そして比企谷八幡は仮面の少女と   作:白羽凪

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心身ともに限界を迎えた比企谷八幡。彼が運ばれた先の病院で出会ったのは雪ノ下陽乃だった。どうやら自分を運ぶよう指示したのは彼女らしい。だが、いつもと様子は違い、その姿まるで別人のようだった...。








あらすじ難しいよォ!!(悲痛な叫び)


#3 そして平塚静は後悔する

ー陽乃sideー

 

---過去 病院内待合室---

夢を見た。ただそれは、見たくもない現実。

「陽乃、あなたは"雪ノ下"なの。それ相応の振る舞いをしなさい」

そう言われたのはまだ5歳にもならないころだった。

私は名家雪ノ下の家に長女として生まれてきた。

私は生まれてからずっと母の言うように過ごしてきた。今もまだそれは変わっていない。

そうして身についたものがこの仮面。中の感情を見せないまま、表情を変えることの出来る仮面。

...こんなもの、いらないんだけどなぁ。

 

---現在 某病院とある病室---

時刻は朝の7時になっていた。

「...ん、と。ここは...病院か?」

馴染んだいつもの声が聞こえる。どうやら彼は目が覚めたようだ。

今はカーテン越しなので、彼の姿が見えない。

とりあえず、今は彼の話を聞きたい。そう思って彼のベットのすぐ近くの椅子へ腰掛ける。

次彼がなにか喋ったら言葉を返してみよう。

そんなことを思った矢先だった。

「はぁ...起きちまったのか...。」

「起きたみたいだね。おはよ」

「うおっ!!?」

彼は驚いて身体を起こした。よし、そろそろかな。

カーテンをつかみ、右にスライドする。

「おはよ。比企谷くん」

「なんだ雪ノ下さんか...。おはようございます...って、はぁ?」

「いちいち驚かなくてもいいでしょ。あなたが運ばれた。私が見舞いに来た。それだけでしょ?」

マジレスしてしまった。(`・ω・´)

ちょっとリアクションが面白かったけど、そんなにいらないかなぁ...、なんて。

「は、はぁ...」

そう言って彼は身体を動かそうとした。

が、数秒後、その表情は苦痛に満ちていた。

 

急に現実に引き戻された気がした。

そう、私は彼に伝えなきゃいけないことがある。聞かなきゃいけないことがある。まずは...伝えるほうだ。

そう思うと自然にいつもの笑顔が消えた。心が少し冷めた感覚になる。

「今足、痛かったでしょ」

「いや、別にそこまで...」

「《折れてる》らしいけど?」

「...」

彼は黙った。やっぱりこういうことは隠そうとするんだ。

けど、私は見逃さないよ。

 

話を戻そうか。

「それで、君は昨日倒れて病院に運ばれた訳だけど」

「まあ、そうみたいですけどね。...どうしたんすか」

彼は姿勢を変えない。いつもなら、そんな彼が好きなのに今だけはそれが許せないでいた。

それが声に出てたのだろうか。声音がいつもより低い気がする。

「まずは怪我について。さっきも言ったけど右足が折れてるらしいね。単純骨折だからそんなに直すのに時間はかからないって。そして頭の方。どうやら切ったみたいだね。6針縫ったらしいよ。」

「はぁ...。でもそれだけで意識失うんすか?」

そうだ。基本そんな怪我じゃ意識を失うまではいかない。彼に、もう一つの理由を伝える。

「...ストレス的負担。それが倒れた直接の理由だよ」

彼は黙り込んだ。やっぱりそうだ。

今彼は理由はともあれ心にも傷を負っている。けど、その内容は決して言わないだろう。表沙汰にしたくないはずだ。それでも、なぜかはわからないけど。

私は彼を、救いたくなった。

まずは聞かないといけない。

それが、今私がここにいるもう一つの理由だから。

 

「君は何かを隠してる。そして今回も隠し抜こうと思ってる。違う?」

「そんなこと...」

「あるね。」

逃げ続ける彼の態度に少しイライラを覚える。でも、一緒に感じた感情は「哀しい」だった。

 

...分かった。私が彼を救いたい理由。それはきっと、彼が自分と同じ、《変わることができない人間》だったからだ。

 

きっと彼は変わらないでいたいのだろう。だが、そのままでは彼は何も得られない。失ってばかりになってしまう。

 

私はそんな彼にきっと、小さく自分の影を写していたのかもしれない。同じ変わることができない人間として。

だから今は彼を救う。そうすれば自分も少し救われる気がするのだろう。

 

でも今はまず、少し叱った方がいいのかな?

そう思って彼に声をかける。

「...比企谷くん。お姉さんのこと騙そうとしたって無駄だよ。だいたい何を思ってるか感じることだってできる。まあ、何が理由かだけは、まだ知らないけどね。」

これは半分あってて半分嘘だ。

本当は何を思ってるかはっきりわからない。だから伝えて欲しい。

 

そんな中彼はひとり目をつぶって首を横に振っている。

強く握りしめている拳が震えていた。

そっか。やっぱ怖かったんだね...。

 

気がつけば私は彼の手を握っていた。

向き合おう、ちゃんと。そう思って彼に視線を合わす。

すぐにかわされたけど。

今はそんなことどうでもいい。ここまで来たんだ。全部言ってしまおう。

「...いいよ。全部聞いてあげる。全部受け止めてあげる。だからさ、比企谷くん。一回くらい、私を信じてよ。」

この時私は初めて

 

 

心から微笑んだ。

 

 

「なんで、今日は優しいんですか...。こんなの...信じない方がおかしいじゃないですか...。でも、信じたら...」

彼はまた下を向いた。けれどそれは何故か分かっている。

彼はどうすればいいか分からないんだ。きっと今まで裏切られ続けた人生だから。人に頼ることがきっと怖いんだ。

 

それでも私は、頼ってほしいなぁ...。

 

そして。

彼は泣いていた。涙が彼の頬を伝う。

 

 

『一人で泣かなくていいよ。』

 

 

心の中でそっと囁いた。このことを伝えよう。今しかない、素直な気持ちで。

「そうだよね...。いいよ、泣いて。ずっと待ってあげる。」

 

それを聞いた瞬間、彼は声を上げて泣き出した。普段の彼からは想像出来ないくらいの顔で。声で。

彼がこらえてきたものがどれくらい大きいか。それを思ったら私の目尻にも少し涙が滲んでいた。

 

 

5分くらい経つ頃には、だいぶ落ち着いていた。

そして彼は、少ししゃくりを混ぜながら、弱々しく口にする。

「雪ノ下さん...お願いが...あります...。」

「うん、聞いてあげる。」

そして彼の口から出た言葉は、今私が一番欲しかった言葉だ。

 

「俺を...助けてください」

 

 

 

「いいよ。助けてあげる。」

 

 

 

---数十分後 病院外にて---

比企谷くんから全てを聞き、病室を出た私は、昨日のように携帯を取り出した。昨日のうちに小町ちゃんにメールは打っておいたので、今は急いで電話をかける必要は無い。今回は彼の身内とは別な人だ。

仮面のせいで結構な数埋まっているアドレス帳、その中のある人物に電話をかける。その相手は...

 

 

 

 

 

 

ー平塚sideー

最近、奉仕部の面子の様子がおかしいように感じてきた。

特に比企谷。

何か依頼があったのだろう。最近でいえば修学旅行かもしれない。そこでトラブルか何かがあったということも考えれる。

 

そんな比企谷の最近だが、目が今まで以上に死んでいる。

もしかしたらそのトラブルが原因で、比企谷がいじめなんてものにあっていたとしたら。

 

私は生徒指導の担当だ。

それは未然の防がなければいけない。

なにか異変があるかもしれない。クラスを細かくチェックしに行かなければ。

 

その時、私のデスクの電話がなった。

「もしもし、総武高校平塚ですが。」

『もしもし、2-F、比企谷八幡の母です。あの、八幡なんですけど...。』

 

比企谷の母親からの電話だった。会話中比企谷の名前が出された時、ゾクッとした。冷や汗が流れる。

「はい。」

『ちょっと怪我してしまったようなので、少しの間休ませて頂きます』

「は、はい。分かりました。」

そう言い終わる頃電話が切れた。

嫌な気がする。手が震える。まさかやはり比企谷の身に何かあったのだろうか。

しかし、来ない以上詳しく話を聞くことは出来ない。

そう諦めかけていたとき、別の方向から電話がかかってきた。

聞きなれた着信音。携帯だ。

誰からかと思い画面に目を向ける。そこには

「雪ノ下陽乃」

という名前が書かれていた。

何のためにかけたかわからない。ちょっとしたイタズラかもしれない。しかし、比企谷の一件に何か関係あるかと思い、電話を取った。

 

『ひゃっはろー!静ちゃん!』

「こんな朝早くから何の用だ。陽乃。」

すると陽乃はこれまで聞いたことの無いような声に変わった。

『今、比企谷くんの親御さんから電話来たでしょ?』

「...!!?なんでそれをお前が知ってるんだ!!?」

私は動揺を隠せなかった。さっきより震えが増している。

 

『やだなぁ...あんまり大声出さないでよ静ちゃん。一応外には出たけどここ、病院なんだから』

「病院...?まさか比企谷入院してるのか!?」

『うん、してるよ。』

 

絶望だった。私はまた、比企谷を救うことが出来なかったのか...。

もはや何も言うことが出来ず、口をぱくぱくする。声が出ない。

『おーい、静ちゃん聞こえてるー?』

「あぁ...」

やっと声が出たが空返事になってしまった。

しかし。

陽乃は全てを知っている。だから今は辛くても聞かなければいけない。逃げてはいけない。

「なぁ、陽乃...。今、どういう状況か教えてくれ...。」

『そのために電話をかけたからね。伝えるよ』

 

それから全てを聞いた。修学旅行で受けた依頼を期に比企谷にいじめが始まったこと。それが依頼主のグループのメンバーだったこと。そして挙句自転車のタイヤを切り裂かれ、階段から落とされたこと。

 

聞き終わる頃にはもうなにも考えたくなかった。

 

あぁ、私は教師失格だ。自分の婚期くらいどうにでもなる。けれど、私はそれ以外の、どうにもならないミスを犯してしまったんだ。

 

『ってのが比企谷くんから聞いた全て。静ちゃんはもちろん信じるよね?』

「その前に陽乃、一つ聞いてもいいか?私が比企谷を奉仕部に入部させたこと、間違いだったと思うか?」

 

決まってる。間違いだ。そのせいで今一人の教え子を傷つけている。

 

『んー、私にはわからないよ。きっと彼にも。でもね静ちゃん。』

『今、彼のために動けないのなら、それは間違いだよ。これでもかってほどの大間違い。それと、さっきの質問、答えてねー』

陽乃はYesともNoともつかない言葉を返す。ただ、その言葉にはこれ以上にない説得力があった。今動けるか、動けないか、か。

ならば私は...

 

「私は...信じる。信じてあいつの味方になる。それが今私が出来る償いだと思う。」

 

『...静ちゃんが恩師でよかった。私も信じるよ。静ちゃんが彼の味方になることを。』

一瞬間が空いて陽乃が返事を返す。いつもと違う雰囲気に私は少し驚いた。これは、外面なのか?

「なぁ陽乃。今日のお前は...なんかこう素直で優しいな。」

『...気の所為でしょ?まあいいや、もう切るねー』

そして電話は終了した。

 

 

携帯を元の位置に戻し、手を目にやり空を見上げる。

 

すまない比企谷。私は君の異変に気づけなかった。

けれどお前さえ許してくれるなら...。

お前の味方にならせてくれ。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前を必ず助けてみせる。

 

 

 

 

 




ヾ(・ω・`)ねぇねぇ
(*´-ω・)ン?
ヾ(・ω・`)UAが1000件超えたらしいよ?
(*´-ω・)またまたそんなこと言って...
( ゚д゚ )えっ?
Σ(*OДO;/)/

〜UA1000件超え...ありがとうございます!!!〜
-----------------------------✁︎キリトリ線✁︎----------------------------

昨日八幡視点で書いた範囲を陽乃視点にすると文字数が2倍になった。( ゚д゚)オカシイ
という事で3話、どうだったでしょうか?
陽乃視点、平塚視点で頑張ってみました!
このペースだと10話は余裕で越えそうですね...頑張ろう!!
そして余談ですが、
#0 約1000字
#1 約2000字
#2 約3000字
#3 約4000字←イマココ
...えぇ。次回は5000字行っちゃうのかな?

相変わらず拙い文章ですが、次回もよろしくお願いします!








後書き楽しい( ˙꒳˙ )
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