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►はい
いいえ
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では次に、君の望む力を教えてほしい
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剣を携えた男装の少女
赤い外套に身を包んだ武人
妖艶な半獣の女性
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おや、この中にはないというのかい? 困ったな、この中には君と相性がいいはずの存在しかいないはず……いや、まて。どうやらこの中は君ではない君のための力のようだ。これはイレギュラーな事態だな。少々待っていてくれたまえ。なあに、私にとっては時間は無限だ。君に確実に合う選択を用意するとここに誓おう。
『ふむ、君もダメだったか』
神聖なる空間に、その重厚な声は響き渡っていた。
『そろそろ刻限だ。君を最後の候補とし、その落選をもって、今回の予選を終了しよう』
その声に、感情など乗る余地もない。
『────さらばだ、安らかに消滅したまえ』
その言葉を受け取る、多数の屍の中で唯一未だに息のあるアルビノの少年────
されど今、彼は己の命を刈り取る
始まりは、ほんの些細な事だった。
本当に、些細なこと。
────頭痛と違和感が止まらない。
その些細な事実をもって、彼の日常は崩壊した。
レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイという転校生がやってきて。
その転校生の謎の行為によって、授業が中断されて。
そして何事もなかったかのように授業を進めるクラスに違和感を抱いて。
放課後、レオの後を追ってこの謎の空間にまでやってきた。
そこに、彼以外の意志は存在しない。
彼が、彼の行動の全てを決めて、彼の意志をもってこの空間にやってくることを決めた。
ゆえに、その先で死に瀕していようとも、それは彼自身の選択の結果。誰かが介在する余地はない。
彼が生き残る未来は、この世界に残っていない。
「抑……止……の……」
それでも、彼の瞳から光は消えていない。
それでも、彼の体は動こうとしている。
それでも、彼の命を意志が補填しようとしている。
ただ、「彼の肉体はすでに死に体である」という現実だけが彼を裏切っている。
「天……守……手……よ……」
彼の
言葉を発しても、それを聞き届ける者は誰もいない。
そうして、彼我の距離は零となり────
────すまない、君の準備はまだ終わっていないんだ
振り下ろされた人形の腕によって、その肉体は電子の塵へと崩壊した。
その日、あまりに前回と何も変わらない強い痺れに
朝の通学路を抜け、学内風紀月間とやらのために校門前にいる生徒会長殿の横を潜り抜けていく。誰もいない空間に向けてしゃべり続ける生徒会長の姿は滑稽というほかないが、周囲にはそれを気に留める者はいない。そんなことは知っている。
頭痛がする。
悪寒をのむ。
確信がある。
そしてそれらすべてを塗り潰す程の恐怖がある。
ここは決して自分の知る学校ではない……!
そんなことは分かりきっている。
早く目覚めないと。その方法は知っている
何もかもが手遅れになる。なら、どうする?
早く、突破口を見つけないと……
早く、あの場所に行かないと……
放課後の始まりとともに自由に動くようになった肉体を使用して、あの場所へと向かった。
そうして、三度目の死を迎える。
一度目の自分も、こうして死んだことを思い出す。
理由のわからない「死に戻り」はすでに二回行われた。
一度目は今と同じようにして殺され、二度目の《学校から帰る》という選択肢は取った瞬間に死亡した。直前の何者かからのメッセージを信じるならば、今日この日、学校で起きる何かを突破しないと死んでしまうらしい。
そしてそれはきっと、この人形を扱って行われている某かの試練なのだろう。
そんなことを考えていると、眼前で人形が砕かれた。
ここに至るまで、この人形は俺の言うことをしっかりと聞いてくれていたが、この場に至っては一切命令を聞くことなく、俺が指示を出そうとも完全に無視して動き、相手の人形にやられていた。
つまり、この試練は、ここで敗北してからが本番ということのはずだ。
今も近寄ってくる人形には目もくれず、どうやって生き残ればいいのか考える。
以前のように一撃でも受けてしまうと、俺は即死とまではいわずともその時点で確実にゲームオーバーになる。
なら、逃げることだけを考えて立ち回るべきなのだろうが、あの人形の身体能力を考えると、背中を向けた瞬間には斬られていてもおかしくない。
俺が武術の達人ならともかく、現実にはそんな都合のいい設定は存在しない。何かの能力に覚醒することもないのだ。
結論、生き残る道はない。
それを理解しても、死にたくないという思いは消えない。
体は恐怖に震えているが、それでも生き残りたいという意志だけは残っている。
どうすればいいのだろうか?
周囲が遅くなっているように感じる。
これはあれだろうか。死に際に見るという
真偽は分からず、それで得られた時間も、結局のところ俺の発想が貧困なために意味を為さず。
人形に体を砕かれた。
そんな錯覚をするほど、その一撃は重かった。
死にたくない。死にたくない。未だ何も為せず、何を為したいのかすらわかっていない。
生きていたい。生きていたい。俺の命は
けれど、どうすればいいのだろう。頼みの綱である英霊召喚は一回目の時に失敗した。一回目はダメだったのに二回目で急に成功するなんて思えない。
ならば────
────ようやく、すべての準備は整った。
この聖杯戦争において、触媒というものは存在しない。ゆえに、召喚は「縁召喚」に限られる。
しかし、君と縁のある英霊は、少々特殊な存在しかいなかった。
「助けを求める声に惹かれて」でやってくる英霊はすでに召喚済み。
つまり、君が召喚できる英霊は存在しない。
だが、それは許されない。
君自身の未熟であればともかく、君は条件を達成しているのだ。
そうである以上、召喚されないとなればそれはこちらの過失。
だからこそ、縁召喚で召喚できる相手を探していた。
そしてそれは今になってようやく見つかった。
────さあ、あの時と同じ質問をしよう。
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一度しか戦うことを許されない
民族衣装を纏う妖精のような少女
快楽を是とし、自身の欲を追及する魔性菩薩
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……なるほど、君はそれを選ぶのか。
よかろう。君はすでに予選を突破しているようなもの。ゆえに、君のサーヴァント召喚をもって、この聖杯戦争の予選を完全終了とする。
────では、これより聖杯戦争を始めよう。
────いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、戦いをもって頂点を決するのは人の摂理。
────月に招かれた、電子の世界の
ああ、最後に。
君はこの空間での出来事は思い出せない。これは特例措置なのでね。厳重に記憶は封印させてもらう。
──ステンドグラスが割れた。
ただそれだけのことなのに、無理をしてでも動いて噛み千切ってやろうか、という思いは霧消していた。
なぜなら、忘我の境地に陥るほど「美しい」と感じる相手が、人形とは比較にならないほどの力を纏い、割れたステンドグラスの真下、俺と人形の間にいたから。
「サーヴァント、アルターエゴ。召喚に応じ参上したわ。貴方がマスター……ってことよね、状況的に」
マスター? ……ああ、聖杯戦争のそれのことか。確かに自分は
──けれど
魔力パスは確かに眼前の英霊らしき少女と繋がっている。アルターエゴというクラスを聞いたことはないが、それでもサーヴァントを名乗り、俺の右手には令呪が発現したことを考えれば、確かに彼女のいう「状況的に」という言葉で考えると、俺が彼女のマスターなのだろう。
──自分が、君のマスターだ。
「やっぱり。……よろしくね。マスターさん」
倒れている俺の手を引いて立ち上がらせようとしながら笑む少女に、頬が熱くなるのを自覚しながら、彼女の姿をしっかりと目に焼き付ける。
どこかの民族衣装らしき、白と紫の服装。髪には紫のヘアバンドがついていて、首元にはこれまた紫のリボン……スカーフか何かだろうか? まあ、そんな感じのものをつけている。上着を止めている帯も紫で、紫と白でない部分というと、足を覆う黒いタイツと、他の箇所に比べて若干濃いめの紫のファーブーツくらいだろうか?
と、そこまで見て気が付いた。彼女が現れたのと同時に出現した、彼女に付き従う白熊が人形の方を向いて唸っている。
そこでは人形がカタカタと動き出していて、一度殺され、一度は殺されかけた相手が動き出したことに本能的に恐怖を感じて体が強張る。
「大丈夫よ、マスターさん。あれぐらいの相手なら……シロウ、お願い!」
少女──アルターエゴは微笑み、次いでおそらくは白熊のものであろう名前を呼ぶ。すると熊は俊敏な動きで距離を詰め、その剛腕を以て人形が動き出す前に一撃で粉砕した。
「ね、大丈夫だったでしょ?」
英霊という存在が強いということは知っていたが、実際にどれくらいの強さなのか実感を持てていなかった自分としては呆けるしかない結末だったのだが、呆けてもいられない。
なぜか、体に激痛が走っている。いいや、なぜかなんて考えるまでもない。令呪が発現してから痛み出している以上は、それ以外に原因など存在しない。
一度目の死亡の時に声を垂れ流していた相手が、令呪について語っている。
俺の知る聖杯戦争は冬木のものだが、だいたいはそれと同じ。古い資料でしかなかったが、聖杯戦争に関しては大元となる一族の資料だったからと熟読していてよかった。
けれど、一つだけ違うことが。
三画目を使用すれば、その時点で敗退決定。死亡するということ。
これだけは、大元とは違う。そのことを頭に入れておかないと。
そんなことを考えながらも痛みで意識を失う直前、アルターエゴがこちらの様子がおかしいことに気が付いて駆け寄ってくる姿が、俺が最後に見た光景だった。
ここまでの死に戻りは主人公の力ではなく、ムーンセルの援護です。……ここまでは、ね。
最初の主人公死亡の時にサーヴァント召喚の場で呪文を唱えているので英霊の座への呼びかけは成功しています。けれど、ムーンセル側が用意していたサーヴァントでは主人公と合う存在がいなかったのでムーンセルのお見合い式縁召喚では召喚不能。ムーンセルの失態なのでここにはちょっとした措置がとられました。
その内容が、主人公君には予選そっくりに作った空間でループしてもらってその間に探してくることをしていた、ということです。ということで、時系列的には主人公以外はすでに予選終了しています。主人公はクリア済みだけど、未だに参加者名簿には載っておらず、サーヴァント召喚を終えた後に記載されました。