連載版 ハイスクールD×D ~タイコの戦士、異世界に現る~ 作:アゲイン
二次創作のために原作を読んだり、考察やらwikiやらを見るんですが、この作品に関しては何ていうか……新しいことを知っていく度に兵藤一誠という奴に対して殺意が高まるんですよね。
なろうとかでよく見るご都合主義の塊のくせにとかくっそ思います。
熱血の定義が壊れる。
―――ライザーたちの戦いが始まり、空に小さな太陽ができていたいた、一方その頃の俺たちはというと。
余興の決闘へと横やりをされ、俺がその制裁をしたことが原因で暴走してしまった兵藤。
関わるのが面倒だった俺は戦いの相手をヤル気満々のライザーへと譲り、のんびり物見遊山と洒落込んでいた。
「うわぁ……エグい技使いやがるなあの野郎」
あんなのを食らうかもしれなかったとか、考えるだけでも嫌なもんだな。厳しい戦いになるってのは予想してたが、正直あれは勘弁してほしいくらいだ。
「ちょっとあなた!」
「あ?」
炎の塊の中で兵藤がじんわりいい焼き加減になっていくのを見ながら突っ立ていると、この催しのもう一人の主賓であるリアス・グレモリーが俺に突っかかってきた。
「ライザーを止めて! このままじゃイッセーが死んでしまうわ!」
彼女もライザーのあの力には脅威を感じているのだろう。いくら自分の眷属が強くなったとはいえ確かにあのままではこの女の言う通り死ぬだろう。
「で?」
「で……って、あなた自分の言ってることがわかっているの!? イッセーを見殺しにする気!?」
「格上と戦うって覚悟でここに来たんだろ? なら、当然死ぬ覚悟もしてからここにきてるんじゃねぇの?
転生悪魔の下級兵士が上位貴族の催しに割って入ってただで済むとでも本当に思ってんのかよ、お前」
転生悪魔と呼ばれる者たちの地位は低い。
低級悪魔として扱われる彼らは元から悪魔である者たちからすればどうとでもなる消耗品に過ぎず、主に逆らえない彼らはどれほどの苦痛を与えられようが耐えるしかない。
それに我慢できず主に牙を向こうものなら反逆者として殺され、よしんば主を殺害して自由になったとしても今度は主殺しとして悪魔たちから永久に追われることになる。
「話に聞くところじゃ、このシステムはあんたらのお仲間を増やすための手段らしいじゃないの。よく考えたもんだよな、神器が宿った人間を対象にすりゃ戦力も増えて万々歳ってわけだ」
「何ごちゃごちゃ言ってるのよ! いいからやりなさいよ!!」
「報酬もないのに?」
「なっ…! こんな状況で何を言っているのあなた!」
助けるのならそれ相応のものをと、そう要求する俺に対しグレモリーはぶちギレる。
「あの中にちょっかいかけるんだぜ。ちょっとやそっとのもんじゃあ割りに合わねぇだろうが」
「あなた元々ライザーと戦う予定だったじゃない!!」
「余興としてな。これはもうその範疇を越えてる。当然別料金、悪魔のいざこざの解消は基本的に請け負ってないんだからさ。
俺、人間だぜ?
どうしてお前らのために無償で働かなきゃいけないんだよ、シバき倒すぞ」
あくまで。
あくまでここに来たのはライザーとの決着を着けるため。そのためだけであり、それ以外のことについては全くの無関係である。
「俺があの野郎と面識があろうとも、あんたのところの眷属であろうと、俺のちょっかいのせいで起こったことだろうと、それとこれとは話が別だ。
何故なら、これはあんたが婚約に難色を示したことで起こったことだからだ。
何故なら、これはあんたの眷属が何も考えてていないから起こったことだからだ。
何故なら、これは龍というものの存在を軽く見て何も対策をしなかったからだ。
その責任の所在は、あんたにこそあるんじゃないのか、
―――なぁ、リアス・グレモリー。あいつが死ぬのは、無能なお前のせいじゃないのか」
赤々と光り輝く炎の塊が、上空にて人龍を焼き焦がしている。
それとは正反対に、思いもしなかったことを指摘されてか血の気の失せた真っ青な顔をしてグレモリーはその場に佇んでいる。
「リアス、落ち着きなさい」
「ぐ、グレイフィア……」
動揺を隠せないでいるグレモリーに近寄り、正気に戻るようにとグレイフィアが呼び掛ける。
そちらの方の顔を向けるグレモリーは茫然自失としていた表情に若干の生気を取り戻すとそのままグレイフィアの肩を掴み必死な様で頼み掛ける。
「お願いよ! イッセーを助けて!! お兄様の眷属のあなたならできるはずよ!!」
「リアス、焦ってはいけません。危険な状況であるからこそ冷静にならなければいけません」
直ぐに救助しなければと言い募るグレモリーに、なおも落ち着くよう説得を重ねるグレイフィアたちの様子を尻目に俺は燃える炎球の変化に意識を向けていた。
「……どうにも、このまま終わってくれそうにないな」
球の中にいる人龍の魔力が段々と強くなっていっているのを感じている。このままじゃあ直に拘束も破られてしまうだろう。それをライザーの野郎がそのままにしておくわけがないだろう。
案の定、炎球に更に魔力を込め始めたかと思えば急激にその規模を収縮させていく。
「まずいな、逃げねぇと」
圧縮をしていくことからある程度の予想がついた俺は距離を取るために結界の端の方へと撤退する。グレモリーたち? 知るかあんなの、いつまでも言い争ってろ。
不毛な言い争いを尻目にできる限り結界の端の方へと退避が完了したとき、タイミングよく炎球が大爆発を起こした。
あまりの威力にこの位置にいても暴風が襲いかかってくるほどだ。
「おぉぉおおお…………!!?」
危険を感じ咄嗟に身を伏せる。叩きつけられる風に四肢を地面に張り付けて耐え凌ぐことしばし。
暴風の勢いが弱まりようやく体を起こせるようになるも、巻き上げられた土煙が視界を邪魔をする。
しばらくおさまるのを待っていると徐々にだが、上空の様子を見れるようなってくる。完全に空が晴れるころには何がどうなったのかを理解できるぐらいの光景がそこに広がっていた。
「……いや、爆発してんだからせめて跡形もなくなれや」
おそらくは、内部に爆発の威力が向かうようにした覆いの残骸だろう。余波ですらあの威力、しかしその中にいた兵藤は直撃を受けたにも関わらずその姿は健在であった。
まあ、そうは言ってもかなりガタはきているみたいだな。感じる魔力にも陰りが見え始めている。
―――これは決まったか? などと考えたのが悪かったのだろう、油断していた。
不意に、どこからともなく、空へと向かって魔弾が飛んだ。
それは強固であるはずの炎球の囲いを貫き、一点の穴をこじ開ける。
それによって乱れた制御を見逃さず、人龍・兵藤は強引にその囲いを食い破り、遂に完全な自由を得てその異形を再び冥界へと知らしめたのだ。
そして始まる第2ラウンド、急速に接近した二人はそのままインファイトを繰り広げ始めた。これまでの一方的な展開とは違い、ほぼ同等といった様子の拳のやり取り。
「ああ、そうくるか。こんなにも早く消耗しちまうほどだったのか、さっきの一撃は」
ライザーがわざわざあんな風に戦う必要はない。
悪魔のお得意の魔力による攻撃をもう一度やってやればいい。
それをしないということは、それに回せる魔力の余裕がないかあえてそうしているかだ。
倍加の力のある兵藤相手に長期戦は不利と見て速攻で仕留めるために最初から飛ばしすぎたんだろう。だが相手の耐久力が高すぎた、さすがは龍。伊達ではないってことかよ。
…………しゃあねぇか、ここで披露するつもりはなかったけどもちょいと頑張らさしていただきますよ。
徐々に傷を増やしていく二人の戦いを見据えながら、刀を腰に戻し、しっかりとベルトを閉め直す。そして頭の中に戦略図を描きつつ速攻で行動を開始する。
―――さあ、精々目にもの見せてやりますかね。
読了ありがとうございました。
とりあえず修造に謝れ。