そして比企谷八幡は仮面の少女と   作:白羽凪

10 / 20


ふとしたことから始まった
いつか終わってしまう、大切な時間。
だから、1秒1秒に誓う。
今、この時だけは楽しくいようと。
このときを大切にしようと。
そんな時間を過ごす、運命に縛られた彼女の話







毎回毎回スタイルが変わっていくぅ...( ´・ω・`)


#9 だから雪ノ下陽乃は自身の運命を呪う

ー陽乃sideー

私は今、比企谷くんとデートに来ている。

まだ怪我が治ってないにも関わらず誘ったのに、彼は来てくれた。

 

私だってちゃんとした状態で彼に話したかった。

けれどもう、時間がない。

 

数日前母さんに言われた事、それは

「あと2週間以内に、この1件について全て終わらせなさい。」

というものだった。

どうやら2週間後から、やるべき事が立て続けに入ってるようだ。私もいくらか行かなければいけないらしい。

期限が過ぎればまた私は、《いつもの》雪ノ下陽乃に戻らなければならない。

そしてこれが、その2週間の中の最後の休日。そして明日が期限の最終日だ。

 

だから

彼を誘うのは今しか無かった。

 

まだ痛む時があってもおかしくない。なんで彼は来てくれたんだろう?

いや、そんなことはどうでもいいや。

今は楽しもう。ただそれだけだ。

 

...

 

そして今は帰りの車内だ。

 

私は、一応ではあるが車の免許は取っている。もしも、自分が普通の女として生きれたら。そんな望みを少しでも叶えるために手に入れた。

少し母さんに反抗心を見せようと思ったのも理由の一つだけど。

そんな私の車の助手席で比企谷くんは眠っていた。

結構深めに寝ているようだ。よっぽど疲れたのだろう。

 

 

1時間ほどたった頃、比企谷くんは目を覚ましたようだ。

「すいません雪ノ下さん。寝てしまって...。」

「いいよいいよ、その状態で結構歩かせたんだから、疲れるのも無理は無いでしょ。」

「...まあ。でも、今日は楽しかったんで良かったです。」

 

嘘をつかないところが彼らしい。そこは変わらず好きだ。

 

「そっか。楽しんでくれてよかったな。」

そう言って笑顔を見せる。

 

けど、

とても悲しかった。だってこの時間はもうじき終わってしまう。

彼とこうやってゆっくり話せる時間もないだろう。

 

だったらせめて、その旨は彼に言っておこう。

 

「あのさ、今回の一件についてこの前母さんにきつく言われてさ。もう、当分こういう機会なんてないんじゃないかって思うの。だから、今日はデートに来れて本当によかった。」

「そうですか...。」

彼は少し残念そうだった。

「もちろん最後じゃないとは思うけどね?」

 

取り繕うように慌てて言葉を出す。けど、嘘だ。

最後の可能性は十分ある。

《雪ノ下》陽乃に戻ってしまって時間を過ごせば、いつか好きでもない人間と結婚させられるという事も考えれる。

 

...。

 

そんな中、比企谷くんが声をかけてきた。

「あの、雪ノ下さん。」

「ん?どうしたの?」

「寄って欲しい場所があるんです。」

 

 

指定されたのは何の変哲もない公園だった。

「で、比企谷くんはなんでこんなとこに寄りたいって言ったのかな?」

「ここから見える星が綺麗でしてね。紹介したかったんですよ。」

「うん、確かに綺麗だね。」

そう言って夜空を見上げる。頭上には沢山の星が輝いていた。

千葉にもこんな場所あったんだなぁ...。

身近で、でも気づかない。きっとそれは、私が人とは違うからだろう。

「...雪ノ下さん、伝えたいことがあります。」

彼は震え声でそう言った。拳を強く握ってるのが分かる。

私は、ちゃんと聞くことに決めた。

 

 

「雪ノ下陽乃さん。あなたが好きです。付き合ってください。」

 

 

一瞬、息が止まった。そして確認する。

私は今、告白されたんだよね?嘘じゃないよね?

とても嬉しかった。自分が想いを寄せている人からの、こんなにも素敵な告白だったから。

 

けど...

 

「...ごめんね比企谷くん。君の気持ちは嬉しい。けど、もう少しだけ待って欲しいな?」

私はぎこちない表情で言う。

「...それはまた、結構かかりそうなんですね。いいですよ。待ちます。」

彼は表情から私の心境を読み取り、また、受け入れてくれた。

「じゃあ俺はこのまま帰ります。今日はありがとうございました。」

そう言って比企谷くんは何事も無かったかのように家へ向かった。

わかってるよ。ほんとはしんどいこと。

「じゃあ、私も帰んないとだな。」

荒む心を抑えつつ、今は車へ向かう。ダメだよ、今は抑えないと。

 

私は家に着くなり自分の部屋へこもった。

幸い今は誰もいなく、ありのままでいられた。

 

そしてベッドにうつぶせになるように体を預ける。

そうしたら、ずっと抑えてたものが溢れて堪えられなくなった。

頬を無数の涙が伝う。

「ねぇ比企谷くん...。こんなのってないよね...。」

私は誰もいない空間に1人話し出した。

「告白、すごく嬉しかった...。すぐにでもokを出したかった。なのに...」

「なのに、私は《雪ノ下》の名前を背負ってるだけで、こんなにも好きな人を愛せないの?」

未だに涙が止まらない。少しずつ嗚咽も混ざってきた。

「ねぇ...なんで、なんでなの...!」

声をなるべく上げないようにして泣きたかった。けど、そんなことはもう無理だった。

だから、せめて声が漏れないようにと枕に顔を填めた。

「ううっ、うううう.....」

 

...。

 

 

それから20分が過ぎた。

少しずつだけど、心も落ち着いてきた。

とりあえず、真っ赤に腫らした目を洗いに洗面所へ向かう。

顔を洗ってパシンッと1回、両手で自分の頬を叩く。

 

きっと彼は明日奉仕部に行くのだろう。

彼自身が変わる最後の1歩のために。

私はとりあえずそれを見届けて、彼の前から消えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ほんの僅かな可能性だけど、いつか、彼の隣で歩けれるように。

 

 

 

 




(今回はネタ無しです。)
――――キリトリ線――――
ふぅ...。とりあえずプロローグ含め10話まで来ました。よくやった私!
物語の山場は割とすぎていて、とりあえずキリが良くなるのはあと1、2話後ですね。そのあとも話は続きますが。
それぞれのキャラクターが大分変化してきたと思っております。さて、雑談は今日はこの辺で。
――――キリトリ線――――
失踪すまいと心に決めて、やっとここまで来れました。
きっと、今でも見てくれる方がいるから、頑張ろうと思えるんだと思ってます。
とりあえず、
ここまで見てくださった皆さん、ありがとうございました!
そして、ちゃんと最後まで走りきりたいと思いますので、これからもよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。