連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~ 作:アゲイン
暴走人龍、しかし何故か他の作品の暴走状態よりもときめかない。
最近ならビルドのハザード然り、ちょっと前だとナルトのペイン戦然り。
まあ、出すんですけどね、結局。
そして今回感想欄にエスパーがいました。(何でかわからないけど日朝マンたちもいます)
かなり近い展開、というか技のチョイスをした方がいましたね。
―――何故わかったし。
少し触れただけで簡単に命を奪いそうな鋭い爪が、はためく翼の勢いそのままに差し迫ってくる。
その標的は俺の後ろの位置にいるライザーであり、前にいる俺とグレイフィアを先に片付けようとでもいうように躊躇のない突貫を仕掛けてくるもんで、奴の正気が失われているのが簡単に分かる。
「どけ」
「あいよ」
だがそれを飛び出したライザーががっちりと阻止。
龍の膂力に負けることなく、その場に押し止めている。
「レイヴェル、結界を張れ。周囲に被害が出ることは許さん」
「はっ、避難誘導は?」
「仮にも悪魔の貴族、有事に動けぬ者はいるまい。せいぜい見物でもさせておけ」
「分かりましたわ。それでは皆さん、お仕事の時間ですわ」
龍との力比べをしながら冷静に眷属へと指示を出し、それぞれの配置に着いていたライザーの眷属はレイヴェルを中心に動きだし瞬く間に会場から俺たちを隔離するように半球状の結界が展開される。
「これなら持つか、さて……」
結界が張り巡らされたのを確認したライザーは改めて目の前で抵抗しようとしている人龍へと意識を集中させる。
暴走状態であるからかその力は押さえ込むので精一杯、先ほどはああ言ったがこの状況では周りを気にしなければならない自分が不利であろう。周りに結界があるとはいえこのまま戦闘を続ければその結界も壊れるかもしれない。
どうしたものかと考えるとともに、その原因たる存在の煩わしさが癪にさわる。
「―――ヴゥゥウウウウ…………!!!!」
「全く、邪魔ばかりをしてくれる。折角の場が台無しだ」
自分が招いたこととはいえ、ライザーはこの状況にうんざりしていた。
かつて自分は退け、手傷を与えた人間の戦士。
それまでに感じたことのないほどの屈辱、それを払拭するための地獄の鍛練はその黒い感情を糧に自分に一つの目標を掲げさせるに到った。
強さを手に入れる過程で脳裏を掠める、自分と相対した人間の姿。特に、その瞳が持つ鋭利なほどの感情は、それまで自分が経験したことがないほどの熱量があった。
不純なく、ただ真っ直ぐに。
自分を打倒せんと剣を振るい、傷付こうとも前進を止めない。
振り返る。
自分はどうかと。
己はこれほどまで、何かに真剣になったことはあるだろうかと。
悪魔という貴族の社会に生まれ、既に強者であった自分。
そこには研鑽など考える必要がないほど、磐石に等しい力があったからだ。
だがそれは、一重に自分がフェニックス家の者であったから。
ただそれだけだった。
他には何もない、半端なだけの自分がさも強者であるかのように驕り、その結果の体たらく。
「……馬鹿にするなよ」
「ッヴァ!?」
それに比べ、この男はどうだ。
堕天使に殺されかけたその境遇は同情してもいいかもしれない。
所詮は身に余る強大な力を手に入れただけの男、それだけの、取るに足らない存在でしかない。
だが、そんな奴が、あろうことか自分の目の前にいて、宿願の成就を妨害している。
「……たかだか低級悪魔の……神滅具を手に入れただけの、薄っぺらい希望なんぞを抱えただけの分際でぇ……この俺の戦いを邪魔するのかこのクソッたれがぁあああああああああ!!!!」
―――もはや、許さん。
それまで押さえ込んでいた魔力を全開に、周りの被害など考慮しない全力の炎をブースターにして無理矢理に龍の体を押しきり上空へと持ち上げ、
「死に散らかせ!!」
「ゲェアアァアアア!!!!」
土手っ腹を蹴り上げ距離を離し、すかさず特大の炎弾を叩き込む。
衝撃に吹き飛ぶ龍、それに終わらず囲むように繰り返し炎弾を放つことで自由を奪う牢獄を形成する。
「『天蓋球』―――地獄の灼熱をも越える熱量に包まれて、苦しみながら逝くがいい」
既に小さな太陽というようなまでになった巨炎球を憎しみすら込めた視線で油断なく中心の敵を見下ろすライザー。
まるで溺れているかのように手足をバタつかせている人龍はその強靭な肉体が徐々に炎に焼かれていく痛みによって耳障りな咆哮をあげているようだ。空気など存在しない炎球内では無駄でしかない行動、いたずらに消耗していく姿に所詮は暴走しただけの木偶でしかないかと落胆していた。
―――その時である。
「……やはり堕ちても龍か、本当に度しがたい存在だ」
敵を殲滅するまで永遠にあり続けるはずの炎球に異変が生じた。
苦しむだけであったはずの人龍からこれまで以上の魔力が放出されはじめているのを敏感に感じ取ったライザーは余計なことをさせまいと炎球に更なる魔力を注ぐ。
しかし敵の魔力の上昇速度はライザーの上限を軽々と越え、遂には炎球の拘束を食い破らんと牙を剥く。
「……クソッたれが、神滅具とはこういうものか」
話に聞く赤龍帝の『倍加』の能力、暴走することで遥かに強化されたそれによって炎への耐性を高めるに留まらず傷ついた体すら癒しつつある。
神器となっても変わらない脅威を示す赤き龍の力、ライザーは自分の想定が崩れつつあるのを理解しつつも意地のみを支えにして力を振り絞る。
「くっ、最早拘束は無理か! ならば!!」
拘束も後数秒も持たない、そう判断したライザーは残る魔力を総動員し炎球を操作して小さく圧縮していく。
「星の終焉を体験せよ。押し潰されたその末に核が辿るのは、その身を覆いし外殻を吹き飛ばす程の大爆発であるという。
貴様にもその一端を味逢わせてくれよう、食らうがいい!!
―――『
一瞬にしてその大きさを狭めた炎球は、その次の瞬間には轟音と共に空間を震わすほどの大爆発を起こした。
C4何百個分に匹敵するかという爆発は余波ですら眷属たちが張った結界を崩壊させかける程。その中心にいた人龍のおいては焼き焦がすという表現が生易しい、それこそ全てを崩壊させるというのが相応しい力の奔流をその身に受けているのだ。爆発の力の中心に浮かぶ影でしかその姿を確認できないが、爆発の勢いに身動きすらできずそのシルエットが端の方から崩れていっている。
「……これでどうにか、―――何!?」
人龍から感じる魔力の高まりが途切れていくのを感じ、最早脅威は無くなった。そう考えていたライザーがほんの少し気を抜いた、その瞬間だった。
何かが地上から放たれ炎牢へとぶつかり、たちまちの内にその囲いを食い破ってしまったのだ。
「これは、リアスっ! 貴様の仕業か……!!」
それはグレモリー家の悪魔が持つ『破滅の魔力』による攻撃だった。地上からこちらを見上げていたはずのリアスがその手をこちらに掲げていることから、眷属を助けようとして行ったのだろうがそれはどう見ても悪手であった。
穴を空けられた牢が人龍を拘束する力を維持できるはずもなく、凶悪な魔力を撒き散らしがら、人龍は遂に牢獄から解放されたのである。
「ヴゥウウウ……ウヴォアアアアアアアア!!!!」
咆哮をあげ、傷を負わされた怒りを増幅する魔力と共にこの場に示さんとする人龍。
消耗を重ね、ダメージはなくとも出せる手札に制限が掛かり始めたライザー。
空中でにらみ合い、この戦いの決着を着けんと相対する二人。
―――始まりはどちらともなく、急接近からの乱打戦が始まった。
読了ありがとうございました。
ということでまずはライザーとガチンコしてもらうことにしました。
主人公の登場はその後、ということになりますな。
ちなみにルビは適当です。
つっこまんといてね。