そんな彼を偶然見つけた雪ノ下陽乃は...。
短っ!!?
---もし、歩んできた人生に間違いがあったとしたら。俺はどこで間違えたんだろう---
ー陽乃sideー
最近ぜーんぜん面白いことがない。あーあ退屈だなぁ...。
大学帰り、暇つぶしにと立ち寄ったドーナツショップで窓に片手で頬づきながら外を見渡す。私が入って5分くらいたった頃から降り出した雨は次第に強くなってるみたいだ。
まあ、傘は持ってるけど...。
つまんないなぁ...。
でもすぐに帰りたくないかな。あんまり家にはいたくないし。
こんな時、なにかいいおもちゃ...ううん言い間違い。話し相手かなにか居ないかな....。
...いるじゃん!
目が腐っててちょっと猫背でちょっと可愛い後輩くんが!
即座に携帯を取り出し、電話をかけようとする。しかし、番号を打つ前に指は止まった。
うーん。でも部活行ってるかもしれないしなぁ。電話はちょっと辞めとこうか。
そうしてバッグの中に携帯を収める。
もういいや。今日は帰ろっと。
会計は先に済ませるタイプの店なのでとっくに会計は終わっている。レジ前を通り抜けて私は店を出た。
傘を片手に雨の街へと歩き出す。車を呼んでもいいかもしれないが、家は近いので歩いて帰ることにした。
歩き出して数分たった頃だろうか。差し掛かった直線に見慣れた目の死んだ猫背の少年がいた。
なーんだ、部活でてないじゃん。せっかく見つけたんだし、捕まえてどこか連れて行こうか!
「ひゃっはろー!比企谷く...ん...?」
私が声をかけた瞬間。目の前で彼は倒れた。その時彼のポケットから出てきた全体が赤に滲んだハンカチを見て声が消えた。こんなに血が滲んだハンカチ、きっと尋常じゃないほどの血が出てるのだろう。
とりあえず深呼吸。
少し落ち着いたので彼の元へ急いで近づく。死んだ魚のような目は開いていない。どうやら意識を失ってるようだ。
「これってどういうこと...なのかな」
誰にも聞こえないような独り言を呟く。ちょうど周りには私と彼以外誰もいないのだが。
一旦携帯を取り出す。しかし、次の行動に悩んだ。
どうしようかな...。普通に119で呼ぶのが当たり前かもしれないけど、きっと彼は表沙汰にしたくないんだろうし...。都築を呼んで近くの病院へ運ぶってのもありかもしれない。
けどやっぱり...
そう思って私は119の数字を携帯に打ち込んだ。幸い病院は近い。雪ノ下家と関わりのある病院というのも好都合だ。
「もしもし雪ノ下です。...はい、救急です。場所は...」
ー八幡sideー
目が覚めたそこは見知らぬ天井だった。
ってよく言うけどほんとだよ?
本当に見知らぬ天井を見上げていた。
「...ん、と。ここは...病院か?」
辺りを見渡して状況を確認する。どうやら病院で間違いないらしい。
時計は7時を指している。明るさ的に朝のようだ。
はぁ...。なんで生きてんだろ俺。
倒れる前のことを思い出し気分が悪くなる。あのまま最後を迎えてもよかったのにな、と冗談でも聞きたくないことを思う。
「はぁ...起きちまったのか...」
「起きたみたいだね、おはよ」
「うおっ!!?」
自分以外の声が聞こえた。何何誰誰まさか幽霊そんなわけいやでも
「おはよ。比企谷くん」
声と同時に隣のカーテンが空いた。そこから現れたのは雪ノ下さんだった。
「なんだ雪ノ下さんか...。おはようございます...ってはぁ?」
「いちいち驚かなくてもいいでしょ。あなたが運ばれた。私が見舞いに来た。それだけでしょ?」
「は、はぁ...」
とりあえず状況が分かってきたので体を動かそうとする。しかしその時、動かそうとした右足に激痛が走った。
「っ!!」
声にならない悲鳴をあげた。雪ノ下さんはそれを見てか表情を変え、少し低い声音で話し始めた。
「今足、痛かったでしょ」
「いや、別にそこまで...」
「《折れてる》らしいけど?」
「...」
昨日だいぶ腫れてたきがしたけどやっぱりか。
「それで、君は昨日倒れて病院に運ばれた訳だけど」
「まあ、そうみたいですけどね。...どうしたんすか」
雪ノ下さんは一呼吸置いてまた話し出した。それも、さっきより低い声音で。
「まずは怪我について。さっきも言ったけど右足が折れてるらしいね。単純骨折だからそんなに直すのに時間はかからないって。そして頭の方。どうやら切ったみたいだね。6針縫ったらしいよ。」
「はぁ...。でもそれだけで意識失うんすか?」
「...ストレス的負担。それが倒れた直接の理由だよ」
言葉に詰まった。当然だ。その通りなのだろうから。
「君は何かを隠してる。そして今回も隠し抜こうと思ってる。違う?」
「そんなこと...」
「あるね。」
雪ノ下さんは断言した。その瞳には怒りのようなものが見える。
「...比企谷くん。お姉さんのこと騙そうとしたって無駄だよ。だいたい何を思ってるか感じることだってできる。まあ、何が理由かだけは、まだ知らないけどね。」
突如、学校での出来事のフラッシュバックが起こる。
(クソっ、クソっ、クソっ!!)
頭の中が混乱して言葉にできない。とにかく叫んで晴らしたい気分だった。
(助けて、助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて)
頭の中を助けての文字がよぎる。背中に冷や汗が流れ出し、握りしめた拳が震え出す。
そんな俺の手を取って雪ノ下さんは俺と目を合わせた。すぐに目を逸らしたが、一瞬、上面ではない、本当の優しさをもった瞳が見えた。
「...いいよ。全部聞いてあげる。全部受け止めてあげる。だからさ、比企谷くん。一回くらい、私を信じてよ。」
さっきとは真反対の柔らかい微笑み顔で雪ノ下さんはこちらを見つめる。
「なんで、今日は優しいんですか...。こんなの...信じない方がおかしいじゃないですか...。でも、信じたら...」
俺は信じることが怖い。今までだってずっと裏切られてきた。けれど...でも...。
それと同時に過去全てのトラウマが蘇る。
それへの否定か、あるいはさっきの一言への安堵なのか。理由は分からないが目尻を熱いものが伝う。
涙。
いつぶりだろうか。ここまで心が不安定なのは。ここまで優しくされたのは。ここまで頼りたくなったのは。
「そうだよね...。いいよ、泣いて。ずっと待ってあげる。」
俺の感情をせきとめていたダムが崩壊するには、その一言で十分だった。
「うっ...うああああああ!!」
泣いた。泣き叫んだ。赤子のように。初めて買ってもらったおもちゃが壊れた子供のように。映画で見た愛する人を失った時のように。感情のままに、泣いた。
「俺は...誰も傷つけたくなかっただけなのに...!」
いまだに涙は止まらない。そんな俺を雪ノ下さんはずっと見守ってくれた。赤子が泣き止むのを優しく見守る母親のように。
「雪ノ下さん...、お願いが...あります...。」
少し落ち着いた。俺は詰まりながら切れ切れながら口にする。
言ってしまおう、全て。この人を信じて。
「うん。いいよ。聞いてあげる。」
「俺を...
助けてください」
やっぱり視点を分けて書くと書きやすくていいですね!!次回辺りから学校メンバーの視点も入ってくるかな?因みに、この視点分けとストーリーのヒントをくれたのは、めぐり先輩√を書き上げた方です。圧倒的respect( ˘ω˘ )
ではまた次回。