コンビニの自動ドアをくぐると、店内に来店を知らせる軽快なメロディーが響く。
「しゃーせー」
随分と適当な挨拶だなと、少し笑いながら声の主を見ると、よく見知った白髪の少女がいた。
「あっ、ツッキーだ」
「あれ、モカってここでバイトしてるんだ」
「そうだよー。ツッキーはどうしたのー?」
「アイス買いにきた。近場のコンビニに食べたかったやつがなくて」
少しのやりとりのあと、アイスコーナーに行き、アイスが何個も入ってるケースを開けて、目的のパピコを一個…………二個取り出す。
その二つをレジに持っていく。モカがスキャナーでバーコードを読み込んでいると、横からギャル風な女の子がやってきた。この人は一年生の中でも結構有名人だ。
「へー、君がモカの言ってた蒼くんかー。よろしくね。私は今井リサ。リサって呼んでね」
「リサ先輩ですね。ところでモカは俺のこと何て言ってたんですか?」
「えっとねー、とっても───」
「リサさん?」
モカがそこから先を言わせないようにリサ先輩の名前を呼ぶ。
「ごめんごめん。言わないから」
「あー、いいです。分かりましたから」
「おっと?」
リサ先輩が何かを期待するような目を向けてくる。
「こいつはきっと───」
モカの表情が少しばかり強張る。もしかして、気持ちがバレたのかと。心の準備をしながら、彼の次の言葉を待つ。
「───愚痴でも言ってたんでしょ?」
……………
「このアイス、暖めますねー」
伝わらなくてホッとしたような、でも少し残念なような、ない交ぜになった気持ちを誤魔化すように彼の買った商品をレンジに入れようとする。
「ストップ!?」
彼が身を乗り出して、彼女の肩を掴む。彼女の柔肌が傷付かないように配慮したのか、握る力は大したことなく、モカもそれに免じてアイスをレジ台に戻す。
「あははは」
隣では二人のコント染みたやりとりにリサが大爆笑していた。
はあ、とため息をついた彼は、財布からピッタリの金を渡して、パピコ一つを手で掴む。
「ツッキー、一つ忘れてるよー」
「それは、モカとリサ先輩に差し入れってことで。じゃあ、また明日」
彼が店を出てから、リサが口を開く。
「確かにモカの言うとおりだね」
『ツッキーは、とっても面白くて優しいんですよー』
その時のモカの顔をリサは忘れない。漫画でしか見たことがない、乙女の顔だった。
「そうでしょー。はい、リサさん」
パピコを二つに割って、一つをリサに手渡す。客も来そうにないし、今日ぐらいはいいだろうと、アイスを食べることにした。
「ありがとう。うん、美味しい」
「そうですねー」
横目でアイスを食べてるモカを盗み見る。その顔はバイト中には見ることがない、幸せそうな顔だった。
望月蒼はできる男である
次の話のネタ(書けるかは分からない)
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