黒歌が可愛くてつい始めた話。   作:楯樰

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悪魔になった日

 

『白龍皇の光翼』に『赤龍帝の篭手』。

 何処で手に居れたのかと聞かれれば、まずこの世界では無い。

 パラレルワールド……可能性の先にある世界から手に入れた。

 

 ……大昔の戦争が、赤い龍と白い龍が暴れ封印されたことにより締結したのは冥界の悪魔であれば誰もが知っている事だと思う。

 神と魔王もその時死んだのだが……それはまぁ余談だ。

 

 ――さて、本来の正史ならば『赤』と『白』の二天龍。互いに仲が非常に悪いとされていた。

 それは三勢力が戦争を起こしている所で周りの被害を省みず『喧嘩』する程にだ。

 

 …………だがしかしこの二匹のどちらかが()で、夫婦であり……積年の間、暴れたのがただの夫婦喧嘩であったのならば。

 ……そして神による封印の際、意図的にこの二つの神器が一人の所有者に揃わないようにしてあったのならば。

 それから神器に封印されようとも夫婦喧嘩を続ける程に夫婦間に溝があったならば。

 とはいえ仲直りがしたいと思っていた双方共にツンデレな龍だったら。

 

 そんな「だったら」「であれば」の世界にある神滅具を俺は次元の壁を越えて手に入れたのだ。

 神器所有者が死ぬ事は無い、能力のちょっとした応用で。

 

 ……ちなみに、宿るこの夫婦龍の仲を取り持ち、反発する事を止めさせる事は非常に簡単なことだった。

 こういう場合は総じて男側が悪いのだ。……うん。

 

 そして、この二つの神滅具(ロンギヌス)を手に居れた理由は至極明快。

 黒歌の手配書の取り消しのためだ。

 そしてそれの実現に必要なのは悪魔等三つの陣営に己が力を示すこと。

 ただし手の内の全て――『ずらす程度の能力』を見せるような事は出来ない。

 

 だからそれに準じる力を手にいれた、というわけ。

 しかし神滅具一つではインパクトが弱い。

 そのために、こちらの勝手な理由で五次元世界の一角から神滅具の内二つを手に入れて来たのだ。

 ……神滅具を二つしか持っていないのかと聞かれると……反応に困るけど。

 

 ――俺が持つ神滅具についてはもういい。良いったら良いんだ。……コホン。

 ……先ほど出現させた中の人達(二天龍)からしてみれば、余計な親切で迷惑もいい所だ、と自分は思っていたが……。

 

『いや、感謝してる。お前のおかげでアルビオンと仲を戻す事が出来たのだからな……――浮気なんてもうするものか!』

『反省したようで何より。何度も言うが……リクト、我からも礼を言わせて貰う――ありがとう』

 

 ……割と感謝されていたり。

 本当の所は分からないが、当人等が感謝してくれているなら良かったとも思えるというものだ。

 

 ちなみにだが……この赤白は白が赤を尻に敷いている。

 赤が雄で白が雌。

 諍いの原因――赤いのが何処かの『天魔の業龍・ティアなんとか』に現を抜かしたのだ。

 ……この世界では知らないけど、きっとここの赤いのも何かしらやらかしてる。

 調べてないけど……きっとそうに違いない。

 

 

 ――と、この身に宿る『可能性世界の二天龍』についてはもういいだろう。

 

 即席で作り上げた『過去の捏造話』をグレモリー及びその眷属に話した。

 ……「ある日堕天使が家に襲ってきて、ペットの猫が殺されかけた時に幼い自分は幾つかの神器を発動させ、その堕天使を撃退した」――という、なんとも『御都合』で助かった(はなし)を。

 そして自分の保有する神器については一旦保留となった。

 一度上に報告をしてみない事には分からない、と。

 

 よって次の、兵藤の神器に話はシフトした。

 とりあえず発現してみない事には神器が何なのか分からない。

 そのため、まずは出す事になったのだが――……兵藤が「ドラゴン波ッ!!」と勇ましく叫び、左手に出現した覚醒していないこの世界本来の『赤龍帝の篭手』。

 今現在の見た目は『龍の手』だ。

 そのためにグレモリーは苦笑しながら『龍の手』だと告げた。

 

 ……どうせ何時か気づくし、余計な事は言わないのが一番である。

 

「それでグレモリーさん。俺の事眷属にしてくれませんか」

「……突拍子がないのね。貴方、空気が読めないって言われない?」

「何ソレ美味しいの?」

「…………ハァ」

 

 眉間を押さえて「頭が痛い」と部長リアスさんは唸った。

 

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「……頂きます」

「いただきます」

 

 唱和し、一口。

 

「……どうかな?」

「んーっ! おいしい!」

「よしっ!」

 

 ……でも何時になってもレベルの差を感じさせられる。

 なんでこんなに美味しいのか。

 まさか別世界の凄腕の料理人の能力を「ずらして」手に入れてるんじゃないだろうか。

 いや、考えても限が無いか。

 

 ……今日の夕食はオカルト研究部に行っていた事もあり、家にある材料で簡単な炒飯になった……のだけど今日は私じゃなくてリクトが作る、と。

 この家に住むようになってから、私が料理をしようと思った理由は色々あるけど……やっぱり女の私より美味しい料理が作れるのは女としてちょっと悔しい。

 

 いや、本来リクトとは料理を一緒に囲むような仲じゃないのだけども――って私は誰に言い訳してるのか……あ、自分か。

 

「にしてもなぁ……兵藤の奴、ハーレム目指すからって悪魔になるだなんてなぁ」

「……欲が凄いのにゃー。あんな奴の近くに白音置いとけないにゃぁ……」

 

 お姉ちゃん、白音があんな奴の近くに居るの心配。

 ……でもリクトがあの変態の事言えないと思うけど。

 私の為に、って結局ズルにズルを重ねて悪魔になっちゃったし。

 そこまで想ってくれるのは嬉しいけど…………こっちが恥ずかしい。

 

「まぁ、ちょっと様子見よう。……あれでも赤龍帝なんだから」

「赤龍帝で白龍皇なリクトが言ったらなんか重いね」

「まぁ、ね。これから彼を中心に世界が廻り出す……って勘だよ? 勘」

 

 洒落にならない

 リクトの勘は洒落にならない。

 ……最近ハマった弾幕ゲームの巫女さん並みに洒落になんない。

 

「でも今の所、リクトが今代の赤龍帝だって認識されてるよ? あと白龍皇としても」

「今頃、悪魔の上層部はポカーンってなってるだろな。で、廻り廻って堕天使に伝わると」

 

 あぁ、そういえばあそこに白龍皇が居たっけ。

 すぐにでも接触してきそうだ。

 

 ……あ、そういえば。

 

「白音に餌付けしてたんだって?」

「」

 

 口に炒飯を運ぼうとする形で固まった。

 ……なんか良からぬ事企んでたって時の反応だ。

 

「……クッキーなんて知らないんだけど?」

 

 ホントに知らない。

 何時の間に白音と接触してたのか。

 

「……や、黒歌さんあのですね? 色々理由があるんですよ?」

「……」

「えっと……仲良くなってたら黒歌さんが接触できる機会が増える、かなーっと思いまして」

 

 こやつ。

 

「リクトのバカ」

「……怒ってる?」

「怒ってる。――……なんで私に言わずになんでそんな良い作戦を進めるの!」

「うぉい! そっちか!」

 

 当たり前じゃない。

 でも良かった。……リクトが白音のことを狙ってるわけじゃなくて。

 ……別に私じゃない誰かを好きになったのが許せなかったわけじゃないからね。

 だから私はツンデレじゃないんだから……ってこら、ニヤニヤするなリクト。

 

 ――それから。

 今度から白音に渡すお菓子は私が作る事にして。

 話しこんでちょっと冷えた炒飯を食べ終えて、明日のことを考えながらお風呂に浸かった。

 

「良い湯だぁな、にゃははっん~♪」

 

 ……とか呑気にお決まりの歌を歌いつつ。

 

 美味しいご飯と温かいお風呂に寝床。

 それだけで心のしこりが取れてるあたり、一応ケジメは付けているとはいえ私は大概現金な奴だ。

 

 ……白音、ゴメンね。お姉ちゃんがこんな奴で。今度からおやつ作って上げるから。

 

 

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