インフィニット・デカレンジャー~クールで熱い戦士たち~通常形式版 作:憲彦
↓前回も設けた注意事項です。この段階で無理と言う方や前作で無理と言う方は早々にブラウザバックをしてください。
・SPDは宇宙全体ではなく地球全体の物に。
・デカスーツがISと同様物として扱われる。
・デカマシーンは出ません。
・罪状が少しズレるかも。
・良くある神様転生物です。
・ISの皮を被った何か。
「うん……ん~……は!?ここは何処だ!?グッ!動けない……!?」
薄暗い倉庫の中、そこで1人の少年が目を覚ました。周りの状況を確認するために体を動かそうとするが、手足は縄でガッチリ縛られ、動くに動けない状態だった。焦る少年に、男が声をかけた。
「お?目覚めたか?ボウズ」
「!?」
近くに自分以外の男が居たことに驚いていたら、次は近くにいた別の男に声をかけられた。
「お前達兄弟は誘拐させて貰った。勿論、織斑千冬の決勝戦破棄のためにな。助けに来てくれると良いな~。な?織斑一夏君」
「ッ!?(そうか。あのときに変な薬を嗅がされて)」
一夏はISの世界大会モンド・グロッソの会場を歩いていたが、突然背後からハンカチで口と鼻を押さえられ何かの薬を嗅がされたのだ。強い薬だったのか物の数秒で意識はブラックアウト。気づいたらここにいると言う状況だった。
「助けに来るわけ無いでしょ。ソイツ、織斑家の汚点って言われてる出来損ない何だから。弟の方だけ助けてすぐに決勝戦に戻るんじゃない?ハハハ」
「どうだかな?織斑千冬は家族思いで有名だぜ?いくら出来損ないでも、片方だけを見捨てる何て事はしないだろう」
女は「どうだか?」と言いながら近くに置いてあった椅子に腰をかけながらタバコを口にくわえる。数分してから、別の男が声をあげながら一夏達の居る場所にやって来た。
「おい!弟の方が助けられたぞ!!」
「何!?こっちに向かってるのか!?」
「分からない。映像でしか見てないからな。でも、助けた後はすぐに出ていったらしいぜ」
会話の内容からも分かるように、弟の方は助けられたみたいだ。すぐに出ていった。と言うことは、自分の所にも助けに来てくれる。そう思っていた一夏だが、次に聞こえた言葉で絶望した。
「おい!あの女、試合に出てるぞ!!」
「え……?」
「何!?」
「フン。やっぱりね。家族思いと言っても出来損ないはいらないみたいね。優秀な弟と名誉。それを手に入れるためにこっちは捨てたって訳。所詮、人間なんて自分の得にならない物にはこうなるのよ」
「なら、こいつは用済みだな。とっとと始末するか」
始末するために、男は懐から拳銃をとり出し、弾をこめて一夏に狙いを定めた。しかし、一夏は殺される恐怖よりも、信じていた姉から裏切られた事にショックを受けていたのだ。
(何で……何でだよ!家族は何があっても守るって言ったじゃないか!!それは俺を引き留めておくための嘘だったのか!!千冬姉!!!…………何で、何で何で何で何でだ!!)
今までに、千冬が一夏にかけてきた言葉が頭のなかを駆け巡った。その時は嬉しかった言葉も、自分を励ましてくれた言葉も、自分に向けてくれた笑顔も、裏切られた事で全てが嘘になり、燃え尽きていった。そのまま、一夏の意識は闇の中へと堕ちていく。
「気絶した?」
「よっぽどショックだったのかね?助けに来てもらえなかった事が」
「別に良いでしょ。うるさい悲鳴を聞かずに済むんだから。さっさと殺っちゃって」
「ハイハイ。……恨むんなら、この世界を恨めよ」
引き金に指をかけ、撃とうとしたとき、別の銃声が倉庫内に響き渡り、男の持っていた拳銃をはじいた。
「ッ!?誰だ!」
銃声のした方向には、黒いロングコートを着た1人の男がこちらに近付いてくる。他の2人も拳銃をとり出し、女はISを展開し男の方を見据える。男は誘拐犯達の所まで来ると、着けていたサングラスを投げ捨て、手帳の様な物を見せた。
「SPD!?何故こんなところに!?」
「貴様らには、国際条約で禁止されている兵器、危険ドラッグの製造と密輸、不当な人身売買に誘拐と大量殺人、死体遺棄の罪で既にデリートの許可が出ている。ここで殺されたくなかったら大人しく捕まってくれないか?」
要約すると、死にたくなかったら捕まれ。だ。しかし、当の本人達は捕まる気など毛頭無い。
「あんた、バカでしょう。こっちにはISがあるのよ。1人で勝てると思ってるの?」
「はぁ……、手荒な真似はしたくなかったが、仕方無い」
「ゴチャゴチャうるせぇんだよ!!」
「ハァ!デェリャ!!」
誘拐犯達は相手を殺そうと銃弾を飛ばしたが、取り出した刀で銃弾を落とされた。
「エマージェンシー!デカマスター!」
その言葉とともに、男の体に光が集まり、体を覆った。
「ディーソードベガ!」
手にした刀の柄の部分にあるボタンを押すと、石化していた刀身が光だし石化が解かれていった。
「な!?デカマスター!?」
「タァ!!」
ディーソードベガを振り、あっという間にその場を制圧してしまう。そしてマスターライセンスを開き、誘拐犯のデリート完了を伝えた。
『ご苦労だった。指定のポイントに輸送機が待機している。そちらに向かえ』
「ロジャー。織斑一夏を保護及び違法に使用されたISの回収後、そちらに向かいます」
気絶している一夏の拘束を取り、肩に担ぐと、先程誘拐犯が着けていたテレビの内容が耳に入ってきた。
『織斑千冬選手、2連覇の快挙おめでとうございます!今のこの気持ちを誰に伝えたいですか?』
『そうですね。弟“達”2人に伝えたいです』
「フン」
その言葉を聞くと、すぐにディーソードベガでテレビを真っ二つに斬る。
「お前に、一夏を弟と呼ぶ資格は無い……!」
仮面で表情までは分からないが、その声には確かな怒りや憎しみと言うものが混じっていた。一夏を助けずにもう1人の弟だけを助け出し、事実上捨てたにも関わらずまだ姉弟と言う事に強い不快感を覚えたのだろう。
「急いでくれ!すぐにメディカルセンターに向かうぞ!」
「ロジャー。ただちに離陸します」
場所は戻ってさっきの倉庫。誘拐犯が殺され一夏が救出されてから1時間して、ISを纏った女が血相を変えて倉庫内を走り回っていた。
「一夏!!何処だ!!一夏!!!」
先程までテレビに出ていた千冬が、今になって来たようだ。
「一夏ァァァ!!!!!!」
弟だった人の名前を叫ぶが、それは虚しく誰もいない倉庫の中で木霊するだけだった。
一夏がSPDに保護されてから3日目、あれから彼はまだ目を覚ましていない。
「本当に異常は無いんですよね?もう3日ですよ」
「何度も精密検査をしましたが異常は見つかりませんでした。心配はいらないと思います。」
「そうですか。目を覚ましたら呼んでください」
「分かりました」
ここはSPD日本支部のメディカルセンター。ドイツで誘拐された一夏は、SPDの手によって救出されここまで運ばれた。しかし、依然として目覚める気配はない。
そしてコマンドルームでは、一夏を助けた男、
「はぁ、これは酷いな。」
見ていたのはとあるサイトの掲示板である。そこには、一夏死亡を喜ぶ内容の物が書かれていた。
・これで織斑家の汚点が消えた!
・あの出来損ないが消えてからはなんとも清々しい日々を送れているよ。死んでくれて感謝だな(笑)
・死んで喜ばれるとか(笑)
・生きてる内は価値が無いってことだなwww
・これで千冬様の悩みの種が1つ消えたは!
・死んで喜ばれるとか(笑)可哀想なヤツだな(笑)
・これで世界が1つ清浄化した!!
「この世界は一体どこまでアイツを追い詰めるつもりだ!……サイバー科、聞こえるか?今から送るサイトをただちに削除してくれ。後、似たようなサイトがあったら見つけ次第削除しろ。名誉毀損で逮捕可能な者は全員捕まえてくれ」
『ロジャー』
「はぁ……」
本日何度目か分からないな再び溜め息をつくと、1つの通信が入ってきた。
『司、応答しろ』
「長官!どうしました?」
『お前の保護した少年はどうだ?』
「未だ目を覚ましていません」
『そうか。では彼が目を覚ましたらどうするつもりだ?』
「なるべく本人の意見を尊重させたいと思います。ですが、彼にはここで働いて貰いたいと思っています」
『そうか。実は保護した織斑一夏少年についてなんだが、この件はお前に一任しようと思う。頼めるか?』
「ロジャー!ですが、1つお願いがあります。彼がここで働きたいと言った際に、新しい戸籍を用意してもらえませんか?」
『分かった。多少時間はかかるかも知れんが、何とかしてみよう』
「ありがとうございます!では」
通信を切り、椅子に座ると色々と済んでいない書類の整理を始めた。
「日本支部のボスも大変なんだね。」
すると、1人の女性がコマンドルームに入ってきた。
「束か。どうした」
「特に用はないは。いっくんを助けてからと言うもの、仕事ばっかりだったじゃん。体壊してないかな~と思ってね」
「お前に人を気遣う心があるとはな。それに、アイツは俺の親友だ。助けない訳には行かない」
「そう」
そんな会話をしていると、マスターライセンスにメディカルセンターから通信が入ってきた。
「どうした?」
「織斑一夏くんが目覚めました。すぐこちらに来てください」
「分かった」
「どうしたの?」
「一夏が目覚めた。少し席を外す」
書類をしまい慌ててコマンドルームから出ていき、足早に一夏の病室に向かっていく。
「一夏!!」
「司さん……!ここは何処なんですか?」
「ここはSPDのメディカルセンターだ。ドイツでお前を助けた後、ここに運び込んだ。お前は、自分の身に何があったか覚えているか?」
「えぇ。覚えてますよ。捨てられたんですよね……俺。さっきここに居た医者から大体の事は聞きました」
2人の間に重い空気が漂うが、一夏は諦めがついた顔をしている。それに何処か悲しそうだ。
「一夏、これからのお前の事なんだが……SPDの、俺の仲間として働かないか?」
「え?」
全くの予想外の言葉に、鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしている。
「勿論お前の意見は出来る限りの尊重するし、ここで働く以外にも選択肢はある。すぐにとは言わん。気持ちが固まったらこれを着てコマンドルームに来てくれ。」
そう言って、一夏にスウェットを渡した。司は近くに居た職員に一夏の気持ちが固まったらコマンドルームに案内するように頼み、病室から出ていく。コマンドルームに戻ると、束から一夏について質問を受けた。
「いっくんの様子、どうだった?」
「体には異常は無いが、現実を少し受け入れられていない様だ」
「だよね。ねぇ、いっくんはここで働くの?デカレンジャーとして」
「それを決めるのはアイツ自信だ。俺が決める事じゃない。まぁ、ここで働きたいと言った場合は新しい戸籍を用意してやるつもりだがな」
「そんなこと私に頼めば良いじゃん。すぐに用意できるよ?」
「お前がやってるのは偽造だろ。こっちは新しいの申請してるんだ」
犯罪行為に簡単に手を染めようとする束に呆れながら返事を返した。
メディカルセンターの病室では、一夏は今までの自分を振り返っていた。文武両道が服着て歩いたような天才が身内には2人も居る。でも一夏は違った。どんなに努力しても2人には届かなかった。そのため、周りからは織斑家の汚点と言われたり、心無い悪意に心身共に傷つけられた。弟に虐められ傷つけられ様とも努力をした。いずれ、周りが自分を受け入れてくれると信じて。姉である千冬も一夏に励ましの声をかけた。応援してくれた。数少ない親友も手を貸してくれた。努力をしている姿を司に認められ、自信がついた。だが、それに比例するように、弟とその取り巻き達の虐めはどんどん酷くなっていった。それに加えて今回の一件だ。身内には全てを裏切られた。全てが嘘だと分かった。
「もう、あっちには俺の居場所は無いか」
意思が固まったのか、司に渡された服を着てコマンドルームへと案内して貰う。
「司さん。ここで働かせて下さい!」
「そうか。分かった!だがSPDに入るに当たっていくつか試験がある。まぁお前なら大丈夫だろう」
「いっくん!頑張ってね!!」
「束さん!?……はい!!」
「一夏、ここでの返事はロジャーだ」
「ロジャー!」
「よし、試験頑張ってこいよ」
SPDの入隊試験。特例と言うことで3日後に行われた。これに一夏は参加している。結果は即日発表で試験終了2時間後に発表された。
プロローグは1つにまとめました。今思えば2つも要りませんからね。
タグはいつも通り後々追加していきます。前作読んでる人なら分かりますが、タグでネタバレは嫌ですので。