黒歌が可愛くてつい始めた話。   作:楯樰

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微妙な出来。


旧校舎のディアボロス
変動した日


 ハイスクールD×D

 

 今世の大元、世界観が書かれた原典になる話である。

 転生者が言う所の『原作』だろう。

 

 ……さて、ハイスクールD×Dといえば、兵藤一誠という変態を主人公にして廻る前世における物語だった。

 聞いても誰も信じない話だろうが、俺はこの世界に転生(?)した。

 その神魔妖仏が跋扈する世界に生まれた自分。

 輪廻転生。

 三次元の世界からの二次元にあった世界に生まれ変わった自分にはある能力があった。

 

 便宜上厨ニっぽく『位相操作』としているが、抽象的には『ずらす程度の能力』である。

 ずらせる範囲が広いから『程度』だ。

 決して某弾幕シューティングから取ったわけでは無い。

 

 ……ずらすのは、誰かからの『認識』であったり『位置』だ。

 それに『空間』『時間』……そして『世界』。

『ずらそう』と思えば何でも『ずらせる』。

 

 ……だからこの能力を黒歌に初めて見せた時、黒歌が『接触的干渉』が出来ないように自分の『存在』をずらしたのだ。

 

 なんでこんな能力(スキル)が使えるのかは分からない。

 だけどこの能力(スキル)はなんだか自分の中で「使えて当たり前」の認識なのだ。

 Fate風に、もしかしたら『ずらす』のが自分の起源なのかもしれない。

 

 なんだかネーミングセンスねーなと思う。

 ……なんか無かったのだろうか?

 いや、過去の自分に言っても仕方ない。

 

 

「おーい、リクトー! 食堂行こうぜー! 今日弁当忘れちってさ」

「そっか。なら今日は食堂で食うか」

「おっし!」

 

 級友の男友達と駄弁りつつ食堂に向かう。

 そんな何時終わるか分からない青春を過ごす駒王学園での生活だった。

 

 ちなみに弁当は黒歌作。

 そんな関係で無いにしろ涙がちょちょ切れるくらい嬉しい。

 

 

 ――いただきます。

 

 -------------------------

 

 そんな訳でいつものように猫になった黒歌を鞄の中に隠して駒王の学園行った帰り。

 兵藤一誠二年生が死に、悪魔となって学校に来ていた事を確認した俺は夜の公園に来ていた。

 

「……なんでこの公園に寄ったのにゃ?」

「なんとなく。だけど此処に居れば土地の管理者に会える気がして」

「……結構リクトの勘は当たるから怖いよ」

「まあね」

 

 当たり前ではある。

 だって原作知識だもの。

 ……まぁ、具体的な公園の場所とか良く分かんなかったんだけど。

 

「――誰か来る」

「ちょっと隠れるか」

 

 ベンチに座って俺達の諸々を『ずらす』――これで気づかれない。

 此処にリアス・グレモリーが来るまで隠れておくつもりだ。

 

「――鬼ごっこはもうお仕舞いかな?」

「くそっ!」

 

 そんな声が公園の中に響いた。

 堕天使ドーナシークとエロ魔人こと兵藤一誠だ。

 

「堕天使は普通だけど……あっちはドラゴン? でもあの神器は……」

「そう。でも俺のは他所(・・)から能力で貰ってきたから厳密には別物ね」

「チートにゃぁ……ちなみにリクトの能力で神器って引き剥がせるんだよね? 所有者を殺さずに」

「うん。だから裏の連中にバレたら不味い。でも黒歌の無実を証明するためなら……安いよ」

 

 バレたって良い。利用されても良い。

 それで駄目なら天使、悪魔、堕天使、全員――てやる。

 

「嬉しいけど……リクトこわいにゃ。殺気が出てる」

「あ、ごめん」

 

 鞄の中から顔を出す猫の頭を撫でて謝る。

 ……なんて事をしてたら槍に腹を刺されていた。

 別にイチャイチャして展開見てなかったわけじゃないし――イチャイチャしたいです。

 

 そうこうしてると彼に二投目の槍が投げられる。

 助けに入ったほうが良いかな、と思っていると投げられていた槍の側面から赤黒い魔力光が走った。

 

「――私の下僕に何か用かしら」

 

 真打登場と言った風だ。

 紅い髪を揺らしながら学園の二大お姉さま、リアス・グレモリーが姿を現した。

 

「おやおや、これはこれは――グレモリー。これは済まないな、どうやらちゃんと主が居たようだ……ただ、下僕の管理はちゃんとしておいた方が良いぞ。はぐれと勘違いして私のような者が散歩の途中で狩るかもしれないのでな?」

「ご忠告痛み入るわ……ただもう失せなさい、堕天使。消されたくなければね」

「恐い恐い。我が名はドーナシーク、機会があればまた会おうリアス・グレモリー……」

 

 問答してる前に一誠を誰か救ってあげて、と思う。

 ただまぁ、その前に一つ顔をだそうか。

 ついでに兵藤治してやろう。

 印象付けられると思うし。

 

「さて、この子の治療を「こんばんわ、グレモリーさん」――なっ!? 貴方何者!」

「まぁまぁ落ち着いて。高等部三年A組の奴良陸人、同じ学校の者です」

「……何が目的なの?」

「いや、別に。というかそこのエロ馬鹿、治しましょうか? つーか治しますよ」

「ちょ、ちょっと!」

 

 数ある回復系神器の一つ、いずれこの町に来るだろうアーシア・アルジェントと同じ『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』。

 その亜種禁手『聖母の抱擁(トワイライトマザー・リバース)』で兵藤一誠の傷を治す。

 

 悪魔堕天使種族問わずで傷を治す奇跡が具現化したのは首から下がるクロス。

 ロザリオではない。✕印の真ん中から鎖が通っている造形だ。

 そしてこの亜種禁手が治すのは、精神体力傷欠損……魂の傷。

 全てを治すこの禁手は魂さえそこにあれば使った対象を無から生み出せるほど。

 

 ……ただし逆の事は出来ない上、自分に使うことは出来ないのだが。

 

 ただ、腹に槍が刺さった程度なら手をかざしただけで瞬時に治せる。

 

「……神器ね。それも悪魔を回復させれる強力な――ってえぇっ?!」

「……自分でもそれなりに強力なのはわかってましたが――……転生悪魔が人間に戻るのは予想してなかったです」

「そ、そうなの……」

 

 腹の風穴が消えた一誠の身体の上には8つのポーンの駒らしきものが。

 まさか、まさかである。

 転生悪魔が人間に戻るとは。

 黒歌も鞄の中で吃驚してた。

 

「……オホン。じゃ、とりあえず人間にはもう遅い時間なので……それではお休みなさい、グレモリーさん。……それとも今まだ何か聞きたい事が?」

「明日、使いを出すわ。その時お話し聞かせて貰えるかしら?」

「いいですよ。じゃ、改めてお休みなさい」

「……えぇお休み」

 

 人払いの結界が解かれた公園。

 静かな町の中に繰り出し、俺と黒歌は例の如く『ずれて』家に帰った。

 

 

 




12/3 ちょっぴり修正しました。

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