黒歌が可愛くてつい始めた話。   作:楯樰

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なんだか出来に自信が無い。
誤字脱字が多いかもしれません。


宴をする日

 氷麗さん(お婆ちゃんだなんて呼べるわけない)が、台所に戻って行った。

 そして『どうよ』と胸を張る母さんに連れて行かれる場所は大広間らしく、そこで会って欲しい人が居るんだそうだ。

 行く途中母さんが、黒とかいうイケメンな妖怪と、青っていう強面の妖怪と再会を喜んだり、色気むんむんの髪の長い女の人とハグしたりとテンション高かった。

 妖怪屋敷らしいけど、なるほど母さんの実家だな、と納得できたけど。

 ……ただ、妖怪とすれ違う度に、お嬢! お嬢だぁ! と呼ばれているのにはちょっと恐くなった。

 だってノリが完璧にカタギじゃないもん。

 どういうことなの、と思いつつ何時の間にか着いていた大広間に、母さんと俺、黒歌に父さんの順に入る。

 

「おお、これが俺の曾孫かぁー……うんうん。中々良い男じゃないかね、父さん」

「そうじゃのー……となると儂は高祖父になるわけか。……いやぁ、長生きはするもんじゃのぅ!」

「…………え?」

 

 入ってすぐ、ポンと両肩に手を置かれジロジロと横からをみてくるイカした男が二人。

 後ろに髪の長い、上下で黒と白の髪をした男。

 そしてよく似た、同じく後方に髪の長い、濡れ烏色の癖っ毛のある男。

 もしやもしや、いやいやまさか、と。

 でも確認して見ない事には……うん。多分本当の事なんだろうけどさ。

 

「あの……」

 

 聞く前に二人の頭がガコンと前に傾く。

 ふらりと横から姿が消えた。

 ……うぅん?

 

「あいた」「……ってぇなぁ、雪麗(せつら)さん」

「いい加減にしなさいよ、この年齢詐欺どもが! もう、困ってるじゃないの! ……ごめんね、ウチの大うつけとクソガキが」

「あぁ、いえ……」

 

 誰この人、と思ったけどどうやらあの、お婆ちゃんしてないお婆ちゃんによく似ている。

 ……気の強そうな所を見ると娘さん、と言うわけでも無さそうだ。

 

「氷麗さんの……」

「母親よ。……曾お婆ちゃんになるけど――言ったら凍らすから。雪麗さんって呼びなさい」

「はい」

 

 なんだか体感温度で二、三度程気温が下がった気がする。

 ……絶対言わないようにしよう。うん。

 

 怒られた事を特に気にしてなさそうな風の白と黒の髪の高祖父と名乗る男。

 その隣に雪麗さんが座り、一番上の上座に自分の事を曾孫と言っていた黒髪の男が座った。

 三人の前に対面するよう父さんと母さんが座り、俺と黒歌もそれに続いて座る。

 そして父さんが手を床に付き、頭を下げた。

 

「ご無沙汰しております"奴良組二代目総大将"奴良(ぬら)鯉伴(りはん)殿、並びに"初代総大将"ぬらりひょん殿。……長らく訪れる事が出来ず、申し訳御座いませんでした……」

「鯉伴まかせたぞー」

「おうよ親父。まぁ、色々こちらとしても言いたい事があるが……一応今日来た理由、"裏"の事を伝えるという認識で良いのか?」

「――いえ、それに付いてはどうやら既に知っているようでして。……今日知ったのですが此処に居る猫又、名を黒歌と言いますが彼女から聞いたようです。……例の三勢力の内、悪魔陣営から抜け出た"はぐれ"らしく」

 

 値踏みするように黒歌のことをジロジロと見る黒髪の男。

 ……ちょっと胸の事見すぎやしませんかねぇ、鯉伴さんよ。

 ジトーっと俺が睨むと、すまん、と片手を上げてから瞑目しはじめた。

 しばらくして片目だけ開け、口を開く。

 

「ふーん、なるほどな。……つまりウチの組について話せば良いわけか」

「そうなります。――どうも近々京都に修学旅行に行くようで……京の妖怪に目を付けられても、と思った次第です」

「あー……八坂が居る所か。それなら仕方ないな。ちなみに――変化は出来るのか?」

「いえ素振りすら見せず。……出来る事ならば裏には関わらせたくは無かった……」

 

 変化だ、なんだって……よく分からん話になってきた……。

 ……ただ、父さんが出来るだけ俺に裏について色々と言いたくなかった事は分かった。

 知らなくても良い事を知って一喜一憂するくらいなら初めから知らない方が身の為だから、なのか。

 まぁ、父さんと母さんの気持ちも露知らず、生まれる前から既に知っていたけれど。

 

「まぁ、こうなった以上無理だろうな。……えーっと、陸人だったか。お前、京都に行くのは諦めれるか?」

 

 話を振られた。

 何時かくるだろうとは思ってたけども。

 ちょっと前振りが欲しかったかな……。

 

「えっと。……話によっては行きませんけど……出来る事なら行きたいです。……どんな理由で行っては駄目なんでしょうか。えっと、総大将さま?」

「あー、そんな堅苦しくなくて良いって。お前の父さんは筋を通してるだけだから。……曾爺ちゃんでもクソジジイでも好きな呼び方すれば良いから、な?」

 

 多分女ならクラリといきそうなウィンクで言ってくる。

 ……よし、決まりだ。

 

「じゃあクソジジイで。なんで駄目なん?」

 

 クソジジイ一択で。

 

「え?! いや、確かに良いって言ったけどさ……立花にも言われた事ない……」

「はぁ……陸人、後で謝りなさいね」

「……考えとく」

 

 母さんに諌められる。

 

 なに、ちょっとお返ししただけだ。

 黒歌の事ジロジロ見やがって。

 主に胸。……誰が見て良いって言ったし。

 黒歌がちょっと不快そうな顔をしたのを俺は見逃してなかった。

 知ってるんだからな?

 後ろにあきれ返ったような顔してる、ウチの母さん似の誰かが憑いてるの。

 死んだ奥さんとかじゃないのか、それ。

 

 俺の心境は知らずに、しくしくと泣きが入る曾お爺ちゃん。

 ちなみに母さんの名前は立花(りっか)だったりする。

 雪麗さんが曾爺ちゃんの方を見ながら呆れた声を出す。

 

「ったく、しゃきっとしなさい、しゃきっと!」

「クソジジイって……曾孫に……クソジジイって……アレか、お年玉上げなかったのが悪かったのか……」

 

 ……思った以上にダメージ受けたみたいだった。

 ちょっと悪い事したかもしれん。

 駄目だこりゃ、と雪麗さんが溜め息を吐き、隣に座るこれまた色男である高祖父を小突く。

 

「あぁ、もう……ぬらりひょん、あんたが鯉伴の代わりに説明なさいよ。当分戻せないじゃないの。……若菜が死んで後は乙女しか慰めれる子が居ないのに……あの子も台所だし。……大体アンタが御子のあの子にちょっかい出したからでしょ?」

「珱姫のぅ。……いや、うん、今更じゃし……仕方ないじゃろ?」

「あの九尾の加護があるって知ってて拉致して嫁にしたくせに……良い子だったけども」

「はっはっは! まぁ、若気の至りという奴じゃ。……許せよ雪麗、今こうしてお主と一緒に居るから、な?」

「そ、そんな甘い声だされても納得なんてしてやらないんですからねっ!……もう。……大体なにが若気の至りよ。未だに他所様の家に上がり込んでは飯食って。挙句にその家の爺婆を痴呆扱いさせてる妖怪が言っても言い訳にもならないわよ。大体そんなことされたら誰だって怒るに決まってんでしょうが。どうなのよ、えぇ?」

「や、それは儂の存在意義みたいじゃし。そういう妖怪じゃし? というか八坂の奴もお前もなんというか……女々しいのう」

「そりゃ女ですからね! それともなに、アンタは私の事男だとでも思ってたの? うん? と言う事はアンタ私の事男だと思って抱いてたわけ? へー、ほー」

「いや、それとこれとは関係ないじゃ――」

 

 周囲を放って二人で痴話喧嘩をする雪麗さんと、おそらく曾曾爺さんの"ぬらりひょん"。

 小一時間ほど喧嘩は続き、二人とも手が出そうになった頃合に山吹乙女という鯉伴さんの現奥様が夕食を運びに来て収まった。

 いじける鯉伴の曾爺ちゃんを慰める彼女に、もう一人の亡くなったらしい若菜さんの話を聞くと、曾爺ちゃんに憑いてる彼女は第二夫人であったそうだ。

 なのに第二夫人の子供である、俺の爺ちゃんが三代目らしいからよくわからん。

 なんか深い事情があったのだろうと思うが、まぁ其処は気にしないでおく。

 ……ふと憑いてる母さん似の若菜さんを見たら、目が合ったので気まずかった。

 

 とりあえず話が進まないとの事なので、一番物分りの良い母さんの父さん……つまりお爺ちゃんが話してくれる事となったのだが未だ帰ってきてないらしい。

 何かお爺ちゃんが苦手らしい我が父はその事に安心していた。

 曰く、どうやら母さんとの事で何かあったそうだ。

 ……なにやらかしたのか聞いたが、結局首を振って答えてくれなかった。

 

 ちなみに夕飯は天麩羅で、自分の作るソレよりも美味しかったので驚きだった。

 

 -------------------------

 

「なんというか……賑やかだね、妖怪って」

「あぁ。ま、有名どころの妖怪が多い京都の方は格式高いのが多いから余計にな。関東の妖怪は基本的に賑やかなんだよ。火で例えるならあちらが線香の火。関東の妖怪が一瞬の華やかさを楽しむ花火って例えられるくらいだから」

「……なるほど」

 

 夕食の後、母さんの帰りを喜ぶ宴の席も一通り済み、夜も更けた。

 此処からが本領、と言わんばかりに未だに広間からは宴の声が聞こえてくる。

 母さんは未だに喧騒の中で、父さんと俺は先に湯を使わせて貰い、今は縁側で涼を取っている。

 

 ……ちなみに黒歌は、早々にあの色気が凄いお姉さんに酔わされて潰れて先に母さんと同じ部屋で休んでいた。

 流石に俺は遠慮してちょっぴり舐める程度で終わらして後はジュースだ。

 黒歌も妖怪兼悪魔なので一応大丈夫だろうとは思うが、やっぱりちょっと心配である。

 

 そういえば。

 

「あー……父さん、ちなみに俺の人間の血ってどれくらいあるんだっけ」

「うーん、たしか1/4が雪女の血、1/16がぬらりひょん。残り11/16が人間だな、って母さんと話したなぁ……」

「ふーん」

 

 まぁ、分かってはいたけど結構複雑な血筋だ。

 全くもってややこしい。

 それにしても何故、自分は妖怪にならないのだろうか。

 血的には妖怪変化しても可笑しくない、と鯉伴さんは言っていたけど何故……。

 ――母さんの父さん……つまりまだ見ぬ我が祖父奴良リクオも、一日の四分の一……夜の間は妖怪変化が出来ていたのだそうだ。

 ただ、四分の一の妖怪の血が濃いせいか未だに昼間の人間である時間も若々しい姿で、あのお婆ちゃんしてない氷麗さんと並んで、幼妻ではなく幼い夫婦という意味で幼夫婦(ようふうふ)と言われているらしい。

 ちなみに母さん情報だ。

 

「へー、ボクとあんまり変わらないんだね」

「あ……」

「……ん?」

 

 どっこいせ、と父さんとで俺を挟むようにして座る少年。

 背格好からして歳は変わらないように見える。

 その彼を見て父さんは固まっていた。

 

「うんうんなるほど。――……妖怪でも人間でもないね」

「……へ? えっと……」

「あ、ごめん。自己紹介してなかったや」

 

 頭を掻いて苦笑いをする彼の姿はとてもじゃないが。

 ……おそらくそうだろう、そのヒトのイメージとはかけ離れていた。

 いや、信じたくないけどあのお婆ちゃんがそうだったから――そうなのだろう。

 

「……もしかしなくとも……」

「うん、ボクが奴良リクオ。今の所『現奴良組総大将』。"三代目"って事になってる。――お爺ちゃんって呼んでくれると嬉しいなぁ……」

 

 昼間の太陽のように笑うその彼は何処からどう見ても同年代の少年。

 あのお婆ちゃんと言い、貴方と言い。

『お爺ちゃんして下さいよ』と切実に言いたかった。

 あと曾祖父と全然似てないな、と思ったけれどそれも言わないでおく。

 

 ――月には村雲。

 ――紅の葉は舞い散り、辺りを彩る。

 ……(あやかし)の夜はまだ始まったばかりであった。

 

 




※大体の此処でのぬら孫の概要(多分本編で書かないので。書くかもしれませんが)
 長くなるので注意。
 あとぬら孫の原作色々ネタバレしてるので注意。見たい方だけどうぞ。


 信田の狐(原作での羽衣狐)はそのまま討たれる事無く生きており、そろそろ天狐になろうかと言う歳。
 彼のマザコンさんは何度か反魂の術を使っており、裏の京都に住んでるのでぬら孫で言う鵺という名の和製魔王は存在しておりません。仲良く二人して裏京都に住んでます。ちなみに原作京妖怪はそのまま清明さんの元で働いてます。

 清明さんが悪堕ちしていないので、芋づる式に山吹乙女と二代目の間に子供が生まれますが、その方は残念な事に流れてお亡くなりに。……ショックで家を出た乙女さんを追って雪麗さんが其の時追い掛けて、帰ろうにも帰れなくなり昭和後期頃まで二人で生活。(ぬらりひょんと雪麗さんの関係だとか、子供だとか前夫だとかという話は本編で)
 逃げられたショックで同じくその時代まで二代目は組の事を考えつつ、動いていた頃、若菜さんと知り合い結婚。丁度帰ってきた乙女さんとなんやかんやあって、生まれてたリクオが三代目になる事が決定。
 後は概ね平和に時間が過ぎてリクオとつららがケコ―('A`)人('A`)―ン。

 あと、山ン本五郎左衛門は、鵺復活を目的とする御門院が存在していないため魔王化せず悪行の限りを尽くして脂肪……じゃなくて贅沢病で死亡です。特に奴良組に怒りだとか覚えてません。……あ、黒田坊は普通にスカウトされました。

 念のため。
 清い御門院は東京の葵城周辺を根城にして、現代日本を裏から支えてます。
 『日本の未来のために清き一票を』的な事をしてる人も居たり居なかったり。 

 もうなんだか原作が皆無状態ですが、大体こんな感じです。
 ぬら孫の世界観だけでみると平和です。


ではでは。
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