「……それで、あのオッサンは何だったんですか」
俺の斜め前に座る兵藤一誠。
彼はグレモリーのスカートの中が見えそうで見えない為、チラチラと目をそこに向けながら聞いた。
リアス・グレモリーは浴びていたシャワーから出てきて、見せつけるようにして服を着たのだが……ホント、悪魔は露出狂ばかりなのか、と疑ってしまう。
いや、仮に悪魔全般が露出狂じゃ無いとしても、リアス・グレモリーはきっと露出狂。これは間違いない。
兵藤にグレモリー……実は似たもの同士だろう。
「あれは堕天使よ。欲に溺れて堕ちた天使……そしてこの子も」
「――……夕麻ちゃん」
グレモリーの横に控える姫島さんは一枚の写真を取り出して見せる。
これがレイナーレだろう。
如何にも此処最近じゃ見かけそうに無い、笑顔で気がきく女子高生を演じてる。
ただ、ちょっと表情が悲しそうにも見える。
……気のせいか。
「……奴らはアナタの事を危険だと判断して殺したのでしょうね。そして貴方は私に悪魔として転生させられた」
「悪魔ですか。……でも今日は昨日みたいな朝の倦怠感とか感じられないんですが……ホントに俺は悪魔になったんっすか?」
「いいえ、今は違うわ。貴方はそこの居る彼――奴良陸人によって悪魔からまた人間に戻ったの。……貴方が殺される理由になった神器とは別の――回復系の『神器』を使ってね」
そして部長さんが座る机の中から出てきた八つの『
やっぱり人間に戻ったから本人の同意の下、この場で悪魔にするつもりか。
……なら俺にもチャンスはある。
「奴良陸人。アナタの神器については後で聞くわ。その前に兵藤くん……アナタ、悪魔になるつもりはない?」
「……それで何か俺に得が「ハーレムが作れるわよ」なります!」
返答早いな、おい。
兵藤の隣に座る小猫ちゃんの顔が歪んでいる。
二年の木場も副部長の姫島さんも彼に苦笑いだ。
「決まりね。じゃあ兵士を……? なんで全部『兵士』が
「あらあら……」
「……不思議です」
「なんでですかね…?」
グレモリー、姫島、小猫ちゃん、木場。
驚きの声がそれぞれ上がる。
「――変異の駒?」
「一個でも複数個分の価値がある駒のことよ。……でもなんでかしら…?」
全員が驚くのも無理は無い。
こっそり俺が変異の駒に変化させたのだから。
兵士の駒全てに、「『王』はレベルが上がった」という風に認識をずらしたのだ。
……これで兵藤一誠は八個の兵士じゃなく、いくつかの変異の駒で転生出来るようになった。
そして兵士に空きができ、俺がそこに滑りこめる……という寸法だ。
ゲスいのは分かってる。
でも目的のためだ……致し方ない。
「考えてても始まらないわね。……とりあえず兵藤くんこちらに来てくれるかしら」
「は、はいっ!」
兵藤が立ち上がり、兵士の駒を受け取っていく。
一個、二個、三個……そして四個。
「……大体一つ二個分の価値があるのかしら。おかげで駒の節約が出来たのは良かったわね」
「リアス先輩。普通こんなに使うものなんですか」
「いえ、そんな事はないのよ……多分アナタの持つ神器のせいね。初めの時は8個丸々使ったからそれでも規格外よ……どれだけ強力な物なのかしら」
赤龍帝の篭手、なんて選択肢は無いだろうな。
ましてやこんなエロスの権化に神滅具が宿ってるなんて思いたくない。
逆に兵士の駒八個で手に入れられるなら安いものだ。
……偏に兵藤が貧弱だったからだろうけど。
「神器。……やっぱり、その神器ってのは」
「まぁ、神が人に与えた奇跡の具現物だと思ってくれれば良いわ。……逆に人にしか宿らないから困ったものだけどね」
「そうなんすか……で、どうやったら出せるんですか」
「そうね……それはちょっと後でもいいかしら。――で、次に貴方よ。奴良陸人」
「ん? なんでしょう」
はてさて。
これからが俺にとっての本番か。
どうやって魔王に近い、このリアス・グレモリーに取り入られるか……割と簡単な気がする。
「なんでしょう、じゃ無いわ。――アナタの神器についてよ。話を聞かせてもらえるかしら」
「まぁいいですけど。……でもあんまり驚かないで下さいよ?」
「? なにかあるのですか?」
姫島さんにはまだちゃんと話していないこと。
まぁ、これから話す「設定」は荒唐無稽甚だしいものだけど。
「実は――……神器を自分でも確認出来て無い程持ってるって言ったらどうしますか」
「つまり、どういうこと? 言葉通りに受け取るなら……貴方は複数の神器を持っているって言う事なの?」
「はい。あの回復系の神器だけじゃないって話です。一部だけでもお見せしましょうか?」
一応見せるのは一部だけ。
ただちょっと度肝を抜く『一部』だが。
ソファーから立ち上がり、少し広い場所に行く。
そして出すのは赤と白。
本来俺が持っていてはオカシイもの。
「赤い篭手に白い光翼。それから……」
「部長……信じられないですが『白龍皇の光翼』じゃ。それに……いや、でも」
「何よ、朱乃」
「いえ、私の勘違いだと思います……気になさらないで下さいな」
「そう……いや、ちょっと待って。……奴良、貴方のその篭手の能力は?」
さて、驚かそうか……この悪魔達を。
「十秒ごとに自分の能力を倍化します。……恐らく姫島さんのお察しの通りですよ。自分でも訳分かんないですから」
しん、とオカルト研究部の室内は静まりかえっていた。
第二話の一部改稿しました。
次回色々と説明回。