るべきカラテモンスターだ。

 

「知れた事よ」ニンジャスレイヤーは地獄めいた声で告げる。「私はどこにでも現れるぞ。貴様ら女子を嬲って悦に入る軟弱者共にふさわしい地獄を見せ、絶望と共に惨たらしく殺す為に」「アイエッ……」

 

ニンジャスレイヤーは情け容赦ないジュ―・ジュツを構える。「せいぜいあがき、性根にふさわしい醜い屍を晒すがいい。帝都の暗雷のニンジャは最終的に全て殺す故。イヤーッ!」殺意の具現化したかのような焔と風がヒドウアローに襲い掛かった!

 

 

 

 

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シャード・オブ・NSHIH:(1)帝都の暗雷について

 

帝都の暗雷は大日本帝国の軍部及び政財界に深く根を張るニンジャ組織である。首魁はケイト―・ニンジャの最後の弟子とされる強大なアーチニンジャチルハ・ニンジャであり、彼は世界秩序の破壊を先駆けとしたニンジャ主導世界の再生を掲げこの暗黒ニンジャ組織を作り出した。

 

この組織には類似の組織と同様に多くのニンジャ、それもリアルニンジャが参加し、邪悪なるカラテを振るっている。さらにたちが悪い事にチルハ・ニンジャは表向きは大日本帝国陸軍大佐カトウ・ヤスノハとして権力を振るっており、また上級幹部である三銃士と呼称される三人のリアルニンジャも高い社会的地位を誇る為、彼らの庇護の元、構成員たちは日夜誰にも咎められることなく暗躍している。

 

強国とはいえ列強としては新興国の日本に、多くのニンジャが集まったのは首魁や上級幹部のもたらす富や権力も大きい。だがそれ以上に構成員ニンジャたちが支持しているのは彼らの掲げる組織理念への期待だ。

 

豊富なニンジャ知識をお持ちであるみなさんならばご存知の事であるが江戸時代~Y2K(20世紀末)の時代はニンジャたちにとって「立ち枯れ」と呼ばれる冬の時代であり、諸処の影響から彼らは著しく弱体化した。如何にカラテやジツを鍛えたリアルニンジャと言っても彼らの能力は著しく減衰し、ニンジャによってはスリケンの生成すら難儀したという。

 

また産業革命期からの急速なモータルの技術の発達により、ニンジャへの対抗手段がある程度確立された上、都市の隅々までもが人工の光に照らされるようになった。そんな時代においてはモータルの未知への恐れも当然ながら減衰しニンジャはかつてほど暗躍がし辛くなっていったのだ。

 

そんな時代であるがゆえに本来よりも弱体化したニンジャ達(彼らのほとんどは現代の憑依ニンジャと技前でそう変わらないレベルになっている)が今最も隆盛しており、また彼らの窮状を打破しうる帝都の暗雷に望みをかけるのはある種当然であったといえるだろう。

 

こう書くと帝都の暗雷は時代の敗残者たちのように思えるかもしれない。しかし一般ニンジャの多くは過酷な修行を経てニンジャとなった手練れであり、またチルハ・ニンジャだけでなく三銃士も皆アーチ級のリアルニンジャだ。その上に多数の金や最新技術、人員と言ったいつの時代も必要とされる物を十二分に持っている。個人であるニンジャスレイヤーことカザミ・ケンジョウが挑むにはあまりにも強大な敵であるといえよう。

 

 

◎所属ニンジャ一覧

 

・首魁

チルハ・ニンジャ(大日本帝国陸軍大佐カトウ・ヤスノハ)

 

・三銃士

ドゥームアイ(紡績系メガコーポ社長オガバシ)

トランプルダウナー(?)

???

 

・中級下級構成員

ハービンジャー

レッドダスク

クイックリロード

デッドモズ

ブラックキャンサー

ヒドウアロー

スティールブレイカー

他多数

 

 

 

 

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「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」双子ビル左側の四階のデパート、もはやカラテ嵐に巻き込まれ跡地とかした其処で、ニンジャスレイヤーは傷を負いながらも増援ニンジャスティールブレイカーを追い詰めた!炎と風を纏った拳でスティールブレイカーを殴る!殴る!殴る!

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」憎悪に満ちた目でニンジャスレイヤーはスティールブレイカーを殴り続ける!「アバーッ……」ボロ雑巾めいてエレベーターに叩き込まれたヒドウアローは最早地獄絵図を打ち上げられたマグロめいて見るのみだ!ブザマ!

 

ニンジャスレイヤーの右腕から背中にかけて縄めいた筋肉が盛り上がる!「イイイ……ヤアアアアアアッッ!!」

「アバババ―ッ!」スティールブレイカーを炎と風を纏った螺旋パンチで殴りつけた!スティールブレイカーは鋼アクションめいて吹き飛ばされる!「「アバーッ!!」」エレベーター内にホールイン!ヒドウアローが下敷きだ!

 

ガタンッ!ゴトン!その時悲劇が、いや喜劇が起きた!度重なるニンジャ衝撃により頑丈であるエレベーターの鎖が断裂!1階への地獄的フリーフォールを絶賛開始したのだ!邪悪ニンジャ二人は脱出どころか声を上げる事も出来ずに……

 

CRAAAAAAAAAAASH!!!「「サヨナラ!!」」致命的落下衝撃がとどめを刺し、二人纏めて爆発四散した!

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはエレベーターの穴からトライアングルリープで屋上へ飛び出しそのままビルヂングからビルヂングへ渡り何処かへかけていく。「餅侍だよ!」「餅侍すごいねー」その下を何も知らない一家の車が走っていく。

 

今宵は邪悪ニンジャを殺し殺戮を防いだことで戦はニンジャスレイヤーの勝利に終わった。だが帝都の暗雷との闘いはまだ終わったわけではない。下級中級構成員ニンジャ、上級幹部の三銃士、そしてチルハ・ニンジャを殺すまでニンジャスレイヤーの戦いは終わることがないのだ!

 

走れ、ニンジャスレイヤー走れ!全ての邪悪ニンジャを殺す為に!

 

 

 

 


 

 

 

シャード・オブ・NSHIH:(2)カムド・ニンジャ備忘録

 

 

 

古来の神話級ニンジャの一柱にカムド・ニンジャなるニンジャがいた。強大極まりないシ・ニンジャの系譜に連なる彼はニンジャ6騎士や24大ニンジャクランの首領格よりは知名度が低い物の、その凄まじいカラテや生きていた時期から紛れもなく神話級ニンジャの一角であったといわれており、また一部地方において稀に遺跡から発掘される発掘品のうち数点は彼の所縁の品とニンジャ学会は判断している。

 

信頼できる文献および伝承の幾つかによると彼は寡黙かつ浮世とは没交渉な男であるが友誼を尊ぶ奥ゆかしいニンジャであったとされる。またモータルに対しても寛容な態度を見せ悪戯に虐げることはなかった。そうした態度が故に彼を惰弱なる者とみる一部のニンジャもいたが彼は気にしなかったという。

 

そんな彼が極めて鮮烈な印象を残したエピソードが一つのみある。その事件は彼の友人の一人であったニンジャがとあるニンジャクランによって謀殺されたことに端を発する物だ。(意図的な改ざんによる物か被害者と加害者双方ともに現代に名前は伝わっていない)

 

卑劣な毒系統のジツにより数少ない友人を殺されたカムド・ニンジャは深い怒りを覚えたが、さらに彼の怒りに火に油を注ぐかのように敵ニンジャクランが勝利の証に執り行った儀式は、彼の友人を弔うというにはあまりにもふざけた故人を愚弄するかのようなブレイコウ儀式であった。あまりにもシツレイな事だ。

 

これによりカムド・ニンジャのカンニンブクロは完全に爆発した。その日の内に完全武装した彼は敵ニンジャクランの拠点を単独で急襲し、皆殺しにせしめた。

 

彼と敵対ニンジャクランの戦闘中は激しいカラテシャウトと稲妻があたり一面に一晩中響き渡り、周囲のモータルは凄まじい怒りとカラテに皆失禁しその怒りが静まることを祈った。結果として血まみれになりながらも復讐を果たした彼は無駄な殺戮に奔る事無く最後にニンジャクランの館を完膚なきまでに破壊すると亡き友人の遺品を手に何処かへ消えたという。

 

彼の行動が明確に確認できるエピソードはこれが最後である。その後のバトルオブム―ホンにおいても彼はシ・ニンジャクランの一員として中立を保ち、死者の弔いの身を執り行ったともされている。その後はハガネ・ニンジャやソガ・ニンジャの専横を嫌い何処かへと隠棲し、消息を絶ったことから、その後に寿命が尽きた大木めいて病によりこの世より消えたと現在の学会では推定されている。

 

ひっそりと目立たず、されど誇り高いカムド・ニンジャの生涯、それを伝える物は今は一部地域に伝わる伝承と一部の発掘品、長物の刃や保存されし巻物などの数点のみとなっている。




シャード・オブ・NSHIHについてはまた思いついた際に追加します。

また近日中に新規エピソードを投稿予定です。
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