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そこは、部屋と呼ぶことすらできぬ、聖杯戦争が行われているどのフィールドよりも広い空間。地には水、そして空には遍く不浄を排した白が、ただ無限に広がっている。本来ならば何者にも侵されず、ただ静かに勝利者を待ち受けるだけの空間は、今この瞬間は一つの戦場と化していた。
互いに求めるものは聖杯。
眼鏡と白衣が特徴的なマスター、トワイス・H・ピースマンとサーヴァント、セイヴァー・覚者。彼らは今、目前に現れた、サーヴァントとはいえぬ存在と戦いを繰り広げていた。
純白の宙を舞う、この世全ての悪性を煮詰めたかのような漆黒の少年。いくつかの傷を持ち、それらからは大量の魔性が生まれ出る。けれどそうして生まれでた魔性は、セイヴァーの後光によって焼き尽くされ、腐臭と焼け焦げた匂いを残して、水面に浮かぶ死骸と化す。
セイヴァーが放つ
「貴様らでは、我を滅ぼすことはできん」
言葉通り、彼らに少年を滅ぼすことはできない。……いいや、その気になれば滅ぼすことは不可能ではないが、人類が滅ぼすべき悪を
「だが、そうだとしても。ここで君を『はい、そうですか』と
けれど、トワイスが口にしたように、彼も通すことができない理由があり。トワイスとセイヴァーは殺してはならぬという制限を持ちながら、少年は中枢に座す、ムーンセルの本体というべきものを破壊してはならぬという制限を受けて。
互いに全力を出せぬまま、ただ悪戯に時は過ぎて行く。
けれど、全力ではないとはいえ、並大抵のサーヴァントであれば余波だけで死んでいてもおかしくないような攻防が繰り広げられる。それは時としてムーンセルを揺らし、余波がムーンセルの一角を崩し、あらゆる事象を終末へと導いて行った。
──ザザザザ……
──ザザザザザザザザ……
──ザザザザザザザザザザザザザザザザ……
パタン、と映像を映し出していた本を閉じる。この本の中のデータは二回戦の時間軸におけるあの場所の状況のみを記録したもの。三回戦以降となると、また別の棚から本を引き出してくる必要がある。
あの本の中に続きが書いてあるようなフリをしておいて。実はあの本の内容はあそこからは全く読めないようになっているのだ。
棚ごとに分別して、あの一件をまとめておいてしまうとわかりやすいから、と。そんな言葉とともに各所に情報を散りばめた月の王のことを思い出す。探し出すのが面倒な一件で、あの一件に関わったものだけが事件の内容を知るためのその暗号を
だから、他の誰かに知られないように、という王の望みに反するわけにはいかない。今日のところはここまでにしておこう、この戦いの決着はあの時にムーンセル内部に存在した者なら、
あの結末が訪れた時こそが、自分たちの聖杯戦争が崩れ去った、その瞬間なのだから。
そう思って、新しい本を開く。そこに書かれている内容。それこそがこの戦いの結末。あの戦いは一回戦よりも前の部分から記録されている。そして、この戦いの結末は──
開かれたページには、荒廃した中枢と。そして倒れ臥す──
それを見届けて、ページを閉じる。NPCな自分には、あの時の記録が消えることなく残っている。故に、これ以上確認することはない。
──最終閲覧記録:上位NPC■■■■
記された自分の名を確認し、今日もムーンセルが
次回、二回戦七日目。二日目から六日目に何があったか知りたいなら本編を買うといい(ダイマ)