月岡組のアジトに戻ると修次は義理の父である月岡修造の元へと向い、その扉の前で止まる。
「義親父」
「入れ」
「失礼します」
修次が扉を開くと白髪混じりの厳つい顔の修造が革製のソファーに座り、デスク越しに彼を見据えていた。
「話は安田から聞いている。
俺の許可無く、勝手に米軍と宜しくやるとは、随分と出世じゃねえか?
え?修次よ?」
「申し訳ありません、義親父」
修造の言葉に修次は頭を下げる。
修造は椅子から立ち上がると身に付けた和服の袖をはためかせながら修次に歩み寄った。
「お前、自分のした事は解ってんだろうな?」
「そのつもりです。罰は如何様にでも……」
「……そうか」
修造は瞼を閉じて下を向くと修次の二の腕を掴みーー
ーー豪快に笑い飛ばす。
「はっはっは!まあ、そんなにしゃっちょこばるな、修次よ!」
「は?ですがーー」
戸惑う修次の背中をバシンと叩くと修造は穏やかな表情で彼に囁く。
「義理とは言え、俺の息子がする事だ。
何かしらの意味があるんだろ?」
「まあ、確かにそうですが……」
「なら、気にするな。お前は月岡組の次期組長になる男なんだ。
そんなお前の意見なら、俺から言うべき事はない」
修造はそう言うと真剣な顔つきになり、修次から半歩下がる。
「だが、何があったか位は俺にも話せ。勿論、お前の口からな?」
「……はい」
修次は静かに頷くと山坂組が米軍から武器を奪って暴れていた事やその山坂組を鎮圧化し、米軍に武器を返した事、それに浜辺に打ち上げられたブラックゲッターの事を話す。
そして、五日後に山坂組が逆襲しに来るであろう予知を見た事も……。
修造はそんな修次の言葉を真剣な表情を崩さずに聞き、腕を組んで考え込む。
「ゲッター線か……また厄介なモンに取り憑かれたな、修次よ?」
「信じてくれるんですか?」
「当たり前な事を聞くな。
そもそも、お前が俺に嘘なんざ吐けねえだろ。
吐いたとしても、お前を見て来た俺が見落とす訳がねえ。
仮にもし、そんなお前が嘘を吐いていたと見破れなかったのなら、そりゃあ、俺の目が節穴だったってだけだ。
つまり、俺の落ち度よ」
修造は修次にそう言って笑う。
「この件はお前に任せるーーと言うよりも、ゲッター線なんてもんが憑いちまったんだ。お前に任せる他ない」
「……義親父」
「話は終いだ。お前はお前の信じる道を行け」
「はい。ありがとうございます」
修次は修造に一礼すると部屋を後にしようとする。
「ところで修次よ。お前も25なんだ。
そろそろ、縁談の一つでもやろうかと思うんだが……」
「え?」
修次は扉を開けようとした手を止め、修造に振り返る。
「間谷組の令嬢とかどうだ?
彼処の嬢ちゃんなら、月岡組も安泰だろ?」
「いやいや、間谷組の令嬢って言えば、まだ13歳じゃないですか?」
「昔で言えば、元服ーーつまり、成人なんだ。問題なかろう?」
「昔って何年前ですか?
俺は……その……」
「なんだ?親である俺の言う事が聞けないのか?」
「いや、そう言う訳では……」
修次が困っていると修造はニヤリと笑う。
「はは~ん。さてはお前、惚れた女がいるのか?」
「そう言う訳でも……ただ、そう言うのはまだ考えてないと言うか」
「なんでえ。つまらん奴だな」
修造は溜め息を吐くと大げさに肩を竦める。
「まあ、結婚については考えとけ」
「……政略結婚ですか?」
「そんな大層なモンじゃねえよ。
俺が早く孫の顔が見てえだけだ」
そこまで言って、修造は、ふと、思い出したかの様にある事を呟く。
「そう言えば、辰三が面白い事言ってたな」
「タツが?」
「ああ。確か、米軍の女と親しくしてたとか」
「……タツの奴」
それを聞いて、修次は頭痛でもしたかの様に自身の頭に触れる。
「言って置きますが、アドレナとはーーその米軍の女とはそんな関係じゃありませんよ」
「なんでえ。つまらねえな。
流石の俺もそう言うところだけは育て方を間違えたんじゃねえかって思っちまう」
「まあ、今は考えてないってだけですよ。
三十路にでもなったら考えますから」
修次は修造にそう告げると扉を開ける。
「それじゃあ、義親父。今日はこの辺で」
「いや、待て、修次よ。
せめて、縁談の話だけでもーー」
「失礼しました」
修次は修造の部屋から出ると逃げる様にその場を後にした。
一人残された修造は頭を掻くと椅子に座り直し、深い溜め息を吐く。
「……何がいけなかったんだ?」
修造は誰に言うでもなく、一人呟き、首を傾げた。
ヤクザが主役のバイオレンスものの黒い獣はR-15でなく、R-18にした方が良いでしょうか?
-
R-15で大丈夫でしょう
-
いやいや、R-18になるでしょう