そして比企谷八幡は仮面の少女と   作:白羽凪

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あれから半年。
変わった人、変わらない人。
今はただそれぞれの道をゆく2人。
だが、2人はまた運命によって巡り会う...。









お待たせしました。連載復帰です!


main story 《NEXT》
#1' そして2人は再び巡り会う


ー陽乃sideー

あれから半年がたった。

あれからの私は、それこそ今までどおり、それ以上に母親の言う通りに生きてきた。それこそ人形と言うに相応しかった。

もちろん比企谷くんに会うこともなかった。見つけても自分から避けるようにしてたから、向こうにも気づかれていない。

 

これでよかったのかな...?

 

そんな答えのない考えを抱きながら、今は過ごしている。

 

そして今日もいつも通り、大学からの帰りだ。

私もあと少しすれば3年生になる。それはつまり、少しでも《自由》で生きていられる時間が減っていくという事だ。

 

今は雨が降っている。大通りを通っていたら車で跳ねてきた水が当たるかもしれないと思い、人通りのない細道へ入っていった。

 

そして数十歩歩いた頃だった。

「雪ノ下ぁああああああ!!!」

えっ?何...!?

 

急に背後から叫び声が聞こえた。

 

驚いて振り向こうとした時、足がもつれ尻もちを着いてしまった。濡れたアスファルトの冷たい感触が伝ってくる。

その男は自分に面識のない人間だった。片手に包丁を持っていて、こっちへ走って向かってきている。

 

しまった...!距離をつけないと...!

 

そう思って立ち上がろうとしたが、立てない。急の出来事で腰が抜けてしまったようだ。

そしてここは人気のない細道だ。誰か来る気配もない。

 

「.........ぁ」

 

悲鳴をあげようとしたがパニックで声も出なくなってしまっている。

もはやパニックで冷静な判断が出来ないでいた。

 

「死ねぇええ!雪ノ下ぁああ!!!」

 

その男は自分に向かって包丁を突き刺そうとしてきた。

 

やだ...。怖い...。助けて...!

 

そう思って私は目をつぶった。

 

ブスッ

 

無慈悲に包丁の刺さる音がした。

 

けれど

痛みは感じなかった。

 

そして恐る恐る目を開いた先には...。

 

 

 

 

 

ー八幡sideー

あれから半年がたった。

俺はと言うと割と元気でやっていけている。

放課後については特に予定は無いが、最近は戸塚の練習相手になったりなどをやっていて、十分楽しいと思える生活をしている。

曰く、「あまり目が死んでいない」そうだ。(小町談)

 

由比ヶ浜も三浦、海老名さんたちと上手くやってるようだ。

雪ノ下については...、俺にも分からない。

だが、こうしてそれぞれの道に進む現状にも慣れ、今はこれでいいと思っている。

 

俺は変われた。

 

その理由を作ってくれたのは、紛れもない雪ノ下さんだ。

 

だから今度は自分が、あの人を助ける番だと思っている。

あれから会うことは出来てないが、半年たった今でもあの人が好きなことには変わりない。

 

その日は雨が降っていた。朝から続く長く嫌な雨だった。

雨とわかっていたのでチャリには乗ってきていない。

(いつ直してもらったかは言う必要ないよね?)

という訳で、今日の帰りは徒歩だ。

 

放課後の予定は特にないので、とりあえず学校から出る。

が、このまま帰るのは何故か嫌だったので、書店で面白い本がないか探すことにした。

 

書店は丁度新年度に向けたセールを行っていた。

新年度向けのセールって何だよとか思ってはいたが、割と内容ははっきりしていて、参考書などが新しいものに変わっていたりなどしていた。

 

自分ももうそろそろ高3になる。

 

勉強の方だが、何故かあれからいっそう力が入ってしまい、理数系も問題ない程度まででき、国公立文系大学が今の所志望になっている。

そんなわけで、今は参考書はいらない。そう思って参考書コーナーを素通りした。

 

店内を1周見て回った。

しかし、お気に召すものや連載物の続編などはなかった。

 

特にこれといっていい本はなかったし、帰るか。

 

そう思って店の出口へ向かう。その時、一冊の本が目に入った。

 

「1歩先へ、自分を変える魔法」

 

懐かしい。

それが1番最初に出た感想だった。

 

この本には結局答えは書いてない。ヒントですら危ういくらいだ。だが。

今ならこの本の答えが分かる気がする。変わるために何が必要か。

けど、言う必要も無いので胸の中に閉まっておこう。

 

再び曇天の街へと出ていった。雨はさっきより少し強くなっている。

ここら辺の通りは車通り、人通りともに多い。

水たまりなんかできてる日にゃぁ...ね?

 

こういう時は千葉loveお兄さんの土地勘を利用して細道を回って帰るのがベストだ。

そう思って細道へ足を踏み入れる。その時だった。

 

「雪ノ下ぁああああああ!!!」

 

どこからか叫び声がし、驚いて辺りを見回す。

特に人は見えない。どうやら1つ2つ隣の道のようだ。

 

てめぇ今さっき、雪ノ下っつったよな...?

 

背中に冷や汗が走る。あの叫び方は間違いなく危ない人間だ。

自分の知ってる人が襲われるとなると...。

気がつけば走っていた。

 

くそっ、どこだ!?

 

手当り次第に探すしかない。そう思って自分の今いる細道を左に曲がる。

 

そしてそこには尻もちを着いた雪ノ下さんが見えていた。

距離は50mもない。が、混乱状態でこっちには気づいていないようだ。

 

この細道は人通りがてんでない。事件があっても気づかれにくく、もしもの事があっても通報などが遅くなるかもしれない。

だから今のうちに手は打たねば。

そう思って俺は即座に携帯を取り出し小町にメールを入れる。

 

《急いで警察と救急を呼んでくれ。場所は千葉市〇〇だ。頼む》

 

返事を返してもらう前に携帯をさっさとしまい、全力でダッシュする。

 

「死ねぇええ!雪ノ下ぁああ!!」

 

やっと見えた男は包丁を突き刺そうとしていた。

 

まずい、どうやったら止めれる?

一瞬考えたがそんな時間はない。

俺は咄嗟に雪ノ下さんの前に身体を差し出した。

そして

 

ブスッ

 

 

 

 

 

 

 

 

その包丁は無慈悲に俺の身体を突き刺していった。

 

 

 

 

 




まず最初に。

お気に入り登録100人、本当にありがとうございます!!
やっと小説ってこんなに楽しいんだって思える場所を見つけることが出来たと思います!これからも飽きずに読んで貰えたら嬉しい限りです。
――――キリトリ線――――
続編ですね。やっと書けました(ずっと推敲してた)。
どんな内容にしようか、大まかには出るんですけどそこから先が難しいですね...。やっぱり。
そしてまたまたチャリなんですが。
主はチャリ大好きです。中学校から今日に至るまで通学はチャリですので。
さて、この話はどうでもいいので終わらせましょうか。
――――キリトリ線――――
ここまで読んでいただきありがとうございました!
続編もまだ始まったばっかり、これからも頑張りますのでよろしくお願いします!

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