黒歌となんとも言え無い空気になり、とりあえず彼女は黒猫に戻り部長たちの元に帰る事にした。
俺と同じく、彼女も少し気落ちしてる。
解決出来るのならば早くしたい。俺も黒歌も皆の所に帰りながらそう思ってた。
だが今はまずライザーに勝つ事を優先しつつ、小猫ちゃんの強化が最優先だ。
しかし当の本人は未だに仙術を使う決心が付いていない。
気持ちは分かるが彼女もまた、必ず何時か力が無い事を悔いる。
それこそイッセーがアーシアの時に感じたように。
やはり必要になった時では遅いのだ。
……というわけで。
何時までも気落ちしてはいられないので、まずはイッセーついて取りかかろうと思う。
木場は、流石に直ぐ知識を深めれるわけでは無いようで自分の部屋から出てこない。
まぁ、二時間も経っていないから当然だろう。
ちょっと部屋から出てきた時の事がコワイ。
エクスカリバーに対する憎しみだとか、変に増幅させていない事を祈るばかりだ。
黒歌を与えられた部屋に戻してから、イッセーが筋トレする所に着く。
……イッセーを見ていた朱乃さんが話しかけてきた。
「あら、奴良君。祐斗君と小猫ちゃんはどうしましたの?」
「少しばかり話しをしてました……まぁ、何かあったら俺が責任持ちます。……で、イッセーどうですか?」
朱乃さんに答えて、イッセーの様子を見る部長に聞く。
「頑張ってるわよ。……顔がずっとだらしないけど」
見れば背中に天野とアーシアを乗せて腕立てをしていた。
……スケベな顔してやがるね、ホントに。
「アイツらしいというか何というか……。じゃ、そろそろアイツ借りて行きたいと思うんですが……」
言いかけてふと思った。
部長と朱乃さんの訓練はどうしようかと。
少し考えて思いついた。
「でもまずは部長と朱乃さんに聞きたい事が。全員の中で魔力量が一番多いのは誰だと思いますか?」
「――まさか」
「……その通り。恐らく俺が一番多いです。……魔力の質でいえば部長が一番ですけど……それくらいなら魔力の量が多ければ再現出来ます。見ますか?」
本当に出来る。
それは『ずらす程度の能力』は使わない。
俺の超圧縮された魔力に触れれば全てが消し飛ばされる。
単純に攻撃力のカウントストップしたようなものだ。
「……しなくても結構よ。どれだけの規模なのか分からないし……それにアナタがこんな時に嘘を言うヒトでは無いって事は分かってるから。……それで、リクトは何が言いたいの?」
「魔力を鍛えましょう。折角修行に来てるんですから、部長たちも修行しないと損ですよ?」
「……。ええ、そうですわね……で、具体的にはどうしたらいいのかしら?」
朱乃さんも部長もこちらをじっと見て来ていた。
美人二人に見つめられると俺でも表情に出そうだ。
「体を鍛えるのも有りと言えば有りなんですが、魔力を直接鍛えましょう。……今からある道具を二人に使います。いいですか?」
「……その道具はどういうものか聞かせてくれるかしら。……危険なものじゃないわよね?」
「まぁ単純に、使えば少しづつ体力だとか精神力だとかを消費していくもので……ちょっとした負荷を掛ける道具ですね。命の危険になるまでには至りません。ちゃんと自分で外せますし」
言い切って二人の様子を見る。
まぁ、すぐに返事をするにはちょっと無理のある話だ。
それも提案しているのが、毎度の如く色々やらかしている俺だ。
また何かおかしな事をやらかすんじゃないか、と思うのが普通である。
……此処まで自分に信用がないっていうのもちょっと悲しい話だけど。
黙り込んだ二人に確認のため、聞く。
「どうでしょう?」
「…………いいわ。朱乃もそれでいいわよね?」
「えぇ、私も陸人さんを信じますわ」
俺は返事を聞き、取り出していた道具を二人の手首に付ける。
ブレスレットだ。余り重くも無い。
「なんだか力が抜けていく感じね……」
「これはこれは……」
……ただ、倦怠感は着々と溜まっていく。
「えっと、今日から数日間付けててください。段々と体を動かすのが億劫になってくはずです。……ただ、寝る前は必ず外して寝てください。翌日死にたくなるくらいの疲れがありますから」
「それは……気を付けるわね」
「数日間続けて、次のステップに進みますのでそれまで普通に過ごしてくれれば……出来ればですけど」
本当に、一日目はまだ良い。
二日目からがもう死ぬってレベルで疲れる。
それこそ身体が動けないくらいに。
「……でも、そんなに辛いのですか?」
「辛いなんてもんじゃ無いです。ゴールの無いマラソンを延々と続けるって言ったらどうですか?」
「……なんか私、自信無くなってきた。でもコレも勝つためよね?」
「えぇ、勝つためです。じゃ、俺はイッセーを見ますので、アーシアさんと天野の魔力の指導をして上げてください」
「え……魔力が使えるの、あの子?」
「そう設定しましたから。……才能の点ではオカ研の中でも結構上なんじゃ無いですかね?」
いや、うん。
今の『天野』を形作る時にどの程度自分が出来るか、知りたかったってのもあるけどあれほどまで弄れるとは……早速『ずらす程度』から外れてる。
……まぁ『ずらす程度の能力』は『本当の能力』の一部分だけらしいけど。
最近自分が怖いです。
ハァ、と眉間を押さえる部長を置いて、タイヤにアーシアと天野を乗せて引っ張って走るイッセーの方に向かった。
-------------------------
イッセーを引き連れてやってきたのは、皆のいる所から遥か遠くの何処か。
アーシアと天野が着いてこようとしたが部長たちに任せた。
彼女等は部長たちの元で魔力の扱いについて学んでもらうつもりだ。
――天野は今まで使って来たのが光の力なためコツを掴むのはイッセーより早いと思うが。
早速俺はイッセーに問う。
「『禁手』ですか。確か前にアーシアを助けに行った時……」
「そう、バランスブレイク。俺が鎧になってたあれだな。あんな感じにイッセーもなるから。つーか成らせる」
『……ホントにあれには驚いた……アレがありえた可能性か。……"覇"も超えるような力強さを感じたぞ』
「ドライグ、一体何言ってんだ?」
「イッセーはまだ知らなくてもいいこと。……ちなみに『覇』じゃないからな、アレ」
『ま、いいさ。今代の俺の相棒にはまだ関係の無い事だからな……』
ひとしきり向こうのドライグと話して兵藤に向き合う。
……しょぼくれてた。
「元気出せって。お前もいつか分かる日が来るから。……じゃ、早速。――禁手化」
成るのは『赤龍帝』。
赤いそのフォルムはイッセーがコレからなるであろうそれと何も変わらない。
「なんですか、それ!? 前になってたのと全然違う……ていうかなんか厨ニっすね」
「厨ニだけど厨ニ言うな。コレがイッセーがこれから成るべき姿……俺のアレは白龍皇と赤龍帝の禁手二つ合わせた姿で違うだけだから、翼が無い事を泣くなよ!」
『厨ニって何時も思うが酷くないか、相棒。というか、お前のせいだぞ赤白』
酷く無いですー。
「だって、残留思念とか全員厨二病だったぞ、アレ。力に溺れたっていっても……厨二病こじらせただけじゃねーか」
『くっ……ソッチのオレ。……そうなのか?』
『……イエス』
『チクショウ! 世の中残酷だァ!』
「駄目だ、何言ってんのかわかんねぇ……」
未来のおっぱいドラゴンが嘆いてる。
あと、話に着いていけないイッセーが悔しがってた。
「……イッセーは馬鹿だなぁ」
「止めてください、その目っ!」
コホン。
「……じゃ、まずは――」
「まずは?」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
倍化を6回。
手には計64倍のイッセーの持つ十倍の魔力。
『――相棒よ……逃げろ』
「へ?」
イッセーの足元に一発。
魔力のレーザーを放った。
「――一回死んでみようか」
空いた穴から立ち昇る煙――そして地面が
揉みくちゃになりながら吹き飛ばされるイッセー。
遠く先の地面に変な音をたてて落ちる。
「い、いきなりなにするんすか!」
『相棒。禁手と言うのはだな、本来持ち主がある領域に達し、劇的な変化が起きないとなれないのだ。しかしお前はその領域にも達して無い――つまり奴はお前をその領域まで鍛えるつもりで、尚且つ殺す気でくるぞ。――恐らく、一度死んだ程度生き返らせれるのだろうさ……』
「なんだよソレ! 聞いて無いですよ先輩っ!」
あのドライグが説明してくれた通り。
「本気で殺しに掛かるからな。俺からの攻撃は当たれば即死だ。制限時間はお前の体感時間で12時間。生き返らせるのは面倒だから……死んでくれるなよっ?」
「うわっ……!」
もう一発。
足元に先ほどと同じ一撃。
「……もしお前が本当に部長を救いたいのなら――生き残れ、兵藤一誠ッ! お前はきっと強くなる! 心で言えば俺よりも……。死ぬ気で逃げろよッ! でないと死ぬぞッッ!!」
「ぐッ……あぁあああああっ!」
そしてイッセーは駆け出した。
俺に見つからないようするため、木々の中に。
俺はそんなイッセーに見付けるため『白龍皇の光翼』を出し空へと舞った。
次はお前が誰かを救えるよう……鍛えてやる。
原作ブレイクでもいい。
……だけど多少なりともお前が好きな人の事を守れるように。
――誰よりも、俺よりも"強い"リアス・グレモリーの兵士になるために――。
天野さん実は潜在能力的に結構強かったり。
人外だもの。仕方無いよね。
主人公は結構義理と人情に厚い奴。
かつ、かなりの演技派。
黒歌とのイチャイチャ書きたい。