黒歌が可愛くてつい始めた話。   作:楯樰

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月光校庭のExtraCaliburne
やっちゃった日


 今日も今日とて悪魔稼業。もとい部活動。

 全ては黒歌の罪を失くすため。全ては自らの想いを遂げるため。

 俺、『どっちつかずの人外』こと奴良陸人は、今日も今日とて愛猫と共にオカルト研究部に来ていた。

 黒猫を膝の上に置いて小猫ちゃんの隣に座って。

 そんな具合で自分で作った菓子の出来を確かめている。

 まぁ、納得できる出来だったけど。

 

「ねぇ、リクト。……ちょっと聞きたい事があるのだけど……」

「はいはい、何でございましょうか?」

 

 我が部の部長さん、リアス・グレモリーは気まずそうな顔をして言う。

 はて、何事であろうか。

 ライザーでの一戦について? それともイッセーに発破掛けたのが自分って事が伝わった?

 まぁ何でも良いけれど……ちょっと後者なら困る。

 

「えっとね。ちょっと野暮な事を聞くのかもしれないけど……」

 

 部長はちらり、と隣でもきゅもきゅとケーキを頬張る小猫ちゃんを見る。

 あぁ、なんだろう。其処はかとなく嫌ぁな予感がするのだが……。

 ……朱乃さんにいれて貰ったお茶で喉を潤しながら、俺は部長さんが口を開くのを待っていた。

 

「――小猫とアナタってデキてるの?」

「ブッ――!」「――ンンーッッ!!」

 

 俺は茶を噴き、小猫ちゃんはケーキを喉に詰まらせた。

 ……鼻にお茶が入って痛いです。……というか部長さんそれはイケない。

 あと御免なさい。

 綺麗なお顔がお茶まみれで素敵です――ぎにゃあああ!

 

 膝の上に居た黒猫も被害を被ったようで、俺は思いっきりツメで太腿の内側をぶっ刺された――というか痛い!

 

「ま、まぁ仕方ないわよね、私が変なこと聞いたのだし……主に向かってお茶を噴いた事は、うん。一応不問にして上げるわ……」

 

 まさか顔に掛けられると思っていなかった、と漏らす部長さん。

 お茶の滴る良い女、な訳が無く、面白そうに笑っている副部長からタオルを貰って顔を拭いていた。

 

「で、どうしてそんな事を聞くのさ。……部長」

「……何故ですか」

 

 もう一度お茶を朱乃さんから貰い、三人とも一息。

 俺と小猫ちゃんは魔力で服を再構成した部長さんに改めて聞いた。

 え、何を言っているの、と部長さんは驚きに目を丸くして言う。

 

「……まさか無自覚だったの? 二人とも……」

 

 うんうん、と小猫ちゃんと顔を見合わせてから頷く。

 

「はぁ……違うなら違うで良いのだけど。……リクトはこの部に入る前からお菓子作って上げてたみたいだし、小猫も甘んじて受け取ってた。……それにリクトが説得したから小猫は仙術を使うようになったみたいだし……何よりも小猫がリクトの家で暮らしたい、って私に直接言ってきたのよ? そういう関係だと思っても仕方ないじゃない。……現に皆思ってるのよ?」

 

 つぅーっと背筋を何かが這うような感覚がした。

 それから木場と朱乃さんに途中で入ってきたイッセーとアーシアに天野。

 皆がみな、顔を見るとソレらしい反応をしてくれる。

 あふん……それ、マジですか。

 

 ……ちょっと整理しようか。

 お菓子を上げていた→未来の義妹と仲良くするため&食べれるものは貰っておく小猫ちゃん(餌付け?)

 仙術が使えるようになった→お姉ちゃんの説得及びなんやかんやあった(俺のおかげで小猫ちゃんの心境が変わるものがあった)

 小猫ちゃんが家に来る→姉と一緒に暮らすため(小猫ちゃんから言いだすくらい同棲しちゃいたいような仲)

 

 あぁ、コレは駄目だ。

 妙に納得できた。

 ……ちょっと黒猫さんの反応を見るのがコワイ。

 

「えっと……違いますからね? いや、ホントに。……ほら、小猫ちゃんも何か言って」

「え、えぇ。……私とリクト先輩には何もありません」

 

 アレ。

 なんで皆そんな「照れ隠しだな、コイツら」みたいな顔してるんですか。

 ……やだ、何でこんな空気なの。

 

「よしんば。仮に違うとしましょう……だから教えて頂戴。――リクトの好きな人って誰?」

 

 ちょっと待って――それは言えない!

 確かに居るって何時か前に言った気がするけど……!

 ……小猫ちゃんの方を見ると、ヤバイって顔してた。

 

「言えるわけない。……というかなんで皆そんな納得したような顔してんのかな……ッ?」

 

 もういいよ的な顔に、面白そうに笑ってやがる。

 後はアーシアとかが赤面してる。

 

「いや、大丈夫ですから。俺、ちゃんとわかってますって」

「僕も応援してますよ、先輩」

 

 と、イッセーと木場。

 

「まぁ、いいんじゃないの? ……ちょっとそういう趣味が有るとは思ってなかったけどねぇ」

「こ、小猫ちゃん! 頑張って下さい」

 

 天野にアーシア。

 

「……どうします、部長。アレ、本物みたいですわ……」

「……そうね。私もイッセーに……小猫みたいに負けてられないわね……」

 

 そして部長の副部長の二人。

 ……小猫ちゃんの方を見ると、プルプルと何かに堪えながら顔を真っ赤にしていた。

 あぁ、なんでこんな事になったのか。

 

「だから違うっての!」「……違います!」

 

 とりあえず否定。

 ただ理由は話せない。

 ……違うとしか言わなかったから、誤解を解くのに暫くかかりそうだった。

 

 この日家に帰ると黒歌がプンスカと怒っていたり、小猫ちゃんがスライディング土下座で謝っていたり。

 なんだか小猫ちゃんらしくない姿を見たりとかで、精神的な疲れを慰めて貰うように、黒歌を抱き占めてこの日は寝た。

 

 ……白音ちゃんが謝る姿(綺麗なスライディング土下座)が、妙に脳裏に残っていた。

 

 -------------------------

 

 翌日。

 朝起きたらちょっとした一騒動があったが……そんな事はさておき。

 先に起きて一時間近く待っていたらしい、白音ちゃんの腹の虫を抑える為、朝食を作り、ゆったりとした朝食を取る。

 

「……で、なんで起きて来てくれなかったんですか」

「いやぁ……あはは」「にゃはは……」

 

 顔の赤い黒歌と顔をあわせて苦笑い。

 

「なんで笑って――ってまさか朝から!」

「……し、してないしてない! というか初体験もまだだって!」

「うん……まだしてないよ。リクトがヘタレだから……」

 

 ぼそぼそと目玉焼きの黄身をつつく黒歌さん。

 語気は弱く、ちょっと保護欲が湧きそうな反応で抱きしめたくなる衝動にかられる。

 ……いまそんな事したら嫌われる確信があるから止めておく。

 

「え……じゃあ何があったんですか?」

「…………揉まれた」

「はい?」

 

 黒歌がポツリと洩らす。

 ……はい、ごめんなさい。

 

「……俺が寝ぼけて……黒歌の胸を「もう、言わないでよ……恥ずかしいんだから」……ごめん」

「……」

 

 小猫ちゃんは二度瞬き。

 そして呆れたように吐き捨てる。

 

「とりあえず……馬鹿ですね、二人とも」

「「うっ……」」

 

 ……そりゃ、何時かするだろうなぁ、と思っていたけれども。

 なんだかちょっと不完全燃焼と言うかなんというか……最後に食べようとしていたおかずをついうっかり途中で食べちゃったような、そんな感じ。

 黒歌も黒歌で起きたらちょっと危ないレベルで発情してたし……って何を言ってるんだか。

 結局ヘタレな俺が悪いねん。……少し身がお堅い俺が悪いねん。

 

 ハァ、と小猫ちゃんは頭を抑えて溜め息をついた。

 

「もう、早く本調子に戻って下さい。……今日中にです。今日中に」

「「……はい」」

「……あ、そういえば今日は使い魔を契約しに行くとかなんとか。ちょっと考えておいて下さいね、お義兄さん」

「了解です……」「……あう」

 

 今日のオカルト研究部の活動は使い魔契約。

 ……必然的に飼い猫扱いの黒歌は部室に残る事になり。

 俺も黒歌も妙にダウナーな精神状態だった。

 

 小猫ちゃんも昨日の事があってか、登校中溜め息が多かった。

 

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 ――使い魔ゲットだぜ!――

 ……この言葉が頭に残る。

 あのパチモンマスターめ……永年の少年があんなオッサンになってしまうのか、とかちょっと思ってしまったじゃないか。

 

 ――此処は冥界某所にある使い魔の森。……トキワ○森とか言っちゃだめ。

 俺はこっそりオカ研のメンバーと別れ、強そうな気配のする方へする方へと歩いていた。

 

『あ、相棒? ちょ、ちょっとこの先には行かない方がいいんじゃないかなぁ……』

『……ドライグ?』

『…………や、なんでもない……』

 

 久しぶりな気がする頭に響く二天龍の声。

 ドライグの慌てる声に、アルビオンの訝しむ声。

 ははぁん――なるほど。やっぱりこの先にいるのか。

 まぁ、これから其処へ行くから楽しみのためにも聞かないでおこう。

 

 ……しばらく暗い森の中を進んで行く。

 黒い幹の樹林がずっと続き、もうしばらく歩いているとそれが途絶えた。

 着いたのは切り立った崖の上。

 目指すのは此処の下にあるそれなりに規模の大きい洞窟だ。

 

『あ、相棒! よせ、止めてくれ!』

『なるほどそういう……。よし、薄汚い雌狐……じゃない雌龍に会いに行きましょうか。……フフフ』

『――ぜ、絶対この世界のオレと奴も何かしらやってるから! 後生だリクトッ!』

 

 白いのには全面賛成。赤いのには無視。

 ずっとアルビオンは言っていたんだ……雌狐ならぬ雌龍に会いに行くと。

 ついでに俺も気になってたし……野次馬根性丸出しで。

 

 ……さてと。

 

『お、おいリクト? 嘘だよな、嘘に決まってるよな! な?!』

『……フフフ……これで積年の恨みが……!』

 

 まぁ、俺は礼儀正しいのだ。

 だからお宅にお邪魔する時は……ちゃんと尋ねてから入る。

 

「ノックしてもしもーし」

 

 ――地盤をずらして俺は大きめの在宅確認を行った。

 

 

 

 

「あ、リクト! 何処行ってたの! 皆探したのよ!」

「ちょっと気になった奴がいたんで追っかけてました……無事契約したんで、もう俺の使い魔は大丈夫です」

「そう。つまりイッセーだけが手に入れられなかった……って天野さんも一応使い魔だからこれで全員ね」

「……何を使い魔にしたか聞かないんですか?」

「嫌よ。なんだか聞いたら卒倒しそうな気がするから。……お願い言わないで」

「全員ゲットだぜ! ――ってあら? ティアマットの反応が……消えた? いや、また暴れに行ったのか……」

『……』

 

 




……と言う事で色々やらかしちゃった回。

自分で書いててなんだが主人公に「ヘタレ」と言いたい。
作<ヘタレ!

え、何を使い魔にしたかって?
天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)なわけないじゃないですかーやだー(動揺)
……うん、多分何時か出てきます。
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