体育の授業でバトミントンをすることになった。今回の体育はA、Bクラス男女混合だ。クラス合計は80人ピッタリで男子女子の割合もピッタリ2:8。
男子と女子の組み合わせが16組できる計算になる。
バドミントンの成績は試合でのみ決まる。どれだけ試合をやったかで決まる。また、勝てば少しだが点数もあがるそうだ。
試合は11点先取。
男子が入ったペアは女子同士のペアの場合、3点のハンデを負うことになる。
さて、そこで俺が組むことになった相手とは。
「よろしくねー、ツッキー」
「何でなんだろうな」
もう運命としか思えない。ついでに、つぐみは美竹、宇田川は上原と組んでいる。絆の強さがくじの結果に干渉できるのだろうか?
「とりあえず、つぐみ、美竹。軽くやらない?」
「いいけど」
「私もいいよ」
スポーツは妹と結構やるので、自信がある。あのスポーツチートの運動神経はマジで人間やめてるレベルだと思う。
ほのぼのとラリーをしていると、先生から試合をやれとのお達しが来た。
折角だからとそのまま流れで試合をすることになったのだが。
「動けや!モカ!ほとんど1対2じゃねーか!」
そういえば、美竹って負けず嫌いだったよな。さっきのほのぼのプレイが嘘のような本気プレイ。つぐみもツグってる。
「ふぁいと~」
「気が抜けるんだよ!」
こっちは一人で二人の攻撃を捌いている。美竹は運動できるし、つぐみも運動神経は悪くない。
モカはコートの端っこで俺を応援してるのだが、それが逆効果なんだよ。あの間延びした声が俺の気力を削いでくる。
モカの声援…………相手の攻撃力・防御力・敏捷力を大幅に低下させる。やる気を低下させる。青葉モカ固有スキル。
最悪なデバフだな。条件を揃えれば、相手にもデバフをかけるとか、味方に強力なバフをかけるとか、そんなのはないのか。
試合はギリギリ俺たち───俺の勝ちだった。
コートから出た瞬間、倒れる。吹き出た汗が体育館の床を濡らしていく。モカは俺から少し離れたところで壁に寄りかかり体育座り。
「し…………死ぬ…………」
「だ、大丈夫?望月くん」
上から汗で髪を濡らした大天使ツグミエルが覗き込んでくる。
「最後に見た光景がつぐみの顔なら後悔なく逝けるよ」
「望月くん?!大丈夫なの?!」
「………本当に大丈夫?」
美竹も心配しにきてくれた。結構レアだと思う。
「まだ何とか大丈夫。これでも体は鍛えてる方だから」
体力の回復に努めていると、ラケットを肩に担ぐようにして持った宇田川がやって来た。奥では上原がラケットを杖にしんどそうに歩いていた。
「モカー、望月ー。次、アタシらと………って無理そうだな」
「ああ、俺が死───」
「やろー」
モカが勢いよく立ち上り、俺の手を無理矢理引こうとする。もちろん抵抗しようとするのだが。
「おい、モカ!待て!引っ張るな!その力をさっき発揮しろやー!」
どこにそんな力隠してたのか、コートの中に引きずり込まれた。
もちろんモカが働くことはなかった。今度もギリギリで勝てたが、しばらく立てそうにない。足が軽く痙攣起こしてるんだけど。
「ぜえぜえ………」
「も、望月くん?」
「ご………ごめ………今、話せ………」
つぐみが話しかけてくれるが、今は酸素を取り入れるのに集中したい。今の俺はまさしく虫の息なのだ。
「は、はい、タオル」
「あ、ありが………と」
ぐっと体を起こしてから差し出してくれたタオルを受け取り、汗を拭き取る。息を吸って吐いてを繰り返して、体に酸素を回していく。
「本当に余裕ないね」
「あたり………まえ、だろ………」
美竹もさっきの俺VS宇田川・上原の試合を見ているからそれはわかってるのだろう。苦笑いの彼女もまたレアだ。
「モカ、さすがにこれは酷いと思う」
「もっと………言ってやれ」
「だってー」
モカが何かを言おうとしたが、俺とつぐみを見て、すぐに止めた。
「望月、ペア変わろうか?」
美竹が提案する。どうしようかと悩んでいたら、視界の端にモカの寂しそうな顔が見えた………気がした。しっかりとは見えなかったが、雰囲気が違っていた。
「ふぅー。いや、いいよ」
「いいの?」
首にタオルをかけてから、震える手で床を叩いて体を起こして立ち上がる。
「面倒かかるけど、パートナーだからな」
「望月─────
────格好つけてるところ悪いけど、足が生まれたての小鹿みたいだよ」
「「ぶふっ!」」
「ふ、ふふふ、ふふっ」
横で休憩していた宇田川と上原が吹き出した。つぐみは堪えようとしているみたいだが、堪えきれず笑い声が漏れている。
「笑ってんじゃねーよ!」
そのあとの試合から、何故かモカが俊敏に動いて勝ちを納めた。
望月蒼は格好つかない。
次の話のネタ(書けるかは分からない)
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