黒歌が可愛くてつい始めた話。   作:楯樰

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出会う日

 兵藤と俺。

 俺達二人学年は違えど同じ新人悪魔としてビラ配りから始まり、現在契約を取る段階までに至った。

 しかし兵藤の契約取りは難航していた。

 

 まず魔力がすこぶる無い。

 どれくらいなのかと言えば赤子以下。

 それはグレモリー眷属一魔力の扱いに長けている朱乃さんからのお墨付きだ。

 

 おまけに召喚者と意気投合して契約を取ってくるのを忘れる始末。

 ただ、評価は最高値だったので部長さんは頭を悩ましていた。

 

 俺に関しては大した問題も無く契約を取る事ができていたが……あまり馴れるようなものではなかった。

 この辺が人間と悪魔の価値観の違いだろう。

 ……とはいえそれが上級悪魔になる一番の近道なので早々に馴れるしかない。

 

 そんな兵藤の成績不良が続く此処数日。

 やけに気合いの入った兵藤が自転車で走り出し依頼主の元へ向かって数十分後。

 

「――……イッセーの反応が……消えた?」

「……悪魔が死神の真似事? そもそも出版社違いじゃ……」

「何を言ってるのリクトは! それよりもイッセーに何か起こったんだわ……皆、行くわよ!」

 

 部長が席から立ち上がり、転移の魔法陣を展開してその中に皆を呼ぶ。

 

「あ、俺行っても邪魔になりそうなのでお菓子作って待ってますね」

『……ハァ……』

 

 視線が痛かった。

 

 -------------------------

 

 パクリと一口。

 私は出来上がった一口サイズのマドレーヌをリクトの横で頬張る。

 ……美味しいにゃー。

 にゃー。

 

 ……中に入ってるお酒でちょっと酔いそうかも。

 私ってば、いま猫モードだし。

 ちょっと酔っ払ってきたら仙術使おう。

 人型に戻りたいけど我慢にゃー。

 

「それで兵藤はそのシスターを助けたかったと」

「……はい」

 

 ……リクトが『聖母の微笑み』で帰ってきたエロガキの受けた傷を治して一時間後。

 他のオカルト研究部の面々は先に自宅に帰って、落ち込む今代の赤龍帝とリクトが部室の中に残っていた。

 グレモリー曰く、『一緒に行かなかったんだからちょっとは年長者らしいことして上げなさい』だそうだ。……つまり彼を慰めろと。

 とりあえず話を聞くに、なんでも依頼者の元に行った先で依頼者がはぐれの悪魔祓い(エクソシスト)に殺され、逆十字に磔にされていたのだとか。

 おまけに最近知り合ったシスター(美少女)がその場にいて、悪魔である事がバレたとか。

 

 グロ耐性もついて無かったろうし……変態とはいえちょっと同情したくなったのにゃー。

 

 …………あ、やばい。酔っ払いそう。

 マドレーヌ侮りがたいにゃー。

 ちょっと仙術使ってアルコールの処理を早くする。

 これで一安心。

 ……よし、もう一つ貰っちゃおう。

 

「確か堕天使……夕麻ちゃんだったっけ? ……騙されて殺されて悪魔になったんだよな、最初は」

 

 シスター助けたかった事と関係無い気がするけど……きっとなにか考えてるんだろう。

 私じゃリクトの考えてることは及ばないにゃいし。

 

「……そうです……あの、それがなんだっていうんですか? 出来れば触れて欲しく無い話なんですけど……」

「いや、なんで殺されたんだ兵藤? お前が持つのは極平凡な神器『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』だったんだろ?」

「…………そうですけど」

「それでお前は部長に悪魔に一度転生させて貰った……全部で八個の『兵士』の駒で。……これっておかしくない?」

「何が……っ?!」

 

 リクトが立ち上がって二天龍の神滅具を出してた。

 あぁ、なるほど……自覚させるのか。

 これでまた混乱を生む事になるだろうにゃー。

 ……結構リクトって周りを混乱させるのが好きな気がする。

 

「俺と兵藤ってさ同じ兵士の価値だった訳だろ? ……俺は神滅具と呼ばれるユニークを最低でも二つ。お前は極平凡なノーマルな神器を一つ。……(ノットイコール)だとおかしく無いか?」

「……どういうことですか? 俺には……まだ神器があるって事ですか?」

「それはありえるかもしれない……けど本当(・・)に神器は『龍の手』なのかねぇ……」

「――じゃあ俺の神器は一体……」

「左手だして」

「え、はい……」

 

 リクトは『翼』を仕舞い『篭手』を残して、彼の神器の出現する左手に触れた。

 びっくりするだろうなー…神器の形変わるみたいだしー。

 

「ドライグ、起きろ」

「へ?」

 

 リクトが『ずらした』のか、兵藤の左手には篭手が現れてた。

 

《起こしてくれたのは感謝しよう――……だが何者だ貴様ッ!何故俺とアイツ(・・・・・)がお前の中にいるッ!》

「どーもー。赤龍帝と白龍皇やってます奴良陸人でーす。――貴方とは(・・・・)初めましてだな、二天龍のドライグさん」

「……なんで先輩と同じ神滅具が俺に……そもそも一つだけじゃ……――つか喋った?!」

 

 私も聞いた時はビックリした。

 ……けどこの程度で驚いてたら驚き足りなくなるからね、リクトは。

 

 二人と一匹。

 夜も遅い時間帯。

 私達以外誰もいないオカルト研究部の室内は混沌としていた。

 

 

「――おっふろ♪ おっふろ……? やぁああああ! だ、誰ですかぁあああ??!!」

 

 訂正。

 もう一名、吸血鬼らしき少年も入ってきた。

 この『氣』は少女じゃない……よね?

 男の子、よね?

 ……??

 

 

 

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