・ぬらりひょんは東(西✕)の妖怪を纏める大将。九尾の八坂と仲が悪い。
・主人公はぬらりひょんの孫……の孫。
・黒歌は一年くらい前に主人公が好きになった。
・なんやかんやあった。
話が終わった頃には既に作っていた昼飯は冷え切っていた。
話すタイミングを間違えたと少し後悔だ。
家にやってきた白音ちゃん。
彼女に俺はオカ研の誰にも言っていない秘密を話したのだ。
「……と、まぁそんな具合で俺は自分の正体を知って、今はリアス・グレモリーの眷属悪魔になってる」
話したのは次の事だけ。
自分は、妖怪でもなく人でもなく、悪魔でも天使でも神や仏でもない "揺らぎ" という概念そのもので、人外だということ。
そして俺は妖怪を総べる主である "ぬらりひょん" ――つまり悪魔勢で言うところの魔王に値する血族だということ。
それから両親は黒歌の事も自分の事も知っているということ。
転生したとかそういう話は彼女にはしていない。
言っても多分混乱させるだけだろうから。
それにしても……元の話はなんで黒歌の妹が泊まる事になったと両親に伝えただけで納得するのか、という話だったような。
……素晴らしく脱線しているな。
まぁ、いつか伝えなきゃいけなかった事だし良い機会だと思っておこう。
「なんだか複雑な気分です。姉さまのために眷属をやっているだなんて……」
「そうだろうな。捉え方によったら俺は部長の事を利用してるんだし」
「……はい」
白音ちゃんはこくりと頷く。
心中は穏やかではないだろう。
俺は、彼女の……自らを救ってくれた恩人を利用している。
全ては自分の姉、黒歌の罪を清算させるためにだ。
「で、白音ちゃん。……できれば今日の話は "小猫" としてじゃなく "白音" として胸の中に収めてくれないかな」
「……わかりました。この事は胸の内に秘めておきます……でも何時かちゃんと皆に話して下さい」
「うん、わかった」
よかった。納得してくれて助かった。
……今ここで部員達にバラされたら練っている計画が頓挫する。
黒歌がもじもじと、白音ちゃんに小さい声で言う。
「……ありがとね」
「ううん。折角お姉ちゃんの罪が晴れるのに、邪魔するようなことしても意味無いから」
「うぅ……しろねー!」
「……でも暑苦しいので離れて下さい」
うぅ、と情けない声を出す黒歌。
それでも、白音ちゃんも口ではああ言ってるけど、二人とも楽しそうだった。
俺はそんな姿を見て、二人が外聞を気にせず暮らせるよう頑張ろう、と再度決意。
「先輩」
「うん、何?」
しくしく、と今度は泣き真似をし始めた黒歌を気にも留めない白音ちゃん。
どうしたのだろう、と思っていると彼女は正座をして、姿勢は綺麗なまま前へ倒した。
「赤龍帝で白龍皇で人外のお義兄さん。不束者のお姉ちゃんのこと……宜しくお願いします」
「――ちょ、ちょっと白音!」
これには黒歌も俺もビックリだ。
様になっている姿だが――でも、何時までもこのままでは可愛そうだった。
「良し、任された。……妹さん。俺がお姉さんの事、ちゃんと幸せにしてみせます」
言うと白音ちゃんは体を起こしてくれた。……まぁ、言われなくてもだけれど……コレで妹公認にして貰えたわけだ。
ふと黒歌の方を見ると目が合って、顔が紅くなっていった。
次第にわなわなと震えはじめて、
「わぁあああん! リクトのバカぁあああ!」
叫んで逃げて行った。
体を起こした白音ちゃんは、自室へと逃げていく姉の姿を見てクスクスと笑っていた。
――この後機嫌を損ねた黒歌が、白音ちゃんの恥ずかしい話、俺の黒歴史的な妖怪変化の姿を話して一騒動あり。
俺が渋々ながら妖怪変化する事になったり、白音ちゃんがガチで黒歌に殴りに掛かろうとした事が有った為、時間が過ぎ。
少々慌ただしかった一日が終わった。
終わった。
――さて此処で問題です。
Q.今日は何の日でしたか。
A.黒歌とデートの日。
……デート……。
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白音が家にやってきた日の夜。
あの子がお腹が膨れるまで私の作った料理を食べてくれた後。
私は、彼が「さぁ、寝よう」とした所で、もぞもぞとベッドの中に入り込む。
「んん?」
「えへへ」
寝室は暗い。
でも私にはリクトの顔がしっかりと目の前に見えていた。
猫で悪魔の私にはしっかりと見えている。
「黒歌さん何してらっしゃるんですか。此処俺のベッドナンデスケド?」
語調が段々と片言に。
……私の格好をみてトギマギしてるのだろうけど。
言ってもちょろっとだけ寝間着の胸元を肌蹴させてるだけなんだけどな。
こういうリクトの初心な所も私は好きだ。
「うん知ってるよ――でも今日一日は恋人なんでしょ? ……だったら恋人らしいことしても良いんだにゃん……にゃぁ」
「うっ……確かに言ったけどさ……」
もう私は素直になるって決めたんだ。
――それに彼は今日、正真正銘私の恋人だ。
私は我が侭な猫だもの。……このヒトは私のだ、って匂いを付けてもいいじゃにゃいか。
「……えっと黒歌さんなにするおつもりで?」
「何って……」
少し彼の顔に近づけて言う。
……猫って発情期があるんだよ、って。
私はそれをずっとずっと仙術で気を散らして我慢してきた。
今日リクトを好きになった時の事を思い出して……ちょっとタガが外れちゃったんだもん。
「……だめかにゃ」
「うぅ……嬉しいけどやっぱり駄目。……一回許したら溺れちゃいそうだから……」
……反則だ。それを言われちゃったら私が悪いみたい。
仙術でその気を散らして、自分の少し荒い呼吸を落ち着かせる。
あぁ、なんだか冴えてきた。……コレが俗に言う賢者モードという奴だろう。
なんでこんな気持ちにさせるかな。
……まったくこの馬鹿リクトは。
「ヘタレ」
「くぅ……襲いたいけどそれをやったら負けた気がするんだから仕方ないじゃん! でも襲われるのも負けた気がする……っ!」
負けてしまえば良いのに。負けちゃえよユー。
あ、でも嫌がるリクトを無理矢理するのも趣が……って駄目駄目。
また発情してどうする私。
うーむ。……妥協案とするなら……そうだ。
「じゃあ一緒に寝ていい? 明日からも好きな時に一緒に寝てくれる? ……ぎゅっとして一緒に寝るだけでもいいから、一緒に寝ちゃ駄目かにゃあ……」
じっと、彼が目を背けるまで私は彼の目を見続ける。
彼も夜だから妖怪の血のせいで夜目が効く。だから私がこうして見ているのも分かってるはず。
「…………うん。でもちょっとでも襲ってくるようなら妖怪変化するからね?」
「げ……」
「……黒歌? げ、ってなに? 何でいったの?」
だ、だってあの姿って……。
「……リクトが女になる……」
「…………俺もなりたくないけどさ。……入れる棒が無いと、ほら」
……そこまでしてならもう仕方がない。
1/4が雪女1/16がぬらりひょん。
妖怪の雪女の血が強いから、必然的に妖怪変化はそれ相応になる。
――ちなみに雪女は妖怪の雪女と魔獣の雪女で二種類いる。
妖怪の方が人型で伝承に残る美しい女性。
魔獣の方が……ヒマラヤ山脈で見つかるソレの類。
リクトのお婆ちゃんは本当に可愛らしい美少女の雪女だった。
あんな感じになるかと思いきやリクトの場合はアレだ。……ヤバイくらい色っぽい。
妖艶とはまさにあの事かと思う。
波打つような黒い髪の毛で中性的な顔立ち。
切れ長の色っぽい目つきと金のぐるぐるの瞳。
それでいて私くらいかそれ以上に出る所も出て引っ込んでる所も引っ込んでるから冷たい雰囲気も少し柔らかく感じる。
あの姿はホントに駄目だ。
今日改めて見て……私も白音も新しい扉を開きそうになっちゃったくらいだもん。
「わかったにゃぁ……隙をついて襲うのは諦めるにゃぁ……」
「この猫はやっぱりそのつもりだったか……!」
……でも最近はそういう人用にあるんだよ? なんかそれっぽい装備が。
ちょっとだけだけど……女のリクトでもいいかなって思う私はどうかしてるのかにゃあ?
「……なんか寒気が。風邪か? ……もういいや、寝よう。白音ちゃん来たから明日も色々買いに行かないとだし」
「……あ、リクト」
「うん、な――」
――愛しい彼に口付けを。
私の初めてのキス。
軽くて触れるだけの子供っぽいキス。
……これくらいなら許して。私の未来の旦那さま。
「……おやすみ、リクト」
「…………おやすみ」
私は彼の鼓動を聞きながら。
ヒトである彼の温かさに包まれて眠った。
――早く私を助けてね。
――愛しい愛しいマイダーリン。
起きたら白音に怒られた。
……私と一緒に寝たかったらしくて、拗ねてた。
ごめんね白音。……でもずっと我慢してたんだから許して欲しいにゃん♪
やっぱり最後は黒歌さんのノロケで締める。
妖怪変化でTSしちゃうヘタレな主人公め――爆ぜてしまえッ!
……でも実は『どっちつかずの人外』だから男でも女でもなかったり。
次回からエクスカリバー編。