政治家志望だった僕が異世界の皇帝に転生したので国を治めてみた。 作:にわかホークスファン
温かい目で見てもらえると嬉しいです。
あと筆者は法律や政治、経済の知識はほぼ皆無です。
これからそういった知識が要求されるような展開にしたいときにはしっかり調べて書くようにはしますが、どうしても解釈の違いや単純に私の確認不足や勘違いなどで至らない部分も出てくると思いますが、そちらの方も温かい目で見ていただき、もしよろしかったらご指摘くださるとありがたいです。
そんな文ですが読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いしますー。
「人生というのは、本当にあっけないなぁ。」
突然ながら、僕はそう思いながら死んでしまったことを実感した。
僕は山口茂。22歳で既に大学の卒業が決まり、司法試験にも無事合格し、弁護士になる予定だった。
そして僕の家系は先祖代々政治家の家系で、僕も将来は父の跡を継いで政治家になろうと思っていた。こんなことで死んでなければの話だったが…
なぜ僕が死んだのか。それはほんの5分前のことだ。
深夜1時にバイトを終えて家に帰っている最中だった。
なんと、居眠り運転のトラックに轢かれたのだ。
居眠り運転だったというのは後に僕の担当をしてくれた天使に教えてもらったことなんだが…
志半ばにして死んでしまい最初こそ取り乱したが、最初に僕がつぶやいたように、死んだものは仕方がないと割り切ると少し落ち着いた。
「シゲルさん!自分語りは済みましたか?」
僕に話しかけてきた金髪の少女は、天使ラン。僕の魂を来世に届ける担当になった天使だ。いかにも天使らしく羽と輪っかがある。しかし、宙には浮いてはいない。
「え?聞こえてたんですか?」
それならとても恥ずかしい。自分語りなんてカッコつけっぽいこと、今までやったことはなかったが…
「ええ!シゲルさんの心の声も聞こえますから!」
ランさんは、ニコッと笑う。
「あ、そうだ。今ちょうど貴方の今までの行いの審査が終わりました。」
天国の決まりで、前世でどんな行いをしたかで来世が決まるという。
善行を積めば出来るだけ来世に対する希望が通るし、悪行を積めば人気のない微生物や嫌われ者の生き物(Gとか)になりやすいらしい。
「それで、どうだったんですか?僕の審査。」
「それがですねぇ…あなたは前世で悪行とされることは何一つされてないですよね。すごいでしょ?全てわかるんですよ。」
ランさんは少しニコッとしていった。
「は、はあ。」
「生きていく上で必要な最低限度の嘘以外は付いてないし、拾ったお金も額に問わず全て届けるし…落し物もネコババしたことないでしょう。そして善行ですが、これもいい感じの点数ですね。貴方の希望は基本的に通ると思いますよ。」
「本当ですか!?」
やった!僕は来世を好きなものにできるらしい。
「ええ!前世で頑張った分だけ、良い来世に繋がるんです。」
ランさんはニコニコしながら言った。
「それで、どんな希望があるんですか?」
もちろん、僕が希望するのはこれしかない。
「来世こそは、政治家になりたいです!」
「政治家ですか…それですと…良い案件があるんですが、どうですか?政治家とはちょっと違いますが、皇帝として世直ししてみませんか?」
「…どういうことですか?」
天使から話を聞いた。
僕が生まれ変わるのは今の世界とは違う異世界で、こちらの世界でいうファンタジーな世界だそうだ。とは言っても魔法はないらしいが…
その世界にある千年以上続く大帝国、ワモン帝国の後継者として、僕は生まれるらしい。
その大帝国は、歴代の皇帝が好き放題圧政を敷き民を苦しめてきたという。法も秩序もなく、地方では役人が皇帝の名の下に大暴れ。中央も大臣や役人も賄賂に罪逃れ。
そして現在の皇帝も圧政を敷き、毎日毎日無実の罪で市民を大処刑。
そんな状態に神も耐え難かったが、現実世界に神が直接内政などに干渉するのは規則に反するために静観せざるを得なかったという。
しかし、あまりにも酷い惨状を無視できなくなり、特例で全銀河神様会議なるものでの会議の結果、全会一致で皇帝を適任と判断した魂に就任させるようにするということが決まったらしい。
そこで今回、僕に皇帝を任せることでこの腐敗した帝国を建て直してほしいということだそうだ。
これはやるしかない。僕はそう思った。
「…分かりました。是非やらせてください!ただ、一つだけ質問があるんですが…」
「はい?なんでしょう。」
ランさんはニコニコと聞いてきた。
「僕の記憶ってそのままで転生できるんですか?」
そうでなければ意味がない。僕の記憶がなくなれば僕までも暴君になってしまうだろう。というよりそれはもはや僕ではない。
「え?もちろん、記憶は消えますが…」
ランさんはそう返答する。
それではマズイ。何も変わらないだろう。ここは記憶をそのままにしてもらうようお願いするしかない。
「無理なお願いになるかもしれませんが…今の僕の記憶をそのままにしてくれませんか?」
「へ?」
ランさんがポカンとしている。
「えええー!そんな!無茶ですよー!」
少し間をおいて理解したランさんが大きな声で慌てる。
「無茶って!そしたら来世の僕もこういった残虐な行為が当たり前と思いながら育って暴君になりますよ!絶対!」
僕も少し感情的になって答えた。
「あーっ!そうだった!そうですよね!記憶がなきゃシゲルさんはシゲルさんではありませんもんね!うーん、でも、そんなことができるんでしょうか…」
ランさんは首をかしげる。
「ダメっぽいようだったら、僕はその話は諦めます。普通に日本人としてまた一からやり直すことにします。」
「ちょ、ちょっと待っていてください!上司の方に確認取ってきます!」
ランさんは走って確認を取りに行った。
ランさんって少し天然なんだろうか…僕はそう思いながら待っていた。
「あー!今私のこと天然とか思いましたねー!私、こう見えてしっかり者なんですよー…わあ!イタタ…壁にぶつかっちゃったぁ…」
少し離れたところからランさんが走りながらこっちになにか言っていたが、やはり天然だろう。これで確信した。
しばらくして、ランさんが走って大慌てで戻ってきた。
「ハァ、ハァ…シゲルさん!聞いてください!」
すごく息切れしている。そんなに走ったのだろうか。
「落ち着いて話してください!ランさん、なんですか?」
息を整え、少し落ち着いてからランさんは話した。
「えっとですね!神様が、直々にシゲルさんと面接なさるそうなんです!」
「えっ!神様と直々に?いつですか?それは…」
「それが、今すぐにだそうです。」
今すぐ!?そんな無茶な…でも、無茶なことを言っているのはこっちも同じである。
「分かりました。なんとか頑張ってみ…うわぁ!」
突然あたりの空間が歪んで、別の空間が現れた。テレポートされたそうだ。
そして、そこにはとても穏やかそうな性格のヒゲの長い爺がただ一人座っていた。この空間が日本の裁判所にでも似ているからだろうか、裁判にでもかけられてるような気分だ。
「か、か、神様ですよ!私も初めてみました!」
ランさんも僕も驚いている。突然空間が変わるし、神様は目の前に現れるし、無理はないだろう。
すると、緊張する僕に神様が先にこう仰った。
「こんにちは。はじめまして、山口シゲルさん。私がこの世界担当神のヘラクロスといいます。」
「お、お初にお目にかかります。私が山口茂と申します。この度は、私の身勝手な希望によって神様にご迷惑をおかけすることになってしまい、本当に申し訳ありません。」
とても緊張する。相当お堅い挨拶をしてしまった。
ランさんに限っては目は開いていて、息もしていて立ってはいるが、意識が飛んでいた。
「そんなに堅くならなくていいんですよ。あなたの性格はすでに私たちも把握しています。」
神様は優しく微笑んでくれた。少し緊張はほぐれたが、すぐにまたこう切り出した。
「しかし、あなたの現在の考えまでは把握しきれていない。そこで、記憶をそのままにあなたを送り込んでもよいのか、試験を行うことにしました。記憶そのままに転生ということは極めて異例なことなので、私自身の直接の推薦が必要となります。では、突然ですが、一つだけ質問します。」
「はい。」
僕は真っ直ぐとした目で神様な目を見た。
率直な自分の気持ちを伝える時は、相手の目を見て話すことが一番だと何度も父から教わった。
「あなたが将来皇帝の座を継いだとき、どんな政治を行いたいですか。」
予想通りの質問ではあるが、とても難しい質問だ。しかし、僕はさっきランさんが確認に行っている間に、どんなことをするかある程度決めていた。
「昔のヨーロッパも日本も、ワモン帝国のように荒んでいた時期がありました。しかし、いまでは先人たちの努力によってそういった国々も民主化し、先進国としてこの世界を引っ張っています。そういった先人たちのやり方を参考にし、僕の代で今の日本並みの国を作りたいと考えています。」
変わらずまっすぐ目を神様の方へ向け僕は決心を言った。
すると神様はニコッと笑った。
「分かりました。あなたの目から、嘘は感じられません。あなたの希望を認めます。見事、ワモン帝国、そしてそちらの世界を良き方向に導いてください。」
神様にそう言われたのならば、やるしかない。
「はい!頑張ります!」
ランさんもようやく意識を取り戻し、僕の試験合格を祝ってくれた。
「おめでとうございますー!これで政治家になれますね!では、私はこれで失礼します!よい来世ライフを!あっ!神様、失礼します。」
ランさんが去ろうとした瞬間に、神様に呼び止められた。
「天使ラン。ちょっと待ちなさい。」
「は、はい!」
ランさんが慌てて振り返る。その際にこけてしまった。
「イタタ…、す、すみません!取り乱してしまいました!」
「突然呼び止めビックリさせてすまなかった。君もワモン帝国の立て直しのため、シゲルくんをサポートしてあげなさい。しばらくはそれが君の仕事です。」
神様がランさんにそう仰った。
「へ?は、はい!神様!喜んで!」
ランさんは驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔で返答した。神様から直接お仕事を指示されるのはどうやら、とても誇らしいことらしい。
「それでは、神様!失礼します!」
ランさんと共に神様の前を去り、僕は来世への扉の前に来た。
「へへーん!私も神様から直々にお仕事を指示されちゃいましたー!」
ランさんは胸を張っている。
「あ、すみません…調子に乗ってしまいました…ゴホン。では、気を取り直して…行きますよ!シゲルさん!この扉の先はすぐワモン帝国です。ワモン帝国を立て直す秘書として後からシゲルさんのもとに行って頑張りますので、共に帝国を、世界を立て直しましょう!」
「はい!」
僕は大きな返事をし、希望を胸に扉を開けた。
そして、僕はワモン帝国皇帝、ワモン16世の長男として生まれた。
母は僕が生まれてすぐに亡くなってしまったが、その代わり父から一人息子として大きな愛情を注いでもらい、スクスクと育った。
この世界での僕の名前はモロンと名付けてもらった。
この世界の言葉は神のお力のおかげで、自動的に日本語に翻訳してくれるようになっていた。文字も流石に日本語ではないが、文法もよく似ていて、すぐに覚えた。
僕が15歳になり、内政についても学ぶようになった時に僕の秘書としてやってきたのが、ワモン人に扮したランさんだった。
「モロン、彼女が君の秘書となるランだ。年齢も同じくらいだから、仲良くやっていきなさい。」
父がランさんを紹介すると、続けてランさんが自己紹介をした。
「お久しぶりです!シゲルさ...いや、モロンさん。これから秘書として頑張っていきますので、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。」
前のような元気いっぱいなランさん。外見も羽と天使の輪がなくなっただけで、変わっていなかった。
僕は皇太子のうちに再度元の世界の勉強がしたいと秘書であるランさんにお願いをし、日本の六法全書や、法律本に歴史書、そして日本や世界の行政についての本などを持ってきてもらい、そこで一から勉強し直していた。
「こうして、イギリスは議会を成立させ、民主化した…」
僕が歴史書を読みふけっていると、ランさんがやってきた。
「そういえば、シゲルさんに、この国の詳細なプロフィールを教えてなかったですね。神様からの報告を一枚の紙にまとめてきたので、読んでみてください。」
「ありがとうございます。どれどれ…」
紙にはこう書いてあった。要約すると以下のようになる
国名はワモン大帝国で、成立は約1000年前で暦ではこの年が帝暦元年と呼ばれるようになった。
人口6700万人、この世界では一番多いと言う。
植民地を各地に持っており、現地民は平民よりもとてもひどい扱いを受けていた。
通貨というものはなく、税を納める時は農産物や海産物等の物品納税だった。
また国内の平民は子供のうちから納税のために働き、教育など一切受けることができないため国内の識字率は非常に低く、5%程度だという。
また、役人の重税にとても苦しんでおり、自分たちが食べる分もなく餓死する平民も多いという。
帝国の首都、帝都の名前はサイモンといって帝国の政治、経済、文化の中心である。サイモン市の人口は300万人であるが、やはり市内でも格差がひどく識字率は極めて低い。帝都内でも重税に苦しみその日暮らしの民が多いという。
ただ、対外関係は概ね良好で、隣接国とのイザコザは起こっていない模様だった。
「うぅ、思ったよりもひどいな…」
ある程度王宮専属の教師から地理的なことも学んではいたが、人口や主要産物、植民地などの表面的なことだけだった。
流石に絶句した。予想はしていたが、まさかここまでひどい実情だったとは。父親であるワモン16世はやはり暴君で圧政を敷いており、こういった問題は解決はしていない。というより悪化していく一方だ。
「皇太子殿下!いらっしゃるか?」
突然声がした。マズい!日本の本は片付けなくては…
「は、はーい!ちょっと待ってください!」
なんとか片付け終わり部屋へ入れる。
「殿下、陛下がお呼びです。」
僕を呼びにきたのはワモン帝国五大将軍と呼ばれる内の一人、帝国北方出身のレオニード将軍だった。細マッチョでとても身長の高い男だ。
「あぁ、今行きます。」
どうせいつものアレを僕に見せるために呼んだのだろう。
僕は急いでドアで待つレオニード将軍の元へ行った。
「さあ、いきましょうか。」
レオニード将軍と共に父のもとへ行った。
「レオニード将軍。あなたの故郷はどんな場所なんですか?」
そういえば僕はレオニード将軍について知らなかったので、まずは出身について質問してみた。
「そうですなぁ。年中雪が積もっていて、とても寒い地域ですよ。少しの期間だけは雪が解けて麦が育つのですが、やはり土地も痩せていてロクに生えません。さらに、役人は税を無理矢理取り立てる…お陰でとても貧しいところでした。故郷のものは皆飢えています...おっと、殿下の前で大変つまらぬ話をしました。ご無礼申し訳ない。」
「いや、いいですよ。レオニード将軍。僕は将来皇帝になったら、全ての平民を救いたいと思っています。その時は、僕のこと、支えてくれますか?もちろん将軍の故郷の人も全員貧しさから救います。」
「ええ、もちろんですよ。」
レオニード将軍が笑って返した。多分レオニード将軍は本気にしてはいないだろうが…
しかし、後に僕が皇帝になったとき、レオニード将軍をはじめ五大将軍が大いに協力してくれることになる。
そうこうしているうちに、父の元へ着いた。
父は贅沢し放題で、少し太っていた。
「おお!モロンや。こっちに来なさい。さあ、始まるぞ。」
父の野太い声で呼ばれたからには横に行くしかない。
ここは王宮から直接繋がっている闘技場。予想通り、処刑ショーの始まりだった。
中では、剣のみを持った囚人たちが怪物と戦っている。
怪物に勝ったら無罪放免というが、装備もボロボロの囚人服のみで、怪物は囚人たちの何倍も大きく、剣如きで敵うような相手ではない。実質的な極刑の執行だった。
「モロンどうだ。無様に戦う囚人どもの断末魔の叫びはとても気持ちがいいだろう。」
父は笑いながらいう。気持ちがいいわけがない。心底胸糞悪い。母が僕を生んですぐに亡くなってしまい、男一人で懸命に僕に愛情注いでくれたからこう言うのも複雑だが、父のこんなところは大嫌いだ。
「いいえ、全く。僕はこういうのは好きではありません。」
僕は表情を変えず、冷たい視線でその光景を見つめていた。
「つまらん息子よのぅ。全く。このようなものが楽しくないとは…」
この中にはありもしないでっち上げの罪で捕まった人がいるということを、僕は知っていた。しかし、今の僕では止めること、父に逆らうことはできない。
「早く、なんとかしないと…」
僕がそう呟くと、父もあまり僕のほうを見ず処刑ショーを楽しんでいた。
「さんざんだった」
僕は大きくため息をついた。
ようやく処刑ショーが終わった。最後まで見ないと終日父の機嫌が悪いのだ。父のご機嫌とりのため、最後まで見なければならない。
そうでなければ、また新たな人が父の憂さ晴らしで殺されてしまう。
目測ではあるが、今回だけで150人程度が怪物に殺されてしまっただろう。
このように、父が僕に公開処刑を見せつけるのは多くあった。
歴代皇帝も、自らの子息にこうやって見せつけていたのだろう。
こんな光景を両親が楽しんでいるのでは、それが当たり前に感じてしまっても仕方ない。
この前は、十字架にかけられた囚人が四肢をひとつづつ切り刻まれていく光景を見せつけられた。
囚人は大きな悲鳴を上げて、僕やのこと父の方、執行人などを見て命乞いをする。
それを見て父や執行人は笑う。
地獄のような光景だった。僕は急ぎ部屋に戻ってベッドにうずくまり「ごめんなさい。ほんとうにごめんなさい」と震えながら呟き、ついには吐いてしまった。
こんなことが頻繁にあるのだから、吐くほどまでにはならなくなったがやはり気持ちが曇ってしまうのは変わらない。
そんな中でも、僕が楽しめることは多くあった。
例えば、僕が皇太子として地方に視察に行くと、地方の民と交流を持つことができることだ。
貧しくても、懸命に生きる地方の民を見ると僕も頑張らなければと励まされる。
皇太子のうちから地方に視察に自ら赴いたのは、歴代の皇太子でも僕が初めてのことだという。大抵は皇帝に行かされるというらしい。
他にも、僕を励ましてくれるのはランさんの存在だった。
おかしいことだが、どうやら僕はランさんに特別な感情を抱いてしまっているらしい。
まあ、神様経由ですでにばれてしまっているだろうが。
天使がたかが人間を特別な対象とは見てはくれないだろう。
まあ、今はそんなことをいう場合ではない。
これから僕はこの荒んだ国を立て直さなければならないのだ。
恋なんかしていてはいけない。いけないのだ.....
皇太子としての僕の働きは、少しずつ増えていった。
というよりは、自分から増やした。
体も大きくなって外遊に出やすくなったので、まずは帝都サイモン市から離れた正式な帝国領土である地方から回ることにしていたが、僕が視察できるのは肥沃な土地で比較的活気のある土地しか許されなかった。
ランさんに教えてもらったことだが、歴代皇帝が視察に行かされるのもすべてがこういった比較的活気のある土地だけだったらしい。
これだけしか見なければ、皇太子が貧しい地区があることを認識できなくなるのも仕方がないだろう。
なにせ王宮教師はこういった地区があることを教えてくれはするのだが、地方の人間が頑張っていないから貧しいままだとしか言わないのだ。
皇帝になると地方からの報告により、納税量が減っていることで貧しい地方は土地や気候によって農産物などが採れないと把握はしてくるようにはなるのだが、ほとんどの皇帝はこれを握りつぶし地方の役人に税をきちんと取り立てるように言っていたのだ。よって皇帝も、自らの息子にこのことを教えまいと王宮教師には圧力をかけているのだ。
貧しい地域のためにこれ以上のことはやらなかった。
これでは地方の役人が大暴れするだろう。皇帝に圧力をかけられるのだから。
そう思っていた僕の考えが甘かった。
ランさんから聞いたのだが、地方の役人は報告書を偽っていたのだ。
税をすべて懐に入れていたのだ。
「これは僕が皇帝になっても尾を引きそうな問題だな…」
このことを聞いたときに僕がそう愚痴をこぼすと、ランさんはいつものように励ましてくれる。
しかし、帝国の実情がだんだんと入ってくるようになると、本当に僕なんかが皇帝になっても大丈夫なのかと思う。
そう、僕が自信を失いかけていたときだった。
父が日頃の不摂生がたたり、ついに倒れたという情報が入ってきたのは。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
一話にして急にあの世に行ったり、神様にあったり、転生したり、皇太子になったり、先代皇帝を危篤の状態にするというあまりに急な展開になってしまい申し訳ありません。こんな感じな展開で大丈夫なのだろうか、少し心配です。
あと、死んだ原因もあまりにありきたり過ぎかなと思うのが少し反省です。でも、僕ではこれ以外思いつきませんでした…
そんな個人的な反省が多い文でしたが、ここまで読んでいただきまして改めてありがとうございました。もしお楽しみいただけたのであればとても嬉しいです。
続きも書く予定です。そちらも引き続き読んでいただけると又々嬉しいです。
改めて、本当にありがとうございました。