そして比企谷八幡は仮面の少女と   作:白羽凪

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運命はいつも不条理で。
望んだものは簡単には手に入らず
何かを失ってもまだ終わらない。
それでも手を伸ばし続ければ
その欲しがった世界へ届くのだろうか。









うーんなんだこれ( ˙꒳˙ )


#10 1歩ずつでも比企谷八幡は変わっていく

ー八幡sideー

「待って」、か。

告白された陽乃さんからの返事はこうだった。

 

訓練されたぼっちならこんな言葉に期待なんてしないだろう。

けど、たった数日ではあるけども。

自分に全てをかけてくれた人の「待って」の言葉は、期待してしまってもおかしくない。

多分、またゆっくり話せる日は遠くなるだろう。

だから、待ち続けることにしよう。

 

 

「ただいまー。」

「おかえりーお兄ちゃん。」

リビングの方から小町の声が聞こえる。何?迎えに来てきれないとか冷たくない?

...まあ、気にしないけどね。

 

とりあえず荷物は持ったままリビングに入る。小町はソファに寝転がっていた。

「おかえり、お兄ちゃん。どうだった?デート。ちゃんと告白して帰ってきたんだよね?してなかったら小町的にポイント、チョー低いからね?」

「おう、告白したぞ?」

 

小町はこれ以上にないくらいキョトンとしていた。

「...お兄ちゃん、マジで言ってんの?」

「バカ、千葉の兄貴は嘘つかねえぞ。ちゃんと一言一句伝えたからな。」

「へー...ヘタレのお兄ちゃんがねぇ...。」

「るっせ。」

悪口を吐きつつ、小町は内心嬉しそうだった。

「んでんで、結果はどうだった?」

さあ、なんと言ったものか...。

 

「あー...そのー...なんだ。待ってくれ。って言われた。」

「そか。」

小町は落胆とも歓喜ともつかない表情をした。実際俺だってどうすればいいかわからない状況だ。無理もない。

 

「でもね、小町、ちょっと嬉しいんだ。」

小町は下を向いて語り出した。

 

「修学旅行が終わってさ、お兄ちゃん、少しずつ暗くなっていったじゃん?そしてあんなことが起こった時、小町ずっと思ってたの。なんで、お兄ちゃんは幸せになれないのって。そんな時、陽乃さんが現れてくれて。それからずっと陽乃さんがお兄ちゃんに尽くしてくれて、陽乃さんならお兄ちゃんを幸せにしてくれるなんて思って。そして、今日。お兄ちゃんがその想いから逃げずに幸せになろうとした事が。小町、すごく嬉しかったんだ。」

 

瞳が潤んでいる。小町は今にも泣きそうだ。

俺はそんな小町の頭を一回ポンと叩いた。

「すまんな。いつも迷惑かけてばかりで。」

「ホントだよ..。全くごみいちゃんは...。」

 

小町の頭をもう一回ポンと叩いて俺は立ち上がった。

「んじゃ、俺は片付けの方行ってくるわ。お土産はテーブルの上置いとくからな。」

「うん。...ねえお兄ちゃん。」

「ん、なんだ?」

ドアから出る前に小町に呼び止められる。

「なってね。幸せに。」

「...ああ。」

そう言って俺はリビングをあとにした。

 

 

次の日、いつもよりちょっと早い時間で学校に向かった。

怪我はまだ治ってないので親に送ってもらった。親父。すまん。

さて、教室に入る。しばらくしないうちにザワザワと聞こえ始めた。多分俺の噂で間違いないだろう。

して、席について数分後。由比ヶ浜が俺の机近くによってきた。

「ねぇヒッキー...その...。」

「すまん、話はまとめて放課後にさせてくれ。ちょっとこのザワついた空気じゃ言うもんも言えねぇ。」

「そっか、そうだよね。」

そう言って由比ヶ浜は席へ戻って行った。

もちろん、今日、全てを話しそして、

全てを終わらせるつもりだ。

 

因みに三浦達のグループはほぼ活動していなかった。

大岡と大和の席は無くなっていた。まあ、どうでもいいけど。

 

そして、由比ヶ浜が離れて数分もしないうちに次の客が来た。ラブリーマイエンジェルとつかたんだ。

が、今は少し怒った表情でいらっしゃる。

 

「ねぇ八幡。あの日僕がなんて言ったか覚えてるよね?」

「はい...。」

「もっと周りをたよってよ。少なくとも僕は八幡の力になりたいから。」

悲しげな声で戸塚が言った。その通り、である。

「悪かったな。結局抱え込んで迷惑かけちまって。」

今まででは嘘でしか言えなかった言葉が、今日は心から言えた。

「ううん、分かってくれればいいんだよ。」

そう言って戸塚は笑顔を見せる。やっぱり戸塚はこの笑顔であって欲しい。

 

また数分もしないうちに更にお客は訪れる。俺はそんなの望んではいないのだが。

 

「やあ、比企谷くん。」

その声の持ち主は、今回の事の発端の友人であり、その居場所を失ったものであり、今もっとも俺を憎んでいるであろう人だった。

 

「葉山...。」

「ちょっと、話をしないか?」

 

葉山に連れられて俺は屋上へ向かった。まだ時間には余裕がある。

「で、話はなんだ。恨み言か?まあ、俺のせいでお前の居場所がなくなっちまった訳だからな。恨まれる覚えはあるが。」

「そんなんじゃないさ。少なくとも、俺は君を恨んでなんかいない。それよりまず、謝らせてくれ。本当に済まなかった...!」

葉山は頭を下げる。ただ、こいつも色々と被害者のようなものだ。実際、大岡と大和の行動は把握出来ていなかったそうだ。

「おいおい謝る必要ないだろ。お前がやった訳じゃあるまいし。とりあえず頭上げてくれ。」

そう言われて葉山はゆっくりと頭を上げた。

少し間が空いて、葉山が話を切り出す。

 

「なぁ比企谷くん。それまであった場所が急になくなるって、どんなんだろうな。」

「さあな。そもそも俺はそんな経験がなかったからな。」

「俺は、自分がいた場所があんなに脆かったなんて、気にしたこともなかった。...やっぱり、君の言う通りだったんだな。所詮、上辺だけだったんだって。」

 

「...はぁ。」

 

「なぁ比企谷くん。教えてくれ。どうやったら君みたいに強くいられるんだ?」

 

何を勘違いしてるんだこの男は。

俺は強くなんてない。それどころかこの前弱さを露呈したばかりだ。

 

ただ、今の俺になら言えることはあるか。

「...俺は別に強くなんかない。寧ろこの前弱さを実感したばっかだ。だが、俺みたいにいたいって思うお前に言えることは1つある。」

 

俺が変わるきっかけを作った人にも伝えたい言葉を、今はこのどうしようもなくダメな男に伝える。

「自分が生きたいように、なりたいように生きろ。そしたら結果はついてくる。良かれ悪かれな。そうだな...。まず、みんなに望まれる人間というのが本心じゃないなら、その生き方は間違いだ、とかな。」

葉山は少し驚いた表情をしていた。

 

「君は、少し変わったな。」

「何がだよ。」

「少なくとも、こうやって面と向かって本心を話すような君じゃなかったはずだ。」

 

確かにそうだったかもな。

 

「...俺だって、変わりたいんだよ。」

誰にも聞こえないように呟く。

素直に本心を吐き出したせいか、朝の風が、少し気持ちよく感じた。

「話聞いてもらって悪かったね。俺は先に戻ってるとするよ。」

そう言って葉山は屋上を後にする。屋上にいるのは俺一人になった。

ふぅっと一息ついて心の整理をする。

 

俺は変わりたい。その想いだけは変わらない。

例えその先が凄まじいイバラの道であろうと、それでも...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも俺は、《本物》が欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(お気に入り100件まであと少し!!)
――――キリトリ線――――
来ましたね#10。よくここまで来れたなぁ...。そして、次回がメインルート最終回ですかね。(終わらないよ)
後もう少し、頑張れ!私!!
(今回も悩みまくったせいで文面がめちゃくちゃです。ご了承ください。)
――――キリトリ線――――
今日もここまで見ていただき、ありがとうございました!
次回もまたより一層頑張りますので、このへっぽこ主をよろしくお願いします!
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