黒歌が可愛くてつい始めた話。   作:楯樰

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遅れました。


怒られる日

 イッセー以外が使い魔を手に入れた――いや、イッセーの場合は天野と使い魔の契約してたからこれで全員使い魔が手に入った事になるか。

 まぁ、そんな事はともかく使い魔の森から帰ってきて二日後の今日。

 俺はオカルト研究部……ではなく兵藤一誠後輩のお宅にお邪魔していた。

 

「どうもこんにちわ、イッセー君のお母さん。しょうもない部活で先輩やらせて貰ってます奴良陸人です」

「ちょっとリクト! しょうもないだなんて言わないで!」

「まぁまぁリアスさん。怒ったら皺が増えるわよ? ――どうもウチの馬鹿息子がお世話になっています。今日はゆっくりしていって下さいな」

「後で覚えてなさい……」

 

 イッセーのお母さんに挨拶を済ませて彼の部屋に上がる。

 おぉこわいこわい、と駒王学園の紅い悪魔に戦々恐々としながら中に入ると、なんかちょっとイカ臭かった。

 腕の中の黒猫さんが顔を顰めさせていたので、結構きついんだろう。……小猫ちゃんも鼻を押さえていた。

 

 臭いと臭い分子をずらして換気。……うんすっきり。

 イッセー君ちょっと自重しようね、と切実に思った。

 

「さて、今日は部室……というか旧校舎が一斉清掃の日だからイッセーの家でこの前のレーディングゲームの反省会よ」

「……とかいいつつ手元に見えるイッセーのアルバムが違うって仰ってますよ」

「茶化さないでくれるかしら、リクト。……これは、ほら。イッセーの腕が龍の手になったからね? ……そういうわけよ」

「あらあら。どういうわけなんでしょうか、部長」

「だから……そういうわけよ。……ってもう! 朱乃は茶化さないで!」

 

 一通り部長を弄ると、アーシアと天野を引き連れて部長さんはイッセー君の赤裸々な過去を見始めたので、イッセーが泣き叫ぶのを無視して自分達も赤龍帝の普通な経歴を見させて貰った。

 自分が言うのもなんだが、イッセー憐れなり。

 

「ちっちゃい頃のイッセーちっちゃい頃のイッセー……」

「はわわ……」

「……ごくり」

 

 ちょっと危ない人たちが三人ほど見えたけど気にしない。

 でも特に天野がヤバイ。……危ない怪しすぎる生唾を飲むな。

 

「……勘弁してくれ……」

「良いではないか良いではないか!」

「やめてーお代官様ー! ってなにやらすんですか! ホントマジで先輩止めて下さい!」

「うん、それ無理♪」

 

 某サバイバルナイフな宇宙人の真似をするとイッセーは崩れ落ちて嘆く。

 そんな様子を木場が見て笑っていて、彼は開いていたページに目を落として固まった。

 

「……イッセー君。この子は誰かな」

「あ、あぁ……確か前近所に住んでいた子。よく遊んだ覚えがあるよ。……それがどうかしたか?」

 

 憎々しげに、木場は顔を少し歪めて、写真の中。二人の子供が並んで写っている後ろ……親御さんらしき人を指をさして言った。

 

「……これは聖剣だよ、イッセー君」

「せい、けん?」

 

 それ以上は木場は何も言わない。

 ……ただ一つ、写真に写りこんでいるソレを――その手にある西洋剣を見つめていた。

 

 

 ――木場の様子が変わり始めたイッセー宅訪問から後日。

 きたる球技大会の日のために、オカルト研究部は学生らしく部対抗の競技種目の練習に励んできた。

 

 そして球技大会の日。

 ドッジボールでは、イッセー君と俺が狙われそうになるも、俺は何故か当てられずイッセー君が集中リンチになるといった事があったり。

 また、木場の学園でのモテ具合を嫉む男子が決死の覚悟で、ボーっとしている彼に向かって投げたボールをイッセーが庇い……観客の腐女子が歓喜したり。

 庇ったら庇ったで当たり所が悪く、球がたまに偶々当たったり。

 それから……

 

「……コレで少しは目が覚めたかしら」

「すみません部長。もう球技大会も終わったので帰らせて貰います。失礼します」

「祐斗!」

 

 ……木場祐斗が部長にらしくない事で怒られて、頬を打たれたりなんて事があった。

 イッセーが聞く。どうしちまったのか、と。

 木場は何か決意した顔で答える。

 

「僕は聖剣を破壊するために生きている――聖剣エクスカリバー……憎々しいあの聖剣を破壊するために……」

 

 そのまま木場は去っていった。

 

 

『エクスカリバー』

 ――木場祐斗が憎み、恨み……そして憧れていた聖剣。

 彼の剣はブリテンの王――アーサー王が持っていたと伝承では残っているが、世界の裏の歴史でそれは七つに別れた。

 

『破壊』『擬態』『天閃』『夢幻』『透明』『祝福』『支配』

 

 ……七つの特性、七つの聖剣となって、内訳四本を神の陣営……教会の武器として、対悪魔用の究極兵器として今現在使われている。

 

「……ただ、少し前その聖剣を扱うため、扱おうとするために各地から素質のある子供たちが集められた。……ただその計画で集められた子供達は全員に素質は無く不良品とされ――処分された」

「……。……それが "聖剣計画" ……」

「祐斗はその被害者の一人で最後の生き残りなの。……私はあの子を助けた時、聖剣に振り回されない生き方を望んだのだけど……やっぱり難しいものね」

「……そっかそれでアイツ……」

 

 球技大会が終わってそれとなく、イッセーと俺とで聞いた。

 ……まぁ、木場が聖剣に恨みを抱えていたのは俺もイッセーも修行の時から知ってたけれども。

 

「さて、帰りましょうか。……今日はもう皆疲れているようだから幾ら悪魔とはいえ、明日のために夜はぐっすり眠るのよ?」

 

 そうして眷属を思うリアス部長の言葉で短い部活動は散会となった。

 

 -------------------------

 

「……さて、白音ちゃん。明日辺りちょっとした事が起こるよ」

「……唐突になんですかお義兄さん?」

 

 家に帰ってすぐ、テレビをつけた白音ちゃんに俺は声を掛けた。

 それともいうのも……まぁ、思惑通りに来てくれたのと、少しすることが出来たからだ。

 ……まぁ、認識させる方が先だろう。

 

「あ、なるほど。……白音、エロ兵藤の家辺りまで "円" してみたらわかるにゃん」

「…………物凄く嫌な気配がしますね。……身体が焼けるような嫌な気配……」

「何かわかる?」

「ちょっと待って下さい。……これは……聖剣ですか?」

「正解。……それもとびきりヤバイ聖剣。……なんでグレモリーの領地にそんな戦略兵器を持ってくるかな、ってね」

 

 ……原作で知っているとはいえ、不確定要素の自分がいる事で来ないかも、と思っていたんだけども。

 

「……何かしらこの近くであった。もしくは何か教会側で起こった、ということですか」

「イグザクトリ――ぃて!」

「指パッチンしてないで手を洗ってくるにゃん」

 

 黒歌さんに頭を叩かれたので手を洗いに行くとしよう。

 洗面所から帰ってみれば二人とも難しい顔をしていた。

 

「はい、二人とも。判断材料も少ないし、俺が話を振ったとはいえもうこの話は止めにしよう」

「……うん、そうしよっか」

「……はい」

 

 不意に、ぐぅ、と白音ちゃんのお腹が鳴る。

 ちょっと顔を赤くさせてそっぽをむいた。

 ……フォローしてあげよう、白音さん。

 

「あー、お腹空いたなー黒歌さんの料理が食べたいなー」

「……ぅにゃぁ……」

「ふふっ……白音のお腹の虫にご飯をあげないとにゃー」

 

 お姉ちゃんのアホ、バカ、と呟く白音ちゃんの隣でちょっと一眠り。

 ……黒歌に、ご飯が出来た、と言われて起こされるまで惰眠を貪った。

 

 -------------------------

 

 目の前にあるのは布で巻かれた十字架のような大剣。

 悪魔の自分がアレは脅威だと告げるが、俺自身にはさほど害にはならないというのが分かっている。

 ――球技大会の翌日の事だ。

 急に部室に集まれとお達しがあり、集まった次第である。

 ……大体わかっていたことではあるが、どうやら聖剣エクスカリバーに関しての事らしい。

 

「ふふふ……甘く見られたものね。――誇り高きグレモリーが堕天使に(くみ)していると、そう教会は仰りたい訳ね」

「可能性は無くない、というのがお偉い方の意見だ。……私個人としての意見ではない、と理解していただきたい。……それではそのように頼む」

「えぇ。判ったわ」

 

 私達に関わるな、と念を押し、メッシュの入った大剣を背負う彼女、ゼノヴィアは席を立ち、同じくイッセーの幼馴染の紫藤イリナも続く。

 そのまま部屋を出て行くのかと思いきや、二人はアーシアの目の前で立ち止まって口を開いた。

 

「……やはり元聖女のアーシア・アルジェントか。まさか悪魔になっていたとはな。……しかし未だに主を信仰しているようだ」

「え、悪魔になったのに信仰してるわけ無いでしょう?」

「いや、私はそういう "臭い" に敏感でな。――どうなんだ」

 

 ゼノヴィアの問いにアーシアはビクリと体を振るわせて答える。

 

「私は……捨てられないだけです。ずっと信じてきたものですから……」

「……そうか。ならば今すぐ私達に斬られるといい。堕ちる所まで堕ち、例え罪深い存在になろうとも主ならば許してくれるだろう」

 

 柄に手を掛けた。

 小さくアーシアからは悲鳴が漏れる。

 

「いい加減にしろよ……ッ! さっきから聞いていれば勝手なことばっかり言いやがってッ! アーシアは――」

「イッセー君、ちょっとゴメンよ」

 

 立ち上がったイッセーの首筋に木場は、自分が創り出したらしい短剣を押し当てると、イッセーが崩れる。

 木場はイッセーを支えて、ソファーに座らせた。

 皆が彼の急な行動に驚く。

 それは俺もだ。

 俺の知る知識では起こらなかった事。

 何が彼をそうさせたのかは分からない。

 ……ただ、木場は静かにその目に怒りを携えていた。

 

 全員が彼の行動に驚く中、当の本人はさも平然そうに口を開いた。

 

「イッセー君には少し眠ってもらいました。……部長、少しご提案があるんですがよろしいですか?」

「……祐斗、後で色々聞かせてもらうわ。……それで、なにかしら」

 

 その問いに驚き固まっていた部長は一度目をつむり、表情を取り戻し聞きかえすと、剣を消して答えた。

 

「……二人と決闘、いや手合せさせて貰いたいんです。……僕たちに勝てないようじゃ "神の子を見張るもの" のコカビエルから、エクスカリバーの破壊も奪取することも出来ないと思うので。――教会の戦士。君達はどうかな? 僕たちと手合せしてくれないか」

「遠慮をさせて――ッ!?」

「!?」

 

 いつの間にか彼女ら教会の戦士二人の首元には四方の床から生えた剣が突きつけられていた。

 ……剣の生成の早さが前の比じゃない。

 それにどの剣も練度が鋳造ではなく鍛造レベルでの業物だ。

 触れているだけでも当てられている首筋からはつぅ、と血の筋が流れていた。

 

「……今のに反応出来ないようでは、二人だけで堕天使の幹部を倒そうだなんて夢物語だよ。……それでよく聖剣使いを名乗っていられるね」

「っ! 貴様ァ――ッ!?」

「ゼノヴィア! ……お願いやめて!」

 

 ゼノヴィアが叫び少し動いた。

 ぐい、とさらに剣先が喉に押し付けられ、血が先ほどと比べ物にならないくらい流れ出る。

 

「――祐斗! それ以上はやめなさい!」

 

 部長が待ったを掛けて、ゼノヴィアとイリナに向けられていた剣群は木場の手によって消えさり、イリナはゼノヴィアの元に掛けよった。

 

「……ごめんアーシアさん。そいつらを治すのは不本意だろうけど、彼女達を治して上げてくれないかな」

「い、いえ……とんでもないです」

 

 アーシアは戸惑いながらもゼノヴィアに駆け寄り、傷口にトワイライト・ヒーリングを掛けていく。

 

「――部長すみません。でも今のは不本意です。……それで、紫藤さん? 手合せ受けてくれないかな……?」

「何を言って――わ、わかったわ……引き受ける」

「ま、待てイリナ!」

 

 治療を受けているゼノヴィアは傷口にアーシアの回復の緑光を当てられながらも、自分の相方に待ったを掛ける。

 

「ありがとう。……これでようやく一つ目的が果たせるよ」

「祐斗……もしかしてあなた」

 

 その返事を聞いて木場はゆったりと、微笑み呟く。

 呟いた言葉の意味を推し量ることが出来るのは事情を知るオカルト研究部の部員だけだった。

 




木場「これは性剣だよ、イッセー君」
イッセー「せい、けん……」

ゼノヴィア「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!
こんな悪には出会ったことがねえほどになァーーーーッ
環境で悪人になっただと?ちがうね!!こいつは生まれついての悪だッ!」
アーシア「!? そんな……!」

書いてた途中でこんなこと考えてた。
こんな作者は阿呆の極みである。

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