ニンジャストーリーズ・ハイデン・イン・ハーメルン   作:ローグ5

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後編開始。今回はがっつり解像度を上げたカラテをお楽しみください。


【192X:イービル・ルックド・ザ・レッド・ブラック・ストーム 後】

邪悪なるニンジャレッドダスクの支配する館の中、二人のニンジャはは対峙する。一方はこの館を支配する陰湿なるサイコパスニンジャ、レッドダスク。もう一方はニンジャ殺しの死神、ニンジャスレイヤー。

 

「ドーモニンジャスレイヤー=サン、レッドダスクです。その様子だとハービンジャーは殺されたようだな。なかなか使える奴だったんだが……カラテも弱かったし仕方ない、か。お前を殺した後の俺の楽しみを捧げて弔いとしよう。イヤーッ!」

 

「イヤーッ!」

 

オジギ終了の直後、二人のニンジャはカラテシャウトを発し切り結ぶ!ニンジャスレイヤーは抜き身の刀のような鋭いチョップを。対するレッドダスクの獲物は禍禍しい小太刀の二刀流。わずかに長さの異なる左右の刀を巧みに扱い、ニンジャスレイヤーの攻撃を巧みにかわす。その動きは予想以上に鋭い。彼はその陰湿極まりない性癖に相反する高いカラテの持ち主であった。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

手首を返して放たれた返礼の斬撃がニンジャスレイヤーの脇腹を切りさく。さらにレッドダスクはもう一撃。斬撃の勢いを利用して小太刀の柄を握った手を裏拳めいてニンジャスレイヤーに叩きつける。

 

「グワーッ!」「隙アリだ!イヤーッ!」

 

レッドダスクがスナップを効かせて軽く刀を振るとその一部が分離しスリケンとなってニンジャスレイヤーめがけて飛翔する!しかしニンジャスレイヤーもさる者。吹き飛ばされながらもサマーソルトめいた回転蹴りでスリケンをはじき返し、そのままトライアングルリープからのトビゲリでレッドダスクを狙う!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」CRAAAAAAAASH!レッドダスクがガードに使った両腕の小太刀が砕け散る!地に足をつけた両者はそのままチョーチョー・ハッシの近距離戦に移行!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

おお、ゴウランガ!二者のカラテは空気を切り裂き流れ落ちた水滴すら何重にも刻む超高速!ニンジャ殺しの死神ニンジャスレイヤーとレッドダスクはマイめいて立ち位置を変えカラテ応酬を継続する!右こぶしと右こぶしがぶつかり合う!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

ニンジャ殺しの死神ニンジャスレイヤーとレッドダスクはマイめいて立ち位置を変えカラテ応酬を継続する!左こぶしと左こぶしがぶつかり合う!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

ウインブルドンよりも激しいカラテラリーを制したのは……ニンジャスレイヤー!渾身の右蹴りがレッドダスクのあばらをへし折り血を吐き出させる!怯むレッドダスクに対してニンジャスレイヤーは断頭チョップでカイシャクを試みた!

 

「イイイヤアーッ!」「イヤーッ!」

 

しかしレッドダスクの動きは予想以上に機敏。ビール瓶を三本並べても容易に切断するチョップに肩口を切り裂かれながらも風車めいた動きでニンジャスレイヤーに蹴りを浴びせる。その一撃は苦し紛れの攻撃に見えたが……?

 

「ッ!?グワーッ!」

 

レッドダスクの蹴りは鋭い残光を残してニンジャスレイヤーを切り裂いた!赤黒い血が飛び散る中ニンジャスレイヤーの目に映るのは鈍く光る刃!

 

な、何という事であろうか!レッドダスクの足側面から生えるのは禍禍しい刃。峰が波打つ禍禍しい刃はニンジャスレイヤーがカラテ止血を試みる間も手足から出る本数を増やしていく!

 

「フーッまさか狂った賊相手にこのジツを使う羽目になるとはな。人の肉を切り裂く手ごたえは心地よいものだが……やはり生娘の精神をいたぶり木偶人形に変える喜びにはかなわぬ。ああ、早く遊びたい!」

 

更なる殺意に目を細めるニンジャスレイヤーに超自然の怨念がささやく。レッドダスクの師は強大なカラテに似合わぬ下卑た性格で知られたヤイバ・ニンジャかその系譜。彼らは刀を飲み込む修行を経て、体から刀を生やし相手を切り刻むジツを得たという。

 

ニューロンの同居者が策を示すよりも早くレッドダスクが突進する。その四肢からは先程と同様の禍禍しい刃がニンジャスレイヤーめがけて伸びる!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

ニンジャスレイヤーはブレーサーで刃を弾きつつも後退する!その刃の勢いは嵐の如き凄まじさ!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イイイイヤーッ!」「イヤーッ!?」

 

だが後退するニンジャスレイヤーは訝しむ。レッドダスクの四肢から生えるのは先程と同じ小太刀。当然ながらその間合いは四肢による伸長があったとしても刀よりは短い。にもかかわらずその間合いはニンジャスレイヤーのカラテを警戒しているにしてもやけに遠い。まるでニンジャスレイヤーを遠ざけるように。

 

しかしその理由はすぐに分かった。さらに力と速さの乗った大ぶりの一撃を回避した際に体操選手めいて飛びのいたニンジャスレイヤーは気づく。背後にある者に。震えながらも幼子をかばうシオンに。

 

「かかったなニンジャスレイヤー=サン!これまでの反応で貴様がモラリスト気取りの惰弱者という事は把握済みよーっ!イイイイヤアアーーーーーーッ!!」

 

レッドダスクは空中で体をねじり竜巻めいて大回転!空中を乱舞する悍ましき刃の乱舞から放たれるのは……そう、大量のスリケンである!その大げさなまでの攻撃はニンジャスレイヤーにとっては数発の被弾を許容すれば容易に回避できる攻撃であろう。

 

「……!」

 

(((バカ!ウカツ!何たる惰弱な!)))

 

しかしニンジャスレイヤーはニューロンの同居者の罵声をよそにガードを固める。ここで彼が引けばどれほど無残な死が背後の少女にもたらされるか明らかであるからだ。

 

ニンジャスレイヤーは焔を纏いしクロス腕でスリケンを防御する。だがそれは多勢に無勢。一つ二つと確実にスリケンがその身に刺さっていき――――13ものスリケンが刺さった時にニンジャスレイヤーはボロクズのようになって床へ崩れ落ちた。

 

薄れゆく意識の中ニンジャスレイヤーはシオンの悲鳴と、レッドダスクの勝ち誇った笑い声を聞きいた。そして彼の意識は闇へ落ちていった。

 

 

 

 

 

01001010100011111010100ザリザリザリザリ……

 

 

ニンジャスレイヤーは、カザミ・ケンジョウの意識は混濁する。走馬灯・リコールの如き記憶の奔流の中、脳裏に映るのは黒きニンジャ。血で染まったセキハバラの大地に立つは恐るべきバヨネットドーの使い手たる怨敵デスリーパー。二刀を握ったそのシルエットははどこかレッドダスクと重なる。

 

「殺すべし……妻子の仇殺すべし……!」

 

サムライの如き鎧をまとったニンジャスレイヤーは胸に燃える憎悪を基に、刀を握って突き進む。それは彼とは別のニンジャスレイヤーの記憶。二刀流の使い手たるレッドダスクとの戦が引き寄せたのだろうか。そのニンジャスレイヤー、キルジマ・タカユキが戦うのは家族の仇討の為。しかり家族の仇だ。ケンジョウもまたニンジャによって家族を殺された。

 

ケンジョウの二人の妹、アズサとリコ。穏やかで控えめ、活発で陽気という違いはあれど二人ともケンジョウにとって自分の命よりも大切な妹だった。両親亡き後にケンジョウが苦心して愛し育て来た最愛の妹だった。

 

だが二人とも殺された。陸軍に新設された航空隊に配属された日、長年の念願が叶った事への祝いの為に帰宅したケンジョウを迎えたのは、焼け落ちる生家。ニンジャのカラテ。そして折り重なるようにして剣に貫かれ殺されるアズサとリコ。

 

病弱でいつも空を見上げ夢を抱いていたアズサ。いつか兄のように航空機のパイロットになるのだと豪語していたリコ。彼女たちはもういない。ニンジャに殺された。

 

ケンジョウには妹たちを殺したニンジャにどのような理由があったのかは知らぬ。知ろうとも思わない。だが死ねない。妹たちの仇を討つまでは、彼女たちを殺したチルハ・ニンジャを殺すまでは死ねぬ!

 

「殺すべし、ニンジャ……殺すべし」

 

憎悪の嵐がケンジョウの体内に流れ込む。その悪黒のストリームは圧倒的。それはニンジャに殺され無念の内に死んでいった者たちの多さを表している。

 

「ニンジャ殺すべし……ニンジャ、殺すべし!」

 

赤黒の憎悪のストリームの中ケンジョウは、ニンジャスレイヤーは立ち上がる。目の前には邪悪なニンジャがいる。ならばやることは一つだ。カラテによって惨たらしく殺し、無明のジゴクに引きずり込むべし。それだけだ。

 

ニンジャスレイヤーはカラテを構える。どこかシオンと子供を守るように立ちふさがるその姿は鬼神の如き何処か禍禍しく雄々しいものだった。

 

 

 

 

絶望に包まれる中シオンは風を感じた。そう、風だ。幽鬼めいた姿になり果てながらも赤黒のニンジャは立ち上がった。その体からはまるで飛行機のプロペラが巻き起こすそれのようにすさまじき風がき出す!そして装束の表面で燻っていた焔と混ざり合い、凄まじい勢いで吹き出し赤黒の翼めいたエフェクトを形成した!

 

「赤と黒の……翼のニンジャ?」

 

シオンは呟く。翼めいて展開されたニンジャの裁ち布から発せられるのは凄まじいエネルギー、そのカラテは絶大な勢いであった!

 

されど赤黒の焔風がシオン達を傷つけることはない。赤黒のニンジャがそのエネルギーを向けるのは禍き刃のニンジャのみ。

 

(((グググ……ケンジョウよ。足手まといの小童共に意識を割くとは何たる未熟。だがまあ良い、とっととその胡乱な三下をクズ肉にせい!)))

 

(言われなくてもそのつもりだ……奴を、レッドダスクを殺す!)

 

「イヤーッ!!」

 

ニンジャスレイヤーは助走なしに一瞬でトップスピードに到達し駆けた!その速さは飛ぶ鳥が如し!

 

「イ、イヤーッ!」

 

異常事態に怯みつつもレッドダスクが刃のスリケンを仕掛ける!しかしニンジャスレイヤーは防御動作すらしない!レッドダスクのスリケンはその疾風の如き疾走の後に残った残影を割くのみ!瞬く間にニンジャスレイヤーはレッドダスクの眼前にたどり着いた!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

レッドダスクが防御のため掲げた刃を右腕毎カラテ破壊!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

レッドダスクが防御のため掲げた刃を左腕毎カラテ破壊!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

レッドダスクが防御のため掲げた刃を右足毎カラテ破壊!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

レッドダスクが防御のため掲げた刃を左足毎カラテ破壊!

 

両腕両脚の刃を折られたレッドダスクはもはや王手詰。だが邪悪ニンジャにはまだ仕込み武器がある。胸部に内蔵された一対の隠し刃が。

 

「アッアバッ……イ、イヤ」「地獄に落ちろレッドダスク=サン。イイイヤアアアッーーーーーーーー!!!」「アバッー!アバババババーーーーーー!!」

 

だがニンジャスレイヤーはそんな小細工など真っ向から打ち破る!赤黒の焔風を纏った右腕のが鉤爪めいた一撃が刃毎心臓を完膚なきまでに破壊する!

 

「アバーッ!な、なんだお前は、なんなんだ!アバッー!」

 

体内から焔と風を流し込まれ焼かれ割かれ砕かれていくレッドダスクは極限の苦痛の中ニンジャスレイヤーに問う。絶望の中の問いに憎悪に満ちた瞳のニンジャスレイヤーはレッドダスクの恐怖に満ちた目を見つめ答えた。

 

「何故だと?知れたことよ。妹たちの仇チルハ・ニンジャ。あの増上慢を、連なる三下共をすべて殺し首を墓前に供えるそれだけが儂の望みよ!」

 

「エッ……チルハ・ニンジャ=サンを……?」

 

最早文字通りの死に体のレッドダスクは目を見開く。彼の所属する暗黒ニンジャ組織の首魁たるアーチ級リアルニンジャ。神話級ニンジャであるケイト―・ニンジャの最後の弟子の一人である強大なイモータルである彼を殺すと?この男はそういったのか?

 

レッドダスクはその誇大妄想を笑い飛ばそうとする。しかしできなかった。ニンジャスレイヤーはチルハ・ニンジャの殺害を誇大妄想ではなく現実しかねないと彼は感じた。それほどまでにこのニンジャのカラテは、赤黒の焔風は、憎悪は……!

 

「アイエエエエエエエエエエエエエエ!アイエエエエエエエエ!!アイエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!」「イヤーッ!」「サヨナラ!」

 

ニンジャスレイヤーの憎悪を感じ取り発狂したレッドダスクは心臓握り潰しによりカイシャクされ爆発四散した。屋敷を飲み込む爆発と共にかけらも残さず、邪悪なニンジャは死んだ。

 

焔が消えそれでもなお強い風が吹く中、ニンジャスレイヤーはたたずむ。その姿はどこまでも孤独。しかしその身に秘めたる憎悪は烈火のごとく。そして彼はカラテシャウトを発し、エントリーした際の窓から出ていった。その姿を見ると共にニンジャリアリティショックの影響でシオンの意識は途切れていく。薄れゆく意識の中、それは幼子のぬくもりか、それともニンジャの焔か。何処か熱を感じながらシオンは意識を失った。

 

 

 

それが、シオンとニンジャスレイヤーの一度目の遭遇であった。かたや赤黒のニンジャ殺しのニンジャ。かたや美しくして平凡なモータルの少女。何の接点もないように見えた二者はしばしば運命づけられたかのように出会う。邪悪なるチルハ・ニンジャを殺す戦いの最中、ニンジャスレイヤーはかつて自分がそうしたように少女に救われる時が来る。

 

しかし彼らの再びの邂逅について語るのは今ではない。いつの日か、帝都東京の闇で繰り広げられるニンジャの戦が再び語られるその日に明かされる時が来るだろう。




今回の話はここまでとなります。すでにチルハ・ニンジャとの最終決戦のプロットは大まかに考えていますが、その途中がまだほとんど未完成なのでそこらへんが出来たら本格的に長編として投下するかもしれません。
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