運命はいつも不条理で。
望んだものは簡単には手に入らず
何かを失ってもまだ終わらない。
それでも手を伸ばし続ければ
その欲しがった世界へ届くのだろうか。
うーんなんだこれ( ˙꒳˙ )
ー八幡sideー
「待って」、か。
告白された陽乃さんからの返事はこうだった。
訓練されたぼっちならこんな言葉に期待なんてしないだろう。
けど、たった数日ではあるけども。
自分に全てをかけてくれた人の「待って」の言葉は、期待してしまってもおかしくない。
多分、またゆっくり話せる日は遠くなるだろう。
だから、待ち続けることにしよう。
「ただいまー。」
「おかえりーお兄ちゃん。」
リビングの方から小町の声が聞こえる。何?迎えに来てきれないとか冷たくない?
...まあ、気にしないけどね。
とりあえず荷物は持ったままリビングに入る。小町はソファに寝転がっていた。
「おかえり、お兄ちゃん。どうだった?デート。ちゃんと告白して帰ってきたんだよね?してなかったら小町的にポイント、チョー低いからね?」
「おう、告白したぞ?」
小町はこれ以上にないくらいキョトンとしていた。
「...お兄ちゃん、マジで言ってんの?」
「バカ、千葉の兄貴は嘘つかねえぞ。ちゃんと一言一句伝えたからな。」
「へー...ヘタレのお兄ちゃんがねぇ...。」
「るっせ。」
悪口を吐きつつ、小町は内心嬉しそうだった。
「んでんで、結果はどうだった?」
さあ、なんと言ったものか...。
「あー...そのー...なんだ。待ってくれ。って言われた。」
「そか。」
小町は落胆とも歓喜ともつかない表情をした。実際俺だってどうすればいいかわからない状況だ。無理もない。
「でもね、小町、ちょっと嬉しいんだ。」
小町は下を向いて語り出した。
「修学旅行が終わってさ、お兄ちゃん、少しずつ暗くなっていったじゃん?そしてあんなことが起こった時、小町ずっと思ってたの。なんで、お兄ちゃんは幸せになれないのって。そんな時、陽乃さんが現れてくれて。それからずっと陽乃さんがお兄ちゃんに尽くしてくれて、陽乃さんならお兄ちゃんを幸せにしてくれるなんて思って。そして、今日。お兄ちゃんがその想いから逃げずに幸せになろうとした事が。小町、すごく嬉しかったんだ。」
瞳が潤んでいる。小町は今にも泣きそうだ。
俺はそんな小町の頭を一回ポンと叩いた。
「すまんな。いつも迷惑かけてばかりで。」
「ホントだよ..。全くごみいちゃんは...。」
小町の頭をもう一回ポンと叩いて俺は立ち上がった。
「んじゃ、俺は片付けの方行ってくるわ。お土産はテーブルの上置いとくからな。」
「うん。...ねえお兄ちゃん。」
「ん、なんだ?」
ドアから出る前に小町に呼び止められる。
「なってね。幸せに。」
「...ああ。」
そう言って俺はリビングをあとにした。
次の日、いつもよりちょっと早い時間で学校に向かった。
怪我はまだ治ってないので親に送ってもらった。親父。すまん。
さて、教室に入る。しばらくしないうちにザワザワと聞こえ始めた。多分俺の噂で間違いないだろう。
して、席について数分後。由比ヶ浜が俺の机近くによってきた。
「ねぇヒッキー...その...。」
「すまん、話はまとめて放課後にさせてくれ。ちょっとこのザワついた空気じゃ言うもんも言えねぇ。」
「そっか、そうだよね。」
そう言って由比ヶ浜は席へ戻って行った。
もちろん、今日、全てを話しそして、
全てを終わらせるつもりだ。
因みに三浦達のグループはほぼ活動していなかった。
大岡と大和の席は無くなっていた。まあ、どうでもいいけど。
そして、由比ヶ浜が離れて数分もしないうちに次の客が来た。ラブリーマイエンジェルとつかたんだ。
が、今は少し怒った表情でいらっしゃる。
「ねぇ八幡。あの日僕がなんて言ったか覚えてるよね?」
「はい...。」
「もっと周りをたよってよ。少なくとも僕は八幡の力になりたいから。」
悲しげな声で戸塚が言った。その通り、である。
「悪かったな。結局抱え込んで迷惑かけちまって。」
今まででは嘘でしか言えなかった言葉が、今日は心から言えた。
「ううん、分かってくれればいいんだよ。」
そう言って戸塚は笑顔を見せる。やっぱり戸塚はこの笑顔であって欲しい。
また数分もしないうちに更にお客は訪れる。俺はそんなの望んではいないのだが。
「やあ、比企谷くん。」
その声の持ち主は、今回の事の発端の友人であり、その居場所を失ったものであり、今もっとも俺を憎んでいるであろう人だった。
「葉山...。」
「ちょっと、話をしないか?」
葉山に連れられて俺は屋上へ向かった。まだ時間には余裕がある。
「で、話はなんだ。恨み言か?まあ、俺のせいでお前の居場所がなくなっちまった訳だからな。恨まれる覚えはあるが。」
「そんなんじゃないさ。少なくとも、俺は君を恨んでなんかいない。それよりまず、謝らせてくれ。本当に済まなかった...!」
葉山は頭を下げる。ただ、こいつも色々と被害者のようなものだ。実際、大岡と大和の行動は把握出来ていなかったそうだ。
「おいおい謝る必要ないだろ。お前がやった訳じゃあるまいし。とりあえず頭上げてくれ。」
そう言われて葉山はゆっくりと頭を上げた。
少し間が空いて、葉山が話を切り出す。
「なぁ比企谷くん。それまであった場所が急になくなるって、どんなんだろうな。」
「さあな。そもそも俺はそんな経験がなかったからな。」
「俺は、自分がいた場所があんなに脆かったなんて、気にしたこともなかった。...やっぱり、君の言う通りだったんだな。所詮、上辺だけだったんだって。」
「...はぁ。」
「なぁ比企谷くん。教えてくれ。どうやったら君みたいに強くいられるんだ?」
何を勘違いしてるんだこの男は。
俺は強くなんてない。それどころかこの前弱さを露呈したばかりだ。
ただ、今の俺になら言えることはあるか。
「...俺は別に強くなんかない。寧ろこの前弱さを実感したばっかだ。だが、俺みたいにいたいって思うお前に言えることは1つある。」
俺が変わるきっかけを作った人にも伝えたい言葉を、今はこのどうしようもなくダメな男に伝える。
「自分が生きたいように、なりたいように生きろ。そしたら結果はついてくる。良かれ悪かれな。そうだな...。まず、みんなに望まれる人間というのが本心じゃないなら、その生き方は間違いだ、とかな。」
葉山は少し驚いた表情をしていた。
「君は、少し変わったな。」
「何がだよ。」
「少なくとも、こうやって面と向かって本心を話すような君じゃなかったはずだ。」
確かにそうだったかもな。
「...俺だって、変わりたいんだよ。」
誰にも聞こえないように呟く。
素直に本心を吐き出したせいか、朝の風が、少し気持ちよく感じた。
「話聞いてもらって悪かったね。俺は先に戻ってるとするよ。」
そう言って葉山は屋上を後にする。屋上にいるのは俺一人になった。
ふぅっと一息ついて心の整理をする。
俺は変わりたい。その想いだけは変わらない。
例えその先が凄まじいイバラの道であろうと、それでも...。
それでも俺は、《本物》が欲しい。
(お気に入り100件まであと少し!!)
――――キリトリ線――――
来ましたね#10。よくここまで来れたなぁ...。そして、次回がメインルート最終回ですかね。(終わらないよ)
後もう少し、頑張れ!私!!
(今回も悩みまくったせいで文面がめちゃくちゃです。ご了承ください。)
――――キリトリ線――――
今日もここまで見ていただき、ありがとうございました!
次回もまたより一層頑張りますので、このへっぽこ主をよろしくお願いします!