矛盾する2つの依頼を自分を犠牲にすることにより解消した比企谷八幡。しかし彼自身が得たものはなく、あったものさえ壊れようとしていた。そんな彼を迎えたものは...
#1 そして比企谷八幡は限界を迎える
修学旅行が終わり、教室は浮かれた空気が薄れていった。
が、俺が今見ている俺の机の上には
「死ね」だの「クズ」だの書かれた紙が何枚も置いてあった。
...くだらん。
はいはいご苦労さまですねーなどと思いながら紙を丸め、そのままゴミ箱に投げ入れる。
「まあ、最初はこんなもんだろう。」
雑音に紛れ誰かが呟いた気がしたが、はっきりと聞こえることは無かった。
放課後になると急に憂鬱な気分が押し寄せてきた。
それもそうだろう。今の関係のまま奉仕部に行ってしまったら、本当に全てが壊れそうでたまらない。
所詮これも、偽物の関係だったのかもしれねえな。
幸い、今日は由比ヶ浜は三浦たちと予定が入ってるようで部活は休むようだ。
とりあえず俺も部活を休む連絡だけしてMAXコーヒーでも買って帰ろう。
そう思って自販機へと向かう。
その道中何人か俺の下駄箱の近くでたむろっている連中を見かけたが、気にしないでおこう。
自販機でMAXコーヒーを買い、雪ノ下に部活を休むことを伝え、玄関へと向かう。あっさりと許可を出してもらったのはなんとも言えないのだが。
玄関に来てみたが、さっきまでの連中はもう居なくなっていた。ただ、たむろっていたぶん、なにかされてる可能性が高い。
一応警戒して自分の下駄箱を開けてみるなり、つま先の方までびっしりとゴミが入っていた。
...めんどくせぇ。
とりあえず何も考えずに近くのゴミ箱へと捨てに行く。
大丈夫、訓練されたぼっちはこんな小学生並みの嫌がらせには負けないんだからね!!
なんて思いながら今日のところは帰ることにした。
戦略的撤退?何それ。負けてねーし。
翌日からも同等の嫌がらせは続いた。そしてそれは、日に日にレベルが上がって行った。クラスではヒソヒソと嘲笑う声が聞こえ、机には小さく彫刻刀で削ったりした跡が見え出した。
こうも続くとさすがに面倒くさい。
そうして少しずつストレスが溜まってきてたある日のことだった。
俺はいつも通りチャリで学校へ向かう。後ろに乗ってる小町は「お兄ちゃん、最近どんどん目が腐っていってない?」なんて言ってるが、まあ無理もない。
はぁ...行きたくねぇ。
小町を届けたあと、学校へ向かい教室へ入る。いつもと変わらないような景色がそこにはある。明らかに一個人に矛先が向いた、変わってしまったいつもと変わらない景色。
ふと思った。俺が守りたかったものはなんだと。
ただ、そんなのは一瞬。後ろから声が掛かる。
「八幡!おはよう!」
「...ん、ああ」
いつもの眩しい笑顔で戸塚がやって来る。ただ、少し瞳は曇ったように見える。
「...ねぇ八幡。大丈夫?」
戸塚はそれまでの笑顔から表情を変えた。
「大丈夫だ。どうせ目立たないくらいの嫌がらせだしな。」
実のところだいぶ精神的にきている。けど、戸塚にまで迷惑はかけれない。
「うん、大丈夫ならいいんだけど...。もししんどかったら、もっと頼って欲しいな」
頼って欲しい、か。ちょっと前まではそんな居場所があったかな...。
「ああ、心配、ありがとな。」
そして戸塚は席へ戻った。予鈴が鳴る。さて、今日も憂鬱な一日が始まるのか。
いつもの憂鬱な6時間が終わった。今日もまっすぐ家へ向かう予定だ。3日ほど前、雪ノ下から「無理に来なくていいわよ」との連絡があり、今はそれに甘えさせて貰っている。
今日は書店にでもよるか。
そんなことを考え、階段を降りようとした時だった。
ドンッ
一瞬何が起きたかわからなかった。そして、それと分かった時にはもう遅かった。身体が宙に浮いている。そしてその先には...
ダァン!
激しい衝撃とともに俺の身体は階段の踊り場の壁にぶつかる。
「うぅ...あ...」
全身を鋭い痛みが走り、まともに声が出せない。頭からは血が流れた感じがし、変な方向へは向いてないものの、地面に着いた際強く打った足はかなり腫れていた。
「はっ、ざまぁねえぜ」
「もう行こうぜ、証拠なんて残されたらタチ悪いじゃん?」
どこかで聞いた声だ。確かこれは...。
あれだ。葉山のグループの大和と大岡だ。
...なんだよ。俺は自分を犠牲にしてまで守ったグループの連中に痛めつけられてるのかよ。
「クソっ...!」
そう吐き捨てて立ち上がる。今は帰らなければ。帰らなければいけない。
立ち上がった際右足に再び激痛が走る。一瞬バランスを崩したがなんとか立て直し、手すりに捕まりながら自転車を目指す。
頭の血は持ち合わせていたハンカチで一応止血はしておいた。が、少しずつではあるが血は流れている。
いつものゴミだらけの下駄箱を抜け、やっとの思いで自転車置き場に着く。けれどそこには
タイヤの切り裂かれた自分の自転車が倒れていた。
「ははっ...なんだよこれ」
「なんだってんだよこれは...!」
「俺が何をしたってんだよ...!」
「あは、はははは....」
もう俺は考えるのも、生きるのでさえどうでも良くなった。帰ろうと思ってたはずなのに、今は帰りたくない。
帰りたくないけど、もうここには居たくない。
いつの間にか強い雨が降り始めていた。
ずっと激痛が走ったままの右足を引きずりながら、俺は傘も刺さないで目的もなく歩いた。ただただ歩いた。
もうフラフラですぐにでも倒れそうだ。そのまま死んでもいいかもしれない。
そして俺の身体はついにバランスを崩し倒れる。そんな俺の最後に視線に写ったのは...。
「ひゃっはろー!比企谷く...ん...?」
「雪ノ下...さん...ですか...」
1番見られたくない人に見られたなぁ...。
あぁ、この人驚いてるよ。そりゃ驚くだろうな。見慣れた人物が頭から血を流して倒れてるんだから。
なんか急に携帯取り出したぞ...?
まあいいか。少し眠たくなってきた。
そしてそのまま俺は...
意識を失った。
相変わらず過去形と抽象的な表現のオンパレード。あなた、作者失格よ?なんてびっしり言ってください(・ω・ )
次回ははるのん視点が入るかな?