そして比企谷八幡は仮面の少女と   作:白羽凪

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張り付いた表情の奥には
伝えたい無数の感情があって
出せないまま消えてしまった居場所を
埋めることすら出来なくて
だからきっと繰り返されて
そんな道を変えるのなら
それはきっと今なんだ




(´・ω・)ナニコレ


#2" 由比ヶ浜結衣の居場所は

ー由比ヶ浜sideー

 

「失礼かもしれないが...やっぱり。そうだったんだな。」

ヒッキーは申し訳なさそうに下を向いた。あはは、やっぱりバレちゃってたよね。あんなに...近くにいたんだから,..。

 

そしてヒッキーは少し躊躇って、顔を上げた。

「...すまん。お前の気持ちには答えられない。」

「うん、分かってた。そして分かってるよ。...今のヒッキーの隣に誰がいるべきか。」

 

それは私じゃないから。

そう言おうとしたが、ずっと抱えていた思いが崩壊したからか、再び情緒不安定になる。

 

「...ごめん、もう行ってヒッキー。もうこれ以上...ヒッキーの前で迷惑かけたくないから...。」

 

「...そうか。じゃあな、由比ヶ浜。」

ヒッキーは私の表情を見て悟って、それ以上何も言わず玄関へ向かっていった。

 

 

もう、いいかな...。

私は近くにある空き教室へ入ると、その場に座り込んだ。

 

「うっ、ぐず...うわああああああ!」

私は大声を上げて泣きだした。人の目なんて興味もなかった。ただ今は、胸の中にある全ての感情を吐き出したかった。

 

...

 

何分くらい泣いただろうか。

目は真っ赤に腫れ、ものすごい頭痛に見舞われる。

あたしはフラフラとしながら立ち上がり、帰るための荷物を取るために奉仕部の部室へと戻りに行った。

 

 

 

 

 

あの後部室に行ったが、鍵が空いたままもう誰もいなくなっていた。

 

この前までのこの教室なら、また明日と言って帰れた。

でも今はどうだろう?ここが私の居場所でいいのかな?

...もう今は、どうでもいいか。

 

考えることをやめた私は、「じゃあね」とだけ呟いて奉仕部の部室から出ていった。

 

 

 

 

 

 

あの日から数日がたった。クラスは少しだけギクシャクしたまま、それが当たり前のように過ごしていた。

私だってずっと引き摺ってなんかられない。元気出さなきゃ。

んで、えーっと、今はなんの時間だっけ...?

 

「結衣、結衣!聞ーてんの?」

「え、ああ!ごめん由美子...。」

 

あの一件以降、いつも集まっていたグループは散り散りになった。

でも、由美子と姫菜は変わらず私と接してくれていた。

 

「結衣、明日一緒に遊びに行くし。」

「ああ、うん!いいよいいよ!」

顔に笑顔をうかべる。きっとひどく薄っぺらく、冷たい笑顔を。

 

「...じゃあ、駅前に9時で。」

一瞬だけ由美子の表情が歪んだ気がしたが、気のせいだと思う。

こうしていつものように、遊びに行くことになった。

 

 

土曜日、私は集合場所へと向かった。

集合場所には、見るからに暇を持て余しているような由美子がいた。

あれ?いつもは最後なんだけどな...?

まあ、そんなこともあるだろうと思って由美子に声をかける。

「由美子ー!やっはろー!」

「...ん、ああ、結衣。」

 

いつもの素っ気ない返事とは違う、違和感を感じた。

「どうしたの由美子。元気ない?」

「いや、そんなことないし。ったく姫菜遅いし...。」

 

「はろはろー!ごめん、最後だね。」

そんな時タイミングよく姫菜がやって来た。

「姫菜やっはろー!」

「姫菜遅いし...。ま、いっか。とりあえずどこ行く?」

 

「あれ?どこ行くって...決めてなかったの?」

「全部は。カラオケ行くことだけ考えてたし。」

「じゃあ服とか見に行ってみる?」

「姫菜それ!」

 

こうして私達は動き出した。由美子の異変に気付かないふりをして。

 

...

 

 

色々回ってみたものの特に買うものはなく、当初の予定通りカラオケに入った。

 

 

ここにもみんなで来たっけ。

そんなことを思ってまた、少し悲しくなった。

 

 

部屋に入る。姫菜はトイレに寄るため、少し遅れてくるそうだ。

「さてと、もう何曲か入れちゃおうかな。」

私が機会に触ろうとしたその時だった。

 

「結衣、ストップ。」

「?どうしたの?由美子。」

私は手を止めて由美子の方を振り向く。同じタイミングで姫菜も入ってきた。そしてそのまま由美子の隣へ座る。

 

...

 

場に沈黙が流れる。

「な、何何?どうしたの二人とも?」

「結衣、あんたはさ、あーしたちのことどう思ってんの?」

「どうって...友達でしょ?どしたの急にさ。」

「...それだけ?」

姫菜も、由美子も真剣な目をしていた。生半端な言葉が通らないくらいに。

 

「それだけって...他にどういえばいいの?」

すると由美子が力強くテーブルをバンと叩いた。

 

「ああもうじれったい!結衣!何であんたはいっつもそうなの!建前で場を作って、表情を偽って辛いこと押し込めて!...もう一度聞く。結衣にとってあーしたちって何なの!?」

 

由美子は全力で、叫ぶように言う。その目にはもう涙が溜まっていた。

 

「えっと...分からないよ...。なんて言えばいいか。」

私は一方後ろに引いた。その時、前に引っ張られるのを感じた。

 

「逃げちゃダメ!...結衣、逃げちゃダメだから。」

姫菜が私の腕を掴んでいた。その腕には今まで感じたこともないような力を感じた。

 

「結衣、あんたの隠してること、抱えてる辛いこと、全部あーしたちに話してよ...。あーし達は少なくともあんたのこと大事な友達だって思っている。...もし結衣もそうなら、ちゃんとあーしたちに聞かせてよ...。」

由美子が言う。

もうその声には、さっきまでの勢いはなかった。

 

 

...そっか。また私は、大事なものを失っちゃう所だったんだ。

「...めんね。ごめんね。由美子、姫菜。...きっと私、ずっと2人といた時上辺の付き合いしかしてなかった。こんなに大切にしてもらってたのに気づけなかった...。ううん、目を逸らしていたんだと思う。」

 

口を開いて出てきたのは懺悔と涙だった。

「...今からで間に合うなら、聞いて欲しいことがあるの。...聞いてくれる...?」

「うん、いいよ。」

姫菜が優しく答えてくれた。由美子も言葉はなかったが頷いている。

 

「えっとね...」

 

 

 

それから全て話した。

修学旅行のこと。少なからずとも私のせいで大事にしてた関係が壊れたこと。居場所なんてないと感じてたこと。

 

2人はただ黙って聞いてくれた。そして、私が話し終わると今度は2人が胸中を語ってくれた。

話し終わる頃には目に涙のない人はなかった。

 

 

ああ...。きっと、ここが私の居場所なんだ。

 

そう思うと、これまで抱えていたモヤモヤが全部吹き飛んだ気がした。

私は、2人にそばにいたい。ずっとこの3人でいたい。だから...

 

「由美子、姫菜。これからも、私の友達でいてくれる?」

傲慢な願いかもしれない。でもこれだけは聞き入れて欲しい。

 

「うん、いいよ。これからもよろしくね、結衣。」

「当たり前だし...!絶対に、もうこんなことにさせないから。」

迷うことなく、2人はYESと言ってくれた。

 

「ありがとう。2人とも。」

そして私は顔いっぱいに笑顔を作った。

 

 

 

 

 

 

 

それは生きてて今までで、一番気持ちのいい、嘘偽りのない笑顔だった。

(了)

 




駄文駄文!!!
――――キリトリ線――――
anotherstory1、完結です。
2以降はネタが湧いたら書きます。
しかしまあブランクですね。
初心に帰りたいです。
――――キリトリ線――――
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!
次回は別作品でしょうかね?また会いましょう!
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