セイギノミカタ化が激しい木場くんが嫌いな人は注意されたし。
識別のため付けられていた名前を呼ぶ、僕を助けるために殺された仲間たち。彼らの意識は先輩の言う通り、聖剣の因子に宿っていた。
自分だけが助かっても良かったのか、生きたかったんじゃないか。僕だけが逃げても良かったのか――聖剣を憎んでいないか。……ずっと悔やんで、思っていたことを聞いた。
『君が笑っているなら生きてくれているなら』
『僕たちも報われるよ』
答えてくれた彼らは笑っていた。――笑って生きてくれ、と僕に言った。
――好きなモノが出来たんだ。
『よかった』
――聖剣に対する思いは一緒だよ。
『そうなんだ』
――憎いけど、憧れてもいる。
『……うん』
幽体の彼らは頷き、優しさを感じる笑みを浮かべた。――そして一人が聖歌を歌い、続くように皆が歌い始める。
僕も彼らに併せて聖歌を口ずさむ。頭が不思議と痛くなく、僕は身体に宿る神器に語り掛ける。
――答えてくれ、僕の神器よ。
僕と皆の思い。エクスカリバーへの憧れと憎しみ。教会を信じていた彼らの、信じていたモノに裏切られた想い。悪魔となって教会だけが全てではない、本当の意味での正義を知った僕の想い。
神器は僕たちの相反の想いに神器は答えてくれた。手に持った魔剣のエクスカリバーが聖なる光を灯す。禁手化する、とエクスカリバーンが伝えるように熱を持った。
――I am the born of my sword.
創作、架空に妄想……どれでも良い、何でも良い。想い描くのは最強。故に自分は未熟。だからこそ最善をめざし、最善を尽くす。――そんな僕のイメージを禁手化を始める神器に伝えた。自分の意思を貫く力が欲しいと。
『「――禁手化」』
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「ちぃ……クソ悪魔の分際で俺様を蹴り飛ばしてくれちゃったアイツはぶち殺さないと気がすみませんなぁ?? ――んぁ? なんぞ、このクソムカつく歌は……っておいおい、何発光してくれちゃってんの? 悪魔さん」
奴良リクトによって蹴り飛ばされたフリード・セルゼンが目を覚ました時、耳にしたのは自分が苛つきを覚える聖歌。次に目にしたのは禁手化した木場祐斗の姿だった。持っていた剣がうねり、形を変えて、禍々しさの中に厳粛さ漂う剣になっていた。
「あーあーちょーむかつくんですけどー、俺が眠ってた間に――なにがあったんでございましょうーかッと!」
「……っ! そういえば居たね、フリード・セルゼン」
「なーに勝手に忘れてくれちゃってんでしょうーか、クソ悪魔の分際でぇー……私、ムカつきますぅ!」
フリードはエクスカリバーを振る。残像を残しながら木場へと襲い掛かる。
「はいはいしつもーん! なんでその剣折れないんですかー!」
「エクスカリバーだからさ」
「あーなるほどねェ……なるほどー……って納得するわきゃねーだろーがクッソ悪魔さんよぉおッ!!」
フリードの猛攻は彼の怒りに乗じてさらに苛烈になる。対する木場は先ほどと変わらず、自分から打って出ることはせず、ただひたすら攻撃をそらしていくばかりだ。
「あ? 何舐め腐ってんの? 俺さ、舐められるのって嫌いなんだよね。でもー君みたいなイケメン悪魔だったら……――おえ、気色わっるーい。変な想像と共に消えてくだちぃー!!」
天閃の速度で木場の持つ剣にあたり、接触したところを始点にフリードのエクスカリバーの刀身が木場を襲うように曲がった。――木場は避けない。
「おい、おいぃいいい!? なんでさ! なんでなわけよ! あたってんじゃん!」
「僕の禁手は『魔剣創造』の亜種――『
「ちょ!? ――ッ!?」
『擬態』の力を使い剣を変形させて攻撃を防いでいた。木場が攻勢に出る。といってもただ剣を一振りしただけ。しかしその一振りと同時に一瞬で発動されたエクスカリバーの効果。
『天閃』で振るわれた。『擬態』により刀身は長く伸び、しかし剣自体は『透明』で悟らせず、『夢幻』により、腕から刀身にかけて視覚出来る限り三つに分裂する。そして『祝福』により強化された『破壊』で、身の危険を感じたフリードが手放したエクスカリバーは破壊された。――一度にエクスカリバーの特性を行使するのは思考の分割でもしないと無理だ。だから木場は合成した六つのエクスカリバーの特性に――新たに生み出し与えた『支配』の特性で、他六つを制御するのに使う。
「避けた!? ……凄いね、君」
「くはぁあああ!! 死ぬかと思ったぁああ!! 何、それ。マジでエクスカリバーなわけ? でないと俺のエクスカリバーちゃんが負けるわけねーし?」
至近距離。真の姿は隠され、その真の姿さえ偽り。さらに幻影を見せられて尚獲物を手放すことで避けきったフリードは天才、いや鬼才というべきだろう。敵だとはいえ賞賛に値した。
「そうだね。聖魔剣で作ってるから……。名づけるなら『聖魔剣エクスカリバー』かな。それか『真・エクスカリバー』でもいいかもしれないね。――とはいえ次は逃がさない……『
「あのぉ……僕ちんのエクスカリバー壊れちゃったんでぇ……逃げます! 逃げますッ!」
魔力を吸い、光を纏う剣を木場は振り上げる。木場が創造したからこそある能力。
「
名を叫んだのはそうしたかったから。ただそれだけ。しかし剣の先から飛ぶ光の斬撃は空間自体を切断するかのよう。
木場が付けた「込めた魔力を増幅させ、飛ぶ斬撃として放つ」能力。加えて発動させたエクスカリバーの『破壊』と『天閃』。触れたモノ全てを破壊する斬撃が、天閃の速さで飛んでいく。
――だが、運命のいたずらか。実際に神の祝福を受けているのか。
「何処狙ってんだっつーの! またもや死ぬかと思いまちたー……ちゅーわけでアデュー悪魔さん☆」
……フリードには当たらなかった。逃げていく彼の横を掠りもせずに通り過ぎる。加えて飛んで行った斬撃はフリードのはるか前方の駒王学園を覆っていた結界へ。まるでフリードに逃げろと言わんばかりに結界がその部分だけ裂けた。
逃げていくフリードの背中を見て追いかけようとするも、創造と能力の行使で力を使い果たした木場はその場に崩れる。それでも木場はやり遂げた表情をしていた。
「……やったよ、皆」
返事はない。周りにはもう木場の仲間たちは居ない。
空に昇るように消えていった仲間たちが最後に残していった木場への感謝の言葉。
――……ありがとう。
「……僕の方こそ」
エクスカリバーを杖の代わりにして立ち上がる。
ケルベロスを倒した仲間たちの元へと木場は歩きはじめた。
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――ケルベロスが哀れ。
ケルベロスを部長職の二人をサポートしながら倒して、帰ってきたイッセーの言葉がそれだった。確かになんだかちょっとパッとしない。もっと強いとばかり思っていたから。あのコカビエルさ――いえ、コカビエルがショーをすると言って連れてきたのだから。――いや、ケルベロスが弱いんじゃないのか。私が強くなったんだろう。多分前の私――レイナーレのままだとこんなことはまず言えない。
――私がケルベロスを倒す前に遡る。
駒王学園の上を飛ぶ私。堕天しない天使(?)になった私には翼が十二枚生えていた。こんな体にした張本人曰く、翼の数は天使、堕天使に相当するらしいけど……熾天使を気取るつもりはない。未だ私はおっちょこちょいのままだ。こんな私が熾天使を名乗るわけにはいかない。
おっちょこちょいは性格の問題らしい。頭の造りまで変えてしまうのはよくないと言われたので私は私のままだ。
未だによく失敗もするし、兵藤家のお母様に教わる料理もあの家に住むヒトたちの中では私が一番習得が遅い。
……こんなのでイッセーのハーレムの一人になれるんだろうか。――いや、こんな思考したらダメだ。また前の二の舞になる。疑心暗鬼に囚われてしまう。
イッセーを好きになったのは私が一番目。――だけど私は一度裏切った。裏切ったからこそ、私は彼から信頼を取り戻さないといけない。
イッセーはいやらしい目つきで私やグレモリーを見るけれども、ただそれだけ。何もしてこないし、仮に横に寝たとしても何もしない。私に殺されたことが若干トラウマになっているらしいのは、傍目から見ても十分わかる。
「……今はまず、目先の敵から」
光力と魔力を合わせた、何かわからない力を生み出す。何故かは不明だが、魔力単体よりもイメージ通りにこの何か分からない力は動いてくれる。例えば――熱いと感じるけど、外傷はない劫火だとか。
「――滅べ」
滅べとか物騒なこと言ってるけど違うから。ちょっと気分が乗って言いたくなっただけだから。ホントに滅んでなんてないから。決して隠してた中二とかじゃ――。
「……とか自分に言い訳してたらケルベロスがショック死してたわ」
「いや、やりすぎだろ!」
「生け捕りにできなかった……。ごめんなさい、アーシア。貴方に上げようと思ってたのに」
「い、いえ。小猫ちゃんに貰ったので大丈夫です。……お父さんたちが許してくれるかちょっと心配です」
「サイズ的に無理だからな、アーシア!」
はぁ。またドジした。鬱になりそう。
――私を変えた張本人。奴良リクトが戦っている上空を眺めて、私は深いため息を吐いた。
フリードにはまだ生きててもらいます。神の祝福(笑)
尚、『祝福』の効果は独自解釈と設定が入ってます。
聖剣の時、光の力の増幅などの効果があるため、魔剣の際には『魔力などの魔の力の増幅など』としました。
聖魔剣になってさらに倍ドン。
……あれ、fateのエクスカリバーじゃね?
あ、真名解放が違うのは仕様です。
ドジっ子天野になったので性格が少し丸く。
初めてちゃんと書かれたのに、ごめんね。
至高の堕天使(笑)でしたし、少しばかり中二なのはシカタナイネ