※訳:甘いので注意。
今日は結婚式の後日である。
会場に乱入してきた転生悪魔の兵藤一誠。
彼は来て早々、我等が部長を返して欲しいと申し立てた。
希望通りライザーと戦う場が作られ、そこで禁手へと至り、10分という長い時間でもってライザーフェニックスに打ち勝った。
……だけど代償として、禁手へ至る発破剤に片腕をドラゴンへと変質させた。
まぁ、それは良いとして
それから二人して人間界まで逃避行。
最中俺は笑顔のこわーい朱乃さんに助けなかった理由を説明していた。
……納得してくれて何よりだった。
で、その後部室に戻り、木場と小猫ちゃんは覚悟していたけど、イッセー以外への短いお説教。
慢心していた事も含め、勝ちに拘るのだったら、俺の主として俺も積極的に登用するべきだったことを話した。
一応、部長も渋々納得して今回の敗北を糧にするそうだ。
ちなみに、具体的な怒った内容は「自分の力を発揮したいからといって俺を除け者にしやがって」と概略だけ聞けば自分勝手だと思われるようなこと。
それをさも認めさせるようにごまかしつつ言ったのだが……まぁ、俺がヒーローの如く颯爽と現れてしまったらきっとリアスさんから好意を寄せられる可能性が大きかったから助けなかった事に関しては許して欲しい。
確実にイッセーが部長を救えるようにしてやったのだからそのくらい、ね?
……明日行って駄目って言ったら俺がずらしてやる。
「それにしてもリクトは意地が悪いにゃん。助けてあげれば良かったのに……」
「わかってるよ。でもまぁ、これでリアスさんの興味はイッセーに向けられる。……俺が万事解決! なんてしちゃったら俺はどれだけ女を侍らす事になるやら」
「……リクトはハーレムに興味ないの?」
「んー……俺はこの世で一人にしか興味ないからなぁ……。あ、でももう一人居るんだったらソレはソレで……」
「――っ! もうっ!」
黒歌が腕を叩いてくる。
「痛っ!」
「……痛く無いくせに」
で、俺は黒歌とデートなわけだ。
例の白音ちゃんの仙術を使えるようにする事の報酬。
まぁ、でもデートといってもデパートだとかにちょっとお出かけする程度である。
そして現在いるのは駒王市の某大型量販店。
ちょっと調味料が無くなっていたのでそれの買い足しだ。
なんで態々隣町まで来ているかと言うと、自宅の周辺に品揃えの良い所が無いのだ。
まぁ、コンビニが近くにあるのが有り難いところである。
……と、まぁそんなわけで。
「買うもの買ったし……次は何処に行きますか、黒歌さん」
「はぁ……陸人くんはヘタレだからにゃー――言っても行けないでしょ?」
「ぐ……ソレ以外でお願いします……」
「にゃはははっ――リクトってばナニ想像したのかなー?」
「くそぅ……」
妹との事も解決し自分の気持ちに素直になった黒歌。
ちょっと思う所はあるけれど多分彼女も、それから俺も。
今は嬉しい思いで一杯だと思う。
……そうであって欲しい。
「ごめん、イジワルだったにゃん……リクトはむっつりだからねー」
「へっ、どうせ俺はむっつり助平ですよーだ」
「いじけちゃった。もー、ごめんってばー……許して欲しいにゃん?」
「……上目遣いは反則……ぐはっ」
「ふふっ……大げさだにゃー」
笑ってくれて、自分も笑って。
初々しいそんな関係でもいいかな、と思う俺はやっぱり意気地なしだろう。
――意気地なし。
あぁ、だから……俺は黒歌の事が解決しても直ぐには深い仲になれないと思う。
『猫は気分屋だからでもその心も行動も、もしかしたら一過性のものかもしれない』と、どうしても思ってしまっているから。
何故信じられないのだろう。馬鹿だ。本当に自分は馬鹿だ。
……あぁ、そう思う理由は判っている。
――"所詮『愛し合ってる』なんてものはエゴの押し付け合いに過ぎない"って考えが何処かにあるから。
……頭を振ってマイナス思考を振り払う。
止めだやめ。考えても仕方が無い。
並んで歩いていた黒歌が、ふと横から消える。
「リクト」
「うん? なに?」
片手が塞がった俺の服を握る愛しい彼女。
「私も待つから。我侭な猫だけど……我が侭なりに私も待つからね?」
「……ん、頑張る」
「あ、でも遅すぎたら悲しいよ? やっぱり早く解決して欲しいナーって」
「…………何処かで聞いた事があるような、無いような」
「ふふっ……さて、誰が言ったでしょーか?」
くすくす笑う黒い猫又の悪魔。
握っていた服から手を離し、腕に抱き着いてくる。
可愛くて、愛しくて。
ついこちらも頬が緩んでしまう。
きっと自分には勿体無い、今日一日は恋人である彼女。
自分の中の悩みや不安――そうした『どろり』としたものが燃えて消えていく。
こんな風に彼女が笑えるようになったのなら、今まで間違ったことはしてないのだな、と純粋に思えて。
「黒歌」
「ん、なにかにゃん?」
「……俺は黒歌の事好きだから。だから――」
この気持ちを伝えたくなった。
一緒にいて欲しい。そばにいて欲しい。
例え世界が認めなくても、俺は黒歌の事が好きだと。
例え世界が敵に回ろうとも、俺は黒歌を守ると。
そんな痛い子みたいな、きっと正常な思考だと言えそうに無い言葉がつらつらと口からでる。
「……っぅ」
……彼女の白い肌が真っ赤になっていた。
急にこんな事言って悪いとは思うけど、どうしても今伝えたかった。
好きなヒトを信じられない醜い心が隠れているこの時に。
やっちまった、と思って彼女の顔を見るともじもじと、言葉に詰まっていたようだった。
……本当に可愛いくて少し理性が外れかけた。
「あ、うぇ……っと。――……うん、ありがと。私もリクトとずっと一緒にいたい……にゃ」
「あー、えっと……一旦荷物置きに帰りますか」
「……うん……にゃぁ」
変な空気になったのを誤魔化すため。
しおらしくも、頬を緩ませる彼女の手を引いて俺は自宅の玄関へと『ずれて』戻る。
「……ちょっとお水飲んでくるね」
「うん……」
少し一息つき、自宅付近のファミレスで昼食を取ろうと決めて外に出る。
「……デートですか、二人とも」
「白音ちゃん?」
「あ、え、白音!?」
と外には黒歌の妹の白音ちゃんが。
……『ずらして』玄関に直接入ったから気づかなかった。
「……。酷いです……インターフォン押したのに誰もでないし。ずっと待って……――あ、ごめんなさい。そういうことですか」
一人で納得し、悲しそうだった顔からポンと手を叩いて一変。
「――さっきまでお楽しみでしたね」
「ち、ちが!」「ちがうにゃああっ!」
にやにやと笑う白猫はチェシャ猫のようだった。
……お楽しみだったけどソレ違うから!
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「――……で、どうして家の前に?」
とりあえずデートは一旦中止。
白音ちゃんを家に上げ、俺はさくっと昼飯を三人分作ってそれで済ませる事にした。
「頂きます。……えっと、今日から先輩の家にお世話になろうかな、と。リアスお姉さまに相談して住所を教えてもらいました。……止めて下さい姉さま、鬱陶しいです」
「だって白音、今日からウチに泊まるんでしょ? 私、シロネニウムが枯渇してたんだもん。ちょっと我慢して欲しいにゃん♪」
「シロネニウムって……」
よく分からない物質である。
多分口で説明されてもわからないと思う。
……あ、俺で言う黒歌成分のことか。よし納得。
後で俺も補給させて貰おう。……ぐへへ。
「じゃ、黒歌と同じ部屋で良いか。……というか父さんと母さんに知らせないと」
「白音と一緒の部屋かぁ……久しぶりだにゃぁ……」
うにゃぁ、と嬉しそうに笑う黒歌さん。
仲直りして貰って本当に良かったと思う。……って別に何か有ったってだけだよなー……。
べ、別に仲直したなんて聞いて無いしー。
…………はぁ、なんだって自分に誤魔化してるんだろ。
「……いいんですか?」
「……ん? 良いって。気にしない気にしない。……黒歌の妹が家に住むって言えば一発だから」
「えっと……何も隠してないような……」
あぁ、そうだった。
「あー、まぁ色々あるんだよ。色々」
「まさかバレるとは思わなかったけどねー……」
「?? ……一体……?」
首を
まぁ、当たり前といえば当たり前だ。
「白音ちゃん」
「っ! ……何ですか」
「……部の皆には内緒にしておいて欲しいんだけど……」
真剣な顔をして見つめてくる黒歌の妹、白音。
「――俺って"人外"らしいんだ。生まれた時から、悪魔になる前から……ずっと前から」
「え」
うんうん、と頷く黒歌は知っている俺の秘密。
そして両親も知っている事実。
"妖怪"。
原初はヒトの
ただ、それとは違い俺は人の子から生まれた"人外"。
百鬼夜行の主、「妖怪:ぬらりひょん」とよく似た存在。
『ずらす程度の能力』だなんてモノを生まれつきもった転生者。
「ずらすが自分の起源」だなんて言ってた厨二野郎。
――……その実態は『ずらす程度』ではなかった。
己が正体を知ったのは高校二年の時。
……修学旅行の時季、紅葉の綺麗な秋の事である。
主人公に呪詛吐きながら書いてました。
主人公爆発しろ。
次回から間章に入ります。
……お察しの方はいるかもしれませんが間章は『ぬらりひょんの孫』ベースの話になります。正直HSDD要素が多分皆無です。あとかなり「ぬら孫」が原作から外れています。死んでた人が死んでなかったり。いる人が居なかったり。
最後に、間章最終話にまとめ的な話を用意しようと思うので「そんな無駄話読みたくない!」という、苦手に思う方はそちらを読んで三巻に入っていただけたらと思います。
ではでは。